必殺口上
月は東に日は西に 山のお寺の鐘が鳴る
あの街この街日が暮れて 今来たこの道、夜の底 悪人どもの目が光る
上下左右に前後ろ 次から次と呆れるほどに 浮かんで消える毒の花
猿蟹合戦 桃太郎 勧善懲悪 夢物語…
…諦めるのはおよしなさい
この世に悪がある限り あなたのそばに仕事人
きっと、恨みを晴らして見せます
(語り:徳光和夫)
概要
必殺シリーズとしては約4年ぶりの連続TVシリーズであり、1991年10月から1992年3月まで放送された。全21話。
本作ではシリーズの顔である中村主水は勿論、飾り職人の秀も『必殺仕事人Ⅳ』以来となる形で仕事人メンバーに復帰しているほか、歴史上の人物がメンバーに存在する、奉行所内に結成される対仕事人集団「覆面組」が登場するなど、異例の設定を特徴としている。
また、主題歌「月が笑ってらぁ」を主水役の藤田まこと氏が担当。なお、藤田氏は以降劇中歌を担当することのないまま2010年に死去したため、必殺シリーズにおいてはこれが最初で最後の主題歌担当になってしまった。
本作と連動する形で、スペシャル作品『必殺スペシャル・新春 せんりつ誘拐される、主水どうする? 江戸政界の黒幕と対決!純金のカラクリ座敷』および映画『必殺!5 黄金の血』が製作された。
なお、本作以後、中村主水シリーズは1996年公開の映画『必殺!主水死す』にて一つの区切りを迎えることとなる。
シリーズ自体はそれ以降も映画やオリジナルビデオがいくつか制作されたものの、テレビ作品ならびに主水の再登場はスペシャル版『必殺仕事人2007』まで待つこととなった。
主な登場人物
仕事人
ご存じ必殺シリーズの顔である主人公で南町同心。
本作では臨時廻り同心(定町廻り同心の補佐役)となっている。
仕置方法は脇差による刺し技を主とする「剣術」。
- 夢次(演:中村橋之助)
普段は時計屋を営んでいる色男。
仕置方法は改造した煙草および煙草入れからゼンマイを発射して悪人の心臓を打ち抜く「火鉄砲」。
普段は打ち首の刑執行人を務める男性。純粋な心を持つ。
モデルは、刀剣試し切りや刑執行を担っていた実在の人物・七代目山田浅右衛門。
仕置方法は手持ちの大刀または処刑用の白刀を用いて相手を豪快に切り伏せる「剣術」。
- 百化けのお歌(演:光本幸子)
普段はお面を売っている女性。
仕置方法は標的に接近してこれを刺殺する「匕首」。接着剤を付けたお面を悪人に被せて陽動してから行うことが多かった。
- 初瀬(演:酒井和歌子)
大奥の中臈にして仕事人の元締め。
上野にある東照宮への参拝を利用して頼み人からの依頼を受け、主水に仕事を持ち込む。
本作におけるもう一人の主人公。
親友だった仕事人・紋太(演:甲斐道夫)の敵討ちをきっかけに仕事人に復帰する。
仕置方法は標的の首筋に突き刺す「簪」。
中村家
- 中村せん(演:菅井きん)
主水の姑。相変わらず主水をいびる。
- 中村りつ(演:白木万理)
主水の妻。こちらも相変わらず主水をいびる。
覆面組
序盤にて暗躍した敵対集団であり、仕事人を抹殺するため奉行所内に結成された組織。
その存在こそ世間に知れ渡っているものの、世間や奉行所内どころか仲間どうしですら誰が構成員なのか互いに知らないという徹底した秘密主義のもと活動している。
「仕事人を摘発し問答無用で抹殺する」という目的の為なら手段を択ばず、罪もない子供すらも平気で手にかける冷酷な集団である。
以下は、劇中に登場する主な構成員だが、この他にも素性が明らかにならなかった者が多数登場している。
それぞれ第1話、第5話に登場。
いずれも表向きは奉行所の一同心だが、裏では覆面組の一人として活動しつつ同心の立場を利用して悪事に加担する外道である。
それぞれ悪事を通して主水たち仕事人一派の存在に勘付き強襲をかけたが、結果どちらも返り討ちに遭い始末された。
- 同心 高木
第6話にてほぼ名前のみの登場。
主水の指示を受けた朝右衛門により正体を見破られ、覆面組の情報を聞き出されたうえで始末された。
- 荒巻忠弥(演:菅貫太郎)
第6話に登場。
普段は内与力だが、実は仕事人の抹殺を目論む覆面組の頭。
初瀬の失脚を目論む篠村備中守(演:西園寺章雄)や大奥の中臈である尾上(演:水原まき)の息がかかっている。
最終的にその本性を主水たちに嗅ぎ付けられ、主水に仕置きされた。
なお必殺シリーズに何度も悪役として出演された菅貫太郎氏が必殺シリーズにて最期に演じられた役である。
その他
- 同心 成川(演:目黒祐樹)
南町奉行所の同心。
同僚の主水とはかなり気が合うらしく、彼の持ち込む情報が時々主水の役に立ったりする。
- さだ(演:麻丘めぐみ)
紋太の妻。秀とは同じ長屋に住んでいる。
幼い娘が一人いたが、中盤にて覆面組により彼女を殺されてしまい、以降独り身。
演者が歌った挿入歌「やさしくしないで」は、主に依頼人が悲惨な最期を遂げるシーンで使われている。
関連タグ
必殺仕事人Ⅴ(風雲竜虎編):中村主水シリーズとしての前作。