演:片桐竜次
Season18迄の概要
警視庁刑事部部長。階級は警視長。
『相棒』シリーズでも数少ない初回(TVシリーズよりも前の2時間ドラマ枠時代)から出続けているレギュラーキャラクター。
特命係の2人を目の敵にしており、2人の功績を一切認めようとせず、事件捜査に特命係が関わっていると知れば2人を部長室に呼びつけ、側近の中園参事官と共にいつも怒鳴りつけている(当の特命係の2人は全く気にしていないが)。ただ、本人たちの前では表だって口にはしないものの、捜査能力自体は高く評価しているようであり、警察庁の面々に対し、「我々も独自の情報網を持っているのでね」と語ったことも。
劇中では特命係の他に伊丹ら捜査一課7係を呼びつけ直接指示や叱責をするシーンがよく見受けられるが、トリオが属する7係の係長や捜査一課課長を飛び越えいきなり刑事部長が呼びつけるというのは普通に考えると結構凄いことである。
小野田官房長曰く「悪人面」で、その通り非常に短気で頑迷な人物。基本的に人としての器は非常に小さく、失態はすべて所轄や部下に押し付ける、警察内部の不正は揉み消すことに力を入れる、手柄は奪ってでも自分のものにしたがるなど、私情を優先して公私混同の塊の様な言動ばかりだが、警察の不手際で被害に遭った一個人を気にするだけの良心や自分が被疑者扱いされても大学時代の親友の為に黙秘を貫いたり、検察を動かしたりしようとするなど義理人情には厚い部分を持っている。しかし、その場で同情するだけで行動は起こさないか、謝罪会見を他人に任せるだけ。
その性格ゆえに周囲からの評判は良くなく、三浦からは「上層部に嫌われてるから出世できない」と指摘されている。
立場上捜査現場に現れることはないが、大河内春樹の誤った推理を全て聞き入れてしまったりと、あまり推理力はない模様。また、それなりに場数は踏んでいるのかヤクザ相手に大立ち回りを演じたこともある(そもそも片桐氏自身が「仁義なき戦い」を筆頭にその手の映画に多数出演していたため、たまに視聴者達から「桜田門組の若頭」だの「どっちがヤクザだかわからん」だの悪ノリでネタにされる事がある)。
部長室には「古轍」という大きな掛け軸(ちなみに「こてつ」と読み、Season15第11話における中園の説明では「前例に則り規律を守ることで真実にたどり着く」という意味合いらしい)を飾っている。
剣道をやっていたらしく、好きなウイスキーや女優の話になると見境が無くなる。
Season12の第10話で狙撃され重症を負うという憂き目に合うが、その後、驚異的治癒力でその回のラストには職場復帰している。
Season15では副総監の衣笠藤治からもらった饅頭を床に誤って落としてしまったときに「3秒ルールがありますから。」と言って普通に食べるという度胸も見せ付けた。
Season16の最終話ではヤクザとの繋がりがあったことが判明(この時点では明言はされなかったが、後にその人物が扶桑武蔵桜の組長・桑田圓丈である事がSeason19にて明らかになった)。雑誌記者である風間楓子が転落した事故での犯人が青木年男だと判明したときには彼女の母親のいる部屋に彼の身柄を置いていき、青木への鉄拳制裁執行にも一役買った。
Season19からSeason21までの概要
長らく上述の人物像ではあったが、Season19の第10話で、扶桑武蔵桜と半グレ集団との間に抗争が勃発するという事件が発生、現場へと赴いた(ちなみにこの場には特命係・伊丹・芹沢・出雲も同行していたが、彼女の機転を利かせた配慮を一蹴しており、これが後に仇となる)際に半グレの一味の1人から金属バットで頭部を強打されて重傷を負い、一度は生死を彷徨う(結論から言えばこの通りなのだが、Season12でのケースとは異なり劇中では「一度は心停止して医師から死亡を宣告される」という「誰がどう見ても『死んだ』としか思えない」描写となっている)ほどの危険な状態となる。
しかし、驚異的な生命力で回復、同時にこれまでとは打って変わって正義感にあふれた性格へと豹変してしまった(本人も「すがすがしい。まるで生まれ変わったような気分だ」と述べていた。右京は「生死の境をさまよった影響で人格が変貌したのではないか」と推測している)。これと同時に、付き合いのあった桑田との関係もきっぱりと断ち切っている。
以降は特命係の捜査を上層部から闇の取引を持ちかけられた際に盗聴をして特命係に渡し、突破口を切り開く等々結構大胆に協力し、捜査一課を手伝いに寄越したりなどして、事件の解決に貢献していた。
また、改心してからは「デュー・プロセス(法の適正な手続き)」が口癖になっていたり、憤慨してそれまで部屋に飾っていた「古轍」という掛け軸を壊し新たに「規矩」という掛け軸に新調する(ちなみに「きく」と読み、こちらは「手本や規則」という意味合い)など違った面を見せていた。
一方非常に特命係からは頼りになる人物であるが、頑固な性質は変わらないため、警視庁内部からは扱いに困る人物となり、衣笠からは「狂気」「早く元に戻れ」、中園からは「あのまま死んでしまえば良かったのに」とまで言われたこともある。
サルウィンから帰国し復職した亀山薫はあまりの変貌ぶりに唖然とし、亀山復帰後の最終回で発生した官房長絡みの事件では動画配信サイト「CikTak(元ネタは恐らくTikTokと思われる)」を「時計か?」と口走ったり(もしかしなくても「チクタク」という響きから「チックタック」と連想したのだろう)、「配信」を「背信」と勘違いした挙句「背信者に投げ銭を」という要求を「裏切り者におひねりをやれ、と?」と大真面目に口走るという、警察官というより「アナログなおじいちゃん」と化してしまっていた。
Season22からの概要
Season22第8話までは上記までの性格だったが、更にSeason22第9話に、再び扶桑武蔵桜の事件絡みの際、中園からある報告を受けるが、その内容に驚いて頭痛を起こした所為で階段から転落してしまい、またしても生死の境を彷徨う羽目になる。
そして、無事に生還すると、かつての非常に短気で頑迷な刑事部長に戻っていた…のだが(視聴者から観ると、以前の変化と比べてかなり唐突)、衣笠からは完全には元に戻っていない節を疑われており、一連の経緯の詳細を知っているであろう中園は何を思ってかどこか嬉々とした様子で動き回っている。
同シリーズ最終話では、無断で捜査を行っていた特命係の2人をかつてのように呼びつけて説教をするのだが、右京を「赤ん坊以下」とこき下ろした後で右京に赤ちゃん言葉で話しかけて露骨に小馬鹿にするような言動を取ったり、締めに「言うことを聞かないとゲンコを喰らわすぞ」ととんでもないことを言ったりと、周囲の想像通り、完全に元通りになったわけではないらしいことが明らかになった。