曖昧さ回避
- 板垣恵介の漫画作品『刃牙シリーズ』の主人公。ここでは彼について取り扱う。
- その『刃牙シリーズ』の第3部のタイトル。ヘビー級世界チャンピオン・アイアン・マイケルや体重100kgの昆虫の幻影との戦いを描く「シャドーファイティング編」、アリゾナ州立刑務所でビスケット・オリバとの死闘を描く「監獄バトル編」、1億9000万年の眠りから覚めた原人・ピクルとの戦いを描く「野人戦争編」、範馬刃牙とその父親である範馬勇次郎との親子喧嘩・最終決戦を描く「地上最強の親子喧嘩編」に分かれる。秋田書店の漫画雑誌「週刊少年チャンピオン」2006年1号から2012年38号まで連載。
プロフィール
- 年齢:13歳(幼年編)、17歳(地下闘技場編~)、18歳(『範馬刃牙』~)
- ファイトスタイル:トータル・ファイティング
- 身長:167cm→168cm
- 体重:71kg→76㎏
- CV:山口勝平(OVA…ゲーム版)/菊池正美(2001年TVアニメ版)/島﨑信長(2018年TVアニメ版)
人物像
母親は朱沢コンツェルンの総帥・朱沢江珠。
父方の祖父は『勇次郎よりも先にアメリカに勝った男』範馬勇一郎。
幼いころから両親によって格闘技の英才教育を受け、あらゆる格闘技を体得していく。
そこらの同年代とは比較にならない力量を持つも、中学生時代に父に挑んで敗れ、「喰われ」そうになったところを母が身代わりになって救われる。だが、それにより江珠は命を落とし、この一件で復讐を誓った刃牙は父を超えることを目指し始める。
勇次郎が性格・言動ともにかなりぶっ飛んだ人物なのに対し、刃牙は(作中でいえば)かなり良識的で控えめ(と思ったら感情に任せてで相手にとっては理不尽な暴行をした事もある)。劇中での言動を見る限り父親の奔放ぶりを反面教師としたようだ。
作中の他の格闘家たちと決定的に異なる点は、「最強」と言うものに対する考え方。
他の格闘家は文字通り「全ての人間(ひいては生物)の中で最も強くなること」が目標であるが、刃牙はそうではない。刃牙はあくまで「父親を超えること」が目標なのであって、その父親がたまたま地上最強の生物だったために、最強になる事と結果的にイコールになっているだけである。
それを端的に表す例として、「親父がもし地上最弱の生物なら、俺は2番目に弱い生物でいい」と語ってもいる。
ただ、動機および最終的な目標は異なるものの、戦うことへの本能と姿勢は本物であり、強くなるためならばいかなる努力も惜しまない(闘いたくない相手に無理矢理襲い掛かった事も何度もある)。
ちなみに彼の性格は(当然だが)年相応の違いがあり、中学生時代はかなりのヤンチャだった。
特に作中では言及されないが語学は達者で、少なくとも英語は常用レベル。幼少期から外国人トレーナーに囲まれていたせいだろうか。しかし学業の成績はよろしくない上に長期欠席も多い。
また、一人暮らしや武者修行で培ったのか料理も上手い。
一方で、日常生活の端々でその超人的な身体能力を意図せずして発揮してしまう場面が多々あり、力の加減が苦手である節が見られる。その結果、学校の体力測定でも測定不能の珍記録を連発し、「自分は体力がないのか」と思い悩む羽目になっている。
ちなみに、強くなるための恋人との脱童貞のエピソードを描写する「バキ外伝SAGA」はわざわざ青年紙に掲載を跨いでいる。コミックでも分けられているので探す場合は留意。
ストーリー(時系列)
幼少期
幼い頃に父である範馬勇次郎から格闘技の英才教育を受け、ある時期からは母である朱沢江珠によって科学的トレーニングを行う。しかし、それによる結果が散々であった事から母の手を離れ、独自にトレーニングを行う。
その後、そこらの同年代とは比較にならない力量を持つも、父に挑んで敗れ、「喰われ」そうになる。しかし母が母性に目覚め、勇次郎に戦いを挑んだことで救われる。しかし、それにより江珠は命を落とし、この一件で復讐を誓って旅立つ。
旅を続ける中で、東京の地下闘技場の存在をしり、その元締めである徳川の自宅に赴く。
戦闘スタイル
バキ(刃牙)の戦闘スタイルは、多種多彩な格闘技を織り交ぜた自己流の武術(トータルファイティング)とでも呼ぶべき独自のスタイルである。武道家や剣士などのあらゆる武のカリスマの技を吸収し、進化させることによって生み出されたそれは、あらゆる局面における戦闘を可能とする。
中でもイメージトレーニングの能力は群を抜いており、体重100㎏のカマキリとの戦闘をイメージ(飽くまでイメージ)した際には、実際に血を流し、自らコンクリートの壁が砕け散るほどの勢いでぶつかるなどといった冗談のようなトレーニングをおこなった。
2分(くらい)でわかる刃牙の偉業の数々
- 13歳の時、ゴリラより強い夜叉猿と闘い白星を収める(が、一度は逃げている)。
- 蹴り1発でヤクザの組長の机をビルの外まで落とす。
- 素手の一撃でプロボクサーを10mは吹き飛ばせる怪力男にコンクリートの壁をぶち抜く勢いで殴り倒された挙句、振り回されたゲームセンターの匿台で殴られても(なんとか)立ち上がる(しかしその時に殴られても起き上がれた理由が「気付けの為に口の中にガラス片を入れていたから」)。
- 剣の達人に日本刀で斬られても刀より早く回転して攻撃を無効化し、その勢いで剣士を蹴り倒してKO。
- 前述した怪力男のパンチを受けても痛がるそぶりも見せない(が、その数年後の話では普通に吹き飛ばされたりもしている)。
- 20㎏の錘と片足2㎏の靴を着用してその怪力男と狼の群れ相手に無双出来るボクサーの二人相手にスパーリングして一応優勢になれる。
- 「人間の反応速度を越え、先に出した奴が確実に勝つ」とされるスピードのパンチを掴んで止める。
- 身長240㎝の巨漢レスラーを倒す。
- 上腕二頭筋を食いちぎられても自力で止血。しかも勝利する。
- 格闘技界の強者が集まる最大トーナメントで優勝。自分と同じく範馬の血を受け継ぐ兄を打ち倒し、父勇次郎の予想を覆した。
- 立ち幅跳びで砂場を飛び越える。
- 筋力がありすぎて鉄棒が下手糞。理由は鉄棒を引っこ抜いてしまうから。
- 持久走で世界記録級のタイムを叩き出し……かけるが、イメージトレーニングが習慣化しているせいかコンダラを引っ張っているイメージを無意識に反映させてしまい大減速。
- 拳を握り力を込めるとギプスを飛散できる。
- 達人レベルの格闘家を圧倒する最凶死刑囚の柳龍光とシコルスキー相手に終始優勢。
- 巨岩を素手で真球にする武術家を(病気で死にかけていた時ですら)子ども扱いできる。
- 勇次郎も名前を知っていた郭海皇の息子、『狂獣』郭春成を2秒でKO。
- 動きが速すぎて常人には消えたようにしか見えない速度で瞬間的に殴り合いが出来る。周囲を包囲した警官数名に全く反応させずに制服のボタンを引き千切る。
- 小学生のケツを叩いて8mほど吹っ飛ばせる。
- 四方八方から発射される拳銃の弾丸を銃口すら読まずに難なく回避。
- アメリカ・アリゾナ州立刑務所では自動小銃を構えた所員5人以上に囲まれた状態で、素手のまま武装した所員全員を人質に取って言う事を聞かせる。
- アリゾナ州立刑務所では懲罰室で手を背中に回し親指と親指を拘束具で繋げられていながら、肩の間接を外して手を前に回し、脇を自分の筋肉だけで圧迫して絞めることで、血の流れを少なくなることで指が細くなり拘束具を外す。(まあ…原理は分かるが普通なら圧迫したんだから腕が痺れて暫く動かせなくなる)
- 自分より100kg近く重いオリバとのパンチのラッシュに真っ向から力押しで勝つ。
- 範馬勇次郎を技に追い込むほどのパワーを持つピクルに地下闘技場のど真ん中から観客席まで蹴り飛ばされても生存(が、確りと気絶している)。
- 上記のピクルパンチを食らいまくっても耐え抜く。
- というかそれ以前にピクル戦初っぱなから地下闘技場の天井近くの高さから2回落下してるのに普通に生きてるうえに、ダメージ回復に務めながら戦ったとはいえ、そんな状態でピクルとやりあえてる。
- 恐竜をはるかに上回る程の速度で動くピクルの攻撃を見切り、それどころか着いて行くほどのスピードを習得。
- とうとう勇次郎から「お前の拳はいかなる銃弾より迅い」と言い切られる。
- 挙句の果てに勇次郎に足を掴まれ、ワゴン車に叩きつけられても車の破片で人形を作って勇次郎にプレゼントする。
- そんな父親との決着は「エア夜食の親父の作ったエア味噌汁の味が薄い」とエアちゃぶ台返しで父親以上に自分の我儘を通した事(ただしそれ以前に勝負では負けたと悟っており、結果として引き分け)。
…コイツは人間なのか?
「地上最強の親子喧嘩編」以降は人類最強の勇次郎と張り合った事で相対的にそれ以下の相手しか現れなくなってしまい、新しく登場した戦士たちでも刃牙が相対しても刃牙が苦戦やダメージらしいダメージを負う描写がなくなるという弊害が生じている。
因みにキャラクターのモデル(外見やファイトスタイルなど)は総合格闘家の平直行で「グラップラー刃牙」第5巻巻末に紹介、コメントも掲載されている。また、OVA版では審判役で出演した。(空手【極真会館宮城支部→大道塾】を始め、高校時代にはボクシング部に所属、修斗、ブラジリアン柔術、シュートボクシング、プロレス【みちのくプロレスや格闘探偵団バトラーツ(解散)などで活動】、総合格闘技【リングス】を経験。また一時期「すき家」に勤務していた。)