概要
読んで字のごとく『鞭のように打つ』行為を表す。似たような技にビンタが存在するが、こちらが主に相手の顔に向けて放つのに対し、鞭打は目に見える相手の肉体全てが標的となり得る。
指・掌・腕・肩。打撃を繰り出す際、本来は力を籠めるべき部位で敢えて脱力。振り子のように自然体で揺れ動くそれらの器官は徐々に重みを増していき、インパクトの瞬間にのみ圧倒的な加速で対象の肉体に打ち付けられる。
この技で特筆すべきは、『破壊力』ではなく『相手に与える苦痛』の甚大さである。「人体最大の器官」に余すことなく打ち付けられるその打撃は、大男から赤子まで等しく感じる絶大な痛みを繰り出す。肉体的ダメージは他の打撃と比べ遥かに脆弱だが、こと「痛みを与える」という一点に関しては他の追随を許さない。あらゆる人体の耐久力を貫通しうる妙技である。
これを用いた中国拳法が『劈卦拳(ひかけん。あるいは劈卦掌(ひかしょう)とも)』。
ゲームではDOAのエレナや、鉄拳のリン・シャオユウの流派でもある。
女性の使い手が主なのは、鍛えると指先に筋肉がついて太くなりがちな男性よりも細く長い指である女性のほうがより鋭い鞭打を放てるからである。迅い振りができれば筋骨隆々になるまで鍛える必要がないと言うのも、キャラクターデザインとしてやりやすい。
スタイルのかみ合い上八極拳との相性が高く「八極と劈卦を共に学べば神ですら恐れる」と言われるほどである。
主な使用者
『最凶死刑囚編』にて登場した唯一の日本人死刑囚。掌の内側に真空を作り出す武術「空道」を極め、上記の脱力と合わせた鞭打は常人には視認不能な程の速度に達し、人間の皮膚を抉り取るほどの殺傷力を持つ上、足でも自在に放つ程の技量を誇る。範馬刃牙に対し使用し、彼の肩や足を削り負傷させるも恋人の前で並外れた根性を発揮している刃牙をのた打ち回らせるには至らず、逆に同様の手段でやり返され、苦痛に顔を歪ませた。
ご存じ地上最強の生物。本人は「女子供の技」と一笑に付しているが、相手に苦痛を与える際の有用性は熟知しており、刃牙との親子喧嘩の最中に使用。最強の肉体から放たれる全霊の一撃は、これまで刃牙が経験したあらゆる苦痛をあざ笑うかの如き圧倒的な激痛を生み出した。
我らが主人公。上記の二人に加え、野人ピクルに対して使用。驚異的な脱力による鞭打は、柳は勿論、かつて恐竜たちと死闘を演じた圧倒的タフネスのピクルにも絶大な効果を発揮した。ただし勇次郎に放った際には、全身の筋肉の全力同時稼動による苦痛により鞭打の痛みを紛らわされ、無表情(全身剥き身が如く筋肉や血管が隆起)で耐えられた。地上最強のやせ我慢。