バトルフィーバーJ
ばとるふぃーばーじぇい
「フィーバー!」
「バトル、ジャパン!」
「バトル、フランス!」
「バトル、コサック!」
「バトル、ケニア!」
「ミス・アメリカ!」
「バトル・フィーバー!!」
スーパー戦隊シリーズ第3作目の作品。モチーフは「ダンス」。
2023年現在、シリーズにおいて数少ないタイトルに「◯◯戦隊」の肩書きを持たない作品。
それどころか『ジャッカー電撃隊』などのように漢字も使われていないのは本作が唯一。またアルファベットが使われたのは他に『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』のみ。
現在の「スーパー戦隊シリーズ」へと到る転機となった作品でもあり、『秘密戦隊ゴレンジャー』やジャッカー電撃隊が戦隊シリーズに入っていなかったころはシリーズ第1作目の作品とされていた(実際に『高速戦隊ターボレンジャー』の特別編では、「初代スーパー戦隊」と紹介されている)。
もともとはMARVELの『キャプテンアメリカ』の日本ローカライズ企画として始まったもので、東映特撮版のスパイダーマンの後継作である。
特撮版スパイダーマンでとりいれた巨大ロボットの要素を引き継ぎ、さらにゴレンジャーやジャッカー電撃隊の要素を大胆に模倣して「戦隊ヒーローが悪の怪人と戦い、最後はロボット戦で決着をつける」というスーパー戦隊シリーズの基本フォーマットを作り上げた。
実際に作られた作品は世界観や設定、キャラクターの名前までも本家『キャプテンアメリカ』とは無関係なものになってしまっているが、コスチュームはシルバー・エイジのアメコミヒーローを彷彿とさせる派手なものとなっており、日本の戦隊ヒーローの文脈で見るとかなり異質な存在といえなくもない。下記初期設定も参照。
製作中にはフォーマットの成立まで手探りの部分もあり、例えば「ダンス」の要素はあまり活かされていない。前半は変身者の正体が隠されていたが、中盤で正体が暴かれてからは堂々と変身するようになった(通信機:バトルシーバー内部より強化服:バトルスーツが射出されるが劇中での描写は少なく、ゴレンジャーのような変身パターンとなっている)。必殺技ペンタフォースがバズーカ風の武器から、中盤からブーメラン風武器に変更されたりするなど、アドリブ感も強い(その点については初めから組み換え可能な武器として設定されていることもあって、唐突感は少ないといえる)。
前2作と製作スタッフが違うのもあってか、チームヒーローとしてはまとまりが悪く、メンバーによっては変身後しか出番がない回もあった。
また中盤以降は京介・四郎・マリア・ケイコ・マサルが主軸として描かれる事が多くなる(偏に他のキャストのスケジュールの都合や、そのキャラクター設定が足を引っ張ってる部分もあるが)。
レギュラーよりもゲストキャラに比重が置かれるエピソードも多く、そのゲストの大半はエゴスの手にかかって虫の息という、フィーバー隊にとっては駆け付けても間に合わず、危機一髪も救えない展開が連作された。(だがその割にはフィーバー隊は気にも留めてない様子だが)
邪神サタンエゴスを崇める秘密結社エゴスの陰謀を知った倉間鉄山将軍は、五人の精鋭バトルフィーバー隊にバトルスーツを与え、エゴス討伐を命じた。
それぞれが世界各国のダンスの達人である彼らは、その腕前を活かし怒りのリズムで、エゴス怪人を次々と打ち砕いていく。
バトルフィーバー隊
アジア代表の戦士でバトルフィーバー隊のリーダー。
神誠/バトルコサック(2代目)
戦死してしまった謙作の代わりにバトルコサックになった謙作の先輩。神出鬼没。
ヨーロッパ代表の戦士でキザな美容師の男でもある。
アフリカ代表の戦士。「また出やがった!」は彼の決まり文句。
顔を知られ傷を負ったダイアンの代わりにミスアメリカになった女性。
バトルフィーバーの関係者
バトルフィーバー隊の最高司令官。国防省の高官であると共に、「電光剣」と銘された日本刀を操る剣の達人でもあり、一騎打ちで強敵怪人を仕留めた事もあった。バトルフィーバーロボの必殺技は、将軍が披露する必殺技「電光剣唐竹割り」を手本にしている。
連絡員。マサルという弟がいる。
青葉ミドリ
連絡員。得意の変装を生かして諜報活動を行う。
上野トモコ
ミドリの後任。ユキという妹がいる。
鉄山将軍が作ったロボット九官鳥。口が悪く、メンバーをバカにすることが多いが、冤罪を着せられたマリアを労ったこともある。
主なゲスト出演者
鹿沼エリ (第1・52話) ⇒『秘密戦隊ゴレンジャー』の007・加藤陽子。
高橋利道(第7話)⇒後に『大戦隊ゴーグルファイブ』でデスギラー将軍役。
安藤一人(第11話)⇒『小さなスーパーマン ガンバロン』で主役の天道輝役、『透明ドリちゃん』でレギュラー出演。その他『ファイヤーマン』『ジャッカー電撃隊』などに出演。
遠藤憲一(第32話)⇒後に『忍者戦隊カクレンジャー』で貴公子ジュニア役。
巨大戦闘母艦。バトルフィーバーロボとバトルフィーバーロボの武器・防具を格納している。
バトルフィーバーロボ出撃時はバトルシャークが前後二つに分離する。
日本の武士と西洋の騎士をモチーフにした、シリーズ初の巨大ロボット。
電光剣をはじめとする豊富な武器を持つ。
作詞:山川啓介/作曲・編曲:渡辺宙明/歌:MoJo、コロムビアゆりかご会、フィーリング・フリー
作詞:八手三郎/作曲・編曲:渡辺宙明/歌:MoJo
昭和初期の戦隊にしては珍しく、歌詞中に登場する固有名詞が「エゴス」くらいしかない。
なお、途中でバトルコサックが交代した為、伊藤幸雄氏の出演シーンを伴大介氏の新撮映像に差し替えているが、如何せん画質が違いすぎる為、ネタにされる事もしばしばある。
東映版スパイダーマンが製作半ばの昭和53年秋に、本作の企画はほぼ固まりつつあった。
上記にあるように、「キャプテンアメリカ」「ミズ・マーベル」をベースにしており、初期タイトルは「キャプテンジャパン」。
レオパルドンの成功から、早い段階から巨大ロボが登場する事も決定していた。
(ただし、デザイナーの村上克司氏はこの点に関し、「新作を作る際には、他作品との差別化が必要だったため、ロボットを出すようにした」と言及しており、成功したから本作でも取り入れたわけではないと発言している)。
敵は「B(ベーダー)」。中世欧州の邪教集団を母体とし、その教義のもとに世界征服を企んでいる。
内容は以下の通り。
……日本に来た秘密結社「B」を追い、スーパーレディ「MSアメリカ」こと、ペリー・マクプライドが来日。「B」と戦うため、MSアメリカのような超人になる必要があり、国防庁特別科学分室長の伝正夫少佐は、自らを超人「キャプテンジャパン」とする。
また、上司の倉田鉄山将軍が各地に武術研究に派遣していた三人の男、
志地恭介=キャプテンフランス
白川謙作=キャプテンロシア
曙四郎=キャプテンケニア
この三人にペリーと伝を加えた五人の「特命戦団」を結成。
彼らは地上移動や空中飛行もできる万能潜艦「キャプテンベイザー」に乗り込み、敵ロボットに対してはキャプテンベイザーが変形した巨大ロボ「ネルソン」で対抗する。
「ネルソン」は、元は救助用ロボットであり、装備された救助用ツールを戦闘に応用する事で戦うという特色を持たせていた。
また、白川=キャプテンロシアが記憶喪失の巨漢、ペリー=MSアメリカは、事故で全身ズタズタになるが、再起して不死身の超人的能力を身に付けた、という設定があった。
また、「B」は作戦司令の内容を暗号化しているが、その暗号が「なぞなぞ」であり、これを解く事で作戦を知る事になる、という特色もあった。
後に、
:アメコミ的な「キャプテンジャパン」のタイトルおよびヒーローの名称の変更。
:「(アメコミ的な)超人」が、当時の日本人になじみが薄いため、「強化服」に。
:キャプテンベイザーやネルソンは、バトルシャークとバトルフィーバーロボに。
:白川やペリーの設定。
など、様々な点が変更され、決定稿となっていった。
なお、過去に一部ファンなどが、
- 「バトルフィーバーロボの登場が遅くなったのは、放送直前に急遽決定されたため」
- 「本来は出すつもりは無かったが、スポンサーの都合で出す事になった」
- 「製作サイドも出す予定は無かったものの、仕方なくねじ込んだ」
……などといった発言を、掲示板や自身のファンサイトなどでまことしやかに書き込んでいたが、それらは全てデマ、または無知から生じた憶測である。
巨大ロボそのものの登場は上記の通り、当初から登場が決定していた。初期設定にキャプテンベイザー、及びネルソンが記載されている事から、それは明らかである。
登場が遅くなった理由は、上記備考内にもあるとおり、「デザイン決定が遅れ、そこからロボットの造形も遅れたため」。しかしメインライターの高久進氏はこの点を逆手に取り、「(1~4話まで)ロボットは建造中。その設計図の争奪戦を描く」というストーリーを描いた。これらを経て、バトルフィーバーロボは5話で初登場。矢島信夫・佐川和夫両氏の、特技監督による巨大ロボ戦の特撮が描かれたが、時間をかけただけあって見事な特撮映像が描かれている。
後に、このロボの初登場回である第五話「ロボット大空中戦」は、79年「東映まんがまつり」内で、ブローアップされ劇場公開されている。
本作の主な出演者の交代は、
- ヘッダー指揮官 番組初期に故・潮健児氏が麻薬所持で逮捕されたため、故・石橋雅史氏へ交替。地方版や再放送編集版は潮氏の出番を石橋氏へ撮り直し差し替えているものもある。
- 初代ミス・アメリカ ダイアン・マーチン女史の契約切れによる帰国降板。
- 初代バトルコサック/白石謙二 伊藤幸雄氏の結婚と同時に妻に子供番組からの引退を懇願され降板。
レギュラー出演者がこれ程降板した作品はその後のシリーズでは見当たらない。
- バトルフランスとバトルコサックの順番は屡々混同される。例えば、OP曲ではフランス→コサックの順番で呼んでいるのに対し、電光剣の順番はC→Fであったり、DVDのパッケージはコサック→フランスの順に刊行されていたりする。又ペンタフォースの最初の構えでは話によって入れ替わる。
- バトルフィーバーロボの初出撃は5話からであるが、これはストーリー上では1~4話は建造中という設定になっている。これには理由があり、デザイン決定に時間がかかってしまい、その為着ぐるみの製作も遅れたこと、更に特撮監督が別の映画の仕事も受け持っていたため、日程が間に合わないことが早い段階で判明していたため。下記初期稿も参照。
- 初期案ではキャプテンアメリカがリーダーになる予定であったが、東映側が反対した為バトルジャパンに変更された。
- 中期案のビジュアルではバトルジャパンとバトルフランスの目が黄色、ミスアメリカの目とアイマスクの色が逆など若干の違いがあった。
- バトルフィーバーロボは当初、操縦席にシートベルトが無かった為、大きな衝撃を受けたときに操縦席から投げ出されてしまう(というか転倒する)ことがあった。そのため11話からシートベルトが操縦席に装着されることになった。
- 中原ケイコ役の人はOP中の出演者の表記には当時の実名である「伊東範子」と書かれているため一見しただけでは判らないが、実は、駆け出しの頃の日高のり子女史(この頃は、まだ芸名が変わる前)。ちなみに、日高のり子は、『烈車戦隊トッキュウジャー』では、グリッタ嬢を演じている。
- 企画が誕生した経緯からスーパー戦隊シリーズでありながら、マーベル作品にも数えられているという稀有な作品で、アース-79203という地球が舞台とされている(しかし、この設定が海賊戦隊ゴーカイジャーなどの作品で使われている様子は見受けられない。ちなみに『東映版スパイダーマン』はアース-51778が舞台である)。
- 長官役・倉間鉄山将軍を演じたのは、東映時代劇のベテラン役者東千代之介。作中ストーリー内でも(別に変身する訳でもないのに)ぶっちぎりの強さを発揮し、某犬の上司の如く「若手の戦士を鍛える」という立場になっている。例えば23話では「お前達は連勝で増長している!過去の苦戦を思い出せ!」と叱って、録画映像の上映会を始めちゃう(=つまり総集編)。
- 元ネタは「サタデーナイトフィーバー」。放送当時、世間で「フィーバー」という名前が流行っていたためである。ちなみに放送時間も土曜の夜6時(一部地域を除く)だった。
- 元々放送枠も東京12チャンネル(現在のテレビ東京)のスパイダーマンの枠を引き継ぐ予定だったが、テレビ朝日側の意向で『闘将ダイモス』を短縮して本作が開始。スパイダーマンの後番組には長浜ロマンロボシリーズを受け継ぐ『未来ロボダルタニアス』が放送され、枠を交換する形になった。
海賊戦隊ゴーカイジャー:第44話でバトルケニアこと曙四郎が登場。サンタの格好をして踊っていた。
世界鬼:バトルフィーバーJを歪めた戦隊怪人。ご覧の通り「○○戦隊」はおろか「超電子」「超新星」のような頭に冠する肩書きが特になかったがゆえに「戦隊名+鬼」という命名法則が当てはまらず、どんな名前になるのか議論されていた。
闘将ダイモス:前番組。
プリキュアフィーバーJ:ハピネスチャージプリキュア!とのコラボ。
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