「俺が……家族を守るッ!」
「お前を外に出したからこんな事になってるんだっ……! それで罪の無い人々が傷付くなら、俺は二度と変身しない。この力は人を、家族を守る為のものだ!!」
変身する仮面ライダー
概要
『仮面ライダーリバイス』の主人公。仮面ライダーリバイに変身する。
自身の身に宿る悪魔のバイス/仮面ライダーバイスと契約し1人で2人の仮面ライダー・「仮面ライダーリバイス」として戦っている。
Tシャツやトラックパンツをメイン(「ダサ過ぎないジャージスタイル」がコンセプト)に、冬の時期にはMA-1やCPOジャケットといったミリタリー系のアウターを羽織るなど、前作の主人公とは逆のカジュアル系の服装(放送時のトレンドを反映して、オーバーサイズ寄りなのは共通)を好む。なおトップスには「しあわせ湯」や「契約書」からインスパイアしたオリジナルロゴ(アイテム毎に異なる)が入っているのが特徴。
元々はサッカー選手として幾つものトロフィーを獲得する実力者で、プロも夢ではなかったそうだが、断念し家業を継ぐ道を選択。劇中ではキックは勿論、リフティングやスライディングの冴え渡る足運びを披露し、仕事始めにはご休憩コーナーに額縁入りで飾られている、我らが「キング」の特大ブロマイドへの礼拝を欠かさない。
それ故に身体能力も高く、生身でもギフジュニア程度であればかなり戦える。
リバイに変身する際は、朱肉に押したハンコさながらにバイスタンプへ息を吹き掛けてから、リバイスドライバーへセットする。
また、バイスの姿が見える前から声が聞こえていたようであり、その点では普通の人間ではなさそうである。
『セイバー』増刊号にて新堂倫太郎に「あなたは普通のホモ・サピエンスではないのですか?」と聞かれ、「ホモサピ?」と復唱してからスルーしていたが、何らかの伏線の可能性がなくもない(単純に困惑しただけだろうが)。
なお後にとんでもない事実が明らかになった。
第25話で登場したプロフィールによると趣味・特技は銭湯の掃除、釣り、サッカー。好物は唐揚げ、カレーライス、コーヒー牛乳。漢検・英検共に3級で銭湯安全入浴アドバイザーの資格持ち。
サッカーに関しては、小学生時代はU-15や全国少年サッカーで優勝&MVP受賞、高校時代は全日本で優勝という本当にプロ入りも夢ではなかった華々しい経歴が確認可能。
人物像
前園仁志曰く、「うざいけど熱い」。一番嫌いな言葉は「諦めろ」。
正義感に篤く理不尽は許せない好漢であり、無欲で世話焼きな性格(第7話では自らを「日本1のお節介」と称した)。それ故に家族愛が強く、どんな無理難題でも「兄ちゃんに任せとけ!」と笑顔で引き受けてしまう。
ただ、弟や妹に吉事があると自分も同じように喜ぶが、「大二の晴れ舞台を観に行って欲しい為ながらも、さくらが「空手の稽古がある」」と知ると「たまには休めよ」と宣う等、少々仕切り屋的な部分がある。
バイスには基本的に困らされる場面が多い為か何かと喧嘩してはいるものの、バイスが自分自身の悪魔なのもあって利害が一致すれば抜群のコンビネーションを披露する場面が多い。
仮面ライダーになった当初バイスの他を省みない放埒ぶりから、周囲に被害を及ぼした事実を知った際は「人間を襲わない事」をバイスに誓わせる為、自分の命ですら駆け引きの材料に使う等、自己犠牲をも厭わない性格も見られる。
その反面、気遣いその物は不得意、あるいは仕切り屋の悪癖からか、ストレートな言葉をぶつけて相手の心を抉る場面もしばしば。
その価値観もあってか家族など気心の知れた相手には悪い意味で無遠慮かつ負の感情に非常に鈍い。大二相手には特にその傾向が強くなり、コーヒーが飲めず辛い物も苦手な彼をからかうような発言も躊躇なくしている(番組のラストでは、視聴者のイラストを褒めつつさりげなく大二をディスっている)。第37話以降の大二の行動を第40話での直接対決まで赤石に騙されているだけと思っていた節もある(実際、大二の行動は半分赤石が誘導する形で生じたものであるが、最終的な決断は大二自身であるため、騙されているだけとは到底言えないものである)。
また、視聴者目線で見ると内面に闇を抱えているとしか思えない描写が多々見られる。
例えば、実質的に家長の立場に就いているからか、独善的な節も散見され、自分の目から見て「下位の存在」や「信用におけない存在」には、容赦ない言動もちらほら。考察はこちらの記事も参照とするが、戦闘開始前には相手を皮肉った台詞を吐くシーンも多い等、正統派のヒーロー像からは若干ずれている。
実際に一心同体であるバイスが、初期に家族を喰らおうとする問題行動に走ったのも、一輝自身の心の歪みが反映された結果に他ならない。
第8話でバイスの日頃の行いの悪さから、彼の真面目な忠告を完全無視した結果、母の退院を祝う家族旅行が台無しとなる最悪の事態を招いてしまい、それを咎められた際には押し黙るしかなかった。
そして第9話で大二=カゲロウの殲滅命令が下り、戦闘中でも集中しきれていない状況でカゲロウから「自分が生まれたのは他者に認められたい=仮面ライダーになればそれが叶う未来を一輝が大二から奪ったせい」と残酷な事実を突きつけられる。仮面ライダーとなるのを誓った大二とのすれ違いを描いた回が、カゲロウ覚醒の最後の引き金になると皮肉な結果を招いてしまう。
作中でもそういった負の部分を敵に指摘され、サーベルタイガー・デッドマンからは「日本1のエゴイスト」と罵倒され、深く思い悩んでしまう事もあった。
総じて、よくも悪くも「長男」にアイデンティティを委ねすぎていると言える人物ではあるが、基本的には正義感の溢れる善良で家族想いな兄ちゃんである。
上記の言動から人によってはアホの子のように見えるが、前述のバイスとの駆け引きや第6話ではバイスの「あの弁護士、お前と同じ顔をしていた」発言から敵契約者のトリックを見抜く、第7話では契約者候補の男子生徒の人数のズレと井戸端会議によって、チーター・デッドマンの真の契約者に気付く等、地頭その物は良く機知に優れる。
リバミスでも、とある人物の発言と殺害現場に毎回残ってた砂と現場にいた人たちのアリバイ等含めて最初の殺人事件のトリックを見破っている。
シスコンやブラコンの気が有り、てれびくん超バトルDVD 『コアラVSカンガルー!!結婚式のチューしんで愛をさけぶ!?』では、妹のさくらが結婚すると想像する(正確には違うが、その辺は本編を見て頂きたい。カオスである)だけで、耐えられないと涙声で言うなど、(テレビ本編でないとはいえ)キツめのシスコンを披露している。
また、第29話で機械音痴であることも発覚。門田ヒロミの記憶を取り戻すべく思い出ムービーを作る最中、バイスの自分のみ主張が強すぎる編集に痺れを切らして自分で編集しようとしたが、適当にいじった挙げ句(しかもマウスのクリック方法がおかしい)、せっかくの思い出ムービーのデータを消してしまった(一応、さくら達が復旧させたことで事なきを得たが)。
結局、このことをさくらに説教され、「私は編集データを消してしまいました。」というプラカードを首から掛けられ、正座させられた。
なおこの点はバイスにもやや反映されているのか、編集していたバイスが狩崎に「思い出ムービーの映像はフェニックスの(メタ的にはこれまでのエピソード)機密映像を使用しているため絶対に外部に流出しないように」と言われたそばからダチョウ倶楽部の振りの如く速攻でフラグ回収、うっかりyoutubeならぬByTubeに上げてしまった(その後、狩崎に「NO_MORE 違法アップロード!」と捕らえられ、同様にプラカードを首から掛けられ、正座させられた)。
バディの軌跡
本当のバディに近付いた瞬間(第13話)
「お前は今日まで俺との契約を守って一緒に戦ってくれた…ここで応えてやらなきゃ…バディじゃない…!」
第13話まで、第1話でバイスが幸実を襲おうとした事が尾を引いていた為、完全には信用出来ないままの状態であり、意地でもバイスを実体化する事を拒んでいる状態だった一輝。だが、バイスの「ちょっと位信頼してくれたって良いじゃん!」と言う不満と実体化出来ない状態でありながらギフジュニアと戦おうとする姿勢、元太の「心配するのは簡単、でも信頼するのは勇気が要るね~」と言う言葉から、バイスが約束した時から共に戦っていく中で自分の言う事を聞いてくれる事や常に自分と寄り添える存在であるからか、気が付けば無意識に悩みを相談したりと徐々に打ち解けて行った事を見つめ直す。
そして、幸実の「アンタが信じる道を行けば良いのよ」と言う言葉を思い出し、バイスを信じる道を行く事を決意する。
バイス「やっと出してくれたなぁ…」
一輝「…バイス」
バイス「この時を待ってたぜ…!」
実体化したバイス。
彼は一輝に向けて拳を握り……
「俺はお前を信頼する」
後ろにいたギフジュニアを殴り倒した。バイスはこれまで通り自分と戦ってくれたのだ。
この「1%の信頼」こそがバリッドレックスバイスタンプの完成に足りなかった物であり、一輝がバイスを信じた事によりバリッドレックスゲノムへの変身が可能になった。
真のバディ、結成(第18話)
「分かってんだろ……お前は、俺を裏切らない」
第15・16話でバリッドレックスゲノムの力をもってしてもフェーズ3に進化したデッドマンを分離できないまま宿主である人間を殺さざるを得ない現実を突きつけられてしまう。その打開策として狩崎からボルケーノバイスタンプを託されるも、そもそも誕生時に宿主が死んでしまうギフテリアンと、それを生み出す=人の命を弄ぶことに何のためらいもないオルテカに怒りを爆発させ、逸ってしまい=バイスとのパワーバランスが崩れ、ボルケーノバイスタンプを制御しきれず全身を業火に焼かれてしまう。
一命は取り留めたものの、自力で歩行することすら困難な状態になり、狩崎からも「次にボルケーノを使えば、一輝自身が耐えきれず死ぬかもしれない」と宣告されてしまう。
1人になった後、一輝はバイスに「いつからか自分に興味が持てなくなり、誰かに興味を持ってもらうことでしか自分でいられなくなっていた」、「そんな自分のためにバイスを危険な目に付き合わせるのが申し訳ない」と自分から本心を吐露。
だが、バイスは「自分に興味がないなんて嘘」、「俺はお前から生まれた悪魔、ならば元々俺達は1つ」、「自分に興味がないのなら、そんな俺を気にかけるのはなぜだ」と返す。そして、
「一輝が狩ちゃんの提案を断った時、俺も全く同じこと考えてた」
と告げる。
その言葉を受け、心からバイスを信じることを決めた一輝は、バイスの制止を上記の台詞で一蹴すると、レックスバイスタンプを直接押印し、彼を実体化。暴れ回るフリオの前に姿を見せると、遂にバイスを「相棒」と呼び、ボルケーノレックスゲノムへと変身。これを完全に制御し、フリオの分離を成し遂げた。
バイス「一気に行くぜ!」
一輝「いや……一緒に行くぜ!!」
続く第19話からはヒロミ中心の話になる為、ピントが少し外れるものの、オルテカの罠を見破り窮地に陥ったヒロミの救出や戦いたいヒロミの意志を汲んでそのサポートを行う等、要所要所でしっかり活躍していた。なおこの時にキックの威力を調整してオルテカを倒した上でヒロミからデモンズドライバーを弾いて救うという器用な事をしている。
過去
仮面ライダーベイルとの戦闘によって明らかとなった、18年前元太に再び憑依したベイルが彼の私怨からしあわせ湯の火災事故が起こされるという一輝(としあわせ湯)の過去。「自分を裏切った元太の大切なもの(家族)を皆殺し」にすべく、元太の制御さえ振り切って暴れ回るベイルに対し、幼い一輝は何も出来ずに立ち尽くすほかなかった。そんな時一輝から生まれたのがバイスだったのである。つまり、一輝は幼少期の時点で既にバイスと出会っていたのである。
そしてそこで、一輝とバイスは契約を交わす。
バイスが一輝の代わりに家族を守る。その代わり、一輝からその記憶は消える。
この件を口外しないことで合意した結果、契約が成立。バイスがベイルから五十嵐家を守っていたのだ。
- なお、オーディオコメンタリーで語られたところによると、この時のバイスが純粋に一輝や家族を救おうとしたのは5歳の一輝と一心同体であり純粋な心を持っていたためで、本編第1・2話のバイスの問題行動は17年の年月を経たことで一輝自身の心に発生した歪みが反映されたからとのこと。
第30・31話では高校時代の先輩である木村昴と友人であるジーコこと池山浩二が登場し、学生時代の彼のエピソードが語られた。
学生時代は木村昴とジーコ共々サッカー部に所属し、活躍していたが練習中のハプニングでジーコに怪我をさせてしまいプロサッカー選手の夢を絶ってしまう。一輝はその罪悪感とプレッシャーが元となって自身もプロサッカー選手を引退してしまったのだった。同話では一輝は上記の事実を何故かほとんど覚えていない様子でジーコとの軋轢を生むこととなった。後に夢の世界で上記の事実を思い出した一輝はとある人物の計らいでジーコと和解する。
そして…
更なるネタバレ注意!
第31話にて、契約のさらなる詳細が判明。
実は、その契約はその場限りのものではなくその後もずっと生きており、「バイスの力を借りる度に、そのシチュエーションに関連した一輝の記憶が消える」という代償が発生している。リバイスとなる前に力を借りた2回ではその際の対象であったベイルやジーコの記憶が消えていたが、ライダーとなった後は「家族を守るために、リバイスに変身して世界を守る」というスタンスでバイスの力を借り変身していることで、「一輝がリバイスに変身して闘う度に、家族に関する記憶がランダムで失われていく」というある種の呪いとして降りかかっていた(写真の中から一輝が消える描写はこの契約が原因)。
そしてこのまま一輝がリバイスとして闘い続ければ、一輝にとってリバイスとして闘う一番の理由である家族の存在そのものの記憶まで失うに至る、という悲劇的な結末を引き起こしかねないということも明かされた。
実際、第39話では第8話での温泉旅行の一件、第43話では五十嵐家の記念日に家族全員ですき焼きを食べること、そして第46話では自分の家が銭湯であることすら忘れており、度重なる戦いの中でそのペースが早くなっていることも示唆された(第45話では大二と共にギフを封印したはずなのに違和感を覚えた事をバイスに話した際にも何かを忘れたような反応を見せている)。
なおバイスはすでにこの事実に気づいており、一輝に対して「ごめんなぁ、契約は変えられないんだ。」と申し訳なさそうにしていた(今まで言わなかったのは単純にバイスの一輝への配慮、もしくは一輝が気づくまで口外しないことも契約に含まれていたからである可能性が高い)。
しかし、それでも尚一輝は家族のため、世界の人々のために仮面ライダーに変身することを決意する。
また、この記憶の失う描写は本人たちも把握出来ておらず、 バイスと一心同体になったリバイスやアルティメットリバイスの力を得てからはさらに加速していき、さらにはバイスを毎日実体化させていたことが記憶の喪失をより加速させていったと思われており、2人の絆が強くなった分記憶が喪失していったのが、上述にもあるようにまさに呪いとしか言いようがない…。
余談
- シリーズ構成担当の木下半太曰く、企画段階では「五十嵐一番」という名前にしようとしていたが、途中で現在の「五十嵐一輝」に変更したとのこと。
- 口癖の「湧いてきたぜ!」は、「風呂が沸く」と掛けており、決め台詞の「一気に行くぜ!」は自身の名前「一輝」と「一気」を掛けている物と思われる。
- 天涯孤独や、両親が既に他界ないし序盤に殺害される、若しくは存命の設定であっても、作中未登場の事が多い仮面ライダーシリーズの主人公においては、珍しく両親ともに健在かつ登場している主人公(だが肝心の家庭環境は一般よりやや歪である)。
- 苦手なのはバイスの無責任な行動。
- バイスの尻尾を掴む癖があるらしい。
- 尚、変身の際に投影されるLINE風画面ではメッセージが左側に表示されている。本家LINEでは他人のメッセージは左側に表示されるようになっており、バイスが右側(自分視点)になっている事から、「バイスこそ一輝の本性なのではないか?」とする考察がある(とは言え、バイスの項目にも触れているが、件の画面に対し一輝がそれを認識しているか等、不明瞭な部分が多いのも事実なので、過度の深読みの可能性も充分にある、プテラゲノムに変身した時は一輝が右側でバイスが左側だった)。
- 第1話で家族や一般人達が見ている前で公然と初変身した。その後一度はライダーを辞退したが、第4話終盤でフェニックスと正式に契約、今後ライダーとして戦っていくと最初から周囲に正体を知られている状態でスタートする。
- 写真から一輝の姿が消えるという描写が劇中で何度か起こっており、第29話で一輝本人よりも先にジョージ・狩崎が消える様子を目撃した。
- 妹のさくらは空手を習っていると言う設定だが、演者の前田の妹も空手有段者(なんなら前田本人も空手の有段者)。
- 上述の通り、前田も空手の有段者であるため、生身のアクションもかなり上手く、『バトルファミリア』では、アヅマを演じるケイン・コスギと1対1の生身のアクションを繰り広げている。だが、前田は、一輝がサッカー経験者で物語序盤は戦いの素人であることを意識して、下手にパンチを打ったり、蹴りも空手のものではなくサッカー選手のように映るようにしていたという。
- 一輝を演じる前田は、オーディションの段階では一輝役の他に大二役でもオーディションを受けており、合格が発表されるまでどっちの役で決まったのかわからなかったらしい。
- 一輝のキャラクター像について、第1話まで木下は自身と似たお節介な部分以外相当悩んでいたらしく、前田の演技と人柄を見て腹を括り、前田が持つ純粋さを一輝のキャラクター像として加えたらしい。
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ちっちゃい頃の大二より100倍上手いぞ!:彼の発した迷言。
五十嵐家
令和ライダー主人公
終盤にて
ここから先はネタバレを含みます。未見の方は注意!
赤石との戦いや大二との兄弟喧嘩、ギフとの決着がついたが記憶の件はどんどん悪化しており、第46話では自分の家が銭湯であることも忘れてしまう。
ジョージ・狩崎が変身する仮面ライダージュウガにはこれ以上の記憶消滅を恐れてバイス単独で立ち向かうものの記憶は変わらず消滅、それどころかついに両親の記憶が全て消え、顔を見て誰かも判別できなくなるレベルに至ってしまった。
そんな中、悪魔の力を使う仮面ライダーを一掃するためジョージが再度現れる。予告の時点で公式から「これ以上の戦いは、家族の記憶の根幹を削っていく」と断じられる中、一輝はどう立ち向かっていくのか…
「俺の家族に…手を出すな…!!」
一輝の決断、これが「日本一のお節介な兄ちゃん」(第48話)
カゲロウの変身するエビルとジャンヌの機転により、変身することなく逃走に成功。
さくらから「私たち家族の笑顔はどうでもいいの…?」と言われたことで「狩崎を止めたい」という自身の願望と「戦うことで家族の記憶を失っていく」という恐怖の中で葛藤していたがヒロミや光と共にウィークエンド基地の隠し部屋を見つけ、そこで「狩崎親子を繋ぐ思い出のもの」を発見したことで狩崎を説得する手立てを発見、それにより「狩崎親子の共同作品であるアルティメットリバイスでジュウガに勝利する」ことが必要と確信、記憶を失ったとしても狩崎を止めることを決意。
バイスとともにアルティメットリバイスに変身し、狩崎が変身したジュウガと激突した。両者は一進一退の攻防を繰り広げ、序盤は互角の戦いとなっていた。
「俺は戦う度に大事な思い出を失われていく…でも、狩崎さんは違う!真澄さんとの思い出を覚えていられる!」
「勝ってアルティメットリバイスが狩崎さんと真澄さんを作った最強だと、あなたに刻み込む!」
自分に悪魔を植え付けた父親に怒り、否定するような主張を一方的に叫ぶ狩崎に対し、上記の言葉を叫んで諦めることなく全力で否定する。
その後は徐々に優勢となり、「ジュウガアメイジングフィニッシュ」を喰らうもそれを防ぎきり、逆に「リバイ・バイスギファードフィニッシュ」を叩き込むことで狩崎を変身解除させ、勝利した。
狩崎の心を救う戦いを終えた一輝は大二とさくらをまるで初対面かのように見つめバイスに問い掛ける。
「ねぇ、バイス。この人達……誰?」
無情にも、日本一のお節介な長男はついに大切な家族である弟と妹のことまで忘れてしまっていた。
家族との別れ(第49・最終話)
家族との記憶を失った一輝はヒロミの計らいでフェニックスが使っていた隊員用の寮を提供され、バイスと二人で暮らし始めた。無邪気なバイスに翻弄されながらもその暮らしの中で一輝は自分にとってバイスが家族であると認識する。
その後は就職活動を始め、無事に勤め先が決まったことでお祝いのケーキを買って帰宅した一輝だったが、突如としてバイスが姿を消してしまう。
翌朝、ぶーさんからの電話で呼び出された一輝は何者かによって荒らされたしあわせ湯と玉置を目にする。事態を飲み込めない一輝にヒロミが見せた動画に映っていたのは…
「これが最初の望んでいた形だ。ずっと待ってたんだよ。お前の記憶が消えるのをな!」
なんと返り血を浴びた状態で街で暴れるバイスの姿が映っていた。
何かの間違いだと現状を受け入れられない一輝の目にバイスを止めようと仮面ライダーデストリームに変身した五十嵐元太とそれを圧倒するバイスが映る。状況を飲み込めないまま現場に駆けつけて必死にバイスへと語りかける一輝に対し、バイスは上記のセリフを吐いた後、
「フハハハ…!ごちそうさま。思った通り……超美味かったぜぇ!別に良いだろ?どうせ覚えてねぇんだからよ。これで、お前との契約は終わり、俺は自由になる!」
彼は最初から一輝の記憶が消えてから一輝を裏切り、好き勝手に大暴れするために協力していたのだ。それだけでなく、なんと自分の家族が無惨に喰い殺されたという事実を告げられる。
こうしてかつて世界を救ったバディは決裂、互いに変身して本当の最後の戦いが始まった…
しかしそれらの行為は実は全てバイスの芝居だった。一輝とバイスの戦いを見守っていた元太と無事だった大二たち。狩崎とヒロミは全てを理解していた。
『なぜ一輝とバイスの契約は終わってるはずなのにバイスは消滅しないのか?』
それは上述のように一輝がバイスをいつの間にか相棒→家族として認識してたからであり、狩崎とヒロミの元に訪れたバイスは、
「一輝に俺っちと真剣勝負をさせて一輝の記憶から俺っちを消させて欲しい」
と言い、そのための舞台を作る準備をヒロミと狩崎に頼んだ。それを聞いた狩崎とヒロミは玉置や伊良部正造、元太と言った一輝の家族や親しい人達に呼びかけて、まさに一世一代の大芝居を打ったのだ。つまり、バイスは『自分と一輝が変身して戦うことで一輝からバイスとの記憶……もっと言えば「バイスと記憶を代償にした契約をした」という記憶を奪えば、契約が初めから無かったことになり一輝は家族との思い出を取り戻すかもしれない』可能性に賭けたのである。なお、浴びた返り血に見えたものはケチャップであった。
それを見守るさくらは、この悲しい戦いをやめさせるように止めに行こうとしたが、花から「バイスの想いを無駄にしないで!」と諭された。ラブコフもバイスが自身と同じく契約者と強いつながりで繋がっているのを知っているからかさくらと同じく今すぐにでも2人を止めに行きたいのを抑えてとても辛そうに見つめていた。
戦いの結末
バイスの真意を知った一輝は、バイスに全力でぶつかることを決意。最初は、アルティメットリバイスでお互いにじゃれ合いを交えながらも戦い、「リバイ・バイスギファードフィニッシュ」をお互いに撃ち合って、装甲が剥がれてしまいレックスゲノムとなった。その後、両者互いにゲノムチェンジを繰り返してリミックスを交えながらかつてのようにじゃれ合いながらお互いに全力でぶつかっていた。そんな様子を今までのバディの記憶の数々が見下ろしていた。
しかし、そんな戦いにもついに終わりが来てしまう。次のバイスタンプを使おうとしたバイスが戦いの影響で消滅しかけ、変身解除して倒れ込んでしまう。
一輝も変身を解除して、バイスを抱き抱える。
バイス「楽しかったなぁ…」
今にも消えそうなバイスに涙ぐみながら一輝は語りかける。
一輝「バイス…さよならは言わないよ…」
一輝「これは…お別れじゃない…俺たちは元々一つ、これからも一緒だ…!」
バイスは起き上がると、お互いを抱きしめる。
一輝「俺は…絶対にお前を思い出す…」
バイスはその言葉に対して…
バイス「一輝…ありがとよ…」
と、心からの感謝を述べる。
次の瞬間、バイスは粒子となって消滅してしまう。
「またな…バイス…」
こうしてバイスとの記憶を忘れたことで契約は満了、一輝は全ての記憶を取り戻したのだった。もう1人の家族の記憶を除いて…
バイスとの戦いが終わって数ヶ月後、銭湯の掃除をしていた一輝は不気味なアヒルを見つける。どこかで見たような黒い顔に青い目をした少し不気味なアヒル。だが一輝はアヒルに対して何も感じないのであった。
場面は変わって一輝はジーコ達とサッカーをしていると一輝が憧れてた三浦知良に出会い、夢を追いかけるのに早いも遅いもないというアドバイスを受けて、一輝は新たなる夢に向けて湧いてくる思いを胸に新たなるステージに向かって一気に行く決意を固めたのであった。
とある夜、久しぶりとなる家族5人揃っての夕食でいつものようにすき焼きを囲んでお節介を働かせる一輝。そこにはかつてのような悪魔な家族の囁きはなかった。
そしてお節介を終えた一輝が肉を頬張ったその時…
「ウッヒョー!!これ超うまくね!?」
まるで日本一お節介な悪魔のような声を上げた一輝に家族は目を丸くしたあと皆で楽しく笑うのだった。
そんな五十嵐家5人の記念写真の横にはあの不気味なアヒルの姿があった。
そして一輝は「自分の理想」を叶えるために戦い続ける1人の青年と邂逅するのだった…。
真の余談
- 記憶を代償に変身するという点で彼を連想した人も多かったようで、実際に第31話終了後には変身するライダーがトレンド入りしたりした。
- しかし彼の場合自分ではなく周囲の人々の記憶から消え、同時に消滅するカードという形で分かりやすい変身限度があったのに対し、一輝の場合はアイテムがスタンプという都合上その辺、変身してもどの程度の記憶が消えているのかランダムであるため、本人すら把握できていないという違いがある。
- 一輝の記憶消失についてカゲロウは「等価交換」と断じているが、現状では大二、さくら共々一輝程深刻な対価を払っている描写は見られない。これは幼少期にドライバーを介さずに契約してしまったことが原因と推測する視聴者もいる(カゲロウもラブコフも、明確な意識の表出はドライバーの入手前後だった)。
- 勘違いされやすいが、変身時に対価として消される一輝の記憶はリバイスとして戦う理由である『家族の想い出』であり、サッカー部時代の記憶が消えたのはその際にバイスの力を使った対象がそれであったからである。その証拠に狩崎やヒロミといった友人や仲間、そしてバイスなどの仮面ライダーに関する記憶は未だ失われていない。
本編以降の活躍(ネタバレ注意)
ファイナルステージ
狩崎が一輝の精神世界からバイスを現実世界へ復活させようと何度も実験を試みているが、未だに成功したことがないらしい。
本作ではその実験によって脳内世界で一輝とバイスは再会し、これまでに戦ってきた相手を再び共に撃破するなど変わらない連携プレーを披露する。
そして普段忘却の壁に隔てられている二人は本当は互いを強く求め合っている様子が描かれるが、現実世界でベイドたちが暴れていることを大二が一輝に伝えたことでまた別れることになり、一輝は現実世界へと帰還。
バイスはその餞別として、2人の絆の結晶を授け、新たな形態への進化を促した。
そして…
一輝の願い、バイス奇跡の復活(『MOVIEバトルロワイヤル』)
最終回から数年、かつての仮面ライダー達は全員それぞれの日常を送り、五十嵐家には三男・五十嵐幸四郎が誕生した。一輝の独白によると仮面ライダーとして戦っていた記憶やバイスの存在はファイナルステージでの出来事や仲間たちから聞かされて存在自体は知っている模様で、作中ではカゲロウやラブコフを見て消えてしまったバイスへの思いを馳せていた。
そんな中、幸四郎が宿す悪魔が持つギフの遺伝子を求めて謎の裂け目からイザンギとバリデロという地球外生命体が襲来。
三兄妹は幸四郎を守るため再び仮面ライダーとなって立ち向かうが宇宙から来た敵の力は強く、倒すことができない。
特に一輝はアルティメットリバイになってもバイスがいた時の半分以下にまでパワーダウンしてしまっており、イザンギの攻撃を受けて意識不明の重体となってしまう。
死の間際の精神世界にやってきた一輝は、もう苦しい思いをしながら家族を守るために戦うのはやめて楽になれと囁く自身の内なる声を聞く。
しかしその声に一度は従いかけるものの「やっぱり違う」と、苦しみの待っている道を選んだ。
何故なら、戦うのは苦しかったけど、でも、楽しかったから――。
一緒に戦えば、苦しい戦いでも楽しいと思える
だからもう一度、家族を守るためなら悪魔の手でも掴む
その強い願いに応えて、失われていたはずの記憶が復元。
外で絶体絶命の危機に陥っていた大二たちの前に駆けつけた一輝は、身体も回復し表情も打って変わって自信に満ち溢れており、そして
レックスバイスタンプの押印と共になんとバイスが顕現し、奇跡の復活を果たしたのだった。
そのまま二人はアルティメットリバイスに変身し、最強のパワーと抜群のコンビネーションでイザンギとバリデロを圧倒、撃破。
久方ぶりの再会にバイスと一輝は抱きしめ合い、その場にいた皆がバイスを温かく迎えたのだった。
その後はバイス、三兄妹共々コラスに連れ去られた赤ちゃん悪魔を奪還すべくデザイアロワイヤルに参戦。
だが以前のように一輝の家族の記憶を失くさせるわけにはいかないため、再びバイスに消滅の時が訪れる。
ギロリの計らいでデザイアドライバーとライダーコアIDを渡され、時間稼ぎしながらの戦いへ。バイスと同様にドライバーとライダーコアIDを渡された一輝は、自身と色々な点で近いビートレイズバックルを使用。
最終決戦「シカゲーム」ではリバイスドライバーレイズバックルを使用したことでレックスゲノムの状態で出現したバイスと共に、見事シーカー撃破に成功した。
三たび訪れた別れの時……
一輝はもうバイスのことを忘れたくないという気持ちが強く、二人の会話は最初の別れの時とは様相が異なっていた。
それでも…
「楽しかったよな、久々に一緒に戦えて」
「だな…!俺っち達はいつだって最高だ!」
再会のきっかけとなった気持ちを確認し合い、あくまで笑顔で、バイスは消滅していった…。
しかし実は、家族の幸せ以外に望むものは無いと嘯く一輝が秘めた「バイスを忘れたくない」という願いに、英寿は気付いていた。
そして英寿がデザイアカードに書いたのは…、「五十嵐一輝が戦いの記憶を忘れない世界」。
お陰で一輝はかつてとは違い、バイスを忘れず、これからもバイスと一つとなって共にあることを実感しながら生きていけるようになったのだった。
五十嵐家が脅威的なパワーを秘めたギフの遺伝子を持つ以上、それを狙う輩がいなくなることはないであろうが、一輝が求めた時バイスはまた必ず力を貸してくれるだろう。
『リバイスForward』
『MOVIEバトルロワイヤル』後の時系列であるため、バイスとの思い出を忘れることなくしあわせ湯の番台として過ごしている。
今回は戦線には出ず、留美の一時保護や大二へのアドバイス、リバイスドライバーの提供などサポートに徹していたが、彼のその行動が事態の解決に大いに貢献した。
『仮面ライダージュウガVS仮面ライダーオルテカ』
カゲロウとヒロミで湯船での我慢対決をした結果2人がのぼせてしまい、ジョージ・狩崎からの要請の電話をヒロミに代わって受ける。
その後ヒロミの配達を頼まれた玉置にヒロミを乗せて運ぶ用のリアカーを提供。
後編のラストシーンでは再び脱走したオルテカを家族とブルーバード総出で追いかけ回していた。
『アウトサイダーズ』
本作に一輝本人は登場しないが、ep.5にて仮面ライダーゼインがアルティメットリバイのゼインカードを使用してリバイスラッシャーを召喚する場面がある(設定上ゼインカードはオリジナルの仮面ライダーから借りた力を使用しているため、一応ゼインと一輝は面識があると思われる)。