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概要編集

貨物船の一種。一般に「タンカー」というと石油を運ぶものをさすことが多い(油のタンクを備えることから油槽船とも呼ばれる)。それ以外の物を運ぶタンカーは「~タンカー」とよばれる。また、給油機や消火用に水を投下する構造の航空機もタンカーとよばれる。ただし、ヘリコプターなどに水槽を吊り下げて消火する場合はタンカーとはよばない。

多くの場合、積荷は危険物に指定されるものであるため、国際信号旗のB旗(危険物を積載、運搬中の意)を掲げる場合が多い。


石油タンカーの積み下ろし作業には岸壁ではなく、シーバースが使われるので喫水の制約が少なく巨大化の傾向がある。1979年に日本で建造されたノルウェーの石油タンカー「ノック・ネヴィス」は全長458m・全幅69m・564700重量トンというギネス記録公認の世界最大の船舶であった(乗り物としても世界最大)。この船はのちに石油・ガス貯蔵設備に転用され、2010年に解体されたが、その後もこの記録を破る乗り物は出現していない(2017年に韓国で建造されたオーストラリア籍の「プレリュード」がこの記録を上回ったが、これは浮体式液化天然ガス生産設備であり船とは言い難い)。


しかし、極端な巨大化には通過できる航路の制約、油の積みおろしに時間がかかりすぎるなど不都合も多く、現在は最大でも載貨重量30万トン程度までに落ち着いている。


国際信号旗のB旗。タンカーを見かけたら探してみよう。

大きさ・用途編集

給油用編集

50~300t前後の小回りの利く船が多い。

液化天然ガス用編集

所謂LNG船。常温常圧下では軽い気体のため液化して輸送する。天然ガスの場合、常圧下の沸点は-160℃前後と非常に低くどんなに圧力を加えても-82℃以上では液化しないため、非常に低い温度と高い圧力にタンクと船体が曝される。そのため低温に因る脆性破壊(ガラスセトモノのように割れる)を起こさないように工夫がなされている。また天然ガスは液化しても比重が0.4程度と小さいため、積載量の割に大きな船となる。

また、航行中に気化した天然ガスを再液化する装置が船に積むには大きすぎたため、これを燃料として使用できる蒸気タービンを推進プラントとする船が多い。しかし、最近ではこの装置の小型化が進み、蒸気タービンを扱える機関士も減少したことから、ディーゼルエンジンや、電気推進を採用する船が増えている。

液化石油ガス用編集

常温でも8~10気圧以上で液化し、冷却による液化も-42℃位で液化するので、液化天然ガスに比べて液化は楽で船体やタンクも天然ガスほど厳しい条件に曝されないが低温にして圧縮し液化して運ぶため、液化天然ガス用と同様な注意がなされている。

化学薬品用編集

所謂ケミカルタンカー。積荷である化学薬品とタンク内壁が反応したり、タンクが積荷によって腐食しないようにコーティングがなされている。

原油用編集

5万重量トンのものから30万重量トンを超えるものまでさまざま。船体の大きさゆえ水の抵抗が大きく、如何しても遅い船(15kt(≒27km/h)程度しか出せない)になってしまうため、航路や設備によりできる限り大きく作ることが多い。大きいものになると港の設備として船舶火災時に備えた荷役専用のパイプラインが沖に通っていることがある。

またスクリューなどが水上に顔を出さないようにバラストタンクなども工夫して設置してある(過回転して軸受けや機関が焼きついてしまうため)。また救命ボートも火災に備えて特殊なものが搭載してある。特殊な救命ボートは可燃物を積むものは石油に限らずLNGタンカーやLPGタンカーも搭載している。

オレンジジュース用編集

オレンジジュースを濃縮したFCOJ(冷凍濃縮オレンジジュース)を輸送する専用のタンカー。危険物にあたる液体ではないため、海上コンテナの規格に合わせた小型タンクに入れ、コンテナ船で輸送されることも多いが、品質管理の設備を整えた専用タンカーも少なからず存在する。

創作物編集

巨大ヒーロー物や怪獣物編集

投げ飛ばされたり、蹴り壊されたり、叩き壊されたり、真っ二つにされたりと何か恨みでもあるかのように壊されるものとして扱われる。

そのメジャーな例の一つがポケットモンスター作品であり、サメハダーやらアバゴーラやらブロスターの図鑑説明内で親の敵が如き勢いで沈められている。

サンダーバードSF人形劇編集

サンダーバードでお決まりの何らかの大事故を起こす乗り物

事故の概要編集

オーシャンパイオニア号と銘打たれた巨大原子力タンカーが地中海で謎の電子機器不調による制御不能を陥った後、大爆発。地中海の藻屑に消えた。国際救助隊が極秘に調査をした結果、に混ぜる材料して放たれたある種のプランクトンと積荷の液体燃料が接近することによって反応し強力な電磁雑音が放射され、さらに近づけると爆発する現象だった。原因を知らない二隻目も地中海に入り、同じ原因で無線途絶と電子機器の不調による制御不能状態に陥った後に同じく爆発事故を起こすが、国際救助隊が爆発直前に乗員を救出。

ちなみに、このタンカーは50万トン(原版では12万トン)という巨大タンカーなのに速力が50kt(≒92km/h)以上いうエラく速い船。しかも二隻目に至っては同じ原因による原子炉暴走後、過回転で機関が焼き付く頃には85kt(≒157km/h)も出ていたという始末。

ビーストウォーズリターンズのタンカー編集

CV:中村大樹

セイバートロン星を支配したメガトロンの部下であり、スパーク(魂、心臓なようなもの)と意思を持たないドローン軍の指揮官の一人。

かつてのサイバトロン戦士でコンボイの部下であったライノックスを洗脳し、そのスパークを宿して誕生した。

性格は粗野で単純。

途中でライノックスの頃の記憶を取り戻したが、メガトロンにかわってセイバートロン星を手に入れようと暗躍する。

リミックスでは、ぶらり途中下車の旅での滝口順平のモノマネをするが、お仕置きを受けた。

ウルトラセブン編集

キングジョーが鈍器代わりに振り回してセブンを打ちのめした。

パシフィック・リム編集

ジプシー・デンジャーが香港での戦闘でどこからともなく持ち出し、刀のように構えて使用。

なおこのタンカー、最後までへし折れない頑丈さを誇り、「タンカーのようなもの」とも呼ばれている。


関連タグ編集

 給油艦 輸送 空中給油機 タンク

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