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必殺商売人

えどぷろふぇっしょなるひっさつしょうばいにん

時代劇『必殺シリーズ』の一作。正式名称は「江戸プロフェッショナル・必殺商売人」。1978年放送。
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必殺口上


春には春の花が咲き 秋には秋の花が咲く

私の花は何の色 咲くならそっとスミレ色

目立たぬように咲きましょう 目立てば誰かが手折ります

手折られ花は怨み花

涙色した風下さい

涙色した水下さい


(語り:桜田淳子)


概要編集

正式名称は『江戸プロフェッショナル・必殺商売人』。アイキャッチなどでは「必殺商売人」とのみ表記されており、pixiv上でもこちらのタグが用いられていることから、便宜上この名称にて解説する。


1978年2月から同年8月まで放送された必殺シリーズ第12作。全26話。

中村主水が主要人物として登場する6作目の作品である。


新必殺仕置人』最終回から数か月後を舞台に、新たに結成された裏稼業集団での派閥間対立、それぞれの事情により動く裏稼業者たちの人間模様、および彼らやその周囲の人々の複雑な人間関係が描かれている点が最大の特徴。

一方、カラオケや暴走族といった放送当時の世相や社会問題が扱われたエピソードがいくつか存在するのも特色で、この作風はのちに『必殺仕事人』シリーズで積極的に採用されてゆくこととなる。


シリーズの他の作品との結びつきが比較的強めなのも特徴で、主水を含む裏稼業集団の4人のうち3人が過去作に登場したことがある他、後の作品に別役で出演した主要キャストも複数いる。


なお、本作のサブタイトルに特に規則性はない。これはシリーズ第1作『必殺仕掛人』以来のこと。


登場人物編集

商売人編集

南町奉行所同心。

前作『新必殺仕置人』最終回にて寅の会が崩壊、悪友であった念仏の鉄が殉職し己代松おていも江戸を去ったことで、裏稼業から身を引いていたが、ひょんなことからまたしても裏稼業に戻ることとなる。

本作では妻・りつがついに懐妊。家族から奮起を促されており、出くわす悪人をなるだけ仕置せず一儲けに利用しようとすることが多い。

殺し技は、表稼業ではひた隠しにしている「剣術」。それまでと比べ多数の相手を真正面から叩き斬るなど派手な殺陣を披露することが多く、ファンからは「主水の本気」「全盛期」などと言われることも少なくない。


同じく『新仕置人』から引き続いて登場。

本作では、かつて営んでいた絵草子屋を閉店し足力屋(マッサージ師)に転職、不忍池の灯台を住処としている。

仕置人チーム解散後も主水とはそれなりに仲が良く、いつの間にか目明し同然の形で彼とつるむようになっていた。

裏稼業では相変わらずの人柄と足の速さを用い密偵や陽動を担う。



芸者の置屋(宿舎)『分松葉』を仕事先とする舞踊の師匠。「菊川春紅」の芸名を持つ。

夫の新次とともに京都で裏稼業をしていたが、ある一件で標的を間違える失態を犯してしまったことから江戸に流れてきた。

京都での失態を機に新次とは離婚してしまい、顔を合わせることの多い仕事先でも他人を装っているが、本人としてはよりを戻したがっている。

実は『必殺必中仕事屋稼業』に登場した元締・おせいと同一人物であり、同作および本作の描写を総合すると相当に波乱の人生を送ってきた様子。

殺し技は、軽快な舞踊の動きを活かして相手を斬りつける「仕込み扇子」。ただし場合によっては仕込み柄杓や短刀、さらには主水の脇差を用いることもあった。



芸者のお供や髪結いをしている男。

男前で仕事ぶりも真面目なため芸者たちから人気があるが、元妻のおせいのことがあってか言い寄られてもほとんど興味を示さない。

情に篤く、それ故に事件に関わることが多い一方、殺しの裏稼業をプライドを持って行っている節があり、故に表向き悪徳役人のうえ子をなそうとしている主水とは商売人チームの中で一番距離を置いている様子が見られる。

殺し技は、悪人の額や首筋を狙って尖った柄や歯の部分を突き刺す「髪結い櫛」。単に突き刺すのみならず、突き刺した根元を折り指で押し込んでとどめを刺すパターンも見られた。


芸者置屋『分松葉』関係者編集

  • 花竜(演:八木孝子)
  • 蝶々(演:森みつる)

おせいの弟子である芸者二人組。所属の置屋『分松葉』に出入りする新次によく色目を使う。正八のマッサージを受けることも多い。


『分松葉』の女将。出入りする新次やおせいとは仕事上関わりが多い。こちらも正八にマッサージを良く受けている。


その他編集

  • 秀英尼(演:鮎川いずみ)

子供たちを引き連れて募金活動を行っている尼僧で、廃品回収の仕事も兼業している。

しばしば正八に募金を求めており、一方の正八からもたびたび口説かれるほか、中村家に出入りできない商売人の面々の代理として主水と接触することも。

演じる鮎川いずみはのちの『必殺仕事人』シリーズにて何でも屋の加代を演じたことで有名なほか、次々作『翔べ!必殺うらごろし』でも旅の巫女・おねむとしてレギュラー出演した。


  • 中村せん(演:菅井きん)

主水の姑。例によって主水をいびる一方、りつの懐妊に喜び、安産祈願などに奔走する。


  • 中村りつ(演:白木万理)

主水の妻。懐妊したことで安産祈願のため主水を振り回すようになる。


  • 与力 坂口(演:有川博)

奉行所の主水の上司。パワハラ気質で些細なことまで怒鳴り散らす。主水に対してだけかと思いきや、目下の者全般に対しその傾向がある。


余談編集

必殺シリーズにおける主題歌やBGMは第1作『必殺仕掛人』以来、長らく平尾昌晃が担当してきたが、彼のスケジュールの都合により本作については森田公一が担当した。因みに本作のBGMや主題歌はいずれも次作『必殺からくり人・富嶽百景殺し旅』に流用されている。


中村主水を演じた藤田まことは、後年のインタビューにて「中村主水というキャラクターが自分の中で確立した作品」として本作を挙げている。


第18話「殺られた主水は夢ん中」は必殺シリーズ通算300回の節目の回であった。これを記念して、過去作にて印象に残る悪役を演じてきた俳優(今井健二、菅貫太郎、神田隆、江端高志、弓恵子)が勢揃い。同話冒頭では、なんとその彼らが演じる悪役たちが寄ってたかって主水に襲い掛かり彼を惨殺してしまうという衝撃のシーンが描かれた。

…まあ結局は、「主水役の藤田まことが撮影所に向かうタクシーの中で見た夢」(いわば夢オチ

だったわけだが。


なお、新次役の梅宮はのちに『志村けんのバカ殿様』の必殺シリーズのコントにて、飾り職人の秀のパロディキャラクターとしてゲスト出演している。必殺シリーズで仕事人役を演じた人物がパロディを担当した珍しい例である。


関連項目編集

時代劇

必殺シリーズ

新必殺からくり人 ← 本作 → 必殺からくり人・富嶽百景殺し旅


中村主水シリーズ

新必殺仕置人 ← 本作 → 必殺仕事人(無印)

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