柳龍光
やなぎりゅうこう
世界各地で同時に脱獄した『最凶死刑囚』の中でただ一人の東洋人。デカブツばかりの最凶死刑囚の中では小柄で、身長は160㎝にも満たない。
「猛毒 柳」の異名を持つ。
殺人のために投獄されていたが、ある日「敗北を知る」ために、刑務所の防弾ガラスをぶち破り、看守を殺害して脱獄する。
まずは渋川の元を訪れ、出された茶のためのヤカンを投擲ではなくキャッチしやすい緩いパスで不意を突き、しょうもない嫌がらせの様に勝利。
その後、徳川光成に呼び出され、死刑囚VS格闘家のファイトに参加することを誓う。
ファイト開始後の初戦では、用務員に化けて範馬刃牙の高校を襲撃。駆け付けた渋川と協力して反撃する刃牙に苦戦するも、『空掌』を使用し彼を倒した。パトカーが駆け付けたため、とどめは刺さず逃走したものの、「最大トーナメント」後はじめて刃牙に土をつけたキャラとなり、読者に衝撃を与えた。
しかし、最凶死刑囚としての強さと存在感を放っていたのはこの辺りまでであった。
その後しばらくは都内に潜伏していたが、花山薫に敗れたスペックが老化し、烈海王に敗れたドリアンが幼児退行し、シコルスキーが捕縛され、ヘクター・ドイルが烈・愚地連合軍に敗北するに至り「さすがにヤバい」と思ったのか、再び刃牙を襲撃。「毒手」を用いて、彼に後々まで響くダメージを与えることには成功したものの、色を知って強くなっていた彼に叩きのめされたばかりか、脱獄したシコルスキーと二人がかりでも歯が立たず、挙句花山薫に威圧され、決着すらも出来ずにあっさり逃がしてしまう失態を演じる。
続いて愚地克巳となれ合いを始めたドイルを粛清するためにタンカーに乗り込み、彼を襲撃。毒手で彼の残った眼を侵し、ここでは勝利を収めたものの、腕内に仕込みがあったドイルの腕の切断が出来ずに名刀が刃こぼれしてしまい大損をする(この時、名刀が刃こぼれしたことに気を取られてドイルを取り逃すという失態を演じており、この辺の精神的欠点が次なる戦いで抉り出される)。
そして最凶死刑囚終盤、決着を求める渋川からの果たし状を受け取り、夜の公園に向かったのだが、そこに待ち受けていたのはなんと本部以蔵。
「お前じゃねえよ!」と思いつつも戦闘を開始するのだが、本部は(かつて柳がそうしていたように)武器を使用し圧倒。柳は全く歯が立たないまま、ついには毒手を鎌で切り落とされてしまう。
この時、本部が柳に対して、自身が今まさに武器を使いまくっているにもかかわらず
「磨いた五体以外の何ものかに頼みを置く。そんな性根が技を曇らせる」
とその敗因を指摘したシーンは、当時の読者を(お前はどうなンだよッ!)とおおいに混乱させ、今なお語り草になっている。
これは、もとより武器使用を前提に含めて鍛錬を重ねてきた柔術家としての立場から、徒手空拳の格闘術である「空道」を修めた身でありながら毒手などの外法の技や暗器に頼ろうとする柳の半端さを突いた発言であり、本部としては何ら矛盾のない言葉であったのだが、当時の読者にはいまいち伝わらなかった(後の刃牙道などでの本部の活躍を見てからようやく理解できたという読者も少なくない)。
ともあれ、そういった矛盾を抱えた半端な使い手である柳では所詮、武器の扱いにおいて本部に及ぶべくもなかったというところであろう。
殆ど決着がついたかのような劣勢の中なおも敗北を認めずにいると、今度はなんと範馬勇次郎が登場し、「決着は着いた」と敗北を受け入れるよう促す。
ここで判断能力が鈍っていたのが運の尽きで、柳は勇次郎に対し「勝負を決めるのはあなたではない」と反論してしまった。一理あることは認められつつも、「敗北確定だったくせに生意気な物言いで俺に喧嘩を売った」という理由で逆ギレされてぶん殴られ、顎を叩き割られて一発KO。あえなくお縄となった。
勇次郎の件に関しては、上記の解釈もある一方で異なる解釈も存在する。
と言うのも、勇次郎は柳の発言に対し「大正解だぜ」と認めており、柳の物言いが生意気であったかのような素振りは見せていない。むしろ本部に対して柳の主張を分かりやすく説明すらしてみせている。
その直後に柳を殴った理由も「屈服しねえ以上は俺の前に立ったってこと」であり、作中では上記のような理由(敗北確定だったくせに生意気な物言いで俺に喧嘩を売った)は一切言及されていない。勇次郎からすれば柳が本部に敗北を認めなかった事で、次の相手に対する連戦の意志を示したと見做され(言わば「本部との決着は付けた。さぁ次の相手かかってこい」と宣言したに等しい)、単に自分との勝負の土台へ上がってきた相手との決着を付けただけである。
柳からすれば、知らずのうちに勇次郎の独自理論に巻き込まれてしまっただけである。
あるいは、単純に「俺の決定に首を縦に振らないなら敵とみなす」というジャイアニズムによってぶちのめされたとも考えられる。
ひでぇ。
なお、勇次郎の決定に従ったら無事だったかというと望みは薄く、その気になれば戦闘続行な身体でありながら降参しようものなら「この腑抜けがッッ!!」と同じく顎を勝ち割られた可能性がある。
あんまりだ。
空掌(くうしょう)
空道の高等技術で、手の中を疑似的な真空状態にすることであらゆるものを吸いつけて破壊する。簡単に言えば掌を吸盤にしてしまう技術である。
空中を漂う和紙を吸いつけてしまうほどの技量を持っており、不意の接着で相手の行動を制限したり、人体を打てば皮膚を引き剥がし、コンクリートの壁や防弾ガラスさえも割って引き抜いてしまう。「ゆうえんち」では、スパイダーマンのように窓ガラスに貼りついて高層ビルを登坂するという離れ業を見せている。
また相手の鼻と口をふさぐことで、肺の中の空気を引き抜き、掌の中で大気圧を操作して、極度に酸素濃度の低い気体を作り出すことが出来る(本人曰く「この地球上で最も強力な毒ガス」)。この状況下で呼吸すると相手は呼吸困難に陥り即座に失神してしまう。刃牙も一度はこの毒ガス攻撃(?)の前に敗れている。
毒手(どくしゅ)
中国に古来より伝わる、文字通り猛毒の手。正確に計量した猛毒の砂に手を漬け込むことで得る。触るだけで相手を麻痺させ、服毒死させる。
刃牙を倒すには至らずに敗北したものの、あくまでその場では平気だっただけで、遅効で効果が顕れ、さすがの刃牙も危うく死にかけた(その後、大擂台賽編において力技で解毒されている)。
暗器
風神鎌という鎖鎌のような武器や、手の内に隠すインドの小型鉤爪『虎の爪(バグ・ナウ)』、日本刀などを使う。
武器有りの戦いになれていなかった刃牙には効いたものの、武器に通じる本部には通用せず、むしろ「武器に頼り過ぎで慢心している」とその性根を批判されてしまった。
実際、少なくとも鎖鎌の扱いについては、決して技量は高くないことがうかがえる(自信満々で繰り出したにもかかわらず、本部がジャングルジムを背にしただけで使用を諦めてしまったが、実際の鎖鎌術は、高い練度での使い熟しと言う条件はあるが、背後に障害物がある程度で封じられるものではない)。
武器相手に慣れていない相手への不意の突き方にはある程度精通しているが、逆に自分にはぬるい。
その他、スペックほどではないかもしれないが肺活量が強いらしく、耳元で息を吐いて相手の脳を破壊することも可能。
複数の武器や暗器を用意した柳だが、空掌と毒手、そこに虎の爪を併用するなど、自身の性質やスタイルからパターンの広がりに至らず、風神鎌もそれを使えばその間に毒を使いにくく、どれも絶妙に噛み合ってない。
そのあたり、武器を使ってこない相手に使う程度でしかなかった柳の甘さが垣間見える。
筋肉質でありながらも、バキのキャラとして珍しく、座った横姿から下腹が少し出ているのが確認できる。
また、渋川との決闘を待つ際に大量のタバコを吸っていたことから、結構なヘビースモーカーと思われる。
ドイルを襲撃した際に名刀を破損させショックを受けているが、現実においては、超一流の名刀ともなれば億単位の値段がする(最高額は5億円とか)。もっとリーズナブルな刀を使えばよかったのに……
日本人であるが、顔のモデルは俳優のロバート・デ・ニーロとされている。
牢の中で書いていた反省文は達筆で読み取り難いが「小生敗北を知りたく 都へ向かうものなり」と書かれていると思われる。
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大捏造渋柳物語。渋川先生が柳のいる刑務所に面会しに行くお話です。 ⚠️モブが出ます。⚠️途中、いわゆる蟲系の気持ち悪い表現があります。 ってかオイオイオイ…一言も喋ってねぇわ、龍光……。完全に渋川先生の独壇場です。小説なんて5億年ぶり書いたので、生暖かい目で読んでやってください。5,972文字pixiv小説作品