「気が変わった。お前に、私を殺すチャンスを与えよう。」
概要
『繋がる者』と呼ばれる蟲、並びに呉氏征西派の頂点に君臨する人物。
かつては古代中国の山奥に存在する仙人と噂され、臥王鵡角は代々の血族が襲名する形で存続していたと推測しているが詳細は不明。
基本的に俗世と関係を持つことはなかったのだが、1300年前に生まれた『狂った個体』が当時の蟲の頭領を倒し蟲を支配、その後呉氏を完膚なきまでに打ち破り、呉が三つの一族に割れる原因となった。
また本人の弁によれば呉黒に回生を教えた張本人であり、自身も回生によって数千年分の知識と経験を継承しているものと思われる。
かつて片原滅堂と呉恵利央が蟲の襲撃を打ち破った際にも、その当時の繋がる者と思われる人物が炎越しに姿を表しており、彼らの勝利を宣言し姿を消したものの、滅堂と恵利央はそれだけで気圧され動けなかったとのこと。
人物
普段は天然でマイペースなおじさんであり、側近であり、蟲の頭領である夏厭からもいい加減呼ばわりされている。服装も初登場時こそ仙人、と言った風体だったが、次に現れた時には全身ジャージで下駄を履いているというとても組織のボスとは思えない格好で行動している。
日本に来てからは厭と共に餃子やラーメン、ビールなどあちこちでグルメを食べ歩きをしたりドラマの影響を受けてナレーションを入れながら中華チェーン店でセットメニューを楽しむなど日本を満喫しまくっている。この際、特に意味のないことをそれっぽく語っていた。
また、天然でマイペースなおじさんというキャラクター性から読者からは度々成島丈二と似ていると指摘されていたが、実際に対面した際には出会った瞬間意気投合して腕を交差させながら互いにビールを酌み交わしており、彼から『成島麦酒会中国支部長』に任命されている。
しかしそれらの態度とは裏腹に少しムッとした程度で対峙した相手がバラバラにされたと感じる程の圧を放つ、本人が「生まれて初めて誰かにこれほど怒っている」と評する程感情を露わにした際には周囲の人間の体感温度が寒気を感じる程下がる等、自身の感情一つで周囲を左右する程の存在感を持つ。
また、普段の態度故にいい加減に見られがちだが、厭をボスに任命する際に組織の責任の所在ははっきりさせる(厭からは自己責任と言う名目で投げっぱなしに思われた様だが)、夏忌との会話で日本語の習得を確認する、食い道楽に行く際は事前にリサーチしておくなど、基準こそ自分勝手だが、必要なポイントでやるべき事はやっている面が見られ、彼の真の力量を考えると、いい加減なのは本当に問題ないから重要視する必要がないだけなのかもしれない。
重瞳と呼ばれる中国における貴人の証があり、瞳が二重になっている。
戦闘力
詳細不明だが、80年前に臥王鵡角が『我王』仲間達四人と共に襲いかかった際には憑神の原型を使用した猛者達が虐殺と呼ばれる程、ハエを払うように一方的に叩き潰されるなど常軌を逸した強さを持つ。
その戦闘スタイルは謎が多いが、『理合』と呼ばれる技法を用いており、力の点を抑えるという(本人曰く)誰でも出来る技術で敵を圧倒している。これを用いて指先一つで槍による刺突を止めるなどの芸当も可能。
『理合』とは別に、回避能力も尋常ではなく、全力で当てに行った攻撃すら『まるで最初から当たる気がなかったように届かない』という『先の先』の到達点のような能力を持っており、現段階でも作中最強格のキャラクターとなっている。本人も強さに関しては『お前達の基準』と言っており、後述の記述通り他のキャラクターとは別次元の強さを持っている。
厭によると恐れるにはデカ過ぎることから大抵の奴はその怖さに気づかないとのことで、自身に初めて会った、ウィレム・呉が凄みを感じなかったから、当初は影武者かと思ってたが、突如自身の身体が震え出したのを厭が見ると『良い直感をしてるね』と評価していた。
本編
潜伏生活をしていた所を確保され頭領直属兵に連れてこられた夏忌に厭と釣り堀で釣りをしながら声を掛ける形で初登場し、この際に名前も明かされている。職務怠慢から忌を始末しようとする厭に対して許してやれと進言するも、忌が返事をしなかったことで少し機嫌を損ねたようで、自分がコマ切れにされるイメージを忌に見せつけた。
結局、忌は新たに任務を言い渡され、監視と失敗時の始末を言いつけられた直属兵二人がその場を後にした時には、下手をすれば忌に二人とも殺されるかもしれない事を厭に告げていた。
その後、街中で餃子を食べながら忌の敗北を受けて、もう忌を放っといてやれと命じるとともに正面から忌を倒した光我に興味を抱き、会ってみたいと厭に提案するが、拳願会とは戦争中だという当然の返答にあっさり引き、次は家系ラーメンを食べたいと相変わらずマイペースな様子だった。
後日、ビアガーデンでビールを飲む光我を、別卓からビールを飲みながら確認していたが、先の発言をすっかり忘れているようでビールに夢中だった。「この野郎もう興味を失ってんじゃねえか」by厭
拳願会と煉獄の合同トーナメント戦鬼杯においては本選トーナメントを観戦。その際、山下一夫の隣に座り彼と意気投合していた。名前を聞かれた時はジャッキー・リーと偽名を名乗って「贅沢な名前ですね」と評されている(裏格闘観戦なので偽名を名乗っても不思議はないので一夫も空気を読んだと思われる)。
一夫、及び成島丈二らとも知り合い共に飲み食いしながら選手達の熱闘を楽しく観戦していたが、殺意を隠さないで戦う龍鬼に関しては「酷いものだ」と見ており、龍鬼の敗北後は誰かへの怒りを燃やしながら会場から姿を消した。
以下ネタバレ注意 |
---|
会場から姿を消した後は『中』に移動しており、厭、ギルバート呉、十鬼蛇ニ虎たちと合流し龍鬼の奪還のために動き出す。
一方その頃、王馬や烈堂、光我たちは『中』の一角にて臥王鵡角と遭遇。その際、鵡角の口から彼の出自、そして王馬と龍鬼の二人は彼のクローンであり、申武龍のクローンは何故か大半が失敗に終わるらしく、龍鬼は最後の成功例として蟲に狙われていることが明かされた。
申武龍自身も龍鬼を「私」として執着しており、奪還の為に自ら足を運ぶ程重要視している。
そして『中』にて龍鬼と深い関係にある臥王鵡角と対峙。彼との戦いでそのあまりにも恐るべき戦闘能力が明らかとなる。
鵡角の手甲をブラフにした忍者刀での刺突や、鉄礫などの攻撃を全て回避しカウンターを入れ、槍による不意打ちすら指先一つで止めるという規格外っぷりを見せつけた。
そしてかつて自分に敗北してからも研鑽を辞めなかった鵡角を見て気を良くし、自分を殺せるチャンスを与えると手加減を始める。だが手加減の内容は腱の位置をずらして筋力を制限し、反射神経を引き下げ、脳機能の一部を停止させるなど化け物じみた方法だった。さらに恐ろしいことに、この状態にならなければ彼の強さを肌で感じられないほどに彼とそれ以外の人間には隔絶した実力差があり、鵡角は『むしろヤバくなってる』と錯覚するほどだった。
手を抜いた状態で鵡角と交戦するが、この状態ですらたった三発で鵡角をグロッキー状態に追い込んでいく。だが鵡角も尋常ではない執念で彼に食らいつき、一酸化炭素を用いて動きを止め、刀で切り掛かるという方法で彼に襲いかかったが、老化を緩やかにするためにある程度呼吸を止めることができるインダスの秘法『ヨーガの呼吸』を使用していたことにより失敗に終わる。追い詰められた鵡角が気を逸らそうとして『クローンなら十鬼蛇王馬もいるのに何故龍鬼に拘る』のか聞かれると、王馬が自身のクローンである龍鬼と同じ顔をしているのに『十鬼蛇王馬は私では無い』と言う謎の返答をする。そしてその言葉の真意を理解した鵡角を用済みと言わんばかりに刀で斬り殺した。
その後、厭に十鬼蛇二虎らと合流し、傷を負った自身の身体を見た厭からは勘弁してくれと呆れられ、自身の身体能力を制限して鵡角と闘ったことを伝えると「ほんと余計なことしかしねえなお前」と怒っており文句を言われた。本人は何故厭が怒ってるのか疑問に思いつつも、要件は片付いたから食事に行こうと『中』を出て外に行った。
その後は成島丈二と共に拳願仕合を共に観戦したりしたが、蟲の宣戦布告と共に拳願会の会員らに自身の状態を明かす。そしてその状態を知った成島と一触即発となるも、「飲み友達は殴れない」と交戦するつもりは無く、自身も友達は殴りたくは無いからとさようならと別れをした。
だったはずが友人である成島に頼まれて拳願会の面々に自分の攻略法を教えることになった。