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必殺口上


世の中の 善と悪とを比ぶれば

恥ずかしながら 悪が勝つ

神も仏も無ぇものか…

浜の真砂は尽きるとも

尽きぬ恨みの数々を 晴らす仕事の裏稼業

へへっ お釈迦様でも気が付くめぇ


(語り:四代目 中村梅之助)


概要編集

1982年10月から翌年7月にかけて放送された、必殺シリーズ第19作。全38話。

いわゆる中村主水シリーズの9作目に当たる。


新必殺仕事人』の続編とされ、それゆえに主水を始めとする同作に登場した主要登場人物が全員続投している一方、本作から新たに西順之助が加入。実行役5人+サポート役1人という、歴代最多のメンバーによる仕事人チームが誕生することとなった。

現代っ子かつ理想主義的な一面を持つ若者である順之助は、裏稼業者としてはいささか未熟な存在として描かれた一方、その未熟さゆえの他の裏稼業者たちとの感覚のズレは、良くも悪くも割り切った見方をする裏稼業者たちの姿に一石を投じることも少なくなく、独特の魅力を本作にもたらした。


『新仕事人』および本作の頃から世相や流行を多く取り入れたマイルドな作風へとシリーズの作風は変化しており、「窓際族」「花粉症」「カードローン」など、当時の社会問題をネタとして取り入れたエピソードも少なくない。『必殺仕事人2009』以降に見られる作風の先駆けとなるスタイルを取っていたとも言える。

その一方、悪人の被害者たちが莫大な借金を抱えて破滅したり麻薬漬けにされたり、果ては大した理由もなしに虐殺されたりと、前作以上にハードかつシリアスな描写も多々見られた。


本作のサブタイトルは『新仕事人』のものを発展させ、『〇〇したのは××』(××にはたいてい人名が入る)という形になっている。


なお、連続ドラマである本編のほかに関連作品としてスペシャル版が2本制作されており、そのうちの1つ『必殺シリーズ10周年記念スペシャル 仕事人大集合』は、その名の通りシリーズ10周年を記念したオールスター作品であるとともに、本作の前日譚としての役割も担っている(詳細は後述)。


登場人物編集

仕事人編集

南町奉行所の同心。

『仕事人大集合』での事件をきっかけに、解散していた仕事人チームを再結成し、裏稼業へと復帰した。厳しい態度を取りつつもなんだかんだで順之助のことは気にかけており、時に彼の知識や知恵を頼りにすることも。

殺し技は、相手を油断させた上で脇差などを用いて仕留める「剣術」。


蘭学所に通う医学生。父親は江戸でも有名な蘭方医で、主水も診察を受けたことがある。

偶然にも主水たちの裏稼業を見てしまい、その後に紆余曲折を経て仕事人チームに加入した。

裏稼業者としては精神的に未熟さが見られる一方、仕事人きっての頭脳派としての活躍や救護役としての見せ場も多い。

殺し技は、高圧電流を流して相手を感電死させる「ライデン瓶」。


長屋に住む飾り職人。

『新仕事人』最終回で江戸を離れ、駿府で裏稼業を続けていたが、『仕事人大集合』の一件をきっかけに江戸に戻り、またも主水たちと組むことに。

殺し技は、相手の首筋や眉間を突き刺す「簪(かんざし)」。


三味線屋。小唄の師匠として中村家にも出入りしている。

『新仕事人』最終回後も江戸に残っていたが、『仕事人大集合』にて起きたある事件に成り行きで巻き込まれた結果、こちらも主水たちと再び組むことになる。

殺し技は、相手を吊り上げ絞殺する「三味線の糸」。


息子の勇次と同じく三味線屋。

旅先の上方にて暮らしていたが、『仕事人大集合』での事件で勇次と再会し、江戸に戻り再び主水と組む。

旅に出ていることが多く、旅先やその道中で事件に遭遇し主水たちに殺しの依頼を持ち込むことも少なくない。元締らしく、裏稼業者としては未熟な順之助を気に掛ける様子も度々見られた。

殺し技は、接近して相手の急所を斬りつける「三味線の撥」。


  • 加代(演:鮎川いずみ)

何でも屋。

『新仕事人』最終回後、旅先で旅費を騙し取られ各地を放浪していたが、『仕事人大集合』にて蒲原宿で主水と再会、悪人を始末したのち自らも江戸に戻り彼らと裏稼業を再開する。

がめつい一面は相変わらずで、自らの仕事に順之助を手伝わせようとして逃げられることもしばしば。

直接殺しを行うことは殆どないが、密偵や依頼引受人・揺動の役回りの他、本作からは順之助のサポートも行うようになっている。


その他編集

奉行所における主水の上司。

相変わらず口うるさいが、同心としての手腕はいまいち。

前作終盤頃から見られたオネエキャラとしての言動が本作からより一層増えた。


中村家編集

  • 中村せん(演:菅井きん)

主水の姑。

主水をいびるのは相変わらずだが、りつとの間に子ができないことを気にかけており、それ故に蘭方医の薬や精がつくらしい飲食物を取り寄せては主水に摂らせている。


  • 中村りつ(演:白木万理)

主水の妻。

せんとともに主水をいびりつつも、せんが見ていないところでは主水に甘えることも少なくない。


西家編集

  • 西順庵(演:溝田繁)

順之助の父親。

江戸でも有名な蘭方医で、不妊の相談に来た中村家一同に薬を処方したことがある。


  • 西巴(演:三浦徳子)

順之助の母親。

息子に対して過保護気味で、当の順之助からは辟易されている。


スペシャル版編集

必殺シリーズ10周年記念スペシャル 仕事人大集合編集

1982年10月1日に放送されたスペシャル版で、その名の通りのシリーズ10周年記念作品。

『新必殺仕事人』最終回で解散となった仕事人チームがいかにして再結成されたのかが描かれる。

タイトル通りオールスター作品であり、過去作で活躍した裏稼業者も多く復活登場している。登場したのは以下の通り。

このほか、シリーズに度々ゲスト出演した常田富士男が鹿蔵の配下・伊八役を演じている。


㊙必殺現代版 主水の子孫が京都に現われた 仕事人vs暴走族編集

必殺口上


大晦日 民放NHK比ぶれば

恥ずかしながら NHKが勝つ

神も仏も無ぇものか…

紅白嫌いの皆さんの

尽きぬ鬱憤の数々を 晴らす一夜の裏番組

お釈迦様でも アイ ドント ノー


(語り:藤田まこと)


…はじめに念の為断っておくが、上記の必殺口上は正真正銘このスペシャル作品のオープニングとして流れた代物である。


1982年の大晦日に放送されたスペシャル版で、その名の通り現代を舞台に主水たちの子孫が活躍する異色の作品である。

とは言っても、話の大筋はあくまで劇中劇として描写されており、劇中劇として展開されるドラマパートを見る出演者たちのリアクションも放送されるという二段構えの仕組みとなっている。

なお、主水を除く面々はそれぞれ、秀→村上秀夫、勇次→山田勇次、加代→長谷川加代といった具合に時代に合わせ改名が行われている。


なお、初放送から約3年後の1985年10月にドラマパートをダイジェスト化のうえ再編集し新たな演出を組み込んだ『新装㊙必殺現代版 東京六本木・京都円山公園・大阪梅田 3元仕事人ナマ中継』が放送された。


余談編集

本作の「必殺口上」は前作からその一部を使いまわしており、ナレーションやBGMこそ一新されているものの、映像は前作のものに順之助のカットを加えただけとなっている。


主題歌は加代役の鮎川いずみが歌う「冬の花」。『暗闇仕留人』の主題歌「旅愁」以来のヒットを記録し、鮎川本人は当時の日本有線大賞新人賞を受賞した。

この他、劇中の挿入歌として勇次役の中条きよしが歌う「忘れ草」も使用されており、主に出陣時のBGMとして用いられている。


本作第21話は、必殺シリーズ歴代最高視聴率となる37.1%を記録した。


関連項目編集

時代劇

必殺シリーズ

新必殺仕舞人 ← 本作 → 必殺渡し人


中村主水シリーズ

新必殺仕事人 ← 本作 → 必殺仕事人Ⅳ

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