概要
初出は『トランスフォーマー』シリーズのひとつ『ビーストウォーズ』の原語版から。日本ではブラックウィドーと改名され、日本のファンにもそちらが浸透している。
後の『プライム』にもエアラクニッドという名前のキャラクターが登場するが、世界観の違いや経歴などからそれぞれ直接の関係はない別人。ただし共通点が多い。
ビーストウォーズ
"あたしが死んだら、全国1千万人のファンが悲しむッシャ。"
"飛べ、パタパタ犬!"
CV:ヴィーナス・ターゾ/吹:柚木涼香
ジョロウグモに変身する女性型ビースト戦士。日本での名前はブラックウィドー。
外見は日本語版の直訳であるクロゴケグモだが、当時の日本ではまだ認知度が低かったため、日本人に馴染みの深いジョロウグモという事になっている。
元はサイバトロン(マクシマルズ)のプロトフォームだったが、コンボイ達が惑星エネルゴア(太古の地球)に不時着する際にポッドで軌道上に射出された。落下後にデストロンに奪取され、タランスのプログラム書き換えでデストロン戦士(プレダコンズ)として誕生した。蜘蛛なのはタランスの趣味だが、当の本人は結構気に入っているらしい。
ずる賢く、自惚れ屋な性格で野心家でもあり、自らを「悪い女」と呼ぶ。日本語吹き替え版では語尾に「~ッシャ」を付けて喋るのが特徴。
デストロン在籍時は主に諜報工作兵として活躍し、伸縮自在の糸で暗所や閉所にビーストモードのまま潜入するなどしていた。戦闘に関しては、蜘蛛の脚部の先端部にあるマシンガンやポイズンアンカーによる銃撃の他、長い脚を生かした格闘術が得意で、サイバトロン戦士を蹴ったり踏みつけたりして悦ばs…苦しめた。
初代TFの登場人物・スタースクリームが現れた際は彼の側に着いたが、内心は不信感を持っていたらしく、最終的にはサイバトロンと共闘する形でスタースクリームを撃退した。なお、スタースクリームの愚か者ぶりはかねてより知っていた模様。
『メタルス』では地球生まれでエイリアンの因子を取り込んでいたため、クォンタムサージを浴びてもメタルス化しなかった。メガトロンが盗んでいたゴールデンディスクのデータのバックアップを密かに入手して色々と独り占めしようとしたが、戦いの中で知り合ったシルバーボルトから度々おこなわれる説得(本人曰く「女は好きと3回以上言われると気を惹かれてしまうもの」)とメガトロンの真の目的が初代コンボイらサイバトロンの抹殺による歴史改変で、サイバトロンのプロトフォームだった自分も消滅すると理解した事により、デストロンとは完全に決別。その後はサイバトロンに加入する事になる。シルバーボルトや猿人の子供と接する中、少しずつ丸くなっていった。ちなみにOPのフリートークで神田うの、梅宮アンナ、藤原紀香をライバル視している事(21話)や最近独り言が多くなっている事が判明する。
玩具はタランスことタランチュラスのリペイント。違いは塗装のみで、海外版テックスペックでは、機能は「二重スパイ」。特に格闘術を得意とする設定は付加されていない(逆にタランチュラスのテックスペックには、格闘技を得意とする忍者戦士という設定が為されている)。
前記の通り、玩具はタランスのリペイントであるが、アニメーションにおいてはタランスとは大きく異なる姿を持つ。全体的に女性らしいシルエットで描かれている他、タランスとは違い人間の女性のような顔を持っているのが特徴。この顔は、CGモデル製作当時にアニメーターが通っていたストリップバーにおいて働いていたアジア系ダンサーの顔がモデルになっているとのこと。
また子供向けアニメにもかかわらず乳揺れ描写があるなど原語版の時点でお色気要因として見られていたようであり、彼女をきっかけに目覚めた人も多いと思われる。
またスタースクリームの本性や初代の戦いなどを知っている点から見て歴史を調べてはいるようだ。
メタルスブラックウィドー
"いつまでも女の子に守ってもらっててはダメだぞ♪"
自身をより進化したメタルスに変異させるアイテム「トランスメタルドライバー」をデプスチャージが手に入れ、それを元手にパワーアップしようとするが、タランスの妨害プログラムの影響で失敗。その副作用を取り除くためのデストロン化のプログラムを除去するしゅじゅちゅ…もとい手術を受けないと死亡する危機に陥るが、デストロンの妨害もあって手術は失敗し、一度は死亡する。
しかし、ヴォックの因子の影響とトランスメタルドライバーの力が合わさったことで、強力なメタルス2として復活、これによって生粋のサイバトロン戦士へと回帰する。この時、海外版では変身コードも「テラライズ」から「マキシマイズ」に戻っている。ただし、サイバトロン入りしても相変わらず「悪い女」を自称しており、ツンデレ気質は結局治らなかった模様。
格闘戦ではランページを撃退するなど高い戦闘力を持ち、サイコキネシスのような超能力も身につけた。また、パワードコンボイがクイックストライクに操られ、サイバトロン基地をデストロン軍に占領された際には孤軍奮闘し、基地を奪還。パワードコンボイと仲間の救出を成し遂げた。
鞍替えでサイバトロンに仲間入りしたのはダイノボットに次いで彼女が2人目であり、奇しくも彼の戦死で空いた穴を埋める形となった。だが、自身の離反によってデストロン側に空いた穴は、皮肉にもそのダイノボットのクローンであるメタルスダイノボットが埋める事になり、変則的な形だがお互い入れ替わりで本来の所属に戻ったと言えなくもない。
一部書籍では「裏切りの対決」として、メタルスブラックウィドーとメタルスダイノボットが紹介されている。
玩具はタランスのリぺに過ぎなかった無印と異なり、完全な女性らしいプロポーションを有したもの。
何気にTF初の明確に女性として設計されたキャラクターである。
海外版テックスペックでの役職は「妨害工作員」。
スパーククリスタルは、サイバトロン(マクシマル)およびデストロン(プレダコン)の、両軍団のエンブレムが裏表に印刷され、裏返す事でどちらにも属するようになっている。なお、玩具における所属はサイバトロン。
ビーストモードのクモの顎部分には、クモ糸とそれを巻き取るウインチを内蔵。ロボットモードでは取り外して手に持たせ、武器になる。腰部分には、回し蹴りを放つギミックを内蔵。
また、ロボットモードでは肩部分の装甲を閉じ、ディフェンスモードを取る事も可能。
ロボットモードの胸部にはブラジャー状の装甲が付いているが、取り外すとメッキおよびモールドに覆われた胸部パーツが露出する。
なお、胸部パーツは女性の胸を思わせる形状で、胸部装甲を取り付ける穴が胸の先端に開けられているので、更に色々連想させる造形になってしまっている。
2001年版ボットコン限定品「アーシー」は、本玩具のリカラー。白およびピンク色にリペイントされているのみならず、上記の胸部パーツの胸の先端が塞がれており、胸部装甲が最初から省かれている。
リミックス
リミックスや次回予告ではシルバーボルトとの凄まじいバカップルぶりを見せつけている。このラブラブっぷりはコンボイが先生になってしまうほど。もし子供が産まれたら、蜘蛛と鷲が交ざった妖怪みたいになるのではないかと心配していた。
ものまね合戦ではピカチュウや薬師丸ひろ子のモノマネを披露。コンピューターの評価には至らなかったもののメガトロンは食い入るように見ており、参加者で唯一お仕置きされていないキャラとなった。
漫画版メタルス
本作ではサイバトロンには寝返らず、メタルス化もしていない。性格も悪女というよりは姉御肌溢れる女性として描かれている。タランスの謀略に気づいて真相を聞いた後は彼の首をへし折り、「恋人同士を戦わせるなんてデストロンでもやっちゃいけない」と叫びながら急いでエアラザーの助けに向かった。なお、本作でシルバーボルトに好意を抱いた理由は重傷状態の所を彼に助けられたかららしい。
リターンズ
"あ~ら気持ち悪いなんて言う人は、逮捕しちゃうゾ❤バッキューン!"
『リターンズ』では、帰還したセイバートロン星で先回りしていたメガトロンが差し向けたウイルスでメタルスのボディと変身能力を奪われてしまう。仲間とは散り散りになるも、セイバートロン星の地下にて、かつては敵として戦った事もあったサイバトロンの面々と再会する。
惑星や自身の肉体に起こった異変について彼らと共に捜査を開始し、惑星の更に地下深くに眠っていた「オラクル」によって有機体と無機物がバランスよく混ざり合ったトランスオーガニックボディにリフォーマットされた。
その後は再びサイバトロン戦士としてドローン兵と闘いながら、メガトロンに洗脳されたかつての恋人・シルバーボルトを元に戻そうと奔走する。
裏切りを始めとした陰鬱な展開が目立つ本作だが、以前と異なり彼女自身はブレることなく最後まで正義のサイバトロンとして戦っており、悪女的な側面は完全に見られなくなった。
シルエットこそロングヘアーの女性に見えなくもないが、全身は毒々しい緑の斑点のついた赤色の肌をしており、顔には目が六つも付いている(普段は二つ目だが、コンピューターをハッキングしたり、驚いたりすると他の四つの目が一斉にくぱぁっと開く)というサイバトロンのメンバーの中でも一二を争うほど気持ち悪いデザインをしており、子供だけではなく大の大人でさえも生理的嫌悪感を抱くような容姿となってしまった(岩波監督や中の人達すら、『リターンズ』のオーディオコメンタリーで「一番気持ち悪い」「ショックだった」「最後まで直視できなかった」と漏らすレベル)。
当の本人も自身の奇怪な風貌を気にしているのか、たびたび周りに「私キレイ?」と尋ねてみたり、アイキャッチでは視聴者に無理矢理「キレイ」と言わせようとしたりしている。
ちなみに、オラクルがビーストの面々に「はずばなー(フリートーク対決・恥ずかしい話)」を振ったDVD特典のリミックスではセクシーな忘れ物ネタを披露した。
アニメイテッド
CV:クリー・サマー/吹:柚木涼香
『トランスフォーマー アニメイテッド』の登場人物。元オートボットの女戦士・エリータ1が変化した姿。
オートボットだった頃はオプティマスとセンチネルでチームを組んで、惑星探査を行っていたが、巨大蜘蛛の惑星で蜘蛛に襲撃された際に体が蜘蛛の毒によって変貌してしまい、蜘蛛にトランスフォームする半有機ロボット生命体になってしまう。これによってオートボットのシグナルが消失し、オプティマスとセンチネルからは死亡したと判断され、置き去りにされてしまった。そのためオプティマスに対しては愛憎入り混じった感情を持っている。
濡れ衣を着せられオートボットから逃走していた戦士・ワスプを蜂と融合させ、自分と同じ半有機ロボット生命体・ワスピネーターにしてしまうが、彼の暴走と爆発により太古の地球に飛ばされてしまう(え?どこかで会ったことあるって?)。
お蔵入りとなったシーズン4では、プレダコン軍団(日本で言うところのビーストウォーズ版デストロン)を結成し、半有機ロボット生命体である事への嫌悪感も薄らいでゆく展開が予定されていた。
デザインとしては『BWメタルス』や『BWリターンズ』におけるブラックウィドーを折衷したような姿をしており、頭部のヘルメットの下はリターンズ同様複眼である。
アニメイテッドでもトップクラスでシリアスなキャラクターであるためか、ギャグ路線の日本語版では珍しく、アドリブが少ない。ただ全くないという訳でもなく誘拐したサリに対して「この番組けっこう尺短いのよ」と愚痴をこぼすなどしていた。
レジェンズ
『トランスフォーマーレジェンズ』では、日本オリジナル商品として『アニメイテッド』のブラックアラクニアの玩具を元に、一部のパーツとカラーリングを大幅に変更して「LG17」の番号を与えられたブラックウィドーの玩具が発売された。
WEBコミックでは、日中はOL、夜はキャバ嬢、そしてTFオタクという3つの顔を持つ女性に設定されている。なので、G1メガトロンがレジェンズ世界に来訪した時や、会長として入社してきた時は興奮していた。
ブラックウィドーの玩具に付属するコミックに収録されたエピソードにて、身体がトランスフォーマーに変わる「TF病」を患い、アーシー同様にリアル体型……というよりわがままボディのロボ娘に変貌する。
ウォー・フォー・サイバトロン・トリロジー
CV:ジーン・カー/吹:和優希
NETFLIXにて配信されているオリジナルアニメ『ウォー・フォー・サイバトロン・トリロジー』では、同トリロジーの玩具のデザインほぼそのままの姿での登場となった。ただし、名称は原語版に則り「ブラックアラクニア」名義となっている。
最終作である第3章『キングダム』にて登場。ニューリーダー病を発症したスタースクリームやダイノボットと共に第三勢力として暗躍することになるのだが…。