人物
21歳で劇団に入り翌年舞台俳優としてデビュー。
その後ピンク映画で実力を評価されるようになるも、所属劇団の解散などで苦しい下積みの時期が続く。
40代に差し掛かり役者を諦めて故郷に帰ることを考え始めた矢先、北野武監督の『ソナチネ』出演を射止めた。この作品では当初冒頭のわずかの出番の予定でしかなかったが、彼の演技をみて北野が急遽脚本を書き換えて出番を増やし、彼の実力は幅広く知られることとなった。
これがきっかけとなり、多くのドラマ、映画に出演するようになり幅広い役柄を演じる名バイプレイヤーとしての定評を得るようになった。
北野武監督はこれ以降も彼を気に入り、『ソナチネ』以降ほぼ常連で起用した。
『仮面ライダーディケイド』劇場版ではリ・イマジネーション地獄大使を演じた。
高校時代にはサッカー部に在籍し、出身地徳島県をホームタウンとするJリーグ・徳島ヴォルティスを、チームがプロ組織化する前身の大塚FC(大塚製薬サッカー部)時代から熱心に応援していた。
ヴォルティスがJ1昇格プレーオフ決勝を戦った2013年12月8日はドラマの撮影日だったが共演者の協力により試合開始前に撮影を終了させ、決勝の行われた国立競技場に駆けつけ、2017年5月13日のFC岐阜戦ではホームで「サポーターを代表して」初めて花束贈呈も行っている。
有名になってからも多くの作品に精力的に出演し、メジャー作品だけでなく若手作家のインディペンデント系作品にも惜しげも無く出演、若手のためにも尽力していた。
2007年には事務所「ZACCO」を立ち上げて妻が代表取締役に就任し、自分だけでなく若手俳優のマネージメントにも助力した。
急死
2018年2月20日、ドラマ撮影の後に急な腹痛を訴えて搬送され、そのまま容体が急激に悪化。付き添っていた共演者の松重豊らが見守る中わずか数時間足らずのうちに息を引き取ったことが明かされている。
翌2月21日、所属事務所より心不全で急逝したことが発表された。66歳没。
TVドラマや映画への出演が多く、広く親しまれただけにそのあまりにも早く若くしての訃報に、ファンや同業者たちも大きなショックを受けた。
北野監督に至っては作品の常連出演の間柄であるにもかかわらず大杉氏の急死の報せを聞いた時、唐突な出来事すぎるあまり大杉氏の名前と顔を一瞬忘失してしまったとの事。
自分でもサッカーをするなどそれなりに運動も嗜んではいたが、反面ワーカホリックのため還暦を過ぎてもなお過労気味だった。数年は禁煙していたものの、それ以前は相当のヘビースモーカーだったことから心筋梗塞や大動脈瘤など血管の重病につながる因子が大きかったのが急激な症状進行の要因と見られている。
戒名は優月院漣奏球孝信士、戒名の由来としては生まれたときからの名、孝という本名と漣という親しんだ芸名、球は愛したサッカー、月は月を見て偲びたいという気持ち、前述の大好きだったサッカーへの愛情、さらに優しい人柄に俳優の優、表現する、演奏するの奏を加えてこの戒名を表現した。
急死の影響
2018年2月25日のJ2・ファジアーノ岡山戦(2018年のホームでの開幕戦)では記帳所を設置、キックオフ前の黙とうと徳島ヴォルティス選手および関係者の喪章の着用が決定した。
2018年4月14日にはお別れ会『さらばゴンタクレ』も開かれ、ファンブースと一般献花台も用意され親交のあった業界関係者700人、1000人のファン、合計1700人が参列した。
大杉の逝去後、妻はZACCOを畳むことを発表し2018年11月いっぱいでマネージメント業務を終了。所属タレントは同社のマネージャーが新規に立ち上げた会社に移籍した。
長男は写真家の大杉隼平で、父と同じZACCOに所属していた。
主な出演作
1993年『ソナチネ』 - 片桐 役
1994年『忍者戦隊カクレンジャー』第21話 - 霞大五郎(妖怪サルガミ人間態) 役
1998年『HANA-BI』 - 堀部泰助 役
2009年『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』では、石橋蓮司と共演。共に大ショッカーの大幹部役
2010年『ジョーカー 許されざる捜査官』(7月-9月)- 三上国治 役
2016年『仮面ライダー1号』で、再び地獄大使を演じる。
2017年『ぐるぐるナインティナイン』の看板コーナー『ゴチになります』にレギュラー入り。(2018年2月22放送分でオープニングとエンディングで追悼メッセージが流れた)
2017年『アウトレイジ 最終章』 - 野村和夫 役(死去前最後の公開作品)
2018年『教誨師』 - 佐伯保 役
余談
天空の城ラピュタでおなじみのムスカ大佐役の寺田農とはアンフェアthe movie、広域警察6、その他多数のドラマ、映画で共演を果たしている。