“僕はとっても機嫌が悪いんダナ、お分かりかな………?”
コンボイ!あんたはまだ死んじゃいない…。いや、死んじゃいけない人なんだナ~ッ!!
概要
CV:リチャード・ニューマン/吹:中村大樹
歯が全て牙となっているサイに変身するサイバトロンのビースト戦士。ゴツイ外見とは裏腹に思慮深い性格。一人称は「ボク」で、語尾に「~ダナ」と付けるのが口癖で、命令形では「~しなサイ」となる。
サイバトロン戦士の中でもベテランであり、現実のサイとは正反対の破壊大帝メガトロンをも手古摺らせる高い知能と戦闘能力を持っている。その気になれば司令官になれる器とコンボイに評されるほどの実力を持つ。しかし、性格が穏やかなため争いを嫌っており、司令官には向いていないとして自ら副司令官として仲間達を支える役割に回っている。逆に言えば彼が副官をしていれば司令官は誰でもいいくらいで、コンボイの不在時にラットルが代理をしていた際、ラットルの作戦には反発していたがライノックスが肯定すると全員が従っていた。
機械に関する知識はサイバトロン随一で、様々な発明を行い、メタルス序盤でのコンボイ復活にも深く関わっている。武器は棘付き鉄球が付いた二丁のガトリングガンのガトリングハンマーで、かなりの威力を誇る(連射時は「ダナ」を連呼する事が多い)。
普段は温厚だが怒ると手がつけられないほどに強いうえに物凄い貫禄を見せる。不意打ちとは言えメガトロンやインフェルノを抵抗する間も与えず投げ飛ばしたり、メタルスの初回でダイノボットがリーダーの座に座ろうとした際は身体を掴み上げて凄んだだけで黙らせている。
発明家気質が一致するためか、本人曰くラットルは一番の親友(11話より)。しかし、副司令官という立場もあってか基本的にコンボイと接することが多く、彼との絡みはあまり多くない(ラットル側も戦場でコンビを組むことが多いチータスや戦闘、日常を問わずよく喧嘩をしているダイノボットの方が絡みが多い)。
実はサイバトロンの中ではラットルに並んでコメディ脚色・アドリブが多いキャラクターでもある。
続編(詳しくは後述)で敵対した際にはラットルからサイバトロンに戻るよう説得されたが、その声が彼に届くことはなかった。
メタルスでは
前作の終盤での負傷により再生ポッドに入っていたためにクォンタムサージを浴びずメタルス化出来なかった。このためしばしば、そのことを残念がっている。肉体が木端微塵となってスパークがマトリクスに還りかけたコンボイを新たな肉体へと命がけで導き復活させるなど相変わらず縁の下の力持ち的存在としてサイバトロンを支え続けているが、お留守番役だったり、全身の写る変形シーンがメタルスではなかったためアイキャッチが無印のころの使いまわしだったり(これにはロボットモードの時間制限が無くなった事で変形の必要性が減ったという事情もあると思われる)と、扱いが悪い。
本人も地味な役回りを気にしているようで、24話の次回予告ではやられキャラであるワスピーターとどうしたら不遇な扱いを変えられるかを相談している。このおかげかどうかは分からないが、事実上の最終回である25話で戦いの勝利とメガトロン捕獲に貢献する大活躍を見せた。
“宇宙の未来は……一つ…なん…ダナッー!”
劇中ではメタルス化しなかったものの、トランスメタルボディを得たライノックスの玩具は製品化されており、ゲーム、漫画ではこの姿での登場を果たしている。ビークルモードへの変形機能もあり、前脚にはスキッド(ソリ)が付き、後脚が無限軌道となる。
ちなみに『マイクロン伝説』の最終回において、一瞬ではあるものの彼にそっくりなモブキャラが登場している。
リミックスでは
メタルス化出来なかったことを未だに気にしており、喋っているのに口が動いていないというリミックスの特徴を活かしたネタをしている。ものまね合戦では『アンパンマン』に登場するジャムおじさんのモノマネをやったが、他局のアニメだったためかメガトロンにお仕置きされた。
リターンズ
“タンカーなんダナ。コラ待タンカー!……座布団取って…”
CV:ポール・ドブソン→リチャード・ニューマン/吹:中村大樹
ある理由から、かつてのサイバトロンの仲間とは袂を分かち、敵側ヴィーコンの戦士となっている。
サイバトロンの皆と共にセイバートロン星に帰還するが、メガトロン率いるドローン兵の軍団「ヴィーコン」の襲撃によりスパークを抜かれてしまう。その後、メガトロンによって洗脳された上に別の肉体にスパークを移され、タンク(戦車)型ドローン兵のリーダー「タンカー」としてコンボイ達の前に立ちはだかる(上のイラストはメガクラス版タンカーの玩具のデザインであり、劇中の姿とは異なる)。
タンカーとなった間もかつての精神と記憶は片隅に残っており、間接的に今回のセイバートロンでの戦いを見守っていた。その後、ラットル達の行動により記憶を取り戻すが、「戦いを産むのは自然の方」という結論に達して、コンボイ達のやり方に納得できないとして決別する。そのためメガトロンの理念を「シンプルな所がとてもいい」と賛同しているが、先の考えからビーストモードを完全排除出来ないメガトロンは統治者に不向きと判断、自分自身が新たなセイバートロンの支配者になろうと、まさかのニューリーダー病を発症する。
“さらばだ、コンボイ。今度会う時は仲間ではなく敵同士になるんダナ…”
メガトロンの側近・フライを洗脳し、更に自身を死亡したものと両陣営に錯覚させ、影に潜みながらコンボイ・メガトロンを相打ちさせるという、これまでの温厚な人物からは考えられないような狡猾な企てを開始する。
唐突なようだが、実は彼の闇堕ちはこれで2度目であり、以前のシリーズ内でメガトロンにデストロン化された際、同じ様な思考と行動を見せている(悪に染まった彼が下克上を企んだ結果、デストロンが壊滅しかけたため、元に戻されている。また、サイバトロンの記憶を失っていた訳では無い)。そもそも彼がこうした行動に走った理由は「絶え間なく続く争いに辟易としていた」ためで、チータスに攻撃された際は言動と行動の不一致を詰っている。
“気の毒だがお前(コンボイ)には1クールで番組降りてもらうんダナ。お前もだご主人様(メガトロン)、打ち上げには呼んでやる。”
だが、最終的にメガトロンに裏切りを看破されて下克上に失敗、プラズマエネルギーと波動砲の渦に巻き込まれて、最期はスパークがマトリクスと融合したことで消滅。しかし、消える直前に自身の過ちを悟りつつ、精神世界の中で消え去ろうとしていたコンボイのスパークを「お前はまだ間に合う」と語りかけることで導き、渦を止めさせ彼を含むサイバトロンとセイバートロン星を救わせるのだった。コンボイは結局ライノックスに二度も助けられたことになる。
なお、日本語版の吹き替えを担当した中村大樹は、この展開に納得が行かなかった模様で、オーディオコメンタリーでは初っ端から不満たらたらであった。
レジェンズ
“確かに過去は変えられないんダナ。でも前向きに生きることで周りも君自身もより良く変えることが出来るんだよ”
「トランスフォーマー レジェンズ」の付属コミックにはリターンズで死亡した後のライノックスについて描かれている。この世界線においてライノックスはリターンズにおいて死亡した後、幽霊の姿になってレジェンズ世界に降臨。とある過ちを犯し落ち込んでいたレジェンズ世界のライノックスの前に現れ、自分とは違い未来がある者には、過去を変えることができなくてもより良く変わることが出来るとの助言を与えた。その後、レジェンズ世界にライノックスの幽霊が出現してるとの掲示をビースト・コンボイから受け、彼を助けるためにレジェンズ世界に向かったラットル達と合流。かつての仲間達と共にスタースクリームの幽霊を退治した後、自らの運命を受け入れて天国へと旅立とうとしたが、レジェンズ世界のライノックスに礼として新たなボディを与えられたことで完全復活を果たし、仲間達と共にセイバートロン星へと帰還していった。
トランスフォーマーユニバース
『リターンズ(海外版ビーストマシーンズ)』の後日談となる本作ではデプスチャージと共にトランスメタルボディの姿で復活。こちらも前作での自身の行いを悔やんでいるようで、その過ちを償うチャンスを得たとして喜んでいるというストーリーラインとなっている。
対するデプスチャージは目的をやり遂げてまさに大往生といった気持ちで逝ったため、復活をあまり好ましく思っていない。
アメコミ
IDWパブリッシングから刊行されているアメコミにも登場。中でも2005年に発売されたコミックにおけるG1世界では、ガルバトロンなどと同様にセイバートロン星初期のトランスフォーマーとして登場しており、「最初の13人のプライム」の一人で原初のビースト戦士オニキス・プライムの側近という設定となっている。
なおこの時空においては他のキャラクターたちと同様に、ライノックスとは別人としてタンカーも登場している。こちらは元ディセプティコンだったようだが、戦後と共に除隊し、現在はネイルと呼ばれる中立派集団に属している。
これにより海外では『トランスフォーマージェネレーションズ』において、ライノックス・タンカーの両方がリメイクされており、日本国内では前述の『レジェンズ』で発売されている。
実写映画
実写映画シリーズの第7弾『ビースト覚醒』に、マクシマルの一員として登場。
ビーストモードはクロサイに似た造形だが、他のマクシマル同様に体躯は遥かに巨大で、体重も通常のクロサイの2倍となる3.6トンに達する。
因みにサイの最大種であるシロサイは最大で3.6トンになるため、金属生命体としては軽いのかもしれない。
今作のマクシマル達はビーストモードが本来の姿となっており、身体中には毛が生えているのだが、ライノックスには毛が生えていない全身鋼鉄製となっている。
ロボットモードは『BW』のデザインをベースとしつつも、ビーストモードと同様に甲冑を装着しているかのような姿で、どことなく剣闘士を思わせる。
ビーストモード時の口内はオレンジ色に光っており、威嚇で吠えている姿は迫力満点(実際のサイの威嚇は突進なのだが)。因みに歯も牙までとはいかないものの尖ったものになっている。
設定では思慮深く(台詞が無いため)寡黙な性格であり、銀河の生命を守るためなら全てを捧げる高い忠誠心の持ち主となっている。更には頭も切れ、危険をもたらしかねない存在には警戒を怠らない模様。
そんな穏やかで心強いライノックスは戦闘となると脅威的な強さと圧倒的な身体能力を発揮。一度動き始めたら敵を無力化するだけでは飽き足らず完全に打ち砕くまで止められない程に戦場を暴れ回る。
しかし素早い相手は苦手な様で、ナイトバードに刀でにハンマーを奪われた隙に突き刺されていたシーンもあったが、その後も暴れ回っていたため問題は無かったらしくしれっと頑丈さも見せ付けている。
使用する武器は棘付きのハンマー(誰が呼んだか肉叩き)。他のシリーズでは射撃武器の印象が強い彼だがそのパワフルさは健在。劇中ではハンマーを軽々と振り回し、何体ものテラーコン達を叩き潰していた。
ビーストモード時はサイならではの突進も得意で、パワーはホイルジャックを軽々と投げ飛ばすほど。
最終決戦ではアーシーを乗せながら大量のテラーコン達を轢き殺している姿が印象的である。
演者は『メタルス』でデプスチャージを演じたデビッド・ソボロブ氏で、本作では他にバトルトラップやエイプリンクのCVも兼任している。
しかし、本編では台詞らしい台詞が無いためマクシマルの中では唯一吹き替えがされていないので中村氏の声は脳内補完するしか無い。
一応ライノックスが喋るシーンもあった様だがカットされてしまった模様。日本語吹替版の音響監督である岩波氏はなんとか喋らせようとしたものの断念したとのこと。
この事についてビーストメガトロンはTikTokの広告内にて「華がねぇからな」とコメントしている。
玩具は「パパパッとチェンジ」、「覚醒チェンジ」、「ボイジャークラス」、「スタジオシリーズ」が発売中。
「ボイジャークラス」はチーターなどとは違って劇中よりの姿で発売。とはいえ塗装はアニメの様な茶色がメインとなっており、武器もアニメでお馴染みの2丁ガトリングが付属する。
「スタジオシリーズ」ではより劇中寄りのデザインと塗装で発売。武器は劇中と同じ棘付きのハンマーが付属し、ビーストモードでは背中にミサイルポッドとして装備できる。