「『誰が一番強いのかハッキリさせる』それだけだよ」
プロフィール
身長 | 182cm |
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体重 | 85kg |
年齢 | 28歳 |
誕生日 | 不明(本人曰く5月2日) |
特技 | 自給自足 |
嫌いな食べ物 | トマト |
拳願仕合戦績 | 3勝0敗 |
企業獲得資産 | 154億1400万円 |
通名 | 『阿修羅』『二虎を継ぐ者』 |
概要
ケンガンアシュラの主人公。獣のような目とワカメヘアーがトレードマークのイケメン。古代のギリシャ像のような、美の観点から見ても最高レベルの肉体を有している。
一代で途絶えたと言われていた謎の武術「二虎流」の遣い手で、二虎流を知る者からは「二虎流を継ぐ者」とも呼ばれている。
普段は茫洋とした雰囲気だが、常人ではその気配で委縮してしまい、彼の問いかけには凄まじいまでの圧がこもる。
その内実は傲岸不遜な性格で、己の最強を信じて疑わない。基本的に戦い以外のことに興味を示さず不必要なことは冷めた態度で流し、強者と邂逅すれば好戦的・挑発的な態度を隠さない。
また自身の過去や二虎流に絡むことで何らかの因縁を持っており、それに触れられると激昂して男はおろか女相手でも胸ぐらをつかむような、粗暴で精神的に不安定なところも多く見られた。
架空の無法地帯「中」の出身であり、拳願絶命トーナメントの半年前から廃墟に住んで巨大な猪などの動物を仕留めたりゴミを漁って生活するなど、野性味溢れる生態を持っている。そのため社会常識はないが、なぜかVシネマは見ており、ジョーノー金(上納金)、ケーヒ(経費)などの偏った知識は持っている。
また人の名前をフルネームで呼ぶ癖があり、加えてカタカナで名前が表記される(例外は自身の師である十鬼蛇二虎と、仇敵と言える桐生刹那)。
他にもチョーナン(長男)、シンソーシンリ(深層心理)など、名詞がカタカナになることがしばしある。
と、上記のような粗暴な野蛮人のようなイメージから、言葉が不自由だったり、頭が悪い男に感じることもあるかもしれないが、意外と語彙力は人並みにあり、皮肉もいっちょ前に言うことができる。
また自分が闘う上での駆け引きや洞察力、機転にも長じており、かなりの頭の良さを見せている(並み居る猛者の中では王馬は小兵の部類に入るため、優れた駆け引き無しにはここまでの強さを手に入れることはなかっただろう)。
人の心やスジもきちんとわかっているようで、礼も王馬なりにだがちゃんと言える。特に世話役・雇用主(そしてメインヒロイン)の山下一夫に対しては終始優しく、彼が的はずれなことを言ったり酒でグダを巻いたり怒鳴ったりしても、決してそれに対して怒りはしなかった。
ただし闘いや二虎流絡みにおける言葉の激しさや豊富さに比べると、闘技者以外の一般人との日常会話ではやや言葉少なめでぶっきらぼうになりがちなところがあり、その辺りのギャップも魅力の一つである。
加えて物語を通じての性格の変化という面も大きく、山下や他の闘技者とも接する内にだいぶ性格が柔らかくなっている。二虎流絡みの因縁に自分の中で決着をつけて以降は相手の強さを認めたり、詫び・慰めも言えることができたりと人間的成長を見せており、「傲岸不遜」とは言えなくなっていった。
特有のフェロモンを持っているようで、女はもちろん男にもモテる天然タラシっぷりを見せる。
序盤は秋山楓に向かって「もしかして、オレに抱かれたいのかい?ん?」「強い女は嫌いじゃねぇよ」などとプレイボーイさながらのおちょくるような発言をしていたが、拳願絶命トーナメントの予選が終了した直後からは呉迦楼羅に「子を作ろう!」と言われて無言で逃げ出したり、キャバ嬢に囲まれておっぱいを押し付けられても嬉しくなさそうな顔をするような、ウブなキャラにガラッと変わっている(なお「抱かれたいのかい」発言は、後に二虎の「常に女を口説けるくらいの余裕は持っておけ」という教えで一応の理由付けがされている。「中」にいたので男女の営みで何をするかは理解しているが、王馬自身は異性に対する興味が芽生えておらず二虎の言葉を守って彼の真似をしているだけなのだろうと思われる)。
プロフィールにあがっていないが肉がとにかく好きで、山下と会う度に「まずメシ食おうぜ」と言って肉を食らっており、トーナメント初戦前に山下に言い残した言葉も「優勝祝いは肉で頼むぜ♪」であった。
旨い肉を食えると知れば高級店であろうが旨い店の場所がどこであろうが、躊躇せずに大皿で肉を喰らい尽くす。
本編での活躍
以下ネタバレ注意
本編開始前
十鬼蛇区とよばれる無法地帯に赤ん坊のころ捨てられ、以来その弱肉強食の世界で名前を持たずに暮らしていた。12歳のころ二虎に拾われ、出会った場所が「十鬼蛇」と「七王馬」の境界だったことから「十鬼蛇 王馬」の名を与えられる。以降は二虎から武術を教えられて育ち、4年ほどの間に奥義を含めたすべての技を習得したが、ある時彼は決闘に敗北して死亡してしまい、以来10年間仇を倒すためだけに鍛錬を続けていた。
本編開始後
仇のいそうな戦場として拳願仕合に目を付け、拳願仕合出場するために乃木グループ闘技者である「仁王の駒田」こと駒田茂に路地裏で野仕合を仕掛けて圧倒、闘技者の座を奪うことに成功した。
この戦いを陰で見ていた山下一夫は、その凄さに恐怖と尊敬のあまり直立不動で「お名前をっ!」と呼びかける。名乗りあった後、王馬はこう言い放つ。
「―それで?アンタも闘る(やる)のかい?」
どう見ても闘技者ではない人間に対しても勝負を問いかける王馬。山下は恐怖で過呼吸になりながらなんとか「…い…え…」と返すと、王馬は「残念だ」と去っていった。これが世話役となる(そしてメインヒロインの)山下との出会いであり、第一話であった。
その直後、乃木のもとで早くも山下と再会。拳願仕合で『超人』理人、『呪術師(メディスンマン)』蕪木浩二、『獄天使』関林ジュンを次々と撃破し、拳願絶命トーナメント開催のきっかけとなる。
関林戦後に乃木秀樹よりトーナメント参戦を断られて激昂。大暴れするところを初見泉に制される。さらに怒った王馬は「前借り」を解禁しようとするが、そこで乃木より「別枠」の存在を掲示されて鉾を収めた。以降は山下一夫を雇用主として、「山下商事」の闘技者として参加することになる。
その後はトーナメント出場枠を賭けた裏試合、そして予選のバトルロワイヤルを突破し、トーナメントへの正式な出場を果たした。
このタイミングで桐生刹那と出会う。刹那は二虎の仇であり、自分の師匠である平良厳山を殺害したと語り、王馬を挑発する。しかし王馬は「二虎もお前の師匠も弱いから死んだんだ」と吐き捨てて挑発に乗らず、自分たちが一番強いと信じる者たちが集まる拳願絶命トーナメントで刹那もまとめて叩き潰すと宣言した。
拳願絶命トーナメント
1回戦では因幡良と対戦。因幡流ならではのトリッキーな戦法に翻弄されたが、最終的には「前借り」を使い圧勝する。
しかし仕合終了後に行った体外離脱から、夢のみならず現実でも二虎の幻覚を見るようになり、その際に今の自分が実力を出し切れていないこと、二虎と修行していたころの記憶の一部が失われていたことを知る。後に眼中になさそうな発言をされたことで加納アギトに食って掛かるが、ここでも突然現れた二虎の幻覚に惑わされているうちに文字通り一蹴されてしまっている。
トーナメント一日目終了後、二虎の幻覚に勧められるまま精神を統一した結果、突如として加納アギトに匹敵するレベルまで体のキレが増す。
2回戦では呉雷庵と対戦。今まで自分のためだけに戦ってきた王馬だが、一夫の息子の命が賭けられ、他人の思いを意識しつつ戦いに臨んだ。
上昇した力も呉一族の身体能力の前には通じず、「前借り」を発動しても「外し」を使った雷庵に決定打を与えることができず、体が限界を迎えて「前借り」が解け、そのまま倒れてしまう。
しかし「前借り」を発動する中で、自分のために二虎は死んだという罪悪感により消し去っていた今までの記憶が回復。加えて混濁した意識で幻覚の二虎と対話する中で、二虎の仇討ちのためではなく「自分が最強であることを証明する」という目的のため、それまで「アンタの二虎流を借りる」と形容していた自らの武を、「俺の二虎流」として振るうことを決意。
以降は二虎流の技の数々で互角に持ち込み、わずかな勝機を逃さず満身創痍ながら勝利を掴んだ。
しかしダメージはあまりにも深刻で仕合後すぐに意識を失い、英の治療により一命をとりとめたものの三日目が終わるころになってもまだ目を覚まさなかった。
東洋電力によるクーデターからしばらくして眠りから目覚め、直後に山下と自分を狙う守護者の蘭城を一蹴する。
だが残り三戦戦い抜いて生きていられるか、という危うい状態は続いており、呉一族秘伝の治療法の数々を受けることでなんとか戦えるまでには復調する。王馬の命を案じる山下は作中初めて「聞けよっ!!!」と人を怒鳴り、棄権するよう涙の説得を受けるも、次の機会がないと自覚したことからワガママを通させてほしいと自分の言葉で頼み、彼に礼を述べて3回戦に臨む。
3回戦では互いに満身創痍のまま今井コスモと対戦。壮絶な組み技合戦の末にあえて体力を使い尽くすことで死の間際でさらなる戦闘力を発揮する。覚悟を決めたコスモによって右手の小指を折られたが、相手の先読みとゾーンを逆に利用して絞め落とし、健闘をたたえて準決勝へ進出した。
その後初対面以来犬猿の仲であった初見泉に声をかけられ、彼のアギト戦前のスパーリング相手の要請を快諾している。王馬曰く初見のことが気に入らなかったのは、彼が二虎に似ているからだ、と気づいて冷静になれたという。
準決勝直前に山下が錯乱状態の桐生刹那に連れ去られたことを知り、その暴走を止めるために交戦。刹那は王馬の心臓に羅刹掌を放つことで能動的に前借りを発動させ、『"神"の状態の王馬に殺される』という長年の夢を叶えようとしたが、前借りをコントロールできるようになった王馬の「『死んで楽になろう』なんてことは許さねぇ」という想いと「もう人は殺さない」という決意から、刹那が最も憎んだ二虎流の技で失神させられ、それは叶わなかった。しかしこの戦いで王馬も内臓にさらに深い傷を負った。
準決勝では若槻武士と対戦。重篤なダメージを負っていたことや、どちらが勝利しても会長に推薦されるのが乃木であることから、事前に八百長で負けることを提案されたが、それを拒否しての対戦となった。
圧倒的なパワーと油断のない猛攻に苦しめられ、切り札の「鬼鏖」も不発に終わり窮地に追い込まれる。しかし会場の若槻ムードの中に聞こえた山下の声援で奮起。
「見とけよ、ヤマシタカズオ!」
2度目の「鬼鏖」を成功させ、これが決め手となり決勝へと進む。
決勝前、「前借り」を使いすぎた王馬の死期が近づいていることを悟っている山下はマッサージをしてやった。王馬は山下に会えて自分が変わったことを自覚しており、「お前が世話役で良かったぜ。ありがとな」と感謝の言葉を告げて背を向ける。
すると山下は直立不動で初めて会った時と同じように「私は、山下一夫と申します!」と名乗る。王馬はその日のことを思い出しながら「お世辞じゃねぇぜ 俺はいつだって本気だ。」と山下に同じ質問をした。
「・・・もう一度聞くぜ。アンタも、闘るのかい?」
山下は今度はハッキリと「…ハイ 闘りましょう」と目に涙を溜めながら応えた。家では妻に出ていかれ息子にも愛想をつかされ、会社でも上司にイビられまくって陰で涙を流す56歳、そんな山下に対しても、王馬は最期まで対等に接したのだった。
迎えた決勝では黒木という格上の相手に対し、「前借り」と二虎流を組み合わせた「自分だけの武」を完成させ、万全とは言えない状態ながらも戦いを成立させるも、出血で「前借り」を維持できなくなり、徐々に追い詰められていく。リスクを覚悟で「前借り」と鬼鏖を同時に使うも最後の一撃も防がれ、決勝敗退となった。
そして…
滅堂のメディカルチームによる治療もあって一度は目を覚ましたものの、すでに肉体は限界を超えていた。
二虎の幻覚と最後に会話を交わしたのち、静かに長い眠りについた。遺体はトーナメントの舞台となった願流島の一角に埋葬されている。
ケンガンオメガ
続編で2年後にあたる『ケンガンオメガ』では、トーナメント準優勝後に忽然と姿を消した伝説の闘技者として一般会員には知られていた。
山下は成島光我と臥王龍鬼の二人に王馬の面影を見ながら、『煉獄』との交流戦の代表者集めに奔走していた。
※この先重大なネタバレが含まれます。ケンガンオメガ50話以降未読の方は要注意。
・・・が、そして煉獄との対戦前に発生した山下一夫に対する裏の組織『蟲』の襲撃に対し、雷庵とともに山下一夫の命を救う形で、突如として登場。のちに呉一族の元で生きていたことが明らかになった。この話(50話)が公開されるや否やマンガワンのコメント数は通常の5~10倍にも達し、Twitterでは#ケンガンオメガがトレンド入りする勢いを示した。
聞けば決勝戦終了後、英はじめの元に謎の心臓が届けられており、これを移植することで助かったとのことであった。しかしそもそもその心臓を「誰が」「どのような意図で」届けたのか?は謎であり、加えて『蟲』のクローン技術の暗躍、王馬と風貌が非常によく似ている臥王龍鬼の存在などから、単純な生存ではない可能性が示唆されている。
山下ら一般人に死んだと伝えられていたのも、そうした異常な状況を鑑みてのことであったという。
2年を呉一族の元で過ごしたことで前作以上に人間的成長を見せており、山下に真実を教えなかったことを頭を下げて詫びたり、人をフルネームで呼ぶ癖は無くなったりしている。
ただし山下のことは「だってお前はヤマシタカズオだろ」と呼び方を変えようとはしなかった→末永く爆発しろ
その後は東京に戻るべく烈堂により帰省ルートの説明をされるが、東京到着後に会っておきたい人物がいると話した結果、烈堂からは護衛として雷庵を付ける条件で承諾を得る。
東京到着後、入院中の光我の元へ山下と共に登場すると、彼に対抗戦への参加を見送るように告げ、自身が対抗戦に出ると伝えた。
このことが切っ掛けで龍鬼とは険悪な雰囲気になるものの、後に現れた雷庵と光我自身の言葉により、状況は沈静化。約束を守れなかったと不甲斐なさに落ち込む光我に背を向けたが、去り際に山下を守ってくれたことの感謝、そして過去の光我との出会いを覚えており、「強くなったな」と光我の強さを認めたことで、記憶に留めていて貰えたこと、何より強さを認めて貰ったことで、彼に大粒の涙を流させた。
対抗戦開始前、光我の退院が決まったことで楓から退院祝いに誘われたものの、王馬なりの気遣いとして不参加。退院祝い中は蟲への対策なのか、烈堂と共に廃墟に潜んでおり、滅堂からの差し入れ肉にかぶりついていた。
退院祝いに参加しなくてよかったのかと烈堂に問われるが、彼等が慣れ合いを望んでいないと考えた上で、ただ強くなってくれればそれでいいと告げた結果、二年前からの変貌ぶりを烈堂に笑われる。
対抗戦当日は冷静に試合を観戦。光我への試合解説や状況分析に徹していたものの、第十二試合に登壇した飛王芳の流派が自身と同じ二虎流であることに気づき動揺。もう一人の二虎が生きていたことも知り怒りを滾らせる。
第十二試合終了後、二虎流の新たな奥義である神魔を多用したことにより、瀕死の重傷を負った飛と会話。飛の死によって二虎流を伝授された者が王馬のみとなり、虎の器と呼ばれる存在になったこと。自身が何者かのクローンであることを聞かされる。自身がクローンであることを知ったことで自身のコピー元が誰なのかを問いかけるが、その際に放った軽口混じりの言葉により、飛を動揺させる。
不意に何かに気づき、錯乱状態に陥った飛を落ち着かせようとするが、最初から王馬が虎の器だったことを伝えた後、飛は死亡。疑問点が多々残る状態でありながらも、真相を知るであろうもう一人の二虎については罠を張っている可能性を懸念し、追跡を断念。対抗戦に気を向ける。
最終試合、拳願会の大将として煉獄最強の闘士であるロロン・ドネアと戦う。序盤は呉の里にて習得した先の先を披露しロロンの猛攻を避け続けるが、黒木程の完成度には至っておらず、徐々に均衡が崩れていく。
やがて先の先が通用しなくなると一時封印。攻勢に出始めるが、何故か二虎流ではない謎の技術を披露。二虎流では無いと困惑する山下だが、後に迦楼羅の口からそれが呉の技であることが明かされる。
呉の技は二種類存在しており、暗殺に特化した呉一族伝・格闘に特化した呉家伝が存在するが、王馬は後者の技を習得。その内の一つ、超接近戦を前提とした影法師をロロンに対し使用するが、リング際に追い込まれていくが、ロロンの攻撃が直撃した瞬間、空中にて前転しつつその威力を活かし回転。そのまま肘鉄を頸椎に打ち込む技、回天絶牙を発動。ロロンの頸椎にダメージを与えるが、ロロンが関節のジョイントを緩めたことで威力は半減。再び追い込まれて行き、遂に一度ダウンを取られるが、その寸前に呉家伝「写し」を使用。ロロンの技術を読み取り、彼同様関節のジョイントを緩めることでダメージを最小限に抑えると、体力の回復を狙うべく10カウント直前に復帰。
その後は再び超接近戦を続けるが、その最中に瞬間的な前借りを発動。ロロンの攻撃のタイミングをずらし、カウンターを打ち込むことに成功する。二度目のカウンターではロロンに瞬間的な前借りの理屈を読まれかけるが、敢えて最大出力の前借りを行うことでまたもやタイミングをずらすと彼の顎に拳を叩き込み、意識が揺れた瞬間に二虎流「転地」を放ちステージに叩きつける。
遂に決着がつくかと思いきや、ロロンは辛うじて復帰。王馬も前借りの多用によって大きく消耗。互いに限界が近づく中、王馬はかつて雷庵に受けた呉家伝「地削ぎ」にてロロンを崩し、そこに二虎流「瞬鉄・砕」を打ち込む。
度重なる負傷により、とうとうロロンがダウン。そして訪れる10カウント。対抗戦最終仕合に勝利し、拳願会の勝利を確定させた。
戦闘スタイル
特に型などは感じさせないがスピードタイプ寄りのオールラウンダー型で、キックボクシング風の構えを取る。単純な殴り合いでも他の闘技者を圧倒するパワーとスピード、そしてテクニックを誇るが、多彩な技とそれを活かした駆け引きが最大の彼の強みである。また動体視力に加えて聴覚も優れており、蕪木戦で視力を奪われた状態でも高速で飛来する物質を回避・迎撃した。
「前借り」のイメージが強烈なため、力任せに殴って勝つのが得意という印象を受けるかもしれないが、実際は操流ノ型「柳」を得意としており、相手の力や体重を利用して攻略の取っ掛かりを作ることの方が多い。
奥義伝授の際には極限状態の中で、エンドルフィンによる肉体の限界を超える方法、あえて体力を限界まで使い切り、ハウスキーピングタンパクのみで体を淀みなく動かすという技術や、骨折した指を使う筋力を選んでそれなりに動かすという技術も習得している。
師が命を落とす前にその肉体には「枷」がはめられて、実力が完全に発揮できずにいたが、成長とともに徐々に綻びが生じ、トーナメント前の桐生との邂逅で完全に「開錠」される。のちにトーナメント2日目で精神統一をした際に本来の実力を取り戻すことになった。
二虎流
王馬の用いる謎の武術。十鬼蛇二虎が創設し、世間では一代で途絶えたとされている。
「操流ノ型」「火天ノ型」「金剛ノ型」「水天ノ型」という四つの系統と、番外扱いの「無ノ型」に分かれ、さらに四系統の技には「極(キワミ)」という、単に強力な技というよりむしろどのような状況でも最後まで使える奥の手がある。
二つの系統を複合した技も存在するほか、この四つの系統を極めて初めて習得可能になる「奥義」も存在する。
無手の武術であり、銃火器などで武装した相手を素手で制するための技も存在する。
王馬は操流ノ型と火天ノ型を得意としており、逆に金剛ノ型と水天ノ型を苦手としている。
- 「操流ノ型」
身体などの力の操作を行う系統。
相手の力の流れを見極め、タイミング良く少しだけその力に加重し、力の流れを乱して、最終的に力の潮流を己の支配下に置くことで相手の攻撃を逸らす「柳(ヤナギ)」は王馬の得意技。他にも、相手の攻撃を受け止めながら、打撃の力をそのまま返して関節を破壊する「絡み」、銃弾の入射角を見極め、手の甲の骨で銃弾の方向を変える「流刃(リュウジン)」が登場している。優れた動体視力を持つ王馬の最大の武器。
この型の「極」は、体内の力の流れを「操流」で増減することで必要最小限の力で体を動かす「傀儡(クグツ)」。
- 「火天ノ型」
歩法・走法が中心の系統。
焔のように揺らめいて敵を幻惑する「火走(ヒバシリ)」、瞬発力を生かして一気に間合いを詰める「烈火(レッカ)」、瞬時に死角へ移動し、まるで攻撃をすり抜けたかのように錯覚させる「幽歩」が登場している。攻撃に直接つながらないが、他の系統と組み合わせることで強力な一撃となる。
この方の「極」は、筋肉に頼らず、「骨で立つ」ことを極意とする歩法「縮地(シュクチ)」。
- 「金剛ノ型」
肉体硬化と打撃技に特化した系統。
攻撃の当たる瞬間に部位の筋肉を締め、あらゆる攻撃に耐える「不壊(フエ)」や、 不壊の要領で拳を固め攻撃する「鉄砕(テッサイ)」など、直接的な攻撃力・防御力強化につながる技が多い。
この型の「極」は筋肉を操作する事で、骨が折れている箇所でも問題なく動かすことを可能とさせる「抱骨(ホウコツ)」。
- 「水天ノ型」
肉体軟化と関節技に特化した系統。
王馬はこの系統を苦手だとして初期のころは使っていなかったが、トーナメント2回戦以降は多くの技を見せるようになった。極めながら投げ技に移行できる、あるいは敵の攻撃を回避すると同時に固める技が多い。
この型の「極」は、相手の体を利用して関節技・絞め技をかける「水鏡(みかがみ)」。骨折や怪我などで自分自身の腕では絞め・極めをかけられなくなったときでも関節技や絞め技を使うことができる決まった形が無い『無形の技』であり、二虎から「水鏡」や「極」について詳細を聞いた当時は「極」の割に地味で不細工な技だと言ってあまり好んでいなかった。
- 「無ノ型」
上の四系統のいずれにも当てはまらない技。本編では腹圧を高め一気に空気を放出することで、精神の統一や体内機能の調整を行う呼吸法として「空」という呼吸法が登場している。
- 体外離脱
二虎に教わった、睡眠中に行っているイメージトレーニング。現実と同じ環境を作り、対戦相手のイメージと戦闘をすることで戦闘経験を積む。14年毎日行っており、1回の睡眠で平均8戦している。
ただし、相手の実力を一部しか見ていない場合、仮想敵の強さも不完全なものとなる。
拳願絶命トーナメント中でも使用していたが、意図的に呼び出そうとしていなかった二虎が飛び出してしまう。
- 奥義「鬼鏖(キオウ)」
ニ虎流の四系統全てを修めることで初めて伝授される技。ニ虎によればこの技は全系統の上位にあるのではなく、中にあるのだという。
その正体は、相手の攻撃をそっくり受け流すことのできる四系統全ての要素を持ったカウンター技。原理としては、操流で力の方向をずらし、水天で脱力した体に威力を素通りさせ、火天でポジショニングを確保、金剛で受け流した威力を自分の力をプラスして敵に返すというもの。操流~水天~火天~金剛と繋げるカウンターを全て鬼鏖と呼び、ありとあらゆる局面で相手の攻撃の種類に応じて形を変える無形の技である。特に重要なのは力を流す方向を決める操流と脱力で威力を流しきるための水天。使い手の瞬発力・決断力・想像力・創造力などの質に直結するため、技の性質を見切ったとしても防ぐことが難しい。
習得には「感覚」をひたすら研ぎ澄ます過程が必須であり、そのために死の森として知られる餓鬼ヶ原樹海の内部に篭り、ひたすら組手を重ねることで心身を極限まで追い込むという形で行われる。二虎流のほかの技に比べて遥かに習得難度が高く、命懸けの荒業を乗り越える必要があるので、ニ虎も伝授にはあまり乗り気ではなかったほどである。
加えて、自分の体を「道」にして力を返すという特性上、内臓への負担も大きい。
- 「前借り」
意識的に心拍数を高めることで血流を加速させ、発生した熱量を運動能力へ変換しスピードを急上昇させる謎の技。詳細は該当項目へ。
- 「先の先」
相手の「気の起こり」を読み、攻撃を受ける前に回避を行う先読みの極地。呉の里にて匿われていた二年の間に身に着けた模様。ただし黒木程の域にはまだ達しておらず、発展途上といったところ。
呉家伝
呉の里での2年間のリハビリ及び隠遁生活の中で、呉恵利央から教わった、呉家の技。呉家に代々伝わる技の中でも『外し』を除いた、暗殺に向いてる技を体系化した『呉一族伝』とは違って、格闘戦を想定した技術体系である。恵利央によると呉家伝は元々は宗家の人間にしか継承されなかったらしい。
最初に恵利央から「呉の技」を学ばないかと言われた時には、王馬は自身を殺し屋にするのかと言っていたが、教えたいのが『呉家伝』の方であり、『呉家伝』について詳しく聞くと「呉の格闘術は面白そうだ」と乗り気になって、恵利央からは望むなら『呉一族伝』の方も教えようかと言われたが、王馬は人を暗殺する予定が無いことから遠慮すると断っている。
二虎流には無い超至近距離での戦闘にも対応しており、『呉家伝』を修得した事で超至近距離での格闘戦にも対応できるようになっている。
余談
- モデルは仮面ライダーカブトの主人公・天道総司との事。
- 2・14巻おまけ漫画では十鬼蛇馬王(まお)という女体化キャラが登場している。他のキャラクターも軒並み女体化されているが、名前が変わっていたのは王馬だけである。
- 単行本に収録された(実は原作者が同じで同一世界での話でもある)ダンベル何キロ持てる?とのおまけコラボ漫画(しかもケンガンアシュラとダンベルの両方に収録)では大食い大会で「ダンベル」の主人公・紗倉ひびきと対決しており、ひびきの大食いっぷりに恐怖を抱いた王馬は「前借り」を使用してまで勝とうとしていたがそれに負けじとひびきも生来の脅威的な食欲を全開にしたため、結局勝負は引き分けに終わり賞金の十万円は半分の五万円ずつに分けられることになった。
範馬刃牙vsケンガンアシュラでは
地下闘技場と拳願会の交流試合前に都内の橋で範馬刃牙と出会う。その際、お互いに「近いうちにコイツと戦う事になる」と予感していたようだ。そして、最終・第三試合で刃牙と対戦。地上最強の生物・範馬勇次郎の血を継ぎ、更に数多の格闘技を習得している刃牙にいきなり今井コスモしか使えないはずの死角を突く技『ゾーン』を決められて序盤は圧倒されてしまう。その際、「コイツ…!半端じゃねえ!」と刃牙の実力を認めた。刃牙もまた王馬の実力を認めており、更に戦いに身を投じる王馬に共感を感じており、「アンタは同類」と心中で思う。ニ虎流の技や憑神で刃牙に対して反撃を開始する王馬。刃牙も鞭打や消力で対抗。そして刃牙が必殺の『ゴキブリダッシュ』を仕掛けるも、王馬はこれを正面から打ち破る。お互いに戦いを心から楽しんでいたが、途中で勇次郎が乱入。勇次郎は王馬に興味を示し、「俺に代われ」と一方的に刃牙に告げる。当然、刃牙は反発。王馬も刃牙との戦いを邪魔された事で勇次郎にキレた。その時、かつて拳願絶命試合で王馬を負かした黒木玄斎も乱入した。勇次郎の興味は王馬から玄斎に移る。勇次郎と玄斎はお互いの事を知っていた。勝負を台無しにされた王馬と刃牙は怒りが頂点に達して勇次郎と玄斎に襲い掛かるが、二人に難なく止められてしまった。それを見た交流試合の主催者である片原滅堂と徳川光成が「三番勝負が台無しだ」と中止を進言。「お主らの舞台はいずれ用意する」という両者の言葉に玄斎は「この黒木、確かに聞き届けた」と納得して去り、勇次郎は「興が削がれた」と不機嫌な面持ちで去って行った。王馬は刃牙に仕切り直しを提案するが、刃牙は戦いを再開しようとはしない。実は先ほど二人が勇次郎と玄斎に襲い掛かった時、二人から逆に強烈な一撃を食らって戦いを続行する事が不可能になってしまっていたのだ。「悪い事したね、ウチの親父が」と謝る刃牙に対して王馬は好感を抱き、いつの日かの再戦を約束し合った。第三試合は両者負傷で試合続行不可能により引き分けという結果となった。
交流試合終了後、王馬は体外離脱で、刃牙はシャドーボクシングでお互いの姿を思い描いて、いずれ来たる再戦に向けて更に力を高めるのであった。