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演:三田村邦彦

概要

必殺シリーズ第15弾『必殺仕事人(第1期)』より登場した、(かんざし)などの女性用の装飾品を作る腕の良い飾り職人。

ドラマのエンディングテロップでの役名は『秀』の表記のみだが、一般的には飾り職人の秀または飾り職の秀で呼ばれる。

これ以外にも、『必殺まっしぐら!』では『かんざしの秀』とOPナレーションで呼ばれていた他、劇場版での役名は『錺り職の秀』の表記になっている。

人物

飾り職人としてのセンスと技術力は確かで、品物の評判も女性客からのウケも良いのだが、自分が気に入った仕事でなければ引き受けないなど、繊細で気難しく頑固な一面もある。

右腕手首には常にシルバーのブレスレットを着けており、裏の仕事の際には洋装風の黒装束を身に纏う。

秀は江戸で中村主水たちと出会う前にも裏稼業を行っていた時期があり、『仕事人』開始時点では既に足を洗っていたのだが、惚れた女性の命を奪った悪人を始末すべく成り行きで姿を隠したまま主水たちの裏の仕事に加勢するが、現場に残されていた錺り細工用の工具から主水と畷左門に正体を突き止められてしまう。

「殺しなんてのはカーッと熱くなって終わったら気分がスッとして何も残らないものだ」と主水たちに持論をぶちまける秀だったが、元締の鹿蔵の提案で一度だけ裏の仕事で組むことになった。

しかし…そこで秀が見たものは、標的を始末しても哀しみが晴れることもなく、ただ泣き崩れる依頼人の姿だった。

「どうだ若ぇの、気分がスッとしたかい?おめぇがやってきたのは仕事じゃねえ、ただのガキの遊びよ。本当の殺しってのはいつもこんな苦ぇもんだ。わかったかい?」

そう言い残し引き上げようとする主水を思わず秀は引き留めた。

「待ってくれ!もし…良かったら、俺…おめぇさんたちと組みてえんだが…」

「そんな若ぇ奴と組むのは…」と逡巡する主水だったが、鹿蔵に説得されて渋々了承することになる。

こうして、秀は仕事人となるのだった。

「可哀想な野郎だ、おめぇもいい死にかたできねえや…」

仕事人に加入した当初は若さゆえ熱くなりやすく、暴走しては主水や左門から鉄拳制裁を喰らい、二代目元締のおとわからは存在を危ぶまれて殺されかけた事すらあった。

しかし、仕事人として主水たちと共に裏家業で幾多の経験を経たことで、シリーズ第19弾『必殺仕事人Ⅲ』で西順之助が登場する頃には落ち着いた性格となっており、かつてとは逆に仕事人として未熟な順之助を叱責する立場にもなった。

困った人を放っておけない性分であり、これが原因で事件に巻き込まれてしまったケースもある。

気さくな性格ながら妻子を持たない独身者である一方、シリーズ第21弾『必殺仕事人Ⅳ』では訳あって天涯孤独の身になってしまったお民(演:林佳子)という少女を引き取って育てており、良き父親としての顔も見せていた。

裏稼業仲間である左門とは住居の長屋で隣同士と云うこともあって家族ぐるみの付き合いであり、そんな彼の生きざまを見てきた当人なりに思う所もあったのかもしれない。

殺し技など

専用の小さな道具で相手の急所(主に頚筋や延髄、所謂“盆の窪”)を刺す。

仕事人(第1期)』で初登場してから暫くは持ち手に凧糸を巻いた錺り用工具の(のみ)を用いていたのだが、同作中盤で刀と武士の身分を棄てて殺し技を徒手空拳の「腰骨はずし」に変えた左門に影響されたのか、第33話からお馴染みの短冊飾りのついた殺し専用の特製簪を用いるようになった。

殺し用の簪は複数存在し、色も当初は銀色であったが、後に金色のものに変更された。後のシリーズでは銀杏の葉を模した飾りが付いた簪が登場した事もあったが、劇場版では金色よりも銀色の簪を使用する事が多かった。

悪人へのとどめの「つなぎ」として天井や床下からの急襲による不意打ちの上での格闘も用いており、その腕っぷしたるや刀を構えた侍であっても圧倒して仕留めてしまうほど。

殴ったり蹴ったりして後ろを向かせてから首筋を刺すケースが多いものの、場合によっては脳天や眉間・心臓などを狙い仕留めることもある。

また、上述の高い身体能力を活かし、標的の始末のみならず相手の偵察や追跡などを担うことも少なくない。

余談

秀は当初、シリーズ第17弾『新必殺仕事人』の最終回で殉職する予定であったが、あまりにも人気だった為に秀の殉職の噂を聞き付けた女性ファン達から大量の助命嘆願の署名や抗議文が朝日放送や松竹に殺到してしまい、これによりスタッフ間で協議を重ねた結果、秀の殉職は無くなり、そのまま必殺シリーズでの続投が決定した。

ちなみにこの結果、演者の三田村邦彦が『新必殺仕事人』放送当時レギュラー出演していた『太陽にほえろ!』についてスケジュールの都合で降板せざるを得なくなっている。

その後の秀は『必殺仕事人Ⅳ』までレギュラーとして仕事人シリーズに立て続けに登場したあと一旦姿を見せなくなるが、1986年の劇場版第三作『必殺!Ⅲ 裏か表か』にて再登場を果たし、続くシリーズ第26弾『必殺まっしぐら!』にて連続TVシリーズに復帰、同時にスピンオフという形でついに必殺シリーズの主役を張るに至った。

なお、この頃からトレードマークだった右腕のブレスレットを着けなくなった。

秀が劇中で着けていたブレスレットは全て演者の三田村氏の私物で、『仕事人Ⅳ』の劇中で着けていた一朱銀を繋げた物は三田村氏本人がデザインした特注品である。

三田村氏は手先が器用で「撮影中や休憩時間には本当に簪やアクセサリーを彫金して作っていた」と過去に『笑っていいとも!』等のテレビ番組にゲスト出演した際に語っていた。

ちなみに、鍛冶屋の政と秀が共演する場合は互いのイメージが被るため、劇場版三作目では三田村氏は頭にポマードを塗ってオールバック風のヘアスタイルにして秀の外見的イメージを変えており、逆に劇場版四作目の『必殺4 恨み晴らします』では、政が髷を結い「ほっかむり」をしてTVシリーズとはイメージを変えている。

その後も秀は劇場版やTVスペシャルなどで主水の貴重な「気心の知れた良き相棒」として姿を見せており、最終的にはシリーズ第30弾『必殺仕事人・激突!』にて久々にレギュラーとして登場し、同作の最終回で江戸を去るまでの足掛け14年、連続TVシリーズだけでも6作品に渡って長く活躍することとなった。

劇場版にも第二作『ブラウン館の怪物たち』以外の全作品に登場しており、『仕事人・激突!』最終回から4年後の1996年に公開された劇場版第六作『必殺!主水死す』では三味線屋の勇次と共に主水の最期を見届けた。

『主水死す』から数年後が舞台の漫画作品『必殺仕置長屋』でも名前のみ登場し、存命中であることが語られている。

関連項目

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