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演:大杉漣杉本哲太


概要編集

テレビドラマ相棒』の登場人物の一人。

警視庁副総監。権力に固執する典型的官僚で、結果的に自らの警視総監への道を閉じた特命係甲斐峯秋への私怨を仕事上の権力を使って陰謀を巡らせて晴らそうとする人間的に小さい男だが、サイバーセキュリティ対策本部の発足に携わったりと警察組織の改革にも意欲的に取り組んでおり、野心家の一面も見せる。


ちなみに青木年男の父親とは竹馬の友の間柄、彼が警視庁に配属されたのは衣笠のコネがあったと言われている。


妻帯者で、家族は妻と娘の里奈の3人。

しかし、とある理由(詳細は後述)で自宅に脅迫状が送られたりしたこともあり、家族仲は良好ではない。

妻は療養をするようになり、里奈にも妻の旧姓を名乗らせるなどの気苦労もある。ちなみに血液型はB型。


Season15編集

1話編集

初登場。


元法務省の冠城を一度は広報課に配属させたが、警察庁長官官房付の甲斐峯秋の頼みで再び特命係に配属させた。


第10話編集

黒水町の和合市長に四方田警視総監が殺されるという結果を招き、峯秋が自身の部屋に来たときには「私は常にサイバーセキュリティに積極的に取り組んできた!」と自身が咎められていると思い込んだ結果このような発言で怒号を飛ばした。その一方で、「私は君を咎めるつもりはないよ。」と言われた上で、「どうやら君が警視総監になることはないようだ……実は、ぜひ次期警視総監に推薦したい人物がいるんだが、どうかね?僕のいうことを受け入れてくれるかね?ん?」と峯秋は笑顔で確認した。

なお、四方田の死亡以降、警視総監に相当する人物は仄めかされることこそあるものの登場はしておらず、峯秋が誰を推薦したがっていたのか、また現在の警視総監は誰なのか不明(その直後に社美彌子が出てくるシーンに場面が切り替わるため、峯秋が推薦しているのは社なのではないか?という意見もある)。


第11話編集

娘の里奈が目撃者となった殺人事件の様子が描かれる。

これ以降、青木の進言もあり、特命係を警視庁の負の遺産として危険視するようになり、自身の政敵の峯秋もろとも葬り去ろうとさまざまな陰謀を巡らせている。


最終話編集

内村に甘いものは脳の活性化につながるという理由でまんじゅうを勧めたが、内村が彼の話に集中していたことと、健康を気にして甘いものを控えていた(※注釈1)であったためになかなか食べださなかったので「何?君?僕の故郷のまんじゅうが食べられないの?」と疑問を投げかけていた(これを聞いた内村は慌ててまんじゅうを口に押し込んでいる)。

(※注釈1 内村は最近は虫歯の治療をしているらしく、甘いものを控えて青汁を飲むようにしており、中園が持ってきた羊羹を「いらん」と言い放って、中園を心中で怒らせていた。但し気分次第で甘いものを食べていたりする。)


Season16編集

第1話編集

特命係に不祥事を起こさせてその責任を取らせることで失脚させるために、警察庁長官官房付の峯秋に特命係の指揮統轄を頼みこんだ。


第2話編集

特命係が平井事件の捜査に参加した際には、刑事部長の内村とその側近である中園を呼び出し「とにかく、君は命令した!そして君はそれを聞いて捜査一課の部下に徹底した!わかったな?これはですね、命令だ!!」と2人に責任を押し付けた。


第6話編集

神奈川県警本部長の頃はカルト教団の一斉摘発にも関わり順調に出世してきたことが語られる。

杉下に政治家の松下隆二との怪しい関係があったか問われると高笑いしながら「なんの事かね?仮にも警察組織がいち政治家に便宜を図るなどありえない。そしてそんな証拠はどこにもない。君たちの上司、甲斐さんにもそう伝えておいてくれ。」と言い残し、ネクタイを直してそのまま歩き去っていく。


第10話(元旦スペシャル)編集

警視庁で保管されていた拳銃が盗まれて発砲事件が起き、その犯人が式典に乗り込んできた際には、犯人を早く射殺するよう内村が指示したときにあえて杉下に犯人への説得を任せた、そしてその事件のすべての元凶が内閣情報調査室の有馬武人審議官であったことがわかると、今まで彼に快く接していた態度から手のひらを返し、「有馬審議官…少しお話を伺わしてもらったほうが…よろしいようですね…」と訊ね、その直後有馬審議官は連行される、このことを峯秋からは「相変わらず身の振り方がお上手ですね…。」と皮肉って言われるが自身は「さて?なんのことでしょう?失礼。」と言ってごまかしながらその場を後にした。


このように人間性の小ささを露呈しつつも、状況をうまく利用して順調に出世し、さらには自分へのデメリットもうまく帳消しする処世術も持ち合わせ、目的や保身のためには他者を蹴落とすことも厭わない、狡猾な男であることが窺える。

(※注釈2 有馬は秘密警察さながら、部下の安田英治に官僚や要人のスキャンダルや秘密を握り、それをネタに恫喝し、自分たちの思いのままに動かしていた。)

第12話編集

青木と食事をした帰りにヘルメットで顔を隠してスケボーに乗った二人組みにナイフで襲われるがうまくかわす。(身体能力が高いことが窺える)

過去に神奈川県警本部長時代だった頃に上層部の指示(圧力)により性的暴行被害を受けた女性の訴えの承認を断念したことが判明(犯人が政治家との繋がりの強い大企業の御曹司であったため)。事実をもみ消されたことを知った被害者女性は家に火を付けて自殺、そしてその女性の母親が衣笠家の家政婦であった、彼女は衣笠家付近で彼の妻と初めて会い、この時、「娘はあなたのせいで死にましたと旦那さんに伝えてください」と言った。


そして冒頭で述べた脅迫文についてだが、送っていたのはなんと衣笠の妻だった

しかし、結果的に自分が送った脅迫文で彼女は体調を崩し療養することとなり、そこから上述の被害者の母親が衣笠家の家政婦をするようになった。

なお、衣笠の妻も過去に性的暴行を受けており、その恐怖は一生忘れられないと言うことを右京に話している。衣笠自身は脅迫文を送ったのが妻だということを娘には言わないでくれと右京に頼み、右京自身は「もちろん言いません」と衣笠の頼みを承諾した。


ただ、その家族のためとはいえ事件を二度も揉み消した事実は変わらず、結果として妻子の両方に不信感を抱かれ、かつて以上にギクシャクした仲となってしまった


最終話編集

女性記者転落事件の容疑者6人のうちの1人となるが、最終的には青木が傘で記者を突いて落としたことを突如「思い出し」、彼が犯人だと判明する。だが、青木がこのような行動を起こしたのはマスコミ嫌いな自分を慮っての事だと解釈し大河内監察官に頼み込み、処分を特命係異動という比較的軽い処分に留める。


Season17編集

第1話編集

峯秋とあんみつを食べているときに青木のことを「あいつろくでなしの出来損ないです。決して頭は悪くはないが、例えば一言で奴を形容するならば出来が悪い!とこうなる。」すると峯秋が「ふふふ…僕にはそれを否定する材料も持ち合わせがないからね、何とも言えないが、生まれた時から彼を知ってる君がそう言うんだ、間違いはなかろう。」これに対し衣笠は「親友の、息子ですからね。」と答えた、すると峯秋が「それ以上の存在じゃないのかね?君にとって彼は、そうじゃなきゃ前回の事件の後彼に何場所を提供してくれとこの僕に頭を下げたりはしないだろう。」そう言われた衣笠は「要望を聞き入れていただいて…感謝しています。」とお礼を言う、そして峯秋は「出来の悪い子ほど可愛い。…僕もその気持ちはわかるよ。」(このとき峯秋は息子の亨のことを思い浮かべてそう答えた。)


Season18編集

第11話編集

内村や警察OBの蓮見恭一郎らとともに警視庁主催の親睦ゴルフコンペに参加していた。衣笠自身は巻き込まれなかったものの、地下駐車場で右京・内村らが監禁籠城事件(※注釈3)に巻き込まれてしまった。内村が不在のため捜査の指揮を執った中園はテンパっていた。

一連の事件の犯人・入江義文や、恋人を蓮見の息子・誠司の誤射事件(※注釈4)で失ってしまった蓮見の秘書・雨宮紗耶香らが逮捕された後、証拠隠蔽の罪で恭一郎が逮捕されたニュースを執務室で視聴し、無言でテレビを消していた。

(※注釈3 監禁事件を起こしたのは蓮見が警察庁刑事局長時代に作った暴対法のせいで組が壊滅してしまったヤクザ・溝口だった。獄中の組長・富樫茂雄からの「もうヤクザなんて流行らない。このまま刑務所にいた方が良い。具合が悪くなったら診てくれるし、飯も出てくる。そっとしておいてくれ」という言葉に発狂し蓮見を殺害しようとするが、右京に取り押さえられた。)

(※注釈4 紗耶香の恋人・安藤浩介は誠司によって宝石強盗犯と間違えられて射殺されていた。安藤は「宝石強盗犯」に仕立て上げられて名誉を傷つけられていた。ちなみに誠司本人は過去について強く後悔していた。紗耶香の方も誠司のことを本気で愛してしまったようだった。)

Season22編集

第2話で警視庁公安部長の御法川誠太郎を罷免する。

1年前に起きたカルト宗教団体「微笑みの楽園」による爆弾テロを主導し、美彌子を銃撃することを指示した教団の信者・鶴見と御法川はずっと繋がっており、御法川が教団を潰すために爆弾テロを起こさせ、公安の弱みを探っていた美彌子を狙った。

「ほとぼりが冷めたら再び呼び戻して貰えるのでしょうね」と言う御法川に対し衣笠は「私が一度捨てたものを拾う男に見えるかね」と吐き捨てた。



突然の大杉漣氏の訃報編集

演じていた大杉漣氏が2018年2月21日に急性心不全で逝去してしまったため、今後の登場は絶望的かと思われたが、2018年3月中に杉本哲太が衣笠藤治役を引き継ぐことになった。


大杉氏は2018年2月中旬に相棒16最終回の撮影に参加、しかし撮り終えていたのは一部のシーンのみだったため、同局は検討し直した結果、台本通りに代役で撮り直す事を決定した。


このため作中において「作中人物が退場せずに演者交代で続投」となったケースは、衣笠の例が初にして唯一の事例である(大抵は準レギュラーやそれに準ずるキャラなら「いつの間にかいなくなった事にされた(志水正義氏が演じていた大木長十郎や、津川雅彦氏が演じていた瀬戸内米蔵)」「実質的な後継キャラが登場し役割を担う(週間フォトス記者・風間楓子は演じる芦名星が逝去したため、内田裕也演じる検事の黒崎健太が記者に転職する形で役割を引き継ぐ)」「本人は登場しないが作中では健在という扱い」、あるいはゲストキャラだと単に「消息不明」という例が多かったため)。


演者が14歳年下の杉本氏に変わったため、(仕方がないとはいえ)見た目が大幅に若返ったことで以前とは若干印象が変わってしまった。それでも、何とか大杉氏の演じていた衣笠のイメージを極力崩さないよう演技をしていると思わせるシーンも多々あり、番組終了後は「大杉さんが乗り移ったかのようだ」などと、杉本氏のそうした姿勢を称賛する声もあった


なお、一人称や二人称は大杉氏が演じていた頃は「」のほうが基本だったが、杉本氏演じる最終話では「」のほうが基本となっている(大杉氏が演じていた頃は「私」とよく言っていたが、「僕」と言ったのは劇中では5回のみ。逆に杉本氏が演じるようになったシーズン16の最終話では「僕」とよく言っており、「私」と言ったのは1回のみである)。

また、衣笠の自室にかけられている肖像写真も大杉氏から杉本氏のものに変わっている。また、シーズン17でも引き続き杉本氏が演じており、シーズン17の第2話では特命係に直々に訪問しに来た時に右京と亘に対して「お前は首になることなど屁とも思わないのだろうが、そうはいっても、その切り札を俺が握っているのは不愉快だろう?だから預かっておく!無論然るべきときには躊躇なく首にしてやるから、そのつもりでいろ!」といったことから一人称には「」という言葉を使うことも判明した。(おそらく現在大杉氏が生きていても、ドラマ内で前述のセリフを言ったに違いない。)


また上述のように、妻や娘との関係に悩む家庭人的一面もあったが、season17以降妻子の登場は無く、大杉氏から杉本氏への交代によってこのあたりの設定はリセットされた可能性が高い。



名前の由来編集

神奈川県横須賀市衣笠栄町二丁目にJR東日本横須賀線の衣笠駅があり、衣笠藤治もSeason16の第12話から数えて7年前の時系列において神奈川県警本部長であることから、おそらく彼の名前は上記の衣笠駅の衣笠からとったものと思われる。


余談編集

衣笠と中園参事官を演じている小野了氏は生年月日が同じで1959年10月2日である。


大杉氏は、亀山時代の『相棒』であるシーズン2の第6話にて犯人の菅原英人役で出演したことがある。最後の結末は、自身の犯罪をカモフラージュするための発言をテレビの会見でしたことにより、サイン会に来ていた熱狂的なファンが英人の書いた小説本の隙間に隠しこんでいたナイフで腹を刺され、無念の言葉を言い残し死亡するというものだった(皮肉にもその小説本は英人のサインつきのものだった。どうしてだと問われるとファンの青年は「だって、殺してくれって言ってたから…」と自分のやったことに何の疑問も抱かなかった)。

また、大杉氏が亡くなった後で衣笠役を引き継いだ杉本氏は亀山時代の『相棒』であるシーズン5の第11話にて犯人の五十嵐哲雄役で出演したことがある。最後の結末は、自分の一番下の妹を妊娠させた政治家の義理の娘を爆弾で殺そうとしていたにもかかわらず、最終的に海に飛び込んで助けるという優しい一面を見せるというものだった。(その後五十嵐は担架で病院に運ばれた。)


関連項目編集

  • 警視庁(相棒)
  • 四方田松榮甲斐峯秋(上司。峯秋は政敵でもある。)
  • 内村完爾(目上の存在ながら馬が合わないようだが、互いに器の小ささや権力に固執する等似通った側面があり、ある意味ではツーカーの存在。)

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