「天の道を往き、総てを司る男。俺の名は…天道総司」
演:水嶋ヒロ(7年前:ショーン・ウィーグ、18年前:武田航介)
変身する仮面ライダー
概要
『仮面ライダーカブト』の主人公。
天の道を往き、総てを司る男を自称する破天荒で型破りな性格の青年。10月19日生まれの21歳。仮面ライダーカブトに変身する。
自分が世界で1番偉いと本気で思っており、度々天を指し示すポーズをとる。後述する「おばあちゃんが言っていた」言葉によると、世界が自分中心に動いていると考えている方が生きていて楽しいというモットーに基づくものらしい。
何事もそつなくこなす完璧超人で独力で物事を解決しようとする傾向が強い。それ故に他人に対して不遜な態度をとってしまうことが多いが、実は人一倍情に厚く、困っている人を見過ごせない心優しい青年である。
しかし自分だけでは解決できないことには脆く、また度を越した秘密主義を貫くことから誤解を招いてしまうこともある。
自らを“選ばれし者”と信じ、戦う日が来るまで準備を続けてきたため、定職に就いていない(潜入の為にいつの間にか職に就いていることもある。そこでちょっと何かするだけで莫大な収入が入ったりするため、長続きしようがしまいが心配するほどの事はないと思われる。いわばロイヤルニート)。
祖母(劇中未登場だが未だご健在)を敬愛し、しばしば「おばあちゃんが言っていた…」というセリフの後、教えを口にする。これらの格言は「天道語録」と呼ばれる。
プロ顔負けの腕前である料理(前述の教えも料理になぞらえたものが多い)を始め、あらゆることに精通するが、ひよりやじいやなど自分より優れた腕を持つ相手には素直に敬意を表する。
住んでいる家はかなりの豪邸で義理の妹(後述)・樹花と2人で暮らしている。
加賀美新のことを“退屈しない面白い男”と評しており、窮地に陥った時には手を貸すこともある。物語序盤では彼の弟・亮に擬態したワームをあくまで加賀美が自分の意思で倒してくれと決意するまで手を出さない、ザビーの資格者となった時も公私混同をせず本気の拳をぶつけてくるよう促してくるなど、彼に及ぼした影響は非常に大きい。加賀美がガタックに変身できるようになってからは、度々共闘することも多くなっていった。
一方、精神面で彼に助けられることもあり、自身の生い立ちや人類の存亡に関わる重大な事実を彼だけに明かすこともある。実際にひよりのことで頭がいっぱいになっていた時に加賀美の一言でいつもの天道に戻ったこともある。
特殊な理由がある場合以外はZECTに協力しようとはせず、単独行動を好むため、度々組織と衝突している。
ちなみに序盤のイメージからか加賀美の方が常識人というイメージを持たれることも多いが、むしろ天道の方が度々彼に非常識な行動を窘めたりやツッコミを入れることの方が多く、「(非常識さでは)お前には負ける」と呆れている(第29話)。
終盤ではネイティブらの陰謀で指名手配され(小説版では罪状が殺人未遂、銃刀法違反、国家機密漏洩罪となっている)、加賀美とも衝突するが真実を知って和解した加賀美と共にネイティブの野望を打ち砕いた。
最終回では何らかの理由でパリに旅立っている。
スーパーヒーロータイムのEDでは同期の戦隊レッドである明石暁と共演。彼の奇矯な行動に対してツッコミを入れるという役所だった。しかし、グリーンピースを夢中で頬張る暁に猫の真似をしながら「まさか!好物にゃのか?」と言う、暁にノリの悪い奴だと言われて海苔を食したり、大剣人ズバーンに声を当てたり(「ぼくはだいけんじんずばーん」という気の抜けたセリフは必見)、轟轟戦隊をボーボー戦隊と言い間違える、ババ抜きでクロックアップを使ってズルをするなど回を増すごとに天道がボケに回るようになった。リアルタイムの視聴者はさぞ腹筋崩壊に苦しめられたに違いない。
また、大剣人ズバーンとも共演しており、当初は無視していたが、後に「リピートアフターミーテンドーサマー!」と腹話術に利用するほどに発展した。
能力
上述した通り、何でもそつなくこなせる天才である。常に威風堂々としており、何にも臆することがない。
数ある特技の中でも料理の腕前は卓越しており、そんじょそこらのプロとは一線を画す。しかしその才能を金稼ぎには使わず、普段は家で妹のために腕を振るっている(第23話では樹花やひよりと共にラーメン屋台をやっていたこともあったが…)。
7年もの歳月を鍛錬に費やしたため、格闘能力も非常に高く、生身でワームと戦えるほど。主にカウンターを主体とした接近戦が得意。中盤にて天道寺総司郎という偽名でZECTへ入団した際は(とある目的あってのことだが)、超実力主義の組織であるが故、まもなく天道本人をリーダーとする部隊が結成された。
外国語にも堪能で劇中ではイタリア語(第29話)、フランス語(最終話)を披露している。また、イタリア語訛りの日本語で「まずい」と言ったこともあった(第29話)。
警視庁湾南麻布警察署に潜入するなど国家資格がいるはずの職場に何食わぬ顔で溶け込んでおり、一個人にしては潜入捜査の類も得意。
傲岸不遜ではあるものの必要に応じて相手の機嫌を取ったりと対人能力も高く、老人や子供相手には基本的に優しい。社交的ではあるが、前述の理由からか友人はいなかったらしい。
身元を偽ってZECTの精鋭チーム「シャドウ」の隊長となった天道を失脚させようと影山が天道の指示と偽って風間を襲撃し、風間から「部下の不始末は上司の責任」と責められた際は素直に謝罪するなど器も大きい(しかし影山の陰湿さはさすがに腹に据えかねたのか、影山本人にも謝罪させ、それだけでは気が済まないからとビストロ・ラ・サルの皿洗いまで手伝わせた)。
(天道の目から見て)本当に尊敬に値する人間以外には敬語を使わず、敬語で接した相手は劇中では剣の近侍であるじいやのみ(例外として、教会の神父に扮した際は丁寧語を使用している)。
非常に多才ではあるが、単に生まれついての才能のみに頼っているわけではなく、人知れず努力を重ね、己を磨き上げた結果が今の彼なのである。第1話では「来たる時の為に」として格闘技等のトレーニングをしている姿が描かれた。
ちなみに運絡みにはやや弱いのか、第12話にてラ・サルのスクラッチくじに挑んだ際には悉く外しまくっている(その後なんとか当たりを出した)。
また、わざわざライダーフォームに変身せずともマスクドフォームだけで成虫体ワームを倒しうる程にマスクドライダーシステムを熟知している。
作中では一対一かつ足手纏いや横槍のない状況で負けたのはカッシスワームとの初戦のみで万全の状態なら天道が最強であるというのは徹底されている。
偉業
ここでは、そんな天の道を征く彼が劇中で披露した偉業(時には奇行?)の一部を掲載する。興味の湧いた方は本編を参照のこと。
- 逃走する包丁持ちのひったくり犯とすれ違うも全く物怖じしないばかりか「せっかくの豆腐が崩れる」と一切反応しない。更にはひったくり犯に向かって加賀美の財布を蹴り上げて気絶させる。
- これが加賀美との初邂逅であった。
- ビストロサルで子供が煙たがっているにもかかわらず喫煙を続ける騒がしい外国人の客を腕強くで追い出し、フランス語で「恥を知れ。消え失せろ」と一瞥。
- メニューも見ずにまかないのサバ味噌を匂いだけで嗅ぎ当てて注文する。
- ZECTという組織の内情を加賀美の態度だけでそれとなく看破してみせる。
- 留置所の容疑者を連れ出すと同時にZECTの揉み消し能力を測るために正面突破。
- 営業中の遊園地のような人混みの中でも怪我人を1人も出す事なくクロックアップ状態でワームと戦闘。
- 加賀美の弟に化けたワームと戦闘することになっても、彼自身が迷いを振り切り「そいつを倒してくれ」と懇願するまで手出しをしない。
- ZECTに囚われ、岬に尋問に掛けられても全く動じない。全ての質問をはぐらかした挙句、手錠を掛けたまま机上の携帯電話を蹴り上げてキャッチし、ノールックで自宅の電話番号を入力。そのまま岬に携帯をトスして自宅に電話を掛けさせる。
- ちなみにこの時の用件は「ひよりに樹花にホットケーキを焼いて欲しい」というだけの話だった。
- ZECTの尋問に応じるどころか昼食にカツ丼を要求。後ろでゼクトルーパーが銃を構えていようがお構いなしにカツ丼を堪能。
- 護送中にゼクトルーパー2人を蹴りで気絶させ、手錠を自力で外してゼクトルーパーに変装。
- ひよりへのプレゼントと称して東京タワーに巨大なチューリップのライトアップを飾る。
- シャドウに先んじてワームの行動パターンを見抜き、自分だけ真っ白い服を着ておびき出す。
- 神父に扮し、聖歌隊のハーモニーの乱れからワームを見抜く。
- 加賀美を助けるために咄嗟にカブトクナイガンを投げたがためにザビーの必殺技を直撃で喰らうも、まさかの本人はほぼ外傷ゼロ。
- ただし直後は流石に苦しかったのか、一時的に気を失う程度のダメージは負っていた様子。
- 入院先で女医を逆に診断する。翌朝には入院患者に手作りの料理を炊き出す程に回復。
- 差し入れに持って来た筍を加賀美とも分けようかとひよりが話し始めた瞬間、持ち前の地獄耳で即座に聞きつけて回収に戻る。
- 元々加賀美の分も用意していたようだったが、この頃の加賀美は友情という言葉を盾に天道に縋りっぱなしなきらいがあったため、そこが気に障った様子。
- 合コンの屋形船で出された天ぷらの味に納得がいかず、自ら厨房に乗り込んで作り直す。
- 大介がメイクの仕上げに使っていた香水の匂いがしないことから女性に擬態しているワームを見抜く。
- 大介が戦闘のプロではないとはいえ、登場から間もない販促期間バリバリのドレイクを返り討ちにする。
- 実はヘアメイクの腕前も一級品であることが判明。
- オリーブオイルの調達に出向く途中で一度ザビーの資格を失い行方をくらましていた矢車と再会するが、あくまでオリーブオイル優先で彼には一切興味を示さない。
- ひよりに絶交宣言をかまされるも、当然のようにガン無視してビストロサルへ来店。しかしいつものまかない料理がお気に召さなかったらしく、一口食べただけで「まずい!これまでのツケだ。もう二度と来ない」と1万円札をテーブルに叩きつけ、逆に絶交宣言をかます(その後、結局ビストロサルへ戻り彼女とも和解)。
- ZECTに偽名で入隊し、即座にシャドウ隊長に就任。
- 大介に迷惑をかけた時は珍しく真摯に謝罪した…と思いきや実はこれが影山の陰謀とスタンドプレーだと見抜いており、結果的に彼をこき使う。
- 他のメンバーは足手まといになるという理由で1人でサッカーの試合に出場。
- 様々な帝王学と英才教育を受けてきた神代剣とあらゆる球技において互角の能力を発揮。
- 実は…というかもはや当然のようにピアノの腕前も一流であることが判明。
- 料理対決で生簀一郎に敗北、弟子入りしたじいやの双子の弟に言われるがまま、雑巾料理を次々に作り上げるが、そのバカバカしさに気づける慧眼に目覚めた事で免許皆伝。黒包丁に対を成す「白包丁」を授かる。
- ここでいう雑巾は牛肉の「センマイ」の通称ではなく、世間一般でいうあの雑巾である。
- ZECT内部に探りを入れる為、本庁からやって来た刑事に扮して警視庁に潜入。銀行強盗事件が発生した途端に現場の指揮権を乗っ取る。事件をたった1人で解決した彼は本部でもそのカリスマ性と処世術を発揮し、あっという間に警視庁内で名を上げる。
- 現代で破壊されたアイテムを再開発された未来から調達してくる。
- サソードゼクターを金で買収。
- 潜入捜査という名目で樹花の通う中学校の購買部を乗っ取り(?)、そこで販売した焼きそばパンが大好評。
- 調理師免許も持っているらしく、ビストロサルの厨房も任される。
- フランスで豆腐を購入。
- 海が干上がった地球でサバを釣り上げてくる。
過去(第32話以降のネタバレ注意)
出生時の名前は日下部総司。
3歳の頃、父・総一、第2子を身籠っていた母・さとみがネイティブにより殺害・擬態された後、身よりのなかったところを祖母に引き取られ天道姓になる。
その後、祖母の家に樹花が誕生し、東京タワーに近い一軒家で彼女と共同生活を営むようになった。
しかし本編開始7年前、両親に擬態したネイティブが見知らぬ娘を連れて歩いているところに遭遇。彼らが連れていた少女が、生まれるはずだった実妹・ひよりに擬態したネイティブであることを察し、直後に渋谷隕石の災厄に巻き込まれる。
これを機に復讐を果たそうと画策するも、ひよりの「殺さないで」という叫びを聞いて思い留まる。直後、擬態した両親はそのまま瓦礫に飲まれて死滅し、天道はひよりだけを救出した。
以後、本来のひよりでなくネイティブであっても"妹"を守ることを決意する。
そして人間としての記憶を取り戻した総一(に擬態したネイティブ)からライダーベルトを授けられた。
そしてその後の7年間をひたすら鍛練に費やし、カブトゼクターとの邂逅を機にワームとの戦いに身を投じることとなったのである(このあたりの経緯はマスクドライダー計画も参照のこと)。
上述の経緯故に樹花とは実の兄妹ではないが、彼女のことも本当の妹の様に大切に思っている。
故にひよりや樹花が危険に晒された際は常日頃の冷静さを失いがちになり、取り乱すこともある。こうした面は後半のひより絡みに顕著である他、樹花に彼氏ができたと勘違いした時はものすごく情けない表情と声になって困惑していた。それが劇場版ではより顕著に見られ、ひよりの命が僅かと知った際には天道らしくない荒々しい戦闘スタイルで成虫ワームを倒している。
以上の事から戦闘力など諸々のスペックでは天道、メンタル面ではリマジ版のソウジが優れているという見解が強い。
『世界の果てで君と出会う』
DVD各巻の初回限定特典として掲載された、米村正二書き下ろしの小説。時系列は最終回後の後日談だが、本編終了前から執筆されているため最終回とは描写に差異がある。
パリに旅立ち、妹の樹花もアメリカに留学した為、かつての天道家だった場所には老婆が住んでおり、加賀美にエアメールを託した(文面から察するにこの人が天道の祖母のようであり、口調は『ディケイド』版と比べて非常に穏やかである)。
後に『小説 仮面ライダーカブト』において『祭りのあと』の章題で再録された。
余談
『仮面ライダー剣』の剣崎一真同様、劇中でもファンからも「天道」と名字で呼ばれることが専らであり、名前の方で呼ばれることは少ない。ファンの間で「ソウジ」と言った場合はリ・イマジネーションライダーのソウジを指す場合がほとんど。
いつからかカブトに変身すると見せかけてなぜかカブトゼクターを鼻に突っ込み、挙げ句の果てに鼻の穴からゼクターの角が出ている天道というシュールなコラ画像が散見されるようになった(詳しい方は説明を追記されたし)。ハナホ人にでも取り憑かれたのかお前は。
かつては演じた水嶋ヒロ氏からの言及が乏しく、当時の平成ライダー演者も多数出演した『ディケイド』や『ジオウ』、ゲーム等での再演もなかったため「仮面ライダーだったことを黒歴史にしているのでは?」と噂されていた。
しかし自身のインスタグラムではしばしば話題にあげており、少なくともカブトのことをひた隠しにしようとする意思は一切見られない。
他にも、
- 愛娘が祖母の入れ知恵で仮面ライダーカブト=パパ(水嶋ヒロ)と刷り込まれ、カブトを指差して「パパ」と呼ぶようになったことを記事にする。
- 娘が天道よろしく天に人差し指を掲げるポーズをしたので、その瞬間を撮影して話題にする。
- 娘を抱えながら遠くを指差すなど天道を彷彿とさせるポーズを取る。
- 『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』に出演しなかったことに質問が集まると「黒歴史にしているわけではないし、(カブトは)自分を育ててくれた大事な作品。だけどオファーそのものがないから検討しようがない」とコメントを出す。
- 加賀美新役の佐藤祐基氏曰く、今でも二人の間等で連絡をしばしば取り合っているという。佐藤祐基氏を含め、当人達はまたやりたいという思い自体は持っていることを明かしている。
- 水嶋氏は佐藤祐基氏の名前をネットで検索していたようで、その候補に理由は不明だが何故か「逮捕」が表示された(実際にそういった事実はない)ため「お前はハラハラする」と不安がって連絡してくるなど、リアル天道な一面を垣間見せたとのこと。
- そして2019年末、開設した料理系統のYouTubeチャンネルで、遂にゲストとして佐藤を呼び鯖味噌を振る舞う動画を上げて反響を呼んだ。冒頭ではファンサービスも兼ねて天道風に「サバ味噌」と読み上げてくれている。ちなみに『カブト』放送当時からインタビューや劇場版のメイキングでも語られているが、当の水嶋氏はあまりサバ味噌が得意ではないらしい。
と、私生活の関係上フットワークの軽い芸能活動が難しいだけで本人は出演できない代わりになのか、水嶋氏はむしろ積極的にカブトにまつわる話題をファンに提供してくれている。
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- ソウジ(仮面ライダーディケイド):別世界のカブト。
- 五代雄介、門矢士、五十嵐一輝:妹がいる主役ライダー。
- 深海マコト:普段はクールだが、妹に関してはシスコンっぷりを発揮するライダー。
- 浮世英寿:俳優が「天道総司を参考にして演技している」とインタビューで公言している。
- 十鬼蛇王馬:『ケンガンアシュラ』の主人公。天道がモデルであるとの事。
- 和実ゆい:『デリシャスパーティ♡プリキュア』の主人公。こちらも料理を題材とした作品で、祖母の格言を大事にしているのが共通する。
平成ライダー主人公