概要
第29話「妖精を見た」と第40話「黒帽子」における主人公。
母子家庭で母親と2人暮らし。ホラーマニアゆえか本物の妖精に出会うもそれにより、妖精と戦う羽目になる。
初登場時は12歳の小学6年生で再登場時は17歳の高校2年生と本作では珍しく、再登場時は数年が経過しているキャラクター。
妖精を見た
長坂家では物が無くなったり、出てきたりする不思議な出来事が続いていた。ミザリィのホラーショップ 美沙里の常連でもある想一は美沙里で購入したモグラ人間のフィギュアがいつの間にかなくなり、母の口紅も見つからずにいたが口紅はしばらくして見つかるのだった。
モグラ人間を新たに購入することにした想一は美沙里を訪れ、自宅で起きている奇妙な事件をミザリィに伝える。ミザリィによるとそれは物を隠す習性がある妖精の仕業であり、その妖精は自分の姿を見られるのを極端に嫌うために見たとしても見なかったふりをしろと助言。そうしなかったら命はないというのだ。
帰宅した想一はゲームの説明書を探している最中に説明書を手にした妖精を目撃。ミザリィの助言を破って、妖精に話しかけた想一は包丁を手にした妖精に襲われてしまう。想一の助けを呼ぶ声が聞こえた母が駆けつけたことで妖精はさらに姿を見られるの嫌なことから撤退。母に妖精のことを話すも「ホラー作品の見すぎ」と信じてもらえなかったがその夜は母と共に寝ることで妖精を退けることは出来た。
翌朝、想一はミザリィに相談しようとするも店は休業であり、その夜、母は仕事の都合で外出してしまう。想一は家の中にいては危険なので自分も外出しようとするが妖精が現れ、トイレに逃げ込むも妖精はドアノブを破壊・侵入してきたので今度は自室に逃げ込む。注射器を武器にして怪物と戦ったホラー映画のペットセメタリーをヒントに昆虫採集セットの殺虫剤を注射器に仕込み、さらにテレビの電気コードをハサミで切り取り、2つに分けて、電線を剥き出しにし、コンセントを繋ぐ。準備を終えた想一は電気攻撃と殺虫剤で妖精にダメージを与えるも妖精の反撃で想一を階段から転げ落ち、気を失うが妖精もトドメを刺す前に倒れてしまう。帰宅した母は動かなくなった妖精を見たことで想一の話が本当だったことを知り、妖精をトイレに流すのだった。
翌日、想一はミザリィに妖精の件を報告するがミザリィによる殺虫剤程度では妖精は死なないだろうと告げる。その夜、ミザリィの言うように妖精は生きており、想一への復讐を決意。さらに翌日、想一が学校に行っている間に想一の自室を荒らし、帰宅した想一に襲いかかる。家の外に逃げ出した想一を追う妖精だったがミザリィに敗北・捕獲されてしまう。そして、美沙里に急行した想一にミザリィは先程の妖精の剥製を見せるのだった。
黒帽子 前編
ミザリィのおかげで妖精に殺されずにすんだ想一であったが妖精事件がトラウマとなったことから、電灯をつけないと眠れず、眠っても妖精に襲われる夢を見るようになってしまっていた。
5年後、高校2年生になった想一は美術部員にもなっていたが妖精事件のことを警告して回ることから、変人扱いされており、そんな想一の話を信じるのは同じ美術部員の女生徒で小学生の頃にUFOを見たことがある高橋だけだった。
夏合宿で阿宇多駅の森にあるペンションに足を運んだ美術部だったがペンションの管理人はミザリィであった。ミザリィは想一との再会を喜びつつ、森の奥にある廃屋には入るなと忠告する。しかし、顧問の男性教師が用事で一時的に山を下りたことを機に想一たちは廃屋に行き、廃屋に残されていたビデオテープを先輩男子の大場が携行しているビデオカメラと液晶テレビで再生させる。ビデオには想一が持っている妖精研究の著者でもある男性学者が映し出され、彼はある呪文で次元の穴を開けて、妖精を呼び出すのだがバッテリー切れで中断されてしまう。
一行は予備のバッテリーがあるペンションに戻ることにするが廃屋で宝石を見つけた大葉は独り占めしたいことから、想一たちに「財布を忘れたので取りに戻る」ともっともらしい嘘をつき、ビデオを預け、廃屋に戻ると宝石を手にするが地下室に足を運んだことから、そこに潜んでいた大量の妖精に襲われ、喰い殺されてしまう。妖精軍団の正体は特に凶暴で夜行性で人間を喰い殺す黒帽子であり、ペンションに戻った想一たちは例の本でその事を知るが黒帽子はペンションに近づいていた。
黒帽子 後編
ペンションに潜入した黒帽子に先輩女子が襲われ、ミザリィが包丁で黒帽子を退けた後、全員2階に避難するも先輩女子は重傷を負ってしまっていた。さらに車で戻ってきた顧問は想一たちの眼前で黒帽子に喰い殺されてしまう。本には「黒帽子は硫黄とリンの臭いを嫌うので硫黄かリンを燃やせば近寄ってこない」と書かれていたものの誰もそういったものを持っておらず、先輩男子は一か八か2階から飛び降りて、車に乗り込み、助けを呼ぼうとするがエンジンは黒帽子に破壊されてしまっており、先輩男子も喰い殺されてしまった。
ミザリィは1階の台所の引き出しにマッチがあったことを思い出し、ミザリィに促されたことから、唯一の男性である想一が取りに行くことになり、想一は辛うじて、マッチを入手。マッチから発せられる硫黄とリンで黒帽子を退け、ビデオも回収し、2階に戻る。しかし、マッチは2箱しかない為、町に逃げようにも片道2時間、夜明けまで持ちこたえるにも数が少なかった。打開策を求め、ビデオの続きを再生させると学者は黒帽子を呼び出してしまった責任を取るために黒帽子の発生場所であり、生命線でもある穴を塞ぐ呪文を唱えに行くが失敗した場合に備えて、呪文をビデオに残していたことを知る。学者は失敗したために黒帽子は人間界に残りながらも人里離れた場所だったために廃屋に残っていたが想一たちが廃屋に来たせいで黒帽子は活動を再開してしまったのだ。
ミザリィは黒帽子が大量であることや高橋と重傷の先輩女子を守らなければいけないこと、何よりも想一のトラウマの克服と今回の事件の責任を取らせることもあって、想一に封印を命じる。代わりに高橋が行こうとしたことから、想一は覚悟を決め、ミザリィたちにマッチを分け与えた後、廃屋に向かう。
ミザリィたちがマッチを使い切り、バリケードも破られるのが時間の問題になっていた頃、何とか廃屋に辿り着いた想一だったがマッチの数に余裕があったことからの油断で腐った床板を踏み抜いて転倒し、マッチを全て落としてしまう。ここぞとばかりに黒帽子に襲われてしまう想一だったが生きようとする力でビデオを再生させ、学者の呪文で次元の穴を塞ぎ、黒帽子は消滅した。
急いでペンションに戻る想一だったがミザリィたちはおらず、手遅れだったと思われたが3人とも洋服タンスに避難したことで難を逃れていた。妖精へのトラウマを克服した想一は先輩女子の治療のためにも下山を率先。そんな想一を祝福するかのように朝日が昇るのだった。
余談
- 想一の母の名前は明かされなかったものの妖精の話に登場したことから、妖精ママの愛称があり、何よりもシャワーシーンが描かれたことから、インターネットでアウターゾーンを検索すると「アウターゾーン 妖精ママ」が表示されることからもコアな人気がうかがえる。
- 想一の年齢は初登場時は12歳とされたが5年後の再登場時は16歳とされたというミスが生じている。
- 第29話の表紙は妖精姿のミザリィであり、妖精は可愛らしいイメージがあることから、感動的な交流回を思い浮かべた人にはよりショックだったであろう。
- 第40話 前編の表紙は手に黒帽子を乗せたミザリィ。