「俺の旅…俺のゴール…」
「俺は誰だ…何者なんだ…!!」
概要
正式名称は『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』。
世界観は『電王』の『俺、誕生!』と同様、平成一期の劇場版では珍しくTV本編と地続きになっており、正確には29話と30話の間に入る物語である(と公式上には言及されているが、現状は不明)。歴代全ての仮面ライダーが集結するという設定は大いに話題を呼んだ。
歴代のヒーローとその敵たちが集結する、ライダー同士のバトルが繰り広げられるなど、後のスーパーヒーロー大戦やオールライダー作品(レッツゴー仮面ライダーや仮面ライダー大戦など)の原型となった作品でもある。
オールライダー作品であるため、過去の平成一期の映画で恒例になっていた「過去作に出演した俳優が、別の役で出演」というものがない。
代わりに、本作を含めた『ディケイド』シリーズの主題歌を担当するGACKTが結城丈二を演じたほか、賀集利樹が津上翔一、倉田てつをが南光太郎を再演した(倉田は『ディケイド』テレビ本編にも出演した)。
ちなみに二人で一人のハードボイルド仮面ライダーのデビュー作でもある。
これまでの平成ライダーは毎年1月放送開始であったが、『ディケイド』の次回作から毎年9~10月スタートになったため、夏の単独映画の公開時期と近くなった。
また、本作以降、夏の単独映画はクライマックスとして描かれるものが多くなり、TV本編のサイドストーリーとして展開されるものも多くなっていく。
そのため本作から、次回作のライダーが映画(またはテレビ本編の最終回あたり)で先行登場するようになった。
ディレクターズカット版では仮面ライダーライア、仮面ライダーガイ、仮面ライダーパンチホッパーが登場。
あらすじ
光写真館一行が訪れた世界は、「ディケイドの世界」。あらゆる世界から拒絶されてきた門矢士の生まれ故郷だった。士は光夏海・小野寺ユウスケと共に謎の邸宅に向かい、そこで自分の妹・門矢小夜と執事の月影ノブヒコに再会する。
そして、月影から聞かされた真実は、ライダーバトルの覇者となることだけが世界の融合を止める方法であるという残酷なものだった…。
スピンオフ
仮面ライダーディケイド オールライダー対しにがみ博士
2009年8月1日~8月31日にセブンイレブンにて開催された「仮面ライダーディケイドキャンペーン」で応募者50000名の中から抽選で当たる限定プレミアムカードに記載されたシリアルコードを入力すると特設サイトで観賞できた。
プロローグ編と本編に分かれており、FLASHを利用して画面外から仮面ライダーが攻撃するなどの画期的な試みが行われた。
ちなみに題名に反して死神博士が積極的に活躍するのはプロローグのみである(本編ではイカデビルが画面外で登場するのみ)。
コンプリートフォームのヒストリーオーナメントが1号からスーパー1までのライダーとなった姿が本作でのみ公開されたが、詳細な能力は不明なままに終わった。
ネット版
『ネット版 仮面ライダーディケイド オールライダー超(スーパー)スピンオフ』の題で2009年7月17日~11月30日にかけて有料配信され、以後も『テレ朝チャンネル』といったCS放送、『東映特撮 YouTube Official』や『東映特撮ファンクラブ』などでも放映・配信された。
映画連動のスピンオフムービーとしては『ネット版 仮面ライダー裏キバ 魔界城の女王』に続き2作目となり、本作以降は春映画や夏映画と連動したネットムービーが製作されるのが恒例化していった。
内容は前作に引き続き、ギャグ的なスピンオフなのだが、昭和から平成までのディープなライダー知識が飛び交う。
ナレーションはディケイドライバーの音声を担当したマーク・大喜多氏、解説パート担当は鳴滝とリュウタロスを演じた鈴村健一氏となっている。
脚本は『キバ』小説版を担当した古怒田健志氏の他、白倉伸一郎P、武部直美P、和佐野健一Pが担当している。
また、サブタイのいくつかは過去作のパロディとなっている(例えば、第13話は『仮面ライダー』第79話「地獄大使!!恐怖の正体?」、第16話は『仮面ライダースーパー1』第27話「子供の味方!チャイルドXの正体は?」が元ネタ)。
陳情!シリーズ
「どうして〇〇には〇〇がないの?」という疑問に迫ったシリーズ。
士たちが寛いでいるところに夏海が現れ、「士くん聞きたいことがあります!」と訪ねた後に士が何らかの豆知識を披露するというのがお決まりの流れ。サブタイの「陳情」とは作中の士の発言を指す。
なお、各話のゲストは基本的にセリフはなく、効果音や身振り手振りで感情が表現されている。
ちなみにマシンディエンダーの初出はこの作品である他、第4話でネタにされていたデネブのソフビは『超電王トリロジー』公開を記念して前売り券の特典化を果たしている(東映ヒーローネットでは未契約状態が限定品として販売された)。
協力として小学館と講談社がクレジットされているため、第2話ではテレビマガジンとてれびくんが登場する。
File | 副題 |
---|---|
01 | 陳情!仮面ライダータックル!! |
02 | 陳情!真・仮面ライダー第1章!! |
03 | 陳情!ディエンド超マシン伝説!! |
04 | 陳情! デネブだってソフビがほしい!! |
チェック!シリーズ
ライダーの造形物に注目したシリーズ。
本作以後、何かとディケイドがマゼンタネタで弄られるようになった。
なお、第5話では「サメのライダー」という議題でストーリーが展開されていくが、なぜか『ディケイド』初出の仮面ライダーアビスには一切触れられず。
File | 副題 |
---|---|
05 | チェック!ファイズ VS 辛口ジョーズ!! |
06 | チェック!キバ VS 小悪魔カボチャ!! |
07 | チェック!響鬼のお役立ちマジョーラ!! |
08 | チェック!電王ベルトはゆるTくまT?! |
09 | チェック!ピンクの逆襲、ディケイドSOS!! |
30 | チェック!Wの激チェン着回しテク!! |
実録!ディケイドの仮面をあばけ!!
Fileナンバーは10。
チェック!シリーズ同様にライダーの造形物にフォーカスした回で、今回はディケイドを例にアクション用スーツとアップ用スーツの違いについて解説している。
また、アクションスーツの解説パートではクイズも出題されている(回答は作中で明かされていないので、劇場版本編の視聴が推奨されている)。
運動会シリーズ
どの仮面ライダーが速いかを徹底検証するシリーズ。
ただし、ここでの「速さ」とはカタログスペックや能力、ライダーマシンの速さの事ではない。
あくまでも"スーツアクターが入ったキャラクターとしての"仮面ライダーが競争するのである…が、やっぱり他のシリーズの例に漏れずギャグが入るのはご愛嬌。
競馬のパロディで仮面ライダーは中の人(=スーツアクター)を捩った名前を冠しているのが特徴。
対応表は以下の通り。
昭和ライダー
ライダー | スーツアクター | 馬名 |
---|---|---|
仮面ライダー新1号 | 渡辺淳 | ジュンイチゴー |
仮面ライダーV3 | 伊藤慎 | マコトスリー |
ライダーマン | 高岩成二 | セイジーマン |
仮面ライダーアマゾン | 富永研司 | 不明 |
仮面ライダーストロンガー | 永徳 | 不明 |
仮面ライダーBLACK | 岡元次郎(本人) | ブラジロー |
平成ライダー
ライダー | スーツアクター | 馬名 |
---|---|---|
仮面ライダークウガ | 富永研司(本人) | クウガケンジー |
仮面ライダーブレイド | 岡元次郎 | ブレイジロー |
仮面ライダー響鬼 | 伊藤慎(本人) | マコトヒビキ |
仮面ライダー電王 | 渡辺淳 | ナベノデンオー |
仮面ライダーキバ | 永徳 | キバエイトク |
仮面ライダーディケイド | 高岩成二(本人) | ディケセイジー |
ナレーションは『轟轟戦隊ボウケンジャー』でもお馴染みの太田真一郎氏が担当。
File | 副題 |
---|---|
11 | ガチ!平成ライダー運動会!!(前編)・(後編) |
12 | ガチ!昭和ライダー運動会!!(前編)(後編) |
どれだ!シリーズ
高岩成二氏、富永研司氏、永徳氏、渡辺淳氏、岡元次郎氏の5人がライダーに扮し、該当回の主役アクターはどのライダーに扮しているかを当てるクイズ形式。
登場ライダーは基本的に該当回の主役アクターが過去に演じたライダーから選出されている。
初見で全て答えられた貴方は間違いなくライダーマニアである。
なお、16話で触れられている「たいが」とは『電王』第23~24話に出演していた渡辺氏のご子息である渡辺虎雅氏のことで、のちに『ビルド』にて鷲尾雷の幼少期として出演した。
File | 副題 | 登場ライダー |
---|---|---|
13 | どれだ!高岩成二 恐怖の正体? | ディケイド、カブト、龍騎、ファイズ、電王 |
14 | どれだ!永徳 8くんにご用心? | キックホッパー、レイ、サガ、ディエンド、電王(ロッドフォーム) |
15 | どれだ!岡元次郎 必殺ダイエット!! | BLACK、王蛇、レンゲル、イクサ、コーカサス |
16 | どれだ!渡辺淳 チャイルドXの正体は? | 轟鬼、サソード(マスクドフォーム&ライダーフォーム)、ダークカブト、1号 |
17 | どれだ!富永研司 美尻の復しゅう!! | クウガ(マイティフォーム、ドラゴンフォーム、ペガサスフォーム、タイタンフォーム、アルティメットフォーム) |
クイズ!シリーズ
ライダーシリーズのトリビアから出題される…が、引っ掛け問題が多い(第20話に至っては実際の造形物の重さとファンが答えようのない物も…)。
なお、第22話で仮面ライダー1号がバイク以外の乗り物に初めて乗ったライダーで2号もスノーモービル に乗ったと解説されているが、実際は順序が逆である(※)他、仮面ライダーBLACKと仮面ライダーBLACKRXは(全くの同一人物だが)それぞれ11号・12号と独立してカウントしている(※2)。
(※1)2号がスノーモービルに乗った「仮面ライダー」第46話『対決!! 雪山怪人ベアーコンガー』は1972年2月12日放送、1号が馬に乗った『仮面ライダー対じごく大使』は1972年7月16日公開となっている。乗っているライダーの誕生順を元にカウントしているのであろうか?
(※2)本作では主役ライダーのみ(ライダーマンを含む)をカウントし、公式見解であるとしている。この影響からかレッツゴー仮面ライダーをはじめとする作品ではBLACKとRXが独立して登場する事が多くなった。
File | 副題 |
---|---|
18 | クイズ!1号ライダーを見分けろ!! |
19 | クイズ!武器ライダー秘密のかたみ!! |
20 | クイズ!見たか、乗ったぞ体重計!! |
21 | クイズ!そっくりさんライダー現る!! |
22 | クイズ!ライダー乗り物大作戦!! |
23 | クイズ!ディケイドを数えろ!! |
変身!シリーズ
今ではYoutubeで恒例となった「変身講座」の走り的存在。
詳しくは鳴滝(仮面ライダーディケイド)の項目を参照。
File | 副題 |
---|---|
24 | 変身!1号ライダーはカメラをにらめ!! |
25 | 変身!アマゾンは男を見せろ!! |
26 | 変身!クウガは忍風を吹かせるな!! |
27 | 変身!龍騎はカットを変えろ!! |
28 | 変身!電王はラッシュアワーを避けろ!! |
29 | 変身!ディケイドはカードを折るな!! |
余談
タイトルの通り初の平成・昭和これまでの全作品のライダーが勢揃いする初の映画(主役限定ではあるが)という作品であるため、その話題性もあり興行収入は19億円を記録。2023年に『シン・仮面ライダー』に抜かれるまで仮面ライダーシリーズ劇場版の興行収入1位の座に14年間君臨し続けていた。
最終決戦前の見せ場、前半の陰謀で倒されたはずのライダー達が横一列に並んで蘇るシーンは、カメラワークや1号・2号・v3のバイク登場、荘厳な専用BGMなど、史上初の集合を盛り上げる歴史的な名シーンとなっている。
……が、実は厳密には全ライダーが一堂に並んだシーンは存在しない。
これは、クウガがライジングアルティメットの一件で、Jが最終決戦の秘密兵器として出し遅みされたことで、2名不在となっているためである。
…………一応、本編映像ではない宣材においては、マイティフォームやJも並んでいたものも存在していたが、結果的にディケイドTV版最終回等と同じく「嘘予告」とも言える。
この作品で初めて仮面ライダーWが先行登場しているが、W側の時系列は不明。
『MOVIE大戦2010』と併せて矛盾なく考察するならば、『W』側の時系列はWが仮面ライダーと命名された第4話~第12話までの間であると思われる。
賀集は劇中で士に声をかけているものの、撮影自体は別撮りであった。そのため、2021年に士役の井上正大によるYouTube企画で、実に12年越しに、初めて顔を合わせることになった。
関連タグ
銀幕版_天下分け目の戦:同時上映された『侍戦隊シンケンジャー』の劇場版。
スーパー戦隊最強バトル!!:こちらでもトーナメント形式で歴代ヒーローが戦うというコンセプトになっている。
魔界城の王→オールライダー対大ショッカー→AtoZ/運命のガイアメモリ
鬼ヶ島の戦艦→オールライダー対大ショッカー→MOVIE大戦2010