英はじめ
はなふさはじめ
帝都大学に所属している闘技者。本業はフリーランスの外科医であり、医者としての腕前は一流である。
その正体は政府お抱えの始末人(エージェント)であり、表向きの法律で裁けない悪党を幾人も闇に葬っている。それ以外のことは一切不明であり、拳願絶命トーナメントに出場した動機も謎である。
濁り澱んだ眼と薄ら笑いを崩さないポーカーフェイスが特徴的な優男だが、闘技者に選ばれるだけあって引き締まった筋肉を持っている。
冷酷無慈悲なサイコパスであり、相手を殺すためなら手段も倫理も問わない非情の殺し屋。力及ばず死なせてしまった患者達をアルバムに残しその悲しみと絶望感に酔いしれたり、驚異的な能力を発揮する闘技者を自身の興味から他の闘技者を生きたまま解剖したがるなど、かなり倒錯した価値観の持ち主である。医者になったのも善意からではなく、自身の知的好奇心を満たすためであり、人を切り刻みたいから手術がしたいと公言している。原作者曰く、「理性で狂気をコントロールしている狂人」とのこと。
外伝では、ベッドで寝ている闘技者を解剖しようとしたり、仕合による怪我の手当てに来た闘技者に対して、治療前に献体同意書にサインさせて同意を得る事で合法的に解剖しようとしていた。因みに、治療に来た人たちは献体同意書の献体を何故か県大会と勘違いしていた。最も怪我の手当てをしに来た人達は、元不良や日本語にあまり詳しく無い外国人だったので、献体の言葉の意味そのものを知らなかったのだと思われる。
人として大切な部分が壊れきっているものの、医師としてはとても真摯であり、患者の精神ケアまで視野に入れた治療を心がける名医である。どんな難手術も成功させて幾多の負傷した闘技者を(身体に対する興味もあるが)助けており、彼が治療に関わって復活しなかった者はほぼいない。はっきり言わずとも闘技者より圧倒的に医者としての活躍の方が大きく、『チート』『ケンガン界のブラック・ジャック』と呼んでもなんら差し支えない。
しかも、格闘漫画として反則と言えるが、後述の様々なウイルスを用いれば最強クラスの相手が束になっても道連れに出来てしまい、ある意味でこっちもチートであり、様々な武芸者(過去と現代の滅堂の牙や殲滅部隊も含む)を一方的に倒していった“繋がる者”を擁する“蟲”を交渉の場に立たせた。
意外と茶目っ気があり、入浴時に浮き輪を用いたり、小児患者と車いすでレースをしたり、山下一夫と夏休みの小学生のような出で立ちで遊びに出かけたりと枚挙にいとまがない愉快な狂人である。また、後述の戦闘するための自分造りは、ロボットに憧れる少年のそれである。
ネタバレ注意
トーナメントが開催されてからは医務室で負傷者の治療を行っていたが、本人もトーナメントに出場。尚医務室に元々いた医師は「自分よりもはじめの方が腕がいいから仕方ない」と認めていた。
その本当の目的は拳願会ではなく、対戦相手の殺人鬼であり十王通信の闘技者である坂東洋平を殺害することだった。坂東は現在の死刑である絞首刑では殺害できず、このことが世間に知れ渡り過激派の活動を活発化させるのを防ぐために英がトーナメントに出ることになったのだった。
序盤はスピードを用いて坂東の経穴を突いていくものの効果が見られず、首の経穴を突いたにもかかわらず、逆にこちらの指が折れるといった不可解な現象が起きる。
これらから坂東は「常人離れした関節の持ち主」だと暴き、効果が小さい経穴を突く戦法から、骨剣や踵の高圧ガスを用いる隠し武器によって戦う戦法に切り替え、再び坂東を圧倒する。
しかし最後は坂東の鳩尾に骨剣を刺すも、頚椎を躱され致命傷を与えられず首を折られて死亡した。
「ふぅ···生き返った」
と思ったら、大学学長・太宰が首をポキと鳴らしながら元に戻すとまさかの生きていた。本人曰く死んた時の為に復活できるように体を改造していたらしい。なんなんだアンタは。
とは言え、飽くまで無理矢理心肺を稼働させ続ける仕掛けなど諸々なので、首をもう一捻りされたりなど念入りにとどめを刺されていたら蘇生は不可だった模様。
一方で勝利した坂東は、英が仕込んでいた殺人ウィルスが全身に回っていることに気づく。英の「もはや勝敗などどうでもよいが」という仕合中のセリフが、戦闘狂の本性を表したものではないことに気づきながら坂東は倒れた。
自身の仕合終了後は医務室にて引き続き闘技者の治療を行うが、二回戦目にて坂東の生存が発覚した際に腰を抜かす。が、すぐに様々な情報を分析の末に、生存に古海製薬が関わっていたことに辿り着き、落ち着きを取り戻す。
東電によるクーデターにも参加。重傷を負っている十鬼蛇王馬、茂吉・ロビンソンを守るべく、守護者と戦いを繰り広げる。
三回戦目以降は闘技者の中でも特に重症である王馬の治療に携わっており、的確な処置を続けることで最後まで王馬の戦いを支援した。
トーナメント終了後、祝勝会の最中に吉沢に呼び止められるが──
この先、作中でも特に重大なネタバレが含まれます。ケンガンオメガ6巻の閲覧を推奨。
トーナメント後、英の元に生きた謎の「心臓」が届けられていた。それとほぼ同時に王馬の衰弱した心臓の状態を知ると、何者かの介入があることを知りながらも王馬の延命のために心臓移植を行う。
手術自体は無事成功したものの、状況が状況ということもあり表向きは手遅れということにして護衛者・呉一族の協力を得て王馬と共に呉の里に避難していた模様。
拳願会と煉獄との対抗戦でも医師として負傷者の治療に当たっていた。
また、赫と接点があり、彼の整形と能力のため改造を施していた。
下記の霊枢擒拿術と自身の肉体に施した様々なギミックで戦う、ぶっちゃけ改造人間。拳願仕合は、武器の使用を禁止しているが、仕合前のチェックをすり抜けてバレなければ(要するに暗器を仕合内でバレない範疇での使用なら、仕合後に発覚しても)スルーされる。しかし、人体の(筋トレ的にではなく物理的な)改造で肉体の一部として、会長も容認したために坂東戦では許されたが、恐らくだが次戦以降はチェックも厳しくなり、ギミックの多くはバレれば反則の可能性も高く、また身体をボロボロにするため常人では到底扱えるものではない。しかし大脳視床下部に術式を加えることによって、痛覚を遮断している。これによってあらゆる改造に対しても、また敵からのダメージに対しても英は平然としていられるのである。
しかしそれを除けば、反射神経や動体視力などの基本的な身体能力は並レベルで、複雑な攻撃や精度の高い技術への防御や対応力は闘技者としては難がある。
霊枢擒拿術
中国の古典三大医書のひとつ『黄帝内経』に記されていたとされる、指先を鍼に見立てて人体急所の経絡経穴を突く中国武術。一般人が相手なら、一撃で心臓に致命傷を与えて死にいたらしめることもできる。
ちなみに現実では『黄帝内経』自体はほとんどが失伝しており、この「霊枢擒拿術」も架空の武術であるものの、「擒拿術」自体は実在するれっきとした中国武術である。
骨剣
自身の大腿骨を削りだして作った刀。腕部の筋肉を収縮させて掌を突き破ってせり出させる隠し武器である。ウルヴァリンかアンタ。
一応骨剣は自身の身体の一部に含まれるため、ルール上では違反ではない。骨剣を見た会長は笑いながら今後は『肉体改造の制限』のルールを追加すべきと進言した鷹山の意見に「面白いから変えなくていい」と言っている。
踵高圧ガス
踵に仕込んだ高圧ガスによって蹴りとジャンプを瞬時に強化させる。当然使うと踵に穴が開く。
ただの鋭い蹴りにも見えるためか、これも反則を取られていない。
殺人ウイルス
自身の血中に仕込んだ致死力の高いウイルス。血液感染のため感染力自体は低いが、その気になればバイオテロが出来るウイルスも使用できるとのこと。自身は複数のウイルスの抗体を持っているので使用が可能になっている。
仕合中に血を付着させた骨剣を利用して坂東へ血液感染でウイルス感染をさせており、坂東が感染に気づいたのは仕合終了後であった。
本人は坂東へ使ったウイルスよりももっと強力なウイルスを使いたがっていたが、もし使用した場合は観客まで死んでしまうので上からの指示で止められていた。
余談だが前日譚である「ケンガンアシュラ0」では、自分への改造案を練る姿はロボットに憧れる少年そのものであり嬉々としてサイボーグ化させ、隠し武器のアイデアを考えているときに「毒物はどうだろう」と言っている。
また公式のトリビアで「全闘技者中唯一汗をかく描写が無い」と紹介されているが、その理由が肉体改造によるものなのかについては明らかにされていない。
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