概要
ざっくりした言い方だと、今週の怪人達である。
改造人間や妖怪だったり、地底人や宇宙人だったり、異世界人に近場の物に生命を与えたり等、様々な種類がいる。あくまでもこれらの種別は大まかな分け方なので、偶にこれら以外の種族や部外者が今週の怪人として登場することもしばしば(ファイブマンのクイーンキラーなど)。
その特徴は何といっても『無法とも言うべきモチーフの多彩さ』と言えるだろう。
例を挙げるなら
これぐらいブッ飛んだ物が多いが為に特撮作品でも屈指のバリエーションとなっている。
シリーズの中でも1~2話完結型のエピソードを取っている場合、怪人出現→戦隊ヒーローの必殺技で倒される→何らかの形で巨大化→戦隊側が巨大ロボを使って巨大戦となり、最終的に巨大化した怪人は倒される、という形が一種の様式となっている。
本項では怪人の総称が判明しているものを主に紹介する。
戦隊怪人一覧
70年代
登場作品:『秘密戦隊ゴレンジャー』
黒十字軍所属の改造人間達。幹部もまた仮面怪人である。
モチーフは当初こそ世界中の面であったが、仮面ライダーとの差別化として日用品やメカ化された動物などといったコミカルなモチーフに絞られた。そのためか言動もかなり人間臭く、野球仮面など世代を越え愛されている大御所が多くいることが最大の魅力だろう。
※ずばり『仮面』その物にデザインが集約されており、首から下は大体服を着ているかタイツに手袋・ブーツの2択。デザインを一手に手掛けた石ノ森章太郎氏が制作当時多忙な上、自分が描いたキャラに余り入れ込まない性分(※島本和彦氏曰く『飽きっぽい』)だった為、デザイン画は殆どアイデアスケッチ段階の物しか残っていない。
登場作品:『ジャッカー電撃隊』
犯罪組織クライムの手足として働くロボット怪人。名前はデビル○○○で統一される。
第23話以降は侵略ロボットや宇宙怪物という名称の怪人が現れるようになり、こちらは名前に役職が付いていることが多く、機械怪物の実力を遥かに凌ぐ。
よく見るとスーツに共通する部分が多い怪人が所属し、流用の繰り返しが目立つ怪人達であったりする。
※仮面怪人と同じ理由で、デザイン画はアイデアスケッチ段階の物が残っている程度。
登場作品:『バトルフィーバーJ』
秘密結社エゴスに所属する怪人。名前は○○○怪人で統一される。
サタンエゴスが怪人製造カプセルから直々に生み出す存在『御子』のため、階級は幹部よりも高い。
序盤は世界各国の木偶・土偶がモチーフであったが、徐々にストーリーに関連したモチーフに変わっていった。第5話から怪人にはそれぞれ、身体の一部にエゴスのシンボルを付けた弟(妹)ロボットという自立稼働型の巨大ロボ(悪魔ロボット)が与えられる。
いくつかゴルゴム怪人と名前が被っているのは気にしないでおこう。
※前年放映された東映版スパイダーマンに参加した、板橋しゅうほう氏を始めとする企画者104所属のデザイナーが続投。全体的にはまだ手袋とブーツを付けているタイツ怪人だが、タイツ部分がモチーフとなった生物と同じ質感になる等、『生物』である事を意識したデザインとなっている。
80年代
登場作品:『電子戦隊デンジマン』
ベーダー一族が送り込む怪人。卵生で、卵を孵化レンジで孵化させることにより誕生する。名称は○○○ラーで統一。
モチーフになった物とクリーチャーのような生物を合わせたような非対称のデザインが特徴。
ハンバーガーや塾といった変わったモチーフも多い。細胞配列を変えることで巨大化もミクロ化も自由自在である。
※野口竜氏が本格的に怪人デザインへ参加。タイツ怪人の名残である共通の手袋・ブーツは健在だが、ヒーローとは対照的に細かいデティールが凝っている。恐らくこれが“カラフルだがシンプルデザインの戦隊ヒーローに対し、デザインが凝っている戦隊怪人”と言う認識の元祖と思われる。
登場作品:『太陽戦隊サンバルカン』
機械帝国ブラックマグマが機械生命体製造マシンから製造するメカ系怪人。メカが露出しているデザインの者が多い。名称は○○○モンガーで統一。
倒されると体内の巨大化装置が働き「巨大モンガー」と叫び声を上げ巨大化する。
※ベーダー怪物でのデザイン傾向をそのまま発展、戦隊怪人の基本イメージを構築した。
登場作品:『大戦隊ゴーグルファイブ』
暗黒科学帝国デスダークが生物の遺伝子とメカを合成して誕生させる。初期には半身にストライプの意匠があった。モチーフは動物や植物。中には天狗や河童と言った妖怪もいる。名称は○○○モズーで統一。
さらに合成怪獣一体に付きコングというザゾリヤ博士とイガアナ博士が発明した巨大ロボが付いており、第4話までは合成怪獣と関連がないモチーフのコングが登場していたが、第5話から合成怪獣と同じモチーフのコングが登場した。
外見は…お察しください。
※この時期になるとタイツ怪人の名残は両足のブーツのみになっており、全体的に生物的なフォルムを醸し出す。また、初期のコングは後の巨大戦専門怪人の原型ともいえ、戦隊怪人のデザインが進化をする予兆を感じ取れる。
登場作品:『科学戦隊ダイナマン』
有尾人一族ジャシンカ帝国が創造、制作する人工生命体の怪人。
従来の戦隊怪人に比べ生物感が増しており、身体の何処かに尻尾が存在している。生命の危機を感じると細胞が急速に増加する「ビッグバンプログレス」という現象によって、巨大化し「超進化獣」になる。名称は○○○シンカで統一。
後半よりさらに進化獣にメカの要素を足して強化した「メカシンカ」が作られるようになる。
スーパーダイナマイトを破るほどの強敵で、終盤にはドラゴンやスフィンクスといった空想上の生物をモチーフにした怪人も存在している。名称は生物の名称+メカの名称で統一。一度倒されてもカー将軍の指示で要塞グランギズモから発射される「ビッグバンビーム」を受けることによって、復元・巨大化する。
※八手三郎が原作を務めた『闘将ダイモス』がデビュー作である、出渕裕氏が初参入。彼の手により戦隊怪人は遂にブーツも脱ぎ、タイツ怪人では無い人型ながら頭部から足の先まで異形な怪物へと“進化”したのである。
登場作品:『超電子バイオマン』
新帝国ギアの送り込む巨大ロボ。
等身大の戦闘は幹部と戦闘員が担当していたため、実質彼らがゲスト怪人の扱い。
物語前半では主に生物をモチーフとしたメカジャイガン、後半では主に兵器をモチーフとしたネオメカジャイガンが登場した。
名称は前者が○○○カンス、後者が○○○メガスで統一。
※本来、セル画作品内でしか表現し難かったロボット同士の戦闘を実写で実現したバイオマンだが、それを成し遂げた要因の一つが『ダイモス』等で敵ロボットのデザイン実績がある出渕氏が参加した事であるのは間違い無いだろう。
登場作品:『電撃戦隊チェンジマン』
大星団ゴズマの送り込む宇宙人、もしくは侵略した星の改造生物がこう呼ばれる。
モチーフはデザイナーの出渕裕氏がウルトラ怪獣やライダー怪人に影響を受けていることから、恐らく過去の特撮作品の怪人や怪獣達と思われる。
ゴズマに飼われた宇宙生物ギョダーイがエネルギーを照射することで巨大化する。
※オマージュ元があるとは言え、ヒューマンタイプや怪獣タイプ、あるいは辛うじて人型にしか見えない異形もいる等そのデザインは統一性が無く多彩。出渕氏はこれをほぼすべて一人でデザインした(※第31話のゾルバスのみ神田正宏氏のデザイン)。
登場作品:『超新星フラッシュマン』
改造実験帝国メスの大博士リー・ケフレンが遺伝子シンセサイザーで宇宙生物同士の遺伝子を合成して生み出した存在。
身体の何処かに青く輝く人工心臓が存在する。
なお、メスの構成員の約90%以上が、獣戦士と同じく改造生命体。
奇抜なデザインもあって明確なモチーフの断定は難しいが、地球人や地球の生物をベースにしている者もいる。
エネルギー生命体クラーゲンからエネルギーを与えられることで巨大化。
後期は、大帝ラー・デウスの遺伝子を与えられた強化型のデウス獣戦士が登場した。
名称は全て『ザ・~』で統一。エイリアンハンターを除いた幹部以上の個体『ラ行+ー・○○○』で統一。
※前年の宇宙獣士と違い、デザインの全てを出渕氏一人で担当。異形だが改造生物である故の機能性重視で自然的要素が無いのが特徴。なおこれ以降、出渕氏は戦隊怪人のデザインから長らく離れる事になるが、この4年間で彼が与えた影響は大きい。
登場作品:『光戦隊マスクマン』
地底帝国チューブが地上侵略のため送り込む地底に生息する怪生物。名称は○○○ドグラーで統一。多くが寄生獣と地帝ドグラーの合体であることが多い。
地底人達と共生関係にあり、歴史で言えばチューブ誕生以前より地底人と深い関係にあった。
エネルギー獣オケランパからエネルギーを貰うことで巨大化する。
※デザインは萩原直樹氏と、新貝田鉄也郎・秋恭摩(来留間真一の名義で参加)・森野うさぎの漫画家3人が組んだデザイナーユニット“いちごはうす”が担当。生物的な質感の強い異形は共通して、各々が四者四様のデザインセンスを発揮した。
登場作品:『超獣戦隊ライブマン』
武装頭脳軍ボルトが頭脳核にカオスファントムエネルギーを照射することで創造する人工生命体の総称。ギガボルトを除いた頭脳獣は○○○ヅノーの名称で統一。
ガードノイド・ガッシュが持つエネルギー砲ギガファントムから放つエネルギーを浴び、巨大化する。
※前年に引き続き、萩原氏といちごはうすが担当。こちらは生物的と言うよりも、製作者である幹部達の歪んだ美的感覚が現れたかの様な異形となっている。
登場作品:『高速戦隊ターボレンジャー』
暴魔百族を構成する異形の存在。
2万年前に妖精達によって封印されたという設定のためか、モチーフは東洋的、特に妖怪に近い姿をした者が多かったが、物語途中からそんな設定御構い無しな現代的なモチーフの暴魔獣が多くなっていった。各幹部が放つ再生巨大化光線で巨大化する。名称は○○○ボーマで統一。
※後に最も多くの戦隊怪人を描き続ける事となる篠原保氏のデビュー作。しかもこの時点で単独デザインを達成すると言うかっとびぶり。
90年代
登場作品:『地球戦隊ファイブマン』
銀帝軍ゾーン配下の宇宙人。
モチーフは基本的に地球の生物で、名称は○○○ギンもしくは○○○ルギン、○○○ラギン、○○○ラーギン。
後半の第29話からは2体の銀河闘士を組み合わせた合身銀河闘士が登場する。例外としてテラノTVギンは合身銀河闘士ではあるものの、唯一機械と動物の合成となっている。
倒されると巨大化獣ゴルリンに吸収再生され巨大化する。
※篠原氏と大畑晃一氏がほぼ均等の割合でデザイン。特に合身銀河闘士はコンセプト的にベーダー怪物のセルフオマージュだが、実質2体分の怪人を描き出して融合させたデザイン上、下手なダブルモチーフの怪人とは比べ物にならない程デザイナーからのエネルギーが注がれている。
登場作品:『鳥人戦隊ジェットマン』
次元戦団バイラムの尖兵。名称は○○○ジゲンで統一されており、次元虫が器物に取り憑いて誕生する。
第25話からの登場するバイオ次元獣はバイオ次元虫によって誕生する次元獣の強化版で、デザインコンセプトはメカシンカとほぼ同じ。
器物が最初から大きいものは巨大な姿で誕生するが、次元虫・バイオ次元虫ともに次元獣を巨大化再生させる能力をもっている。
これとは別に三魔神なる怪人も登場する。
※野口竜氏がサンバルカン以来、10年越しに戦隊怪人をメインでデザイン。戦隊怪人の基本イメージを造り出した男が当時の時流に合わせたデザインで怪人を描いた結果、久しぶりにコミカル成分が強めな外見の怪人達が登場した。
登場作品:『恐竜戦隊ジュウレンジャー』
バンドーラ一味のプリプリカンが粘土を捏ねて生成する西洋のモンスターを模した一味が配下とする怪物達。名称はドーラ+モンスター名で基本的に統一。中盤以降は素材をドキータ粘土にすることで強化された。魔女バンドーラが投げた杖ドーラセプターが大地に眠る悪霊の力を集め、モンスターを巨大化させる。
※当時躍進の目覚ましい篠原氏と、前年で戦隊シリーズにカムバックを遂げた野口氏の両名がタッグを組んだ。担当は篠原氏が幹部陣、野口氏がドーラモンスター。
登場作品:『五星戦隊ダイレンジャー』
ゴーマ族配下の怪人。基本的に単眼が特徴で、名称はモチーフ+役職名(男爵や将軍など)で基本的に統一。
追いつめられると巨大化爆弾を自らに投げ、巨大化する。この他イカヅチや餓狼鬼などのゴーマ怪人以外の怪人も存在している。
※篠原氏とマイケル原腸氏がデザイン。幹部陣を含めると殆どは篠原氏だが、地獄の三人官女(イヤリング官女等)やゴーマ3ちゃんズは原腸氏が手掛けた。
登場作品:『忍者戦隊カクレンジャー』
日本古来から暗躍する魔物のことで、総じて妖怪軍団と呼ばれる。
デザインは日本の妖怪をベースにアメリカンなアレンジが加えられている。倒されそうになると黒雲から妖怪エネルギーを受けて巨大化する。もう一つのモチーフは職業となっている。
※今作で通算5度目となる篠原氏を中心に、原腸氏や阿部統、岡本英郎氏の4名が参加。怪人によってはシルエットが全く違う形態がデザインされる等、歴代でも屈指の豪華さである。
登場作品:『超力戦隊オーレンジャー』
マシン帝国バラノイアが運用する機械生命体。
元々は6億年以上前の超古代文明人が生み出した使役用のロボ。
ブリキのおもちゃやレトロメカのような外見なものが多い。名称はバラ○○○で統一(劇場版に登場したような例外もいる)。
アチャの投げたコチャが「大きくなってね!」と巨大化エネルギーを注入することで巨大化させる。
※メインデザイナーの阿部氏以外は、同年に放送された『重甲ビーファイター』の怪人デザインも掛け持ちしていた。また森木靖泰氏はこれが戦隊初参加、原田吉朗氏はダイナマン、バイオマン以来の参加となる。
登場作品:『激走戦隊カーレンジャー』
宇宙暴走族ボーゾックの構成員。アルファベットの連呼+で統一。彼らのほとんどが「ボーゾック一○○な能力」を持っており、暴走族と無関係なものが多い。
発明家グラッチが偶然発見した「芋長の芋羊羹」を食べることで巨大化する。
※ほぼ全てのデザインを野崎明氏が担当。ゲスト怪人の外見が個性的過ぎたので、ほとんどのスーツが登場回のみの使い捨てであったとの事。そんなイロモノばっかりの怪人を本編で描き続けたせいで、最後に“まともな”暴走族の外見である宇宙暴走族ヘルメドーをデザインした後、野崎氏は「これでよかったのか」と違和感を覚えてしまったらしい。
登場作品:『電磁戦隊メガレンジャー』
邪電王国ネジレジアが使役する、どこかしらねじれた姿の生物怪人。ネジレ魔法陣の上に元になる生物の遺伝子を置き、シボレナが呪文を詠唱することで誕生する。名称は○○ネジレで統一。
第33話から強化版のサイコネジラーが登場しこちらは生物だけではなく、終盤は事象モチーフも存在する。こちらは○○ネジラーで統一。
倒されるとビビデビがネジレ獣やサイコネジラーに噛みつき、巨大化ウイルスを注入することで巨大化させる。
邪電戦隊ネジレンジャーは邪電王ジャビウス1世の細胞から作られた悪の戦隊で、禍々しくもダークヒーローのかっこよさを追求したデザインとなっている…というのは表向きで、その正体はサイコネジラーの一種で、かっこよさとは程遠い醜い姿の怪人である。モチーフは属性や生物となっており、名前は『ネジ』+『◯◯◯』で統一。
※デザイナーの布陣は前作からの続投だが、今回は下条美治(現在は『下“條”美治』名義)氏がメインを担当。一方でネジレンジャーやその正体であるサイコネジラー5体は阿部氏のデザインで、ある意味阿部統デザイン戦隊のプロトタイプとも言える(※後に阿部氏はプレックスに所属、戦隊を始めとしたヒーロー側のデザインを手掛ける様になる)。
登場作品:『星獣戦隊ギンガマン』
宇宙海賊バルバンに所属する荒くれ者達。
4つの軍団で構成され、サンバッシュ魔人団は昆虫+レザーファッション、ブドー魔人衆は和風+海洋生物、イリエス魔人族は神々や魔獣、バットバス魔人部隊/バットバス特殊部隊は兵器をモチーフとしている。最後の手段としてバルバエキスを飲み干すことで巨大化するが、命を縮める危険性がある。
海外版では宇宙昆虫軍団と『失われた銀河』の海賊の配下として登場している他、『ビーファイターカブト』の暗黒合成獣トカスズラが何故か登場するなどオリジナルとは扱いが大幅に異なる。どこぞの怪獣かおのれは。
※カーレンジャー、メガレンジャーからの続投になった3名に、頼兼和夫氏を加えた4人が参加。幹部を含めて殆どを野崎氏がデザインしている。
登場作品:『救急戦隊ゴーゴーファイブ』
災魔一族配下の怪物達で全員が悪魔的なデザインをしている。
基本的には水、火、天、地の4属性に分けられるが、冥王ジルフィーザの持つ冥界のデッキから召喚される強力な冥界魔闘士など属性外の災魔獣も存在する。終盤は無限連鎖カードで同じ技が通用しないなどの強化がなされた無限連鎖サイマ獣が登場したりした。
呪士ピエールの再生カードで1万倍の力を持つ死霊として巨大化し、岩石サイマ獣マグマゴレムの肉片から生まれたゴレムカードで巨大化したものは実体を持った「ゴレムサイマ獣」となる。
また、災魔一族と勢力を二分する獣魔一族も存在している模様。
※下条美治氏がほぼ全てをデザインしており、火炎サイマ獣ヘルゲロスだけは阿部氏がデザインしている。
2000年代
登場作品:『未来戦隊タイムレンジャー』
元々はロンダーズファミリーがアジトとしている刑務所に収監されていた30世紀の犯罪者達。ロボットから宇宙人、サイボーグまでバリエーションは広い。
作中では一貫してタイムレンジャーには殺されず、圧縮冷凍で逮捕するという形で倒される。地球人には不可能な特殊能力があるためか、刑期が人間に比べはるかに長い。
圧縮冷凍の反動を抑制する巨大化抑制シールをはがすことで巨大化する。
この他にギエンに作られたノヴァやクライシスといったロボットもタイムレンジャーを苦しめた。
※ほとんどのデザインは原田吉朗氏で、一部の怪人を森木靖泰氏がデザイン。ちなみにこの両名は以降の戦隊でも共演する頻度が割と多かったりする。
登場作品:『百獣戦隊ガオレンジャー』
この世に漂う邪気が物に取り憑く、又は物の形を模して誕生する邪悪な鬼たちで、角が少ないほど位が高いオルグたちの中でも複数の角を持つ。
劇中の描写から現代だけでなく平安時代や戦前に現れていることが発覚している。
名称は○○○オルグで統一。
デュークオルグ・ツエツエの杖から出るオルグシードの力で巨大化する。
※引き続きメインは原田氏で、一部の怪人をさとうけいいち氏が手掛けた。戦隊では定番の器物モチーフ怪人だが、それに『鬼』を連想させる外見や面構えを与え通した両デザイナーのセンスは流石である。
登場作品:『忍風戦隊ハリケンジャー』
宇宙忍群ジャカンジャ配下の宇宙忍者達の総称。
生物モチーフの宇宙忍者軍団、動物型ロボットで構成されたクグツ忍者軍団、事象と人体パーツなどをモチーフとし、仮面を着けた仮面忍者軍団、空想上の動物をモチーフにした扇忍獣群団などがある。
ハリケンジャーが和をモチーフにしているのに対し、こちらは中華テイストを組み合わせたデザインとなっている。
宇宙忍者は再生巨大化の術の巻物、クグツ忍者は「コピージャイアント」というロボット、仮面忍者は「デッ仮面」という大きな仮面を使うことで巨大化する。巨大化の担当は四の槍ウェンディーヌが務める。
※さとうけいいち氏が参加二度目にして単独デザインを達成。デザインコンセプトがそれぞれ違う各群団を描き切るに留まらず、各種小道具等や『宇虫文字』までデザイン、ジャカンジャの世界観を一人で構築した。…しかしバトルフィーバーより休まず一年毎に新たな世界観を創り出す戦隊シリーズの制作スケジュールのタイトさには慣れなかったらしく、制作終盤でタウ・ザント究極体のラフ画を急遽描いてくれと頼まれて面食らったらしい(※なおこの逸話には、同等の無茶ぶりへ耐えられるだろうこの人が当時の30分後の番組に参加、東映特撮へカムバックしたオチが付く)。
登場作品:『爆竜戦隊アバレンジャー』
邪命体エヴォリアンによって生み出される地球侵略用生命体。
動物、植物、無機物の3種をモチーフにした人間大のトリノイド、クラシック音楽をモチーフにした巨大なギガノイドなどがカテゴライズされる。劇場版では6つのモチーフを合成したヘキサノイドが登場している。
トリノイドは倒されても、体内の生命の実から発生するジャメーバ菌を含む雨を浴びることで復活・巨大化する。
この他の邪命体としてアノマロガリスといった古代生物を名前の由来とした巨大邪命体や、アバレキラーを模したキラーゴーストなどが存在する。
※さとう氏が前作に引き続き続投、二年連続で単独デザインを達成。だが、『関連性が無いモチーフ三つを組み合わせる』、『クラシック音楽を図象化』と言うデザインコンセプトは最早本格芸術の領域で、それに前年と同じタイトスケジュールも相まって非常に苦労したとの事(名前と設定だけ提示されて後は丸投げされる場合も何度かあったらしい)。それでも何とか完走したさとう氏だったが、この時の経験は良くも悪くも印象的に残ったらしく『アバレンジャーはデザイナーいじめの作品』と毒も含んだ振り返りの言葉を後に残している(…がこの逸話にも、当時の30分後でこの人がさとう氏と同じ事をやり切り、それを持って後の記録を打ち立てる土台を築いたオチが付いている)。
登場作品:『特捜戦隊デカレンジャー』
同作における通常の異星人は「エイリアン」、そして惑星間犯罪者は「アリエナイザー」と呼ばれる。 その名の通り、地球人には有り得ない方法で犯罪を行う(ちなみにアリエナイザーの出身星には何かしらの有り得ない文化がある)。
行う悪事は迷惑行為から惑星間レベルの凶悪犯罪までとピンからキリだが、犯行動機や被害の規模が情状酌量の余地が無いものが殆どなため、デリート(死刑執行)されることが多い。また、一部の者を除き、アリエナイザーは巨大化能力がないため、巨大戦はエージェント・アブレラから購入した怪重機を使う(たまに巨大化させられる個体も存在する)。
ちなみにザケンナーと合体したアリエナイザケンナーもいたりする。
※デザインのほぼ全てを森木靖泰氏が手掛けたが、歴代屈指のデザイン量だったからか裏方の企画者104もスタンスを破り、当時入社したばかりの松井大氏をサブデザイナーとして付けた。また、劇場版『フルブラスト・アクション』のモブキャラやファルファ星人ヤーコ等のデザインを原田吉朗氏が手掛けている。
登場作品:『魔法戦隊マジレンジャー』
地下奥深くに存在する地底冥府インフェルシア配下の魔獣達。
それぞれが名前が西洋のモンスターの名を冠しており、最初に現れた冥獣は知能が低く凶暴な性質の者が多く、中でも「蠱毒房三冥獣」は凶暴性が段違い。中盤からは冥獣の強化版といえる冥獣人が台頭するようになり、冥獣よりも知能とパワーは高く、フォルムがより人型になっているのが特徴で、中でも「冥獣人四底王」と呼ばれる4体の冥獣人が最強とされるが、扱いは冥獣とはほぼ同格。
さらに終盤にはインフェルシア最高位の存在である冥府十神が出現。インフェルシアを支配する邪悪な神々で実力、知能は冥獣人を遥かに上回るとされ、インフェルシア最強の矛と盾と呼ばれる二極神、リーダー格の三賢神、戦闘を得意とする五武神で構成される。一度倒されたン・マを絶対神に召し上げるため闇の戒律に従って行動する。
※平成仮面ライダーシリーズに参加した事で東映特撮に帰って来た篠原保氏が、満を持して戦隊怪人のデザインへ再参入。戦隊単体ではターボレンジャー以来のほぼ単独デザインを達成、記録への第一歩を踏み出す(※第32話の冥菌獣モールドは松井氏のデザイン)。
登場作品:『轟轟戦隊ボウケンジャー』
ジャリュウ一族のリュウオーンが作り上げた恐竜の遺伝子を使って生み出される竜人兵ジャリュウを殺し合わせて勝ち残った強力なジャリュウを改造したものが邪悪竜、恐竜の能力を持つ巨大生体ロボットが大邪竜と呼ばれる。リュウオーン曰く作るのに手間が掛かるらしい。
裏モチーフは恐竜戦隊ジュウレンジャー、爆竜戦隊アバレンジャー、星獣戦隊ギンガマンなどのロボ。
登場作品:『轟轟戦隊ボウケンジャー』
忍をルーツとする盗賊集団ダークシャドウの幻のゲッコウが影忍法ツクモガミ変化の術で作り出す怪人。古い物体と新しい物体を組み合わせて誕生する。
素材となった物体の能力を忍術として使うことが可能。幻のゲッコウの影忍法オオガミの術で巨大化する。
裏モチーフは主に忍者戦隊カクレンジャーや忍風戦隊ハリケンジャーなどのロボ。乗り物などメカをモチーフにしたロボが元ネタになる事も。
登場作品:『轟轟戦隊ボウケンジャー』
生物学上は人類に近い種族でありながら全体的に冷酷非情で戦いを好み、そのネコ科動物を思わせる奇ッ怪な姿が悪魔伝説や妖怪伝説の元になったとされる怪人の総称。
アシュは一部を除いて百鬼界に封じ込められているが、本編に登場したもののうち二体は後に大神官ガジャの手でゴードムエンジンを組み込まれてクエスターへと進化した。
裏モチーフは主に五星戦隊ダイレンジャー、百獣戦隊ガオレンジャーなどのロボ。
そしてそのクエスターが近代兵器を参考に生み出したロボットは「クエスターロボ」と呼ばれる。第1号はゴードム文明から奪ったガガドムで純粋にクエスターが作ったロボはクエスターロボ疾(ターボ)から。プレシャスを使いこなす戦法でボウケンジャーを大いに苦しめた。
裏モチーフは電子戦隊デンジマンなどの80年代の戦隊ロボが多い。
登場作品:『轟轟戦隊ボウケンジャー』
ボウケンジャーとネガティブシンジケートが争奪戦を繰り広げる、大いなる力を秘めた古代の秘宝プレシャス。そのプレシャス自身が危険な能力を発揮し、怪物になることもある。
上記では紹介されていないが、ゴードム文明出身者はゴレンジャーやオーレンジャーのメカがモチーフだったりする。
※以上の全てを篠原氏が単独デザイン(※巨神ガガドムだけは原田吉朗氏がクリンナップしている)。ただデザインコンセプトは放送当時あまり注目されなかった。
登場作品:『獣拳戦隊ゲキレンジャー』
ただし臨獣拳士として復活できるのは試しの房を攻略したリンリンシーのみ。臨技「獣人邪身変」を使うことで「獣人」に変身できる。
拳法技は最初に同じ文字を繰り返す激獣拳とは異なり、何らかの言葉を捩った技となっている。
名前はモチーフの動物のアナグラム。臨技「邪身豪天変」を使い巨大化する。
登場作品:『獣拳戦隊ゲキレンジャー』
臨獣拳に続いて台頭した臨獣拳を上回る幻獣拳の使い手達。それぞれ十二支に似た幻獣(架空生物)がモチーフ。幻技「幻身豪天変」を使い巨大化する。
特に強力な四人の幹部を四幻将、その配下の二人の拳士を双幻士と呼ぶ。また、四幻将の裏モチーフは四神である。
※篠原氏、三年連続の単独デザイン(※三年目にして他デザイナーのサポート無しの単独走破を、ターボレンジャー以来で達成)。臨獣・幻獣拳士のいずれもモチーフとなった生物・幻獣の顔が胸に付けられている。一方で幻獣拳士の名前は中国の古文書『山海経』に記述される幻獣等から採られており、これが設定に凝り過ぎた物かネタ切れの上での苦肉のチョイスかは不明。
電影版ゲキレンジャーに登場。動物を模した拳法を操るという意味ではリンリンシーに似るが、こちらは科学技術の粋を結集した機会拳法を習得した改造人間達という差異がある。武術家達の気を吸収して強くなる特性を持つ。
アントライオン拳ヤン、シーアネモネ拳ミランダ、巨大ロボたるスパイダー拳銘観音のモチーフは仏像+動物である。
登場作品:『炎神戦隊ゴーオンジャー』
蛮機族ガイアークが送り込む人工物をモチーフとした機械生命体。
主に害地目、害水目、害気目、害地水気スペシャル目にカテゴライズされる。
ビックリウムエナジーで巨大化する際の口上は『サンギョウカクメーイ!』。名称は○○○バンキで統一。
※当時『仮面ライダーキバ』へ参加していた篠原氏のバーターとして、酉澤安施氏が担当。初登場で単独デザインを成し遂げる。手書き風のウェザリングが効いた作画タッチが環境汚染をする機械である蛮機獣にマッチしており、デザイン画自体が一枚絵と言っていい完成度に達している。
蛮機獣以外のパラレルワールドの住人も敵として登場する事もしばしば(サムライワールドの住人や、ロムビアコ、ワメイクルなど)。
登場作品:『侍戦隊シンケンジャー』
あの世とこの世の境目である三途の川から現れる外道衆所属の異形の者達。
各々が日本の妖怪の伝承の元になった存在で、現世の隙間を通してこの世から現れる。
現世で活動するには制限時間が存在し、時間を過ぎると『水切れ』を起こし、身体が硬化し始める。
一の目・二の目と呼ばれる2つの命を持ち、一の目で倒されても二の目で復活・巨大化する。
※一年越しに篠原氏が担当、通算五度目の単独デザインを成し遂げる。“『妖怪を知らないアメコミ漫画家』になり切って描く”と言う離れ業でデザインした結果、モチーフを巧みに取り入れた設定や秀逸な武器名を持つ、スタイリッシュな戦隊怪人が誕生。篠原デザインの怪人達の中でも、トップクラスの出来を誇る存在となった。
2010年代
登場作品:『天装戦隊ゴセイジャー』
宇宙から襲来した宇宙虐滅軍団ウォースターの構成員。
モチーフは道具と昆虫で、種族名は昆虫の英名、名前の由来は主に宇宙をテーマにしたSF映画から取られている。
さらに作戦や癖などは名前の由来になった映画のオマージュになっており、これはゴセイジャーに登場する敵のほとんどに当てはまる。
登場作品:『天装戦隊ゴセイジャー』
ウォースターの次に現れたかつて護星天使に封印された邪悪な生命体。
幹部が「エルレイの匣」の封印から目覚めた事で地球を汚染しようと動き始める。
主だった組織は持たず、総称として地球犠獄集団幽魔獣と呼称されている。
モチーフはUMAと地を這う無脊椎動物で、名前の由来は怪獣映画やホラー映画から。
チュパカブラの武レドランの持つビービ虫が噛みつく事で巨大化する。
登場作品:『天装戦隊ゴセイジャー』
ウォースター・幽魔獣に続いて現れた機械禦鏖帝国マトリンティスの皇帝・10サイのロボゴーグに作られた機械生命体。
モチーフは海洋生物で名前の由来はサイボーグや人工生命が登場するSF映画から。
ビービ虫を改造したビービネイルを挿す事で巨大化する。
登場作品:『天装戦隊ゴセイジャー』
最後に現れた敵勢力で、とある人物によって超進化を遂げた邪悪なゴセイヘッダー。
人型をしており、倒されると地球救星計画の為に重要なネガー・エンドの楔に変化して大地や海に突き刺さる。
モチーフは多頭のモンスターと有角のモンスター、武器。更にゴセイグレートの派生形態もモチーフに取り入れられている。
名前の由来は映画化されたファンタジー文学から。
※酉澤安施氏が一年越しに再登場、再び単独デザインを達成している。各敵勢力のデザインコンセプトは一見するとバラバラだが、『勢力の根幹要素でモチーフを再構築する』点が共通している(マトロイドが最も解かり易い)。そして本作最大の敵はこの点を最大限に活かされた結果、真の姿に加えてバリエーション豊かな別の姿を複数持つ事になった。
余談だが篠原氏と酉澤氏がローテーションで単独デザインを行った4年(ゲキレン~ゴセイ)の間で、スーパー戦隊VSシリーズがVシネマから劇場映画(スーパー戦隊祭)に移行。その初期3作スタッフクレジットの『キャラクターデザイン』欄が両氏の名で固定される珍事が起こっていた。
登場作品:『海賊戦隊ゴーカイジャー』
宇宙帝国ザンギャックの尖兵。開発技官インサーンによって強化改造を施されている。
モチーフはデザイナーによって異なり、韮沢靖氏が担当した際は海洋生物、篠原保氏が担当した際は歴代戦闘員になっている事が多い。
また過去の戦隊怪人が復活した者や親族、関係者も含まれている。
インサーンの銃と連動して放たれる巨大化ビームで巨大化する。
※雨宮慶太氏の人脈より見出された人物同士にして、平成仮面ライダー一期で名を上げたデザイナーの盟友同士がタッグを満を持してタッグを組んだ。更に韮沢氏は今作が戦隊初参加となる。また過去作のスーツも流用した都合で、さとうけいいち氏と酉澤氏の名がキャラクターデザインの欄に乗っている。
…しかし後に韮沢氏が逝去した事で、氏の戦隊怪人デザインと篠原氏との共演はこれが最初で最後になってしまった。更に野口竜氏が、同年公開された海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバンの公開日から間もなく急逝。当作に出た魔空監獄のイラストボードが氏の生前最後の作品となった。
登場作品:『特命戦隊ゴーバスターズ』
ヴァグラスによって運用される器物にメタウイルスが取り付いた機械生命体。名称は○○○ロイドで統一。終盤は生物モチーフの者も生み出された。
メガゾードはメタロイド誕生に伴って生み出される巨大ロボで、メタロイドのデータを反映した装備を持つ。名称は○○○ゾードで統一。
元はパワーレンジャーシリーズで巨大ロボを表す言葉。
※シリーズの改革を狙ったゴーバスターズの作風に対応してか、単独デザインや少数精鋭が多かった近年の傾向に反して、フラッシュマン以来の参加となる出渕裕氏に彼と同格のキャリアになった篠原氏、中堅の原田吉朗・森木靖泰氏にゴーオンジャー以降から散発的に参加して来たK-SuKe氏という、オーレンジャー以来となる多人数でのデザイン態勢を採った。
しかしOB枠の出渕氏は戦闘員と幹部の強化形態のみ、K-SuKe氏はメガゾードのコクピットにメタロイドと敵メガゾードを2組程度デザインした程度で、実質のメインデザイナーは篠原・原田・森木氏の3名になる(※ちなみに3名ともメタルヒーローシリーズで怪人デザインの経験がある)。更に篠原氏は同時期にリブートした宇宙刑事シリーズの怪人をリデザインするのも掛け持ちしていたので、ほぼ原田・森木氏のローテーションでのデザイン体勢に。
最終的には終盤の強敵格を森木氏が一手に手掛け、事実上のデザイナー筆頭に繰り上がっている。
登場作品:『獣電戦隊キョウリュウジャー』
デーボス軍の手先であるモンスター。暗黒種デーボスを復活させるのに必要な感情を集めるため、各能力を連想させる複数の要素から誕生する。名称はデーボ・○○○で統一。楽しみの密偵ラッキューロのスクスクジョイロから出る復元水で巨大化する。
主にキャンデリラ、ドゴルド、アイガロンの3人が生み出すが、必要によってはラッキューロやカオス生み出したり、エンドルフが「怨み」の感情を集めるためにデーボモンスターを作り出す事も。作戦の為に何度でも同じモンスターを誕生させる事も可能。恐竜を絶滅に追いやる程の力を持つゼツメイツと呼ばれる3体のデーボモンスターも存在する。
※前年で本格的に怪人デザインに参加したK-SuKe氏が本格参入、ほぼ全てのデザインを担当(※ブレイブ33のデーボ・アキダモンネのみ、初の女性デザイナーとなる村田桃子氏がデザイン)。怪人は頭から足先までモチーフに関連する物を散りばめた『人型ジオラマ』とも呼ぶべき豪華さで、総数は少なめな物の個々のキャラの濃さも相まって、あらゆる面での完成度が高いキョウリュウジャーの人気を支える一助を果たした。
登場作品:『烈車戦隊トッキュウジャー』
闇に潜むシャドーラインに属する幹部に仕える家臣達。ゴシック調の道具とスチームパンクがモチーフで、身体の所々に目をあしらった模様を持つ。名称は○○○シャドーで統一。倒されると周囲の闇を吸収して巨大化する。
また、シャドータウンの管理人は全てチェスの駒の名前で統一されている。
※最早お馴染みとなった、篠原氏ほぼ単独のデザイン。曰くアンティークをモチーフに『ベタな』デザインをあえてやるというテーマを定めたとの事。更にかつて自身も関わったゴーマ怪人をセルフオマージュしているらしい(身体に配された『目』がそれに当たる)。
一方でキャッスルターミナルやクライナーのコクピット等、美術デザインは森木靖泰氏が担当していて、その延長上で闇の巨獣もデザインしている。
登場作品:『手裏剣戦隊ニンニンジャー』
牙鬼軍団が封印の手裏剣を媒体に器物から生み出す、古来の妖怪の伝承を受け継ぐ存在。
一方の牙鬼流忍者軍団は動物をモチーフとした牙鬼家の御庭番で、忍者スズメバチを除いた4人は十六夜流忍者と呼ばれる。十六夜九衛門の持つ小槌に「五トン妖シュリケン」をセットすることで使える肥大蕃息の術で巨大化する。
※ジュウレンジャーと同じ割り当てで、幹部陣を篠原氏、通常怪人を主にK-SuKe氏が担当。過去の妖怪モチーフ怪人が変化球のデザインだったのに対し、こちらは昔から伝えられた妖怪の姿にモチーフの器物を掛け合わせた割とオードソックスな路線。なお妖怪ヤマビコと上級妖怪コナキジジイを豊田幸秀氏が、妖怪モクモクレンを渋谷亮介氏がデザインしている。
一方幹部陣は『人間から変じた妖怪』を表現する為、衣装と化け物が交差した様なデザインで統一されている。しかし、最初期にデザインした首領の牙鬼幻月は本編シナリオの改変により、些か浮いたデザインになってしまったという。
登場作品:『動物戦隊ジュウオウジャー』
宇宙の無法者デスガリアンのブラッドゲームに参加する者達。モチーフはそれぞれのゲームスタイルをイメージさせるファッション。
命をゲームの駒程度にしか思っておらず、アザルド率いるパワー派のチームアザルド、クバル率いる頭脳派のチームクバルの二派に所属している。また第1話で敗退したジャグド率いるチームジャグド所属のプレイヤーも存在する。
巨大化する際はジニスの細胞から抽出したコンティニューメダルをナリアがプレイヤーの身体に入れる事で行なわれる。
※前年度とほぼ変わらない割り当てで、幹部陣と第三勢力を篠原氏、通常怪人やサジタリアーク等の美術や小道具を豊田幸秀氏が担当。更にプレイヤーには幹部との繋がりを示す『宝石』状のパーツと、特定の記号や模様もモチーフとして盛り込んでいる。
一方、幹部陣はパワーストーンとしても扱われる宝石を用いた鉱物生命体としてデザインされたが、通常ならデザインの繋ぎに使える動物等を用いられない制約上、デザインを纏めるのに難航したとの事。
登場作品:『宇宙戦隊キュウレンジャー』
宇宙幕府ジャークマターに所属する悪の宇宙人達。カローは88の各星座系を統治し、その配下であるダイカーンが各惑星の住民を圧政で虐げながら、惑星を構成するエネルギー「プラネジューム」を採取する。通常ダイカーンは1つの惑星に1人ずつ配属されているが、チキュウ(地球)にはカローが居ない代わりに複数のダイカーンが配属されている。
モチーフは宇宙人、UMA、古代文明、オーパーツ等のオカルト的な存在。一部キャラクターは星座の意匠がある。
戦闘員よりも上の階級の者のみが所持を許されている印籠「キョダインロウ」をどこかにぶら下げている。一度倒されても怪人の危険を感知した印籠が砕け散る事で、蓄えられたエネルギーが解放され、「ヒカエオロ~!」の叫び声と共に巨大化する。
Space.32にてドン・アルマゲより全カローに対し、新たなフクショーグン(最高幹部)への昇進を条件としたキュウレンジャーの抹殺指令が通達された為、他のカローも昇進を掛けて動き出す事となる。
※デザインは主にK-SuKe氏と、オーレンジャー以来である漫画家からのデザイナー・久正人氏が担当。ドン・アルマゲの全形態等、敵方のデザインはK-SuKe氏が殆どを務めたが、一方の久氏はコンセプトアートを始めに味方側のキャラの大半をデザインし、作品の世界観に大きな影響を与えた。また村田女史がダイカーンとカローを1体ずつ、渋谷亮介氏がデスワームシリーズをデザインしている。
登場作品:『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』
異世界犯罪者集団ギャングラーに所属する悪党達。ドグラニオ・ヤーブンから山分けされた秘宝「ルパンコレクション」の力を悪用し、様々な犯罪を行なっている。
モチーフは今まで怪人化が少なかった物を含めた生物で、体のどこかに骨をあしらったパーツと金庫を持つ。
「人間界を掌握した者に新たなギャングラーのボスの後継者にする」とドグラニオが宣言し、新たなボスとなるべく犯罪行為がさらに活発化していく。
倒されてもゴーシュ・ル・メドゥがルパンコレクション「大きくなれ~Gros calibre~」の力を使って復活・巨大化させる。
※大半のデザインを久氏が担当、渋谷氏が中盤から終盤の怪人を数体程デザイン。全体的にスーツ改造の頻度が多く、下半身を使い回せる様にデザインされたのも多い。
登場作品:『スペース・スクワッドシリーズ』
邪教団・幻魔空界に所属する十二の幹部怪人達。かつてメタルヒーロー達が戦った強敵達と同じ姿と名前を持ち、かつその人数も過去にジャスピオンからカブトが戦った組織の数と同じである。
この中で唯一オリジナルとの関連があると判明しているのはジャスピオンと戦ったマッドギャランのみ。
※長年玩具デザイナーとして活躍して来た野中剛氏がデザインを一手に手掛ける。全体的には原典の怪人をディテールアップしたデザイン処理になっている傾向を持つ。
登場作品:『騎士竜戦隊リュウソウジャー』
戦闘民族ドルイドンに使役される、空想上の幻獣の伝説を司る怪物。人間のマイナスな感情から生み出され、生み出した人間の生命エネルギーを取り込んで巨大化していき、最終的に巨大化しきると完全体となって辺り一面を破壊し尽くす。
モチーフは空想上のモンスターで名称はモンスター名+マイナソーで統一。ただし、ドーラモンスター同様に東洋のモンスターモチーフも多い他、幽霊船、グリモワール等厳密には幻獣では無いモチーフのマイナソーがいるのも特徴。
元々は自然発生で誕生する怪人だが、ドルイドン族のクレオンが人間を利用して生み出す事も可能。
※久氏がドルイドン族と共に単独デザイン。しかし拠点等の美術デザインは省略気味で、それ故かマイナソー・ドルイドン共に外見の統一性が薄いバラエティー豊かな物になった。ただしマイナソーは基本的に顔が胴にある事(例外が数体程いる)、ドルイドンはチェスの意匠を盛り込む事で区別を付けている。
2020年代
登場作品:『魔進戦隊キラメイジャー』
闇の帝国ヨドンヘイムが地球を汚す為に送り込まれる二大戦力。地球文化の様々な物の力を宿した邪悪な仮面「邪面」を被っている。
邪面師はヨドンヘイムの幹部クランチュラが生み出す怪人。昭和の戦隊怪人を思わせる、タイツと手袋、ブーツを着用したシンプルなフォルムが特徴。成長の見込みのある一部の戦闘員のベチャットが更なる邪面を被る事で昇格した姿であり、邪面獣を呼び出す為のゲートを作る為に人間から闇エナジーを集める作戦を実行する。
一方、邪面獣はヨドンヘイムの邪面師が作り出したゲートから現れる巨大生物。ヨドンヘイムに生息する地球の生物に似た特徴を持つ巨大生物「闇獣」に、地球の道具を模した邪面をかぶせコントロールした物である。闇獣のモチーフは汚いイメージや汚い事に関連を持つ水棲生物が多い。
※K-SuKe氏が単独デザインを達成。番組の予算関係もあってか仮面怪人等といった最初期の方向性に回帰しており、奇しくも石ノ森章太郎氏をリスペクトし45周年記念作品の敵勢力に相応しいデザインワークとなった。
登場作品:『機界戦隊ゼンカイジャー』
悪のキカイトピア王朝トジテンドが人間界を制圧する為に送り込むロボット怪人。あらゆる並行世界を閉じ込めている歯車「トジルギア」の力で戦闘員のキカイノイド兵が変貌した姿である。
ワルドは一般戦闘員のクダックにトジルギアを組み込む事で作り出され、トジルギアのパワーで人間界を侵食する事が可能。姿のベースは上級戦闘員・クダイターの物と同じで、頭部と両腕に備わった武装品が各並行世界をあしらった物になる。
一方、ダイワルドは巨大戦闘員・クダイテストがワルドの暴走したトジルギアのパワーを受ける事で変化する巨大怪人。ワルドの人格と能力を引き継いでおり、さらに人間界を侵食する事が可能。ただ、ダイワルドが誕生したのはクダイテストが偶然トジルギアを踏み潰したハプニングによる物。
※引き続き殆どのデザインをK-SuKe氏、ボッコワウスやバトルシーザーロボシリーズと、ハカイザー・ハカイジュウオーにワルドを3体程篠原保氏がデザイン。K-SuKe氏が初期にデザインしたキカイノイド(ゼンカイジャーメンバー、幹部3名にキカイノイド兵達)、そして序盤に登場したワルド5体は過去の戦隊メンバーの変身前の服装を裏モチーフとしている。しかし基本、頭部にデザインが集中するワルドでは服装の一部しか取り込めない為、ドアワルド以降は裏モチーフを廃止された。
また、ダイワルドのデザインは序盤の3体が参考として描かれ、以降はパーツ換装による現場処理で済まされている。例外としてニュークダイテスト素体のダイワルドは先にデザインを起こされ、その上で対になるワルドをデザインされている。
登場作品:『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』
強い欲望を持った人間に鬼が取り憑く事で生まれる悪鬼。
取り憑いた人間を肉体として取り込んで実体化し、その欲望を曲解したやり方で叶えるべく暴虐の限りを尽くす。
その容姿は我々のよく知る鬼の様な容姿だが、ドンブラザーズ本編の個体の大半はスーパー戦隊のイメージを捻じ曲げた容姿をしているのが特徴。
致命傷級のダメージを受けると、欲望が更に暴走して脳人レイヤーに積み重なって巨大化、ヒトツ鬼ングへと変貌する。
また今作の敵勢力である脳人からは殲滅対象と捉えられており、ヒトツ鬼化した人間ごと消し去り回っている。
※最早戦隊怪人デザインの“巨匠”とも呼ぶべきキャリアと実績を経た、篠原保氏が単独デザインを達成。『素体部分を共通とし、上半身(頭部と胸部)にデザインを集中』させる手法は『仮面ライダージオウ』のアナザーライダーの物を踏襲しており(※ただし篠原氏はアナザーライダーと被らない様意識したとの事)、嘗てダラダラやネガティブシンジケートといった嚆矢をデザインし、実質『アナザーヒーロー』と言う怪人カテゴリーの生みの親兼第一人者とも成った、同氏の集大成とも評せる怪人群である。
登場作品:『王様戦隊キングオージャー』
地帝国バグナラクが使役する、昆虫やそれに類似した生物の遺伝子情報を備えた怪人。
舞台となるチキューを制圧・自軍の勢力図を拡大させるために必要な秘宝を探り当てる為、チキュー各国を侵攻して奈落に落とそうとする。
ボディは羽化した昆虫を思わせる白いスーツ状の物で、上半身にモチーフの生物を模った物になる。
また、シュゴッドソウルを取り込む事で自ら巨大化を遂げた「異常成虫」へ遂げる事ができ、既に巨大化を果たして任務を遂行する事もある。
※ニンジャスレイヤーのコミカライズ等で有名な漫画家・余湖裕輝氏が単独デザイン、その延長で宇蟲王一味も担当した。余湖氏の経歴に注目した制作サイドのリクエストにより、ニンジャスレイヤーのキャラをオマージュした幹部怪人も登場している。
登場作品:爆上戦隊ブンブンジャー
大宇宙侵略大走力団ハシリヤンが人間の悲鳴から生み出される「ギャーソリン」を集める為に地球に送り込む機械生命体。
イターシャが製造を担当し、彼女が興味を持った地球の様々な物品にハシリヤンイグニッションキーというキーを挿し込んで捻り、炎を噴き出しながら人型に変貌する事で納車(誕生)される。
ボディはタイヤやネジの意匠が見られるメカニックな物で、モチーフの器物を人型に組み替えた様な上半身を持つ。
※石ノ森ヒーローにも造詣が深い、炎の漫画家島本和彦氏がデザイン(※スタッフクレジットでの『島本和彦とビッグバンプロジェクト』は、キャラクターデザイナーとして島本氏が使う名義)。嘗て『仮面ライダーゴースト』で眼魔怪人を担当した経験も持つも、それと比べて細部のディテールに拘っている等、デザインを纏め切れなかった『ゴースト』でのリベンジを図っている節が見受けられる。
非公認!?
登場作品:『非公認戦隊アキバレンジャー』
アキバ文化を否定し、別な文化の街に作り替えようとしている邪団法人ステマ乙の係長達。
名前は東京の街名+本家ではモチーフに選ばれない様な生物…だったが時代が進み上記のギャングラー怪人に同様の生物が用いられる様になっている。
※デザインはさとうけいいち氏が一手に担当。『非公認』である事を逆手に取ったメタフィクション展開が起こる作風故か、わざとブレ気味なデザインの方向性にしたらしく、ボディースーツ風や衣装を纏った者、モチーフそのまんまな外見でCG表現された者まで登場した。
登場作品:『非公認戦隊アキバレンジャーシーズン痛』
新次元頭脳改造地下真帝国バロスwの首領ツー将軍こと、悪の組織に憧れる歯科技工士・後沢次男が制作したフィギュアを妄想世界へ「妄想送」する事により誕生する怪人。
それぞれが過去の戦隊の怪人を元にした特徴と名前を持っている。
※引き続きさとう氏が単独デザイン。正真正銘の『公式が二次創作した怪人』で、放送当時には無かったガジェットをモチーフにすると言う、戦隊マニアがイメージとしてやっていた事まで実体化した、正に妄想の化身と言える存在。
スーツ改造により別の敵組織の怪人へと作り替える芸当も難無く行っており、戦隊怪人の途切れぬデザイン・造形技術の歴史と秀逸さも感じさせてくれる。
怪人を手掛ける人達
多くのヒーローを生んだ説明不要の“萬画家”。『5人の仮面ライダー』より始まった戦隊のプロットを残した御仁で、怪人にはあまりエネルギーを注がず数を量産した。
石ノ森氏の原作を離れ、再スタートした戦隊で敵方のイメージ構築へ大きく貢献。かつて石ノ森氏に憧れて漫画家を志し、専属アシスタントを務めた事実上の弟子の一人でもあった。
日本にアメコミを流行らせた第一人者として知られる漫画家。同時代の宇宙刑事ギャバンの幹部デザインも担当している。
彼の手によってスタイリッシュな幹部や怪人が誕生、戦隊悪役のイメージを大きく変化させた。またこれ以降、外部のデザイナーを企画者104がサポートするデザインワークの基本体制が確立した。
戦隊シリーズへは主に監督として関わっており、怪人デザイナーとしては特別ゲスト枠で魔神ロボベロニカを描いたに留まる(むしろメタルヒーローの方で怪人デザイナーのキャリアがあり、『時空戦士スピルバン』では単独デザインも達成している)。
かつて少年ライダー隊隊員番号No.2を持つ程に石ノ森ヒーローへ憧れた少年にして、その歴史の一端を担うまでに至った御仁。単純なデザイナー業よりも、自らの人脈から下記の篠原氏を始めとした後進を多数発掘した事で戦隊怪人史に大きな足跡を残した。
雨宮氏が社長を務めるクラウドの社員としてデビュー以降、合計15以上の戦隊の怪人を描き上げたレジェンドにして、化物レベルのアイデア・速筆・アドリブ能力諸々を兼ね備え、前人未到の記録を打ち立て更新し続ける巨匠。その過程で蓄積した戦隊の膨大な知識を用い、ネタ元のヒーローをディスペクトするコンセプトの怪人『アナザーヒーロー』の概念を確立させた第一人者でもある。
ゲームのグラフィックデザイナーとしてキャリアをスタート、ガメラの版権を取得する為に大映へ赴いた事を切っ掛けに特撮怪獣・怪人のデザイン業へ足を踏み入れた。日本三大特撮以外にも大映怪獣・東宝怪獣等のデザインも手掛けた経験から、老舗日本特撮シリーズの怪獣・怪人デザインワークを一通り経験した初の人物ともなっている。怪人より怪獣を先にデザインしていた経験からか、“『脚』に人間味が出る”との持論を有する。
雨宮氏と親交の深いモデラー兼イラストレーターにしてメカニックデザイナー・小林誠氏に才能を見出された人物にして、篠原氏とは平成ライダー一期の怪人デザインで名を挙げた盟友同士。デザインが比較的グロテスクかつ怖い寄りの癖が強かったものだったためか、戦隊には中々オファーが掛からずゴーカイジャーでやっと登用。その後早逝した結果、逆に大きな印象を残す形で戦隊怪人史にその名を刻んだ。