バンク
ばんく
アニメで過去に使用したキャラの動きをそのまま使いまわすシーンの事を言う。手塚治虫が「鉄腕アトム」にて初めて採用した手法と言われている。セル画時代のアニメは労力・コストが膨大になるため、毎週放送するとなるとどうしても厳しくなり、削減のために様々なシーンでバンクシーンが使われるのが定番だった。
2000年代に入ると手書きと比べると大幅に労力を減らせるパソコンによるデジタル作画が徐々に増えていき、バンクの多用は減ったが、今もないこともない。魔法少女アニメあたりでは変身バンクシーンが一種のお約束としても残っている。
宣伝用バンクシーン
玩具販促としての傾向が強い子供向けアニメの場合は、コスト削減とは別の目的でバンクシーンの手法が現在でも使われ続けている。
子供向けアニメでバンクシーンが使われるのは基本的に「玩具化されているアイテムを使うシーン」である。こう言うシーンは刷り込みのCM効果を狙って毎回同じ映像を使うことがスポンサーから求められているので、制作現場の意向とは無関係にバンクを入れないといけない。
ヒーローもの(女性戦士含む)の変身・必殺技シーンやアイドルもののライブシーンはこのパターンの典型である。
こういう玩具宣伝を意識したバンクシーンは毎週同じシーンを見ても飽きないだけの映像を作らなくてはいけないので、とても美麗でヌルヌル動くハイエンドなものとなる。むしろ、毎回の本編の作画がバンクシーンに引けを取らないだけの質を保つ必要があり、大きなプレッシャーとなって製作陣にのしかかる。
そしてそれだけハイエンドなバンク映像を作るコストは莫大なものとなっており、わずか15秒のCMがTVドラマ数本分の製作費用をかけるのと同じく、1分程度のバンクシーン製作にかける労力や費用はアニメの本編数話分に匹敵する。
毎回の脚本上でも必ず宣伝バンクを入れないといけない制約がつけられるため、製作に関わる総合的な手間は余計に増えており、労力・コスト削減のためのバンクシーンという考え方とは全く逆の方向にある。
スポンサーの要請だからコストがいくらかかっても構わないシーンということを逆手にとって、普通のオリジナルTVアニメの製作コストではとてもできないような実験的手法をあえてこういうシーンで使うこともよくある。特に近年ではこの手のバンクシーンに高解像度かつ高フレームレートのフルCGを採用するケースが増えており、いろんなアニメスタジオのデジタル映像技術のお披露目会のような側面も出てきている。
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