太陽戦隊サンバルカン
たいようせんたいさんばるかん
『サンバルカン!!』
「バル、イーグル!」
「バル、シャーク!」
「バル、パンサー!」
「輝け! 太陽戦隊! サン、バルカン!!」
1981年2月から放送されたスーパー戦隊シリーズの第5作目に当たる作品(『バトルフィーバーJ』を基点とした場合は3作目)であり、前作の『電子戦隊デンジマン』とは同じ世界観を共有した続編にあたる。
ちなみに2024年現在、戦隊シリーズの歴史の中で世界観を共有し、かつ明確に「続編」に位置付けられているのは『デンジマン』と『サンバルカン』の2作品のみ。
シリーズで唯一、終始3人のみ、および男性だけで戦う戦隊でもある。
- 初期人数が3人の戦隊はライブマン、ゲキレンジャー、ゴーバスターズらがいる。これらは番組の途中からメンバーを追加している。
- 終始3人だった例は『忍風戦隊ハリケンジャー』のハリケンジャー、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』のルパンレンジャーとパトレンジャーが該当。いずれも一つの番組に複数の戦隊が登場した例で、女性メンバーが含まれる。
- 男性のみの戦隊は他に『ハリケンジャー』に登場するゴウライジャーがいるが、こちらは2人チームかつ追加戦士。
全員が軍属出身というミリタリー色が強い設定で、ずっと3人のままなのは陸・海・空の三要素を際立てるためという狙いもあったようだ。全員が男性なのも当時の感覚でミリタリー色を意識すると自然な流れだったのだろうが、実はスーパー戦隊には女児の視聴者も多く、女の子からの評判が悪かったということで、以後のスーパー戦隊は人数に関わらず女戦士が必ず初期メンバーにいるようになった。
後年になってからは『未来戦隊タイムレンジャー』の最終回でドモンから「女の子がいないのは寂しい」とイジられるなど、試行錯誤も含めて今作の大きな特徴となっている。もっとも、第29話に一発ネタとして白バラ仮面が登場したことがあり、女性戦士がまったくいなかったわけではない。
最後まで3人だけなため、変身後の名乗りシーン(バンクシーン)での一人当たりの時間が多く割り当てられており、さらに横並びになった時の一人当たりのスペースも広い。そのメリットを最大限活かしたかったのだろうか、名乗りシーンでのポージングがやたらと大仰なものになったことで知られている。
今見ても力強くカッコいいが、難易度が高く子供が真似しにくい(バルイーグルはまだしも、バルシャークは片足立ちで大きく前傾姿勢、パルパンサーに至っては宙返りがある。)と当時から言われていた。
地球征服を企んだベーダー一族はバンリキ魔王の反乱と電子戦隊デンジマンの活躍により倒された。だがほどなくして北極に本拠を置く機械帝国ブラックマグマが世界征服を目指して動き始め、火山国である日本の地熱を狙って日本への侵略活動を開始した。
これに対抗すべく、サミット[24][25]は世界最高水準の軍事力と国家権力を有した直属の特殊軍隊・地球平和守備隊(正式名称・“Guardians of World Peace”)の設立を決定。同部隊の中から選抜されたメンバーによる特殊部隊の結成を満場一致で決議した。嵐山大三郎が率いる彼らこそが太陽戦隊サンバルカンである。サンバルカンは華麗な陸・海・空の動物的アクションと巨大メカサンバルカンロボなどを駆使してブラックマグマとの戦いを展開する。
太陽戦隊サンバルカン
太陽戦隊として選出された三人の軍人が、バルカンブレスを装着しそれぞれのスーツ名または戦隊名をコールすることでバルカンスーツが射出され、それを装着して変身する。
何気にスーツ射出→メットも含めて装着というシーケンスはデンジマンと全く同じであり、続編であることが視覚的に描写されている。
元空軍将校。後に飛羽に交代し、NASAへ。
大鷲と同期の元空軍将校で、剣の達人。
初めて刀剣を専用武器にしたレッドであり、非番の時は剣道の師範をしている。
元海軍将校。マリンスポーツが得意。
機械帝国ブラックマグマ
機械帝国のリーダー。しかし、正体は全能の神の忠実な部下だった。
終盤において復活したはずなのだが、最終回では(いつの間にか)「もう死んだ」という一言で片付けられてしまう。
かつてデンジマンと戦ったベーダー一族の女王。北極の氷の中で眠っていたが、メカ心臓を移植され蘇り、機械帝国と手を組むことになる。
ベーダー一族の行動隊長。23話にてヘドリアン女王に招かれ機械帝国と手を組むことになる。
ゼロワン
スパイ活動を行うメカ人間、ゼロガールズの一人。22話にて落盤に巻き込まれ死亡。
ゼロツー
ゼロスリー
ゼロフォー
同じくゼロガールズのメンバー。ゼロワン死亡後はアマゾンキラーの指揮下に入った。
今週の怪人。名前は「○○モンガー」で統一される。
ブラックマグマのスパイ用機械人間。
ブラックマグマの戦闘員。『星雲仮面マシンマン』とは無関係。
機械帝国の真の支配者。手足のない脳のような姿をしている。嵐山長官に倒され、その実態は分からずじまい。
ヘルサターン、ヘドリアン、アマゾンキラーを復活させるが、それらが実体か幻影かは不明。
銀河宇宙の流れ者。多彩な技や武器を持ちサンバルカンを圧倒する。
アマゾンキラーとは因縁があり互いに裏切り者と思っている。が、なんだかんだで仲は良いようでもある。
機械帝国に協力するがヘルサターン総統と決裂し、決闘の末総統を破る。
イナズマギンガーは全能の神により復活したヘルサターンにより、隙を突かれ機械生命体製造機に掛けられて即座に機械生命体に作り変えられてしまった。
外見の変化としては、顔面にブラックマグマの意匠(マシンマンの顔のマークと同じ)の面が貼り付けられている。
同じく多彩な攻撃をするが、イナズマギンガーの意思が残っていないためか本来の実力を発揮できなかったようだ。
コスモバルカンとブルバルカンを運ぶ巨大母艦。主な武装はミサイル。
厳つい顔つきだが、目を回したり怒ったりと目に当たる部分が意外とコミカルで可愛らしい。
コスモバルカン
サンバルカンロボの上半身となる巨大戦闘機。武装はバルカン砲。
サンバルカンロボの脚部となる巨大戦車・・・というより、サンバルカンロボの脚部そのもの。
また、サンバルカンロボの腕も格納している。武装はミサイル、チェーン、バルカンクレーン。
コスモバルカンとブルバルカンが合体した巨大ロボット。必殺技は太陽剣・オーロラプラズマ返し。
サンドバルカン
最高速度500km/hを誇るイーグル専用のバギー。
レーザー砲やミサイルを装備している。
なお、『レンジャーズストライク』など一部の媒体では「ランドバルカン」の表記も見られる。
パンサーマシーン
最高速度400km/hを誇るバルパンサーの専用バイク。
排気量は250CC。
シャークマシーン
最高速度300km/hを誇るバルシャークの専用バイク。
こちらは水上や水中を走行可能なように改造が施されている。
劇場版の特別な攻撃・行動
ジャガーバルカン
- ハナビモンガーへの咬みつき攻撃。
- ヘルファイター(機械帝国の戦闘機)への咬み潰し攻撃。(ヘルファイターの攻撃は遭遇直後に銃撃しただけで後は何故か特攻のみ)
コスモバルカン
- 自律動作による無人操縦で以下のことを行っている。
- 航行中のジャガーバルカンの護衛
- アマゾンキラーの罠にかかって行方のわからなくなったバルイーグルの捜索。
太陽戦隊の秘密基地。群馬サファリパークの地下にあり、どういう訳かプールがある。また、嵐山長官の助手に変装しスパイとして潜入していた機械人間ダークQを自爆前に危険の無いところへ放り出す罠が通路に仕掛けてある(第1話)。ジャガーバルカンはこの秘密基地内の格納庫から出動する。第23話にて機械帝国の襲撃に遭い破壊されてしまう。
・・・のだが、機械帝国の襲撃予定を知っていたかのようにバルカンベースは既に建設完了、更にバルカンベースの真上にある群馬サファリパークで飼育されている動物達も、予め安全なところへ避難させていたというバルカンベース崩落時の描写からは予想もつかぬ余裕の対処をいつの間にかしていた。
ちなみに、ジャガーバルカンは太陽戦隊基地の隠し通路からバルカンベースへと自走して移動していたため、出動まで時間はかかったものの下記のバルカンベースから出動して登場している。
第23話で太陽戦隊基地が破壊されたため、予め新しく建設してあった秘密基地。海沿いの地下にあり、ジャガーバルカン出動時は海岸の崖が移動し、基地がせりあがってくる。基地そのものも大型化しその凄まじいほどの大きさは巨大母艦であるジャガーバルカンが小さく見えるほどである。更に侵入者を誘導・撃退する罠も仕掛けてある。でもって、ここもプールがある。
バルカンベースの所在地は明記されていないが、ロケ地と同じ場所(城ヶ崎海岸)と仮定すると静岡県伊東市となる。
発進口は開閉する管制塔部分と、ドーム下のカタパルトの二つがある。
主題歌
- 太陽戦隊サンバルカン(OPテーマ)
作詞:山川啓介/作曲・編曲:渡辺宙明/歌:串田アキラ、こおろぎ'73
「イーグル、シャーク、パンサー」というフレーズが特徴的なOPテーマ。
太陽がもしもなかったら地球が危機に陥るという節の歌詞で始まるが、肝心のブラックマグマが太陽の光を閉ざすという真似は流石にしなかった。そこまでやり始めたらウルトラさんの領分だからだろうか。
また、愛國戦隊大日本のOP曲としてパロディされたり、「詭弁のガイドライン」というコピペになったりとネタ方面でも人気がある。
- 若さはプラズマ(前期ED)
作詞:山川啓介/作曲・編曲:渡辺宙明/歌:串田アキラ、こおろぎ'73
- 1たす2たすサンバルカン(後期ED)
作詞:山川啓介/作曲・編曲:渡辺宙明/歌:串田アキラ、コロムビアゆりかご会
挿入歌
- たたかいのテーマ
作詞:山川啓介/作曲・編曲:渡辺宙明/歌:串田アキラ、こおろぎ'73
- 君はパンサー
作詞:山川啓介/作曲:渡辺宙明/編曲:いちひさし/歌:水木一郎
- 輝け!サンバルカン
作詞:山川啓介/作曲・編曲:渡辺宙明/歌:水木一郎、こおろぎ'73、コロムビアゆりかご会
- スーパーウーマンゼロガールズ
作詞:山川啓介/作曲:渡辺宙明/編曲:いちひさし/歌:かおりくみこ
- ファイト!サンバルカンロボ
作詞:山川啓介/作曲:渡辺宙明/編曲:いちひさし/歌:串田アキラ、こおろぎ'73
- 夢の翼を
作詞:山川啓介/作曲:渡辺宙明/編曲:いちひさし/歌:串田アキラ
元はバルイーグルのテーマソングだが、『百獣戦隊ガオレンジャーVSスーパー戦隊』で「剣の戦士」のテーマソングとして使用された。
- 海が呼んでいる
作詞:山川啓介/作曲・編曲:渡辺宙明/歌:水木一郎
- 太陽マーチ
作詞:山川啓介/作曲:渡辺宙明/編曲:いちひさし/歌:水木一郎、こおろぎ'73、ザ・チャープス
- ぼくらのサンバルカン
作詞:山川啓介/作曲:渡辺宙明/編曲:いちひさし/歌:串田アキラ、こおろぎ'73、コロムビアゆりかご会
- あしたがあるさ
作詞:山川啓介/作曲・編曲:渡辺宙明/歌:水木一郎
未使用楽曲。
- 戦う仲間サンバルカン
作詞:山川啓介/作曲・編曲:渡辺宙明/歌:串田アキラ、こおろぎ'73
- 上記の通りサンバルカンに女性は存在しないため、仮に女性が変身するとどのような格好になるのか長らく不明だったが、海賊戦隊ゴーカイジャーで女性が変身すると無地のスカートが付くことが分かった。
- スーパー戦隊シリーズの初期で度々行われていたメンバー変更であるが、(「主な登場人物」の項にある通り)歴代戦隊のうち唯一、レッド役の俳優がメンバー変更となっている。ストーリーが手詰まりになり、大幅な設定変更をしなければ1年間持たないかもしれないという危機感から生まれた苦肉の策である。
- アマゾンキラーを演じている賀川雪絵女史は、前作の電子戦隊デンジマンでヘドラー将軍を演じた香山浩介氏と同じく、東映版スパイダーマンに出演していた。ちなみに、賀川女史はアマゾネス役として、香山氏は山城拓也(スパイダーマン)役として出演していた。
- TV版では怪人は巨大化しても声はそのままであったが、劇場版(登場怪人:ハナビモンガー)のみ巨大化すると低い声になる。
- 嵐山長官役の岸田森氏は本作の放送終了のわずか11ヵ月後(1982年12月)に食道癌のため43歳という若さで急逝、本作がレギュラー出演した最後のTV映像作品となってしまった。
- ヘドリアン女王の頭の飾り(?)が、多数の窪みのついた銀色の半球を2つ組み合わせたようなデザインになっているため、後に大きなお友達からつけられたあだ名は「ゴルフボール」(または「ミラーボール」)だとか・・・。
- 「サンバルカン」の由来は、「サン(太陽)」+「バルカン(ローマ神話の火の神)」である。企画当初の名称は単に「バルカン」だったが、既に商標登録されていて使えず、当時のスポンサーだった後楽園スタヂアムのマークから「太陽」を取り入れたという経緯がある。また、「サン」にはヒーローの人数である「3」が、「バルカン」には連射機関砲であるバルカン砲や歴史上しばしば動乱の舞台となったバルカン半島の激しいイメージが込められている。
- なお、本作をパワーレンジャー放映以前にマーベルのスタン・リーが「最高の作品。これが放映されれば従来の作品は一掃される」と強く気に入り、Fox KidsのCEOに働きかけ放送局を探していたが「あまりにも馬鹿げている」や「暴力的すぎる」という懸念から結局放映に至らなかった。パイロットフィルム自体は製作されていたが、現在は行方が分からずロストメディアとなっている。なお方式は英語吹替版だったという情報が当時の新聞記事で残っており、当時携わった人物からはアメリカの俳優を起用したパワーレンジャー方式であったと二つに意見が別れている。
- 当時の児童向け雑誌にて、コミカライズが行われ掲載されていた。TV本編とは異なるが、基本設定は同じで、コミカライズ独自の内容・展開も多かった。サンバルカンロボが登場するものも。中には機械生命体と関係のない、独自の怪人と戦うものもあった(何にでも変身できる三姉妹の怪人『七変化三姉妹』など)。
- OPのバルイーグルのシーンに出てくる動物は鷲ではなく隼である。
- OPのバルシャークのシーンに出てくる動物はシロワニである。
- OPのバルパンサーのシーンに出てくる動物は豹ではなくチーターである。
- 実はアメリカのサバン・エンターテイメントで北米ローカライズ版製作の話があったが、諸事情で頓挫してしまった。
- 歴代のスーパー戦隊シリーズでレッドの交代劇があったが追加戦士もなく、最後までスリーマンセル体勢で敵と戦い抜いた数少ない戦隊ヒーロー。
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