概要
ジョロウグモ(女郎蜘蛛、上臈蜘蛛)とは、ジョロウグモ属に分類される蜘蛛の一種。学名は「Trichonephila clavata」。日本でも一二を争うほどポピュラーな蜘蛛の一つである。
日本では北海道にはなく、本州から南西諸島まで分布する。海外では台湾や中国、インドなどが分布する。アメリカ南東部では、少なくとも2010年代から外来種として移入される。
他のジョロウグモ属(Trichonephila)の蜘蛛は日本にはなく、種類により中国・フィリピン・オセアニア・アフリカなどに分布する。
南西諸島には近縁のオオジョロウグモ属(Nephila)に属し、メスが5cmで日本最大の蜘蛛であるオオジョロウグモ(Nephila pilipes)が生息する。かつて、ジョロウグモはこの種と同じ属に分類され、学名は Nephila clavata だったが、2019年から別属に再分類されるようになった。
形態
メスは脚を除いて体長1.7~3cm。大きな腹部は背面に黄色と灰色の縞模様、腹面に黄色と黒のまだら模様と赤帯という毒々しい配色を持つ。頭の甲羅は白く、触肢(牙と第1脚の間の短い肢)はオレンジ色、長大に発達した8本の脚は黄色と黒の縞模様を帯びる。
性的二形で、オスは体長がメスの半分にも満たさず、色も茶色に近い。その辺の公園や野山で見つかるジョロウグモは多くがメスである。
背面だけを見ると同じ日本でよく見られるコガネグモにも似ているが、ジョロウグモの方が少し体が細長い。
生態
金色の蜘蛛糸で非常に大きな網を張り、捕まった虫を捕食する。直径1mも達する網は一見して一般的な円網のようだが、円網は上部を欠けた蹄鉄型で、その両面からも糸が伸ばして立体的に大きなスペースを占める。
かなり貪食であり、大型のセミやハチ、トンボやカマキリなども糸でがんじがらめにして食い殺す他、網に魚や鶏肉の破片を置いても食べる。
性格が凶暴なため、オスはメスが脱皮中に急いで交接し、終わり次第すぐ逃げるという生殖行動をとる。下手に近寄ると、ジョロウグモは非常に目が悪いため、獲物と勘違いされて食われるからである。
仔蜘蛛は体が小さいため、糸を伸ばしてパラシュート代わりに飛行し巣立つ「バルーニング」という習性を持つ。
人間との関わり
日本では、メスがオスを食い殺すという習性から「絡新婦」と言う妖怪になるという伝承がある。
多くの蜘蛛と同様、牙には毒があるが人体にはほぼ無影響、自ら襲ってくることもない。
ジョロウグモをモチーフとしたキャラ
前述した伝承の影響か、多くは女性である。
関連タグ
オオジョロウグモ:近縁種。
コガネグモ:たまにジョロウグモと混同される蜘蛛。