刑事7人
けいじしちにん
2015年7月から放送を開始した「テレビ朝日水曜21時枠刑事ドラマ」の一つで『相棒』や『特捜9(元)『警視庁捜査一課9係』』と並ぶ定番作品である。主演は東山紀之。音楽は吉川清之と奈良悠樹。現時点での最新作は2023年6月から8月にかけて放送されたSeason9である。
往年の刑事ドラマである『七人の刑事』のリメイク……ではない(←ここ大事)。
本作の最大の特徴と言えるが「主要人物達を取り巻く『環境』がほぼシリーズ毎にリセットされる」というもので、その頻度たるや『遺留捜査』の糸村聡の「流浪」ぶりが甘っちょろく感じられてしまうくらいに一変してしまう(彼の名誉のために補足すると、同作の放送枠そのものは確かに流動的であったが、糸村本人が多大なる影響を受けたのは第4シリーズ初回の「京都異動」の一件のみで、それ以降はずっと京都勤務である)。
そのためか「視聴した時期によって印象が著しく異なる」という点でいえば、観る人を選ぶかもしれない。
通例では「年度内の7月期」からのスタートであるが、2020年放送のSeason6では8月スタート、2023年放送のSeason9は6月スタートという変則的な編成になることもある。
主演の東山が2023年9月5日付でSMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)の社長に就任し、芸能活動は2023年末をもって引退したが、本番組の処遇は不明である。
本番組は2023年までに通算で9シリーズ・85話が制作・放送され、2024年現在の最新作に当たるS9では、前シリーズまでとは路線を変え全篇にわたって新専従捜査班が一つの事件を追うストーリーが展開、最終回では天樹が事件解決後に刑事を辞職するという形で幕引きを迎えている。同シリーズ放送終了後の展開の有無について、2024年現在公式なアナウンスや言及はなされていないが、2024年度の7月クールには本番組に代わり、本番組の処遇については言及されておらず、Season9の後番組であった『科捜研の女』が放送されており、本番組は事実上中断状態という状況である。
レギュラーキャスト
ここでは「直近に放送されたシリーズの主要メンバー7人」を優先して記述していく。なお「~より現任」という表記が無い場合は、Season1当初から通しで登場し続けている人物ということになる。
また、タイトルの「刑事7人」は、「各シリーズの主要メンバー7人」のことで、刑事が必ず7人いるというわけではない。
- 天樹悠(あまぎ・ゆう)
演:東山紀之
主人公(字幕放送では黄色表記)。先祖が「仕事人」かどうかは定かではない(余談だが、同じく本番組の枠で放送されていた『はぐれ刑事純情派』の安浦刑事役の藤田まことも似た様な境遇)。『特捜9』の浅輪直樹と同様のイケメン顔。
彼の捜査手法は事件現場に残された料理を一口食べる……のではなく、事件が発生した際の「時系列」や「時間」に着目して捜査する。『相棒』の警部殿と同じく、基本的に犯人に同情や共感はしないが、それでも時と場合によっては罪状の一部を不問にするなど融通を利かせることもあり、警察の落ち度で犯罪に手を染めるなど情状酌量の余地が多い犯人に対しては心の底から同情することも多い。
独身ではなく、Season1の初回から遡ること10年前の自身の誕生日家族(妻と娘)を亡くしている。
- 海老沢芳樹(えびさわ・よしき)
演:田辺誠一
Season4より現任。チーム内では主任のポジションであり、本来上司である片桐に代わって陣頭指揮を執っている。似顔絵捜査が得意なのかどうかは……お察しします。
かつては「上昇志向の塊」と称されるほどの人物だったが、ある事件で「犯行は単独犯か複数犯か」で上層部と揉めた結果、出世の道が閉ざされ、捜査第一課の閑職に甘んじて、警察組織に対して強い不信感を抱いており、他の捜査員達との折り合いが悪く人望も薄かったが、片桐に専従捜査班に引き抜かれ天樹たちと一緒に行動をしていく中で「自身の中にある正義感」が再び甦っていった。
昼行灯の片桐に代わり、専従捜査班の陣頭指揮を執っている。こっそり警部への昇任試験を受けたが、不合格となった。さらにS6の第1話でそれが8回目の試験挑戦だと判明。娘が4人おり、S5では孫も生まれた。
- 坂下路敏(さかした・ろびん)
Season8より現任。1999年10月5日生まれ、血液型はAB型。東京大学法学部卒業。
2022年4月、警察庁入庁。本人の希望により専従捜査班に配属された新人エリート刑事。捜査は効率重視で、配属当時、会議はほとんどネットカフェなどでリモートで参加していた。
東大卒のキャリア組ながら天樹に憧れ、天樹たちのチームを志願した。当初はチームに馴染めず、定時で退勤したり、別行動(例:上述のネットカフェなどでリモート会議に参加)を取ったりしていたが、エピソード毎に他のメンバーと関わる事で徐々に慣れていった。同シリーズラストでチームの居酒屋飲み会に参加した際に、酒が入ると人が変わる ことが判明。
生真面目な性格であり、同シリーズの彼が登場するエピソード(最終話除く)では、必ずカタカナ語が出てくる。
子供の頃に父親が家を出て行き、高校の頃は住んでた家を追い出されて母と2人で漫画喫茶やネットカフェやカプセルホテルに寝泊まり極貧生活を送っていた。母が窃盗の疑いで警察に拘束された際にその件で出会った山岸巡査(演:鶴見辰吾)の計らいで、金貸しの小室司(演:鷲尾英彰)を紹介された。その後東京大学に進学し、卒業→キャリア警察官となり、その間に彼から借りた金を最終話で完済した。
- 野々村拓海(ののむら・たくみ)
演:白洲迅
Season4より現任。Season8で路敏が加入するまでは、チームの最年少メンバーであった。
青森県八戸市出身。憲士館大学法学部卒業。2017年に入庁。明るく元気な青年。刑事に憧れているが、落ち着きがなくおっちょこちょいな性分が災いして、内勤である資料係に配属される。そのため専従捜査班として捜査に参加できることを喜んでいる。父親を4歳の時に病気で亡くし、女手一つで育ててくれた母親も2017年に他界している。近眼であり、普段はコンタクトレンズをしている。下の名前で呼ばれることが嫌いなのか、本人は再三再四「姓である『野々村』と呼ぶ」ように伝えているが、誰一人として聞き入れてはくれず、天樹らからは専従捜査班のメンバーからは「拓海くん」「拓海」と呼ばれている。
上述の通り両親が既に他界し、天涯孤独。体育会系(公休時にジョギングをする、釣りが趣味)な反面、初登場以降毎シリーズ必ずと言っていい位怪我や病気に遭ったり、Season8では建物の地下室に閉じこめられたり、その後帰る道を間違えたり(同行していた路敏と一緒に5km来た道を引き返す羽目に)とやらかすことも。しかし、シリーズが進むにつれて成長した姿も見られるようになったことも確かである。
専従捜査班が解散になった後、"刑事課の花形"と呼ばれる捜査一課の7係に配属となるも、専従捜査班に所属していた頃とは異なる勤務体制や雰囲気に馴染めずにいた。とある殺人事件の捜査で、事件関係者及び現場周辺への聞き込みなどを「非効率」だと否定する7係の捜査方針への反発から単独行動を取るようになり、結果的に殺人事件に関与していた人物を目の前で何者かに殺害されたことなどを理由に、上司から「君は7係に相応しくない」と告げられるが、その会話を聞いていた片桐の(半ば強引な)計らいで特別捜査係に配属される。
- 青山新(あおやま・あらた)
演:塚本高史
Season2より現任。1986年11月10日生まれ。東京都江東区宮洲島(臨海エリア)で生まれ育つ。施設出身者で、久喜鉄平と一色朱子は同じ施設の出身者。(天樹たちのチームに正式配属される前に)スタンドプレーが目立つ天樹の監視役になった矢先にかつての上司(実はある過去の未解決事件の犯人でもあった)を殴ったために、正式に天樹たちのチームへと配属されるも、Season3の最終話の終盤で一旦交番勤務へ異動となり、本人は「定年までずっと交番勤務だと思った」らしいが、1年後に片桐に誘われる形で12係に復帰する。Season4の野々村配属までは、チームの最年少メンバーであったが、彼の配属から路敏の配属までは放任主義の天樹に代わり、野々村の教育係というポジションに就いていた。その事がやんちゃだった性格を大人に成長させることになる。
Season7では水田とシェアハウス同棲をしている。彼女に求婚する直前の同シリーズ最終話で負傷し、その結果未だに告白できずていない。また、彼女とのルームシェアはSeason8の初回時点では解消済みである。
- 片桐正敏(かたぎり・まさとし)
演:吉田鋼太郎
Season3までの捜査第一課12係、Season6までの専従捜査班、Season7以降の新専従捜査班での天樹たちの上司。1961年1月14日生まれ、血液型はO型。表向きは警察組織に従っているが、実際は天樹たちと同様に強い正義感を持っており、彼らの捜査には概ね許可を出し、特に上の立場であるために警察上層部も含めた権力者が関わるような事件においては重要な役割を担っている。
特別捜査係を新設。
東京中央銀行の本部営業第二部の部長によく似た、どことなく禁断の恋をしそうな雰囲気が漂う気もするが、多分気のせいだろう。
立場上(表向きは)警察組織に従っているが、実際は天樹たちの理解者的存在であり、大抵の捜査に横槍を入れることをせず、むしろ積極的に後方支援を行う。
二度の離婚歴があり、1番目の妻との間に娘がいることがSeason7で判明。2番目の妻とは3ヶ月で離婚している。
- 堂本俊太郎(どうもと・しゅんたろう)
演:北大路欣也
東京中央銀行の頭取……によく似た顔立ちの法医学者。天樹からは「お義父さん」と呼ばれているが、これは彼が白い犬……じゃなかった、今は亡き天樹の妻が彼の娘であるためである。
元レギュラーキャスト
- 沙村康介(さむら・こうすけ)
演:高嶋政宏
情熱的で正義感が強く、天樹とは似た者同士。彼に負けず劣らずの「食の変態」と称されるほどの食通……かどうかは定かではない。
かつては12係のリーダーとしてチームを指揮していたが、山下の一件で責任を取らされ、Season3終了後に所轄に異動(多分「本池上署」ではない)となるも、2年後に警視庁捜査第一課の管理官として本庁に復帰した。Season5の最終話では、かつての仲間である天樹たちを捜査から外すなど、専従捜査班の捜査を阻む行動をとるという汚れ役を引き受けたが、実際は全て水田を守るためであった。
Season9では参事官に出世しており、天樹に井手孝也(演:田中樹 / SixTONES)の過去について、”謹慎扱い”という形で彼の故郷である茨城に行くよう調査を依頼した。
……榊マリコを見たら「姉さん、事件です!」と口走る気がする?ありゃ「人違いの弟」の方だ(ただし、本池上署はともかく「管理官の役職を盾にし『物申す鑑識を目の敵にする』人違いの弟」が出演した作品も、本作と同時間帯に放送されてはいる)。
- 山下巧(やました・たくみ)
演:片岡愛之助
「この山下にお任せを」を口癖とする、金融庁の敏腕査察官……に似ていなくもない気がするホワイトハッカー。1973年1月25日生まれ。ハッカーとしての腕前もそれなりに優秀で、情報収集も得意としている。また、「この山下にお任せを」を口癖にしている。検索エンジン「リトル・ヤマシタ」を構築する。「リトル・ヤマシタ」のログインパスワードは「DY1KNAMSA2」。
馬久根恒義を逮捕しても裁くことは出来ないという歪んだ正義感から警察の代わりに自分が馬久根を裁くために「御厨一豊」という架空の人物に成りきり、Season3第1話で馬久根が関与している事件の容疑者を裏で操って馬久根を追い詰め、更には馬久根の関係者に拉致されたフリをすることで姿を消しながら天樹たちの行動を監視する。第9話で頃合いを見て天樹たちと合流し、最終話では林敬子を使って遂に馬久根の殺害に成功するが、天樹に全てを暴かれたことで御厨を名乗って行動した経緯を明かし、最後は持っていた拳銃で自殺を図るも失敗。
『相棒』で例えるなら、立ち位置的には(人当たりが良い)青木年男だが、その末路はダークカイトのそれである(カイトくんの場合は死人は出していないので、実際は山下の方が酷い)。Season4とSeason5で再登場している(天樹が東京拘置所に面会に訪れている)。
東京拘置所拘留後は自身の行いをきちんと反省している素振りを見せており、S5の第1話では新聞の事件のことを知り、専従捜査班にメッセージを送って捜査に協力し、同回での事件解決に貢献した。
- 永沢圭太(ながさわ・けいた)
演:鈴木浩介
12係と他部署の潤滑油的存在。家族は父と母。
Season2の第4話では、過去に起きた父の死の真相とそれに関連する別の事件の真実を独断で調べていたが、最後は口封じという形で、事件の黒幕である山路史郎(役:手塚とおる)が差し向けた実行犯の丸藤遼平(役:音尾琢真)によって殺害される。
- 水田環(みずた・たまき)
演:倉科カナ
1987年11月2日生まれ。ペンシルベニア文化大学 犯罪心理学専攻。ビジネスレベルの英語を習得。家族は外交官だった父と母。
高い洞察力と推理力を持つ、留学経験のある、アメリカ帰りの帰国子女。捜査のパートナーはSeason3までは沙村で、Season4からSeason7までは青山。チームの紅一点的存在だった。
Season3第1話では上の立場にいる島村唄子の依頼で第11方面本部の監視役となるが、徐々に監視役の仕事自体に疑問を抱くようになり、最終的には島村に反発して監視役を降りた。12係が解散後は、監察官として1年過ごした後、片桐の誘いを受ける形で12係に復帰する。監察官時代は、数々の不祥事を摘発し、警視庁の組織浄化の功労者となった。16年前に出張先のインドネシアから帰国した直後に遺体となって発見された父の純平が機密費流用の疑いを掛けられた際には辞表を片桐に渡したが、専従捜査班の捜査により無実と判明した為、刑事を続ける事になった。
自分より年上であるはずの天樹を「君」付けで呼んでしまうという妙な癖を持っていた(当の天樹本人からは基本的に「水田さん」と呼ばれる事が多かったが、時折「環さん」と呼ばれることもあった)。
片桐と海老沢とかつての上司だった沙村からは「水田」、青山と野々村からは「環さん」と呼ばれていた。
Season8の第一話では同シリーズより加入した路敏の教育係を買って出るが(その後の彼の教育係は野々村が担当)、同話ラストでアメリカのFBIの研修のために新専従捜査班のメンバーから離脱した(公式サイトでは卒業扱い)。
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