セミ
せみ
セミ(蝉、蟬)は、半翅目頸吻亜目セミ型下目のうちセミ上科に分類される昆虫のこと。英語は「cicada」(スィケイダ)と呼ぶ。「鳴く昆虫」の一つとして知られている。
熱帯や亜熱帯に多い生き物で、ヨーロッパの北寄りの出身者だと「セミ」という生き物を知らない事も多く、アイソポス(イソップ)の「アリとセミ」も「アリとキリギリス」にされている。
世界に約3000種が知られ、日本では36種1亜種(2種は外来種)が見られる。
セミ科とムカシゼミ科が知られるが、後者の現生種はオーストラリアに分布する2種のみであり、大半はセミ科に分類される。
ツノゼミという昆虫は名前に反してセミではないが、同じセミ型下目の近縁である。
全身が寸胴な楕円形で、頭部左右の丸い複眼が目立つ。他の半翅類昆虫と同様、口元が針状の口吻となっている。
3~17年という長い一生の大半を、土の中で幼虫として過ごす。
幼虫は全身が茶色で、鎌のような前脚で木の根に穴を開けては口吻を差し込んで樹液をすする。ほとんど移動しない都合上、栄養分を運ぶ篩管ではなく、あえて水を運ぶ導管から吸っている。
最終齢の幼虫は地上に出て、木の幹や枝などに登り、脱皮(羽化)して成虫になる。この時、茶色の殻から透き通るような白い神秘的な姿が現れるのは、一見する価値がある(だからいじめてはいけない)。
成虫になってからは大きな翅で飛べるようになり、樹液を吸いつつ騒音を撒き散らし、雄が鳴いて雌を引き寄せ交尾、雌は卵を枯れた木の枝に産み付ける。
そしてすぐ死んでしまうため、幼虫時代の寿命の長さに反して短命の代名詞となっている。
が、実は一般的に知られる成虫の寿命が1週間というのは誤りで、実際は3週間から1ヶ月生存している事が判明しており、1ヶ月以上生きる個体も存在する可能性がある。
成虫の寿命が1週間というのは昔の飼育下での結果であり、それがいつの間にかセミの野生下での寿命として広まってしまったと考えられている。
ちなみに、3週間から1ヶ月という成虫の寿命は、ミツバチの働き蜂やアゲハチョウなどと同じであり、決して短くはない昆虫としてはありふれた長さである。
北アメリカ各地では13年または17年周期で大発生するセミ各種(周期ゼミ)は、インディアン部族では伝統食としている所もあり、また一般家庭でも料理され食される。ただ、食べ飽きるどころか掃いて捨てるほど大量発生するので、17年ゼミが成虫になる年は庭木の手入れや庭の掃除が大変だとか。
(→参考動画(蝉密集注意!))
日本のあるテレビでクマゼミをフライパンで炒めて食べようとしてみたところ、雄の腹部の大半が発音器官の空洞のため意外と可食部が少なかったとの事。ただし味は食用昆虫の例に洩れず、エビやカニに似て美味かったとも。
羽化してから寿命を迎えるまで(または寿命を迎えて死ぬか否かの瀬戸際)の期間を一部ではセミファイナルと呼んでいる。しかし、寿命を迎えて力尽きて地上に転がっているセミの死骸の中にはたまにまだ生きている個体があり、突然暴れ出しては近付いてきた(特に虫嫌いの)人の精神に強烈なダメージを与える。
「セミ」で完全一致検索すると、韓国教育放送公社(EBS)の数学専門サイト(EBSMath)のキャラクター「セミ(세미)」が掛かってしまう。
かといって、マイナス検索を含めた部分一致検索で「세미」を避けようとすると、「カワセミ」「セミエビ」「セミロング」「セミヌード」「セミラミス(Fate)」その他諸々が延々と掛かる。ある程度マイナス検索を入れたところで妥協するか、おとなしく「蝉」で探すかするしかなさそうだが……。
コメント
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すべて見る- Cruel Class “C”
C-Ⅳ Cicada
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明日自慢出来る(かも知れない)話ZZ ⑰セミは本当に短命なのか?
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