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渡辺小五郎

わたなべしょうごろう

必殺シリーズの登場人物。「必殺仕事人2007」〜「必殺仕事人2023」の主人公。「こごろう」ではなく「しょうごろう」と読むのが正しい。
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演:東山紀之

概要編集

南町奉行所同心→本町奉行所同心。

過去作品の中村主水のポジションにあたり、奉行所では昼行燈に近い働きぶりの一方、家では家族から過保護気味の扱いを受けうんざりさせられる日々を送っている。


主水と同じく婿養子として渡辺家にやってきており、姑のこう(演:野際陽子)および妻のふく(演:中越典子)との3人暮らし。

上述の通り嫁姑からは甘やかされており、特に妻のふくからはベタ惚れされている。ちなみに彼女曰く、小五郎に惚れた理由は「顔」であるらしい。

『2019』では既に「こう」が亡くなって一年経った設定になっており(※)、同作では「綾小路てん」(演:キムラ緑子)という「こう」の妹(ふくの叔母)が登場。嫁ぎ先の上方の商家にて隠居生活を送っており小五郎自身も存在を知らなかったようだが、生前に受けたこうの頼みにより江戸を訪れ、以降彼女に代わって渡辺家で生活するようになっている。


※…2018年に「こう」を演じた野際陽子が逝去した為。


こう(『2019』以降ではてん)からはふくとの間に子がいないことや後継ぎのことで嫌味を言われることがあるが、当人は子を成すつもりはない様子。「2020」でお菊に漏らした言葉から察するに、「人殺し(仕事人)の自分が人の親になってはいけない」という考えがあるのかもしれない。


豪華なものより質素な料理を好み、番屋では主水が振舞うメザシなどを食べている。

一応それなりに同心の仕事はこなしているようで親しい同僚もいるものの、その昼行燈ぶりたるや時に主水ですら呆れるほどの筋金入りで、見回り中に「俺は忙しい」と言いつつ平気で茶屋に立ち寄って団子をほおばったりする。また、自宅に代金の督促状が来て嫁姑にばれてしまったこともあってか近年ではあまり描写されないが、同心の職務をサボって芝居見物するのが趣味。

一方で仕事人としては極めて冷徹で、裏の世界の掟は徹底遵守するが、心の片隅にはまだ熱いものを持っており、時おり情に動かされそうになることもある。

スペシャル番組「必殺仕事人2010」以降は主水の遺志に近い志を持ち、彼が遺していった十手を持ち歩き、主水がかつてしていたようなマフラーを着用するようになる。


主水と異なりいまだに主人公としてはどういった経緯で裏の世界に足を踏み入れたのか、高い剣術の腕前をいかにして取得したのかは不明。

なお詳細は明かされていないものの、幼少期はどうやらどこかの庄屋の一人息子として生まれたらしく、あるとき押し入ってきた賊に両親を目の前で惨殺されて失い、その賊が捕まらぬままそれ以後孤独の身にあったことが必殺仕事人(2018)で判明している(明言こそされていないが、上述した表稼業やそこでの昼行灯ぶり、さらには裏稼業に入った経緯や剣術を身に付けた理由にも、この過去が関係しているものと思われる)。

しかも偶然か運命か、その回の仕事の的は小五郎の親の仇たる賊その人であり、あくまでも彼は仕事人として闇に葬ったものの、結果的に人生を大きく狂わせた者への復讐を果たした。


洞察力は鋭い反面、探査役が不向きで作中は町の人、お菊や涼次などの仕事仲間から話を聞く程度であり、「2016」に至っては過去の奉行所の役人が登録されていた名鑑を調べる際、お菊をこっそり呼び出しており、記されている書物を調査するのが苦手だったことが判明した。

過去の「必殺仕事人シリーズ」時代の主水が資料置き場の書物から上司の目を盗んで事件の詳細を自力で地道に調べていたのとはなかなか対照的である。


殺し技は刀による斬撃。真正面から袈裟切りにする。

「2010」以降は悪人に対するとどめは太刀を用いた刺し技が中心になるが、袈裟切りでとどめをさしたり、刺し技への繋ぎとして袈裟切りを用いたりするパターンもある。

メインの殺しBGMは「裁きの刻」と「中村主水のテーマ」(いずれも『新必殺仕事人』より。後者は『必殺仕事人2010』から使用)。


仕事人の掟編集

初期は掟を重んじていたことが顕著で、後にメンバー入りする匳を2度も見逃し、その時の主水の言葉が重く突き刺ささり、ナーバスになってしまうこともあった。

後のシリーズでは「頼み人や殺しに関わる相手の顔を見られるな」という割に、刺客の一味となっている子供に対しては目こぼしをすることもあり、仕事人の掟の意図から若干外れた言動も見られるようになっている。(自身の過去が影響しているからか?)


とはいえ、これは何も彼に限った話でもなく、『必殺仕事人』のあるエピソードでは刺客一味を撃退した際、逃げて行った一人の子供の刺客を、主水を含む仕事人全員が見逃したこともあったりする。


表稼業の同僚達編集

奉行所では彼には親密な同僚の同心がいたのだが、それぞれ非業の死を遂げている。()は登場作品から死亡した作品年。


  • 大河原伝七(2009 1話~最終話)

小五郎の最初の同僚。正義感溢れる人物であり、小五郎や主水の肩を持つ等奉行所でも良識派であったが、ある事件をきっかけに、後にこの世の正義(奉行所)を信じられずに同志と共に仮面を着用した「ニセ仕事人」を結成していた事が判明。

最終話で伝七が斬られた場に遭遇した小五郎に、普段の表の小五郎しか知らなかったとはいえ、その理由を述べながら絶命。奉行所をも信じられなくなった彼ではあるが、懐に入っていた十手だけは手放してはいなかった。この世の正義があてにならない事を重々承知している小五郎には伝七の怒りと無念がひしひしと伝わっていた。


  • 結城新之助(2010~2016)

中村主水が去った後に赴任してきた同心。空き家になった主水の家に住むようになる。

子沢山の大家族で奉行所の仕事と家庭との板挟みになりながらも家庭を大事にしてきた真面目で温厚な人物。

「2016」で起きていた事件にいつの間にか巻き込まれる形となってしまい、挙句には事件の黒幕達に濡れ衣を着せられ殺される形で不名誉かつ非業の死を遂げる。この出来事は結城の人柄故に奉行所でも彼の末路が信じられずにいたが、覆すには困難なある問題を抱えていた。

当然、普段から気のいい仲間として気にかけて接していた小五郎も結城の死には大きな衝撃を受けると共に、結城の人柄を知っていれば絶対にあり得ぬ濡れ衣に怒りを抱き、珍しく私情を挾みつつ本格的に動き出し仕事人として黒幕に仕置(復讐)を下している。

今回のテーマの一つ「リストラ」がまさかの彼の非業の死の意味となり、視聴者にも多大なショックを与えた。

余談ではあるが、その「2016」における結城は、いわゆる死亡フラグが目に見えて立ち続けており、極めつけは「親子としてギスギスしていた自分の娘と和解すべく家族皆で甘味を食べに行く約束をしていた」事である。


  • 住之江彦左衛門(2017~)

結城の亡き後、後に赴任してきた同心。

なぜか渡辺家や他の同心からは「住下」、「杉之江」などと名前を間違われているが「2019」では単に「住さん」と呼ばれるようになった。今のところ不穏な展開には至っていないが大河原と結城の件がある為、小五郎の親しい同僚という立ち位置が「死亡フラグ」のジンクスとなるかは今後次第であろう。


番外編編集

  • 明神亥ノ吉

2022年版(この時のタイトルは単に『必殺仕事人』であり、年号がつかなかった)に登場した小五郎の配下の岡っ引き。上記の面々とは違って同回の単発ゲストである。

伝七のように正義感が強く、弟や仲間とともに「世直し」を表立って無償で行い世間から称えられていたが、ある事件をきっかけに奉行所に失望。十手を返上して岡っ引きを辞め、世直しのやり方もしだいに過激化、やがて仲間の独断行動が原因で無辜の人(それも幼少期より親代わりとなってくれた恩人)を死に追いやってしまう。そのショックおよび一転して後ろ指をさされる立場となった恐怖心から、その仲間を(他の仲間を共犯にして)殺める形で道を踏み外し、ついには自らを止めようと説得しにきた弟まで手にかける外道になり果ててしまった。最後は十手返上の際に顔を見知っていたふくの口封じを試みるも小五郎に阻止され、死に際の弟からの仕事人への依頼により小五郎に仕置される顛末を辿った。

「正義のために動けば人は思い上がる」「『仕事』で金を貰うのは人としての最後の歯止め」とかつて主水は裏稼業仲間によく言い聞かせていたが、彼の志を継いだ小五郎もまた、この一件でその教えを今一度突き付けられる形となった。


他番組のゲスト出演編集

「必殺仕事人2015」放送の宣伝として、同じテレビ朝日のアニメ『クレヨンしんちゃん』で小五郎が2015年11月20日と11月27日の2週にかけてゲスト出演した。



「仕事人に頼んだゾ」ではひろしから仕事を受けるも、ひろしの息子である野原しんのすけと共に父の給料をしぼり取っている恐妻である野原みさえに恐々し、結果的にしんのすけはいつも通りにみさえからグリグリ攻撃を食らう羽目になった(しんのすけが大好物のチョコビを勝手に食べようとして寝ていたみさえに見つかった為)。

ちなみにひろしは小五郎と同じく恐妻家である為(幼児であるしんのすけも母には頭が上がらない)、そのみさえの迫力を見ていた小五郎はこうとふくと同じように「どこも母上と女房は強えや…」とぼやいていた。



※『クレヨンしんちゃん』はそういうアニメです。




「おら仕事人だゾ」ではさまざまな仕事人に扮した「かすかべ防衛隊」が悪人であるふたば幼稚園の園長先生である高倉文太を追い詰め、とどめに小五郎が刀を抜くも、「危ないから」という形で刃を花束に変化させられてしまい、小五郎が「(花束に)変えたら仕事ができねぇだろうが!」と笑われた皆を怒ったというオチになった。




※『クレヨンしんちゃん』は子供かつファミリー向けアニメです。


余談編集

彼の家族の名前を登場順に並べると、「こうふく(幸福)」から「てんぷく(転覆?)」といった言葉遊びな組み合わせになっている。

また、「こう」「てん」姉妹は「こうてん」となるが、好転なのか荒天なのかは不明。


『2019』以降登場する「てん」について、劇中でお菓子の話になると妙に詳しくなるシーンが時折見られるが、これは演者のキムラ緑子がとある番組に出演していることからの中の人ネタと思われる。


関連タグ編集

必殺仕事人 必殺仕事人2009


経師屋の涼次 からくり屋の源太 仕立て屋の匳 リュウ 瓦屋の陣八郎 花御殿のお菊

大岡忠相 - 救いようがある世界の南町奉行所のお奉行。ちなみにBS版の演者は東山である。

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