演:村井良大
概要
『仮面ライダーディケイド』に登場するリ・イマジネーションライダーの一人で、主人公の
門矢士が世界を巡る旅で最初に訪れた「クウガの世界」の仮面ライダーである仮面ライダークウガに変身する青年。
五代雄介のクウガにはないライジングアルティメットフォームを持つ(逆に通常のライジングフォームには変身できないが)。
名前の元ネタは五代雄介と石ノ森章太郎の本名「小野寺章太郎」から。
元々戦っていた理由は自分の存在意義であった。協力していた刑事・八代藍を「あねさん」と呼び慕い、戦いに勝って彼女に誉めてほしい、彼女に笑ってほしいという思いを抱くようになった。
八代が未確認生命体10号(ディケイド)に新たな協力者となる可能性を感じて興味を持った際には、自分が見放されるのではと誤解して動揺したほど。
しかし後述の出来事により「全ての世界の全ての笑顔を守る」という願いに目覚め、以降はヒーローとしての心意気を持って行動していく。
人物
底抜けのお人好しで正義感が強い。
熱血漢かつポジティブで単純思考だが、仲間内ではその性格がムードメーカーとして機能している。
付き合いの浅い相手であってもその姿勢は変わらず、各世界への適応力も高い。
キバの世界ではワタルの心を開こうと尽力し、対等な目線で接した上にファンガイアとしての食人本能に目覚めた彼に吸命牙を刺されようと「種族関係なく自分はワタルの友達である」という意思を貫いた結果、ワタルの心を解きほぐし、彼が「自分が王となり、人間とファンガイアが共存できる世界を作る」決意を固める切っ掛けとなった。
龍騎の世界では、桃井玲子殺害の真犯人と疑われていた羽黒レンに士の偽悪的な日頃の振る舞いを重ね、レンの無実を感じとっていた。
自分達旅の一行はチームだ、士に仲間だ友達だと躊躇なく言ってのけたりと非常に純粋。「正統派主人公」のようなキャラクターとして描かれ、士とは対照的になっている。(過去作で言えば平成ライダー7作目の主役と2号ライダーの関係に近い)
また、士を相棒として非常に信頼しており、何かと誤解を招きやすい彼の言動をフォローすることも多い。しかしあまりに信頼しているゆえに士の気まぐれや思いつきの行動をやたらと良い方向に解釈して納得してしまうことも多い(士も戸惑うが、結局は訂正せずに乗っかっている)。
お人好しではあるが人となりを判断できるだけの価値観は持ち合わせており、海東大樹には当初は「海東さん」と呼んで敬語を使っていたが、彼の盗人としての性格に愛想を尽かしたのか中盤以降は「海東」と名字で呼びかつタメ口となっている。
劇中の活躍
クウガの世界(初登場時)
刑事の八代藍と共に、グロンギから人々を守るために戦っていた。
原典と同様に、この世界のクウガも「未確認生命体第4号」として扱われている。
その最中にディケイド(この世界では「未確認生命体第10号」扱い)である士と出会うが、ユウスケはかつて鳴滝によって「ディケイドは世界を破壊する悪魔」と教えられていた為、彼を見るや否やいきなり攻撃を仕掛ける(ユウスケが持つ変身ベルトのアークル自体も鳴滝に渡されている)。
士に敵意を剥き出しにしていたが、クウガの世界を滅びの現象が襲った際、八代は人間がグロンギ化する可能性のあるガスを吸ってしまい病院に搬送される。
死が避けられない状況下で面会に向かったところ、「私の笑顔のために戦ってあんなに強いなら、世界中の人の笑顔のためだったら貴方はもっと強くなれる」と八代に語りかけられ、究極の闇であるン・ガミオ・ゼダに苦戦する士の助っ人に駆けつける。
共に力を合わせて撃破し、八代の思いを継いで「皆の笑顔を守るため」に戦う事を誓った。
それ以降の活躍
八代の墓参りを済ませ自分の有り様を模索していたところ、士と交流を持ったことからキバーラに目をつけられ「キバの世界」に迷いこむ。ファンガイアの王子であるワタルの親衛隊に所属していた。
そこで士一行と再会、以降は半ば押し掛けで「世界を救う」という使命感のもと旅に同行するようになる。
「アギトの世界」では、想いを寄せていた八代藍の平行世界上の同一人物にあたる八代淘子に出会い(容姿が瓜二つで演者も同じ)、一旦はこの世界に留まろうとしたものの、最終的には再び士達と世界を渡ることになった。なお、この世界ではバッファローロードとの最終決戦に、G3-Xとして参戦している。
「ディケイドの世界」(オールライダー対大ショッカー)では、門矢小夜=大神官ビシュムに洗脳され、通常のアルティメットフォームを更に越える新形態・ライジングアルティメットに変貌してしまった。
他の世界のライダーの活躍を重視したい&販促要素に関与しないキャラクターゆえかクウガとしての活躍は割と微妙であり、実際変身して戦ったのはキバ、アギト(この時はG3-X担当)、電王(こっちではモモタロスに憑依されたため、電王にも変身した。士も同様)、響鬼の世界と少なめ。
だが、9つの世界以降の世界では出番が増えている(シンケンジャー、RX、アマゾン、ライダー大戦の世界)。
※RXの世界ではアポロガイストがすぐに退散したので戦闘無し。
また、各世界毎にロクな目に遭わない事もしばしば。(キバーラにいい様に使われる、イマジンに憑依される、フォーティーンに操られる、苦戦しているシンケンジャーを手伝いに来たが戦況が変わらない、せっかくの赤目ライジングアルティメットの初舞台なのにその力を制御できずにシャドームーンに大苦戦、等)。
上記の扱いの悪さから本家の五代クウガと比べられてしまう事もあるが、決して不遇ではない。クウガに変身しない世界では他の世界のライダー達にアドバイスや活を入れたりして何らかのサポートをしたり、瀕死の光夏海を手厚く看病したりと彼の存在もクウガファンにとっても五代クウガと違った愛すべきキャラとして人気がある。
そしてディケイドの旅の終わりとなった『MOVIE大戦2010』では、最後に残された仮面ライダーとして、世界の破壊者となった士と対峙する。
「俺はこれ以上、誰かの涙を見たくない。皆の笑顔を守る為なら、究極の闇にもなる…!」
この時は自らの意志でアルティメットフォームへと変身。激情態のディケイドと激戦を繰り広げるが、ライダーを倒す為なら手段を選ばない戦い方に苦戦。そして士を一人で死なせないためにアルティメットゴウラムに変形し、ディケイド諸共石油タンクに突っ込んで心中を試みるが、ディケイドがライドブッカーでこれを斬り払ったことによりライダーカードを残して消滅する。
その後、(先刻のクウガとの激闘によりフラフラになっていた)ディケイドが自らの運命を受け入れ、仮面ライダーキバーラに倒されると、ディケイドがこれまで倒したライダー達のカードがキーとなり、他のライダー達と共に無事復活を遂げる。そして、これまで撮ってきたライダー達との写真を媒介に復活したディケイドと共に、スーパーショッカーへと戦いを挑む。
テレビ・映画含めこれ以降の作品には登場していなかったが…………
RIDER TIME ディケイドVSジオウ
まさかの再登場。村井氏が同役を演じるのは『MOVIE大戦2010』(2009年)以来実に12年ぶりとなる。
作中では彼もまた、謎の男が開催した王様ゲームに強制参加させられる事となる。アナザー龍騎によってゲームの敗者が次々と処刑され、更にはアナザー龍騎以外の何者かによって殺害されるプレイヤーまで出てくる中、そこに突然現れた士と再会を果たす。
……が、その正体は別世界の小野寺ユウスケであり、ゲームのプレイヤー達を次々殺害して回っていた張本人。士の知る本来のユウスケとは似ても似つかぬ残忍かつ傲慢な性格で、自分が世界の王となるべくプレイヤー達を殺害、正体を見破った士にも隙を見てナイフで重傷を負わせる。
しかし殺したと思っていたプレイヤーの中には、元から人間ではなかった者達が紛れていた他、正体を明かした仮面の男に「世界の王になる=次元の間に囚われた真実のソウゴの身代わりになる」という真実を知らされた事で激昂。仮面の男に掴みかかるも、直後にオーマジオウから身代わりには値しないと見なされ呆気なく消されてしまった。
その後、オーマジオウと戦うディケイドとジオウの元に、キバーラやディエンドと共にクウガが救援として登場しているが、恐らくこちらが士の知る本来のユウスケではないかと思われる。しかし、オーマジオウには敵わず敗北してしまった。
善人であるはずの彼がこのようなキャラクター付けで登場したのは、かつて『MOVIE大戦2010』の嘘予告に登場した「世界は俺が貰う」と言い放ったユウスケをベースにしたからではないかと言われているが、真相は不明。
余談
魔宝石のクウガ
『仮面ライダーウィザード』特別編の魔宝石の世界にて久々にクウガが出演することになったのだが、他のライダー達が原作を意識した口調で喋る中、このクウガだけが、原作での五代よりもやや荒っぽい口調になっていた。
同作には士本人が出演しており、脚本もディケイドの前半メインライターの會川昇が担当していたことから、ユウスケのクウガを意識していたのではないかとも考えられる。
五代クウガと小野寺クウガ
ゲーム作品『バトライド・ウォー』ではディケイドは「五代雄介のクウガ」と出会うのだが、その時の掛け合いで「俺はあんたと同じ名を持つ男と、旅をしたことがある」「アイツがそうであったように、きっとあんたも人の笑顔のために戦える男だ」と語っている。
また、小野寺クウガは五代クウガと異なりアルティメットフォーム・レッドアイに変身していない。ユウスケ自身も劇中では「誰かの笑顔を守るためなら究極の闇にもなる」と発言するなど、一貫して闇に堕ちてでも人々を守るという、五代とはまた異なる覚悟を持って変身している。
そしてシリーズ第3作『バトライド・ウォー創生』で、五代クウガと同時参戦が決定、2人ともプレイアブルキャラクターとして使用可能になった(しかしタッグを組む事は出来ない)。
『ディケイド』劇中ではライジングフォームやアメイジングマイティに変身していない為、そういったシステムは五代クウガとの差別化の為に導入されていない(とはいえライジングフォーム自体本来イレギュラーな形で生まれたものな為、"本当に出来ない"という説もある)。
その代わり、小野寺クウガの代名詞とも言えるアルティメットフォーム・ブラックアイやライジングアルティメットに変身可能。
また、アルティメットフォームに関連することが目立つが、実は(尺的な都合もあると思われるが)未確認生命体10号ことディケイドが現れた時には既にドラゴンやペガサス、タイタンへの超変身を可能としていた。因みに五代雄介が全ての超変身を使えるようになったのは未確認生命体第21号戦におけるタイタンフォームで、原典の未確認生命体第10号の時点ではタイタンフォームどころかペガサスフォームにも変身できなかった。
いわゆる中の人の話
演じていた村井氏はキャストに選ばれた際、『仮面ライダークウガ』のファンであったことを明かしている(放映当時12歳)。本作以前にも『クライマックス刑事』に鈴木一哉役で出演していた。
また、氏はこれ以前にも士役を演じた井上正大とテニミュで共演しており(しかも二人とも氷帝学園)、その後も舞台「ラ・パティスリー」にて共演している。
公称171cmと、五代雄介を演じたオダギリジョー(176cm)氏より一回り小柄なため、小野寺クウガのスーツアクターはだいたい同じくらいの体格(173cm)の伊藤教人が主に担当した(一部の回と劇場版ではオリジナルのスーツアクターである富永研司も担当している)。
関連イラスト
関連タグ
小野寺ユウスケ→ワタル(仮面ライダーディケイド)