ピクシブ百科事典は2024年5月28日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴

目次 [非表示]

必殺口上


金に生きるは下品に過ぎる

恋に生きるは切なすぎ 出世に生きるはくたびれる

とかくこの世は一天地六 命ぎりぎり勝負を賭ける

仕事はよろず引き受けましょう 大小遠近男女は問わず

委細面談仕事屋稼業


(語り:藤田まこと)


概要編集

1975年1月から同年6月にかけ放送された、必殺シリーズ第5作。全26話。

主演はシリーズ第1作『必殺仕掛人』でも主人公・藤枝梅安役を演じた緒形拳


必殺仕置人』放送中に起きた事件が「必殺仕置人殺人事件」と報道されてしまった騒動により久しく使われていなかった「必殺」の文字が復活した作品である。

「主人公たち殺し屋が金を貰って悪人を葬る」というシリーズの骨格が本作でも維持される一方、本作独自の特徴として賭博が重要な要素となっており、いくつかの回は特にその性格が前面に出ているほか、サブタイトルは全て「〇〇勝負」で統一されている。

また、『助け人走る』同様に主人公たちの集団が必ずしも殺しを専業としているわけではないのも特徴で、第20話(後述)のように悪人を殺害せず社会的・経済的に破滅させるケースも存在しているほか、「全くの素人から始めた裏稼業者がプロの殺し屋となってゆく」という成長物語としての側面があるのも特色である。


後述の事情に振り回された不運な一面がありながらも、第8話がシリーズ歴代最高視聴率を記録するなど非常に高い評価を受けており、いわゆる中村主水シリーズ」でない作品の中では最高傑作と言われることも多い。


中盤の放送局変更編集

当初はTBS系列で土曜夜に放送が行われていたのだが、中盤からNET系列(現在のテレビ朝日系列)で金曜夜に放送されることとなった。

これはこの当時、シリーズの制作も担っていた朝日放送(朝日新聞社が出資)がTBS(毎日新聞社が出資)の放送系列であった、というわかりにくい状態を解消するため、テレビ業界において放送系列の大規模な変更が行われたことが原因である。

当然本作も放送局や時間帯の変更を余儀なくされ、視聴率低下を防ぐべくキャッチコピーが作られたり放送局変更前後の回を最終回でもないのに前後編にしたりといったテコ入れが行われたものの、前後編構成が最終回と誤解され逆に視聴者離れを招いてしまったうえ、テレビの録画がまだ一般的でなかった時代背景も相まって、離れた視聴者を呼び戻すことも困難であった。

この結果、番組の視聴率は最高で34%を記録していた状態から一転、15%前後まで大きく低下してしまう非常事態となり、結果そこからの視聴率回復を実現すべく、シリーズは次作『必殺仕置屋稼業』にて原点回帰を図ることとなった。


ちなみにこの時、同じく視聴者離れを危惧したTBS系列は、毎日放送および東映に似たコンセプトの番組制作を依頼。その結果、時代劇『影同心』が誕生した。


登場人物編集

仕事屋編集

知らぬ顔の半兵衛」の通り名を持つ蕎麦屋の主人。当初は口髭を蓄えトレードマークのようであったが、何かの心境的変化があったのか13話からは剃っている。

商売そっちのけで賭博に興じるほどの博打好きで、それは金を稼ぐよりも博打でのスリルを味わう事にウェイトが置かれている中毒的なもの。表稼業の蕎麦屋も実は賭け事に勝って手に入れたものであるらしい。賭博では負けが多いが、土壇場での勝負運は強い。一方で他の博打打ちの末路に自分を重ねることも多く、博打をやめようと出家したこともあったらしいが、結局やめられず、蕎麦屋の売り上げを持ち出すなどして内縁の妻であるお春を困らせている。

おせいが取り仕切る仕事屋の存在をひょんなことから知り、彼女に誘われる形で裏稼業に足を踏み入れることとなる。

殺し技には剃刀を用い相手の首を切り裂く方法を用いる。その際、出血箇所を唐草模様の手ぬぐいで押さえ返り血を浴びるのを防ぐのが特徴。当初は殺しに関しては全くの素人であり、練習をしていたり手際が良くなかったり、仕事料を貰う事無い私情での殺しを行うなどの未熟さが見られたが、回を追うごとに殺し屋としての技術も心構えも上達していった。

のちに『新必殺仕事人』の後日談にして『必殺仕事人Ⅲ』の前日談であるドラマスペシャル『仕事人大集合』にて、飾り職人の秀と組んで駿府で裏稼業を続けていたことが明かされた。


おかみさん! 俺達は無様に生き残ったんだ! 人間生きるため、死ぬため大義名分を欲しがる。そんなものはどうでもいいんだ! 明日のない俺たちは無様に生き続けるしかないんですよ! おかみさん、いや、おせいさん。無様に生き続けましょうよ


侍崩れの政吉」の二つ名を持つ無職の流れ者。

やはり博打好きで、一部の博打打ちからは「いかさま師」呼ばわりされており、実際にいかさまをする技術もあり、また、いかさまを見抜く能力も高いが、いかさまを見破る目利きが眼を光らせる賭場でそれを行う事は命がけだと言う事も熟知しており、実際に自らがいかさまを行うことはめったにない。

また博打打ちの自分は根無し草であり、半兵衛には蕎麦屋、おせいには飛脚屋という表稼業の逃げ場があるが、自分は殺ししか表稼業が無いという孤独感も感じている。

おせいの実の子であるが、ある事情(おせいおよびその夫にまつわることと思われる)から赤ん坊の時期に生き別れ、旗本の跡取りとして育てられる。しかし、やがて自らが養子であることを知り出奔、そのまま流れの博打打ちとなった。

半兵衛と初めて会った際には裏稼業者として同じ標的の殺しを半兵衛とは別の依頼主から受けており、その殺害は共同するような形でほぼ同時に行われた為に互いに顔を見られたと口封じすべく殺しあうこととなるなど当初の関係は最悪であったが、二人とも仕事屋となってからは共通の趣味の博打仲間、そして命をかける裏家業の仲間として親しくなっていき、半兵衛が父親になりそうだと知った時は、彼の心情を慮って、標的の身重の女性殺害を彼にさせないように自分だけで手を汚そうとする程になっていった。

おせいに対してはなんとなく自分の母親ではないかと思っていたが、言ったところでこの稼業では詮無き事と何も言わずにきた。だが、その想いは彼にある行動を決意させる事となる。

殺し技には懐剣を用いており、これで相手の急所を刺して仕留める。なおこの懐剣は上述した母親との別れの際に彼女から形見として渡されたもので、ゆえに女性用のものとなっている。


そうこなくっちゃ!

あのおかみさんは知らねえ


仕事屋の元締にして、飛脚問屋「嶋屋」の女主人。

亡き夫の清衛門はかつて大物の盗賊であり、彼の遺した金を元手に裏稼業の元締をするようになった。また、利助には亡くした息子がいると言っていたが、実は上述の通り実の子と生き別れており、政吉こそがその息子であることを彼が自分が渡した懐剣を殺しに使っている事から知り、母としての情を持つようになるが、仕事屋の元締の立場上それを隠し通しており、政吉本人にも気づかれていないと思っている。だが、政吉も、そして半兵衛にも政吉に対する彼女の態度から薄々そうであろうと感じられていた。

元締として厳格な態度で裏稼業に臨んでいるが、実はかなり感情の起伏が大きいらしく、政吉との関係などにおいてそれが顕著。

基本的に元締としての働きが多く、よほどのことでない限り自ら悪人の始末に動くことはない。

殺し技には簪や短刀を用いており、それで相手を突き刺す方法を用いる。時に茶道具である柄杓に刃を仕込み、それで相手を始末することもあった。

のちに『江戸プロフェッショナル必殺商売人』にてまさかまさかのレギュラーで再登場。当初は同じ名前の別人のようであったが、途中で同一人物である事が確定する。仕事屋解散後も裏稼業を続けており、こちらでは中村主水と組むことになる。


厳しく辛い稼業ですが、これだけはお約束します。政吉さんと言いましたね。あなたが地獄に堕ちる時は私も一緒です


嶋屋の番頭にして仕事屋の密偵。

実は清衛門配下の元盗賊であり、凄腕の金庫破り。盗賊稼業から足を洗った後、かつての主の妻であるおせいの裏稼業に協力し、情報収集や連絡を担う。

元盗賊である割に意外と真面目な性格で、賭け事が好きな半兵衛や政吉とは反りが合わない面がある。


その他編集

半兵衛の内縁の妻。

元々は半兵衛の蕎麦屋の使用人であり、博打好きの半兵衛が仕事を放りだし気味のため、押しかけ女房の身でありながら半兵衛の蕎麦屋を切り盛りしている。


  • おまき(演:芹明香)

政吉の行きつけの飲み屋の女主人。実は彼の愛人である。


  • 源五郎(演:大塚吾郎)

半兵衛の幼馴染の岡っ引き。

本人は歌舞伎の女形に憧れていたが、父親の死で家業の岡っ引きを継ぐ事となった。

半兵衛に恋心を抱いており、厳つい顔ながら彼を前にすると途端に「半ちゃん」と呼んでオネエキャラに変貌する。同時に幼馴染として半兵衛の生き方を心配しているようでもあり、博打を止めるように忠告もしている。半兵衛とつるんでいる同性の政吉に対しては何かと目の敵にする一方、半兵衛の内縁の妻であるお春には複雑な感情を抱いているも異性故か仲はさほど悪くはない模様。

半兵衛に鬱陶しがられて逃げられた時にいう「淡白ねえ」は常套句であった。

また「必殺仕業人」にカメオ出演している。


余談編集

本作第20話「負けて勝負」は必殺シリーズの中でも相手を殺さない稀有な作品の一つだが、ここでは津川雅彦演じる凄腕のいかさま賭博師・伊三郎を経済的に破滅させるべく、仕事屋一味が賭け事を挑むのだが、その方法や流れ、果ては顛末に至るまで、後年の漫画作品『ジョジョの奇妙な冒険第三部における空条承太郎一行とあの男との対決がこれに酷似しており、一説には、本作が元ネタなのではないか?とも言われている。

また上記の他に板倉屋藤兵衛(演:岡田英次)もある回のラスボスながら仕事屋の魔の手を逃れている。


のちに必殺シリーズにて三味線屋のおりくなどでお馴染みとなる山田五十鈴の娘・嵯峨美智子が第16話に出演している。娘の出演作として同話を視聴した山田がその映像美に感銘を受けたことが、シリーズと彼女の長きにわたる縁の始まりだったのだとか。またこの回は悪役で有名な菅貫太郎が何時もとは違う演技をしている。(因みに菅は必殺必中仕事屋稼業では別の話にもゲスト出演しているが、こちらは定番の演技である)


関連項目編集

時代劇 必殺シリーズ

暗闇仕留人 ← 本作 → 必殺仕置屋稼業

関連記事

親記事

必殺シリーズ ひっさつしりーず

兄弟記事

pixivに投稿されたイラスト pixivでイラストを見る

このタグがついたpixivの作品閲覧データ 総閲覧数: 432

コメント

問題を報告

0/3000

編集可能な部分に問題がある場合について 記事本文などに問題がある場合、ご自身での調整をお願いいたします。
問題のある行動が繰り返される場合、対象ユーザーのプロフィールページ内の「問題を報告」からご連絡ください。

報告を送信しました

見出し単位で編集できるようになりました