必殺口上(オープニング)
【必殺仕舞人】
♪箱~根~八~里~は~
…馬でも越すが
越すに越されぬこの世の峠
西が曇れば涙雨
東が曇れば恨み雨
どうせこの世は生き地獄
かわって晴らそう女の涙
この世の苦しみ 仕舞人
(語り:中条きよし)
【新必殺仕舞人】
今の世の中、男は女の力に負けそうです
しかし昔、女は弱かった
敗れ傷つき泣いていた
そんな時代の出来事です
女の涙に映った恨みを晴らして歩く
仕舞人一座の物語
それでは開幕の拍子木を鳴らしましょう
(拍子木を鳴らす音)
御生命、御用心…
(語り:高橋悦史)
概要
連続時代劇『必殺シリーズ』の括りの一つで、第16作目の『必殺仕舞人』・第18作目の『新必殺仕舞人』の2作品からなる。前者は1981年、後者は1982年に放送された。
かつての『必殺からくり人』の様に各地を旅するのが特徴だが、こちらは主要人物が一貫しているため、シリーズの顔である中村主水が登場しない作品としては唯一、正統な続編が作られた作品でもある。
また、放送当時は女性が様々な分野に進出するようになった事で、次第に強くなり始めた時期であった。それ故に本作の主人公である坂東京山は「女性の強さ」の象徴として描かれ、物語も京山が仲間と共に旅をしながら弱い女性たちの恨みを晴らすために悪人を成敗していくものとなっている。
このほか、タイトルからもお分かりの通り「踊り」も独自の要素として取り入れているのが特徴。「旅」と「踊り」という二つの要素から、主人公たちの活動範囲は『からくり人』シリーズよりもさらに広い日本全国であり、北は北海道(江差)から南は沖縄(琉球)まで様々な場所が舞台となった。
なお、サブタイトルには規則性があり、「舞台となる地名」または「物語に絡む民謡・舞踊」が必ず含まれている。
登場人物
仕舞人
主人公。普段は旅一座の女座長だが、忌々しい過去から裏稼業になった過去がある。
恩師である善行尼に呼ばれた事で仕舞人として、弱い女性たちの恨みを晴らしていく。
暗殺時は黒装束に身を包む。
暗殺方法は簪(かんざし)を使った「急所攻撃」。
晋松(演:高橋悦史)
京山の参謀役で、女性に対する扱いが上手い。
かつては殺し屋だった。
無印ではラストで重傷を負うも、「新」で不死鳥の如く全快するというタフな体の持ち主。
暗殺方法は、「無印」では縄で悪人の首を絞めて引きずりおろした後に薄型の刃物を使った「動脈切断」、「新」では拍子木をつなげる縄を使った「絞殺」。
特に後者は、暗殺時に「御生命、御用心…」と拍子木を鳴らすのがお約束となっている。
演者は「新」にてナレーターも兼任し、必殺口上も担当する。
直次郎(演:本田博太郎)
道中で出会った青年で、ひょんなことから仕舞人のメンバーになる。
メンバーのコメディリリーフである。
暗殺方法は七首を使った「居合斬り」。
演者は「無印」での主題歌も担当した他、後の『仮面ライダーカブト』の加賀美陸役や『スーパーヒーロー大戦Z』版軍師レイダー役で知られる。
おはな(演:西崎みどり)
京山の旅一座の一員の踊り子。
最初は京山たちが仕舞人である事を知らなかったが、無印第6話で正体を知ったことでサポートメンバーとなる。
演者は必殺シリーズに何度も出演しており、「新」では主題歌も担当。
その他
善行尼(演:原泉)
駆け込み寺の総本山である鎌倉・本然寺の尼僧で、京山の恩師。
彼女の過去を知っており、仕舞人を結成させた。
おまつ、さくら、きく、ぼたん、うめ、はぎ
京山の旅一座の一員である踊り子たち。
「無印」と「新」とでキャスティングが異なっている者もいる。
権太(演:花紀京)
「新」で登場する、鎌倉・本然寺からの使者。
余談
本シリーズの主人公・坂東京山は『仕舞人』放送開始前、『必殺仕事人』のスペシャル作品『特別編必殺仕事人 恐怖の大仕事 水戸・尾張・紀伊』にてゲスト出演しており、「前作の関連作品に次回作の主人公が先行登場する」という必殺シリーズの登場人物としては珍しい初登場の仕方となった。
本シリーズの合気道指導は、当時無名だったスティーブン・セガールが担当している(クレジットでは『武 榮道』と記載)。