ザイドス少佐「完全に陣は餓狼鬼となった。今や陣としての心を失い、俺の言葉だけを聞く操り人形・・・!」
登場話数:第39話「魔拳 落日に散る」
概要
ザイドス少佐に使役される、ゴーマ怪人の一体。
白骨化した狼のような姿が特徴の怪物で、一応ゴーマ怪人の括りではあるものの、言語能力は備わっておらず、唸り声や吠え声を上げるのみである等、他の肩書付きの怪人たちとは一線を画した存在でもある。
本能のままに人間を襲っては噛み殺す等、見た目に違わずその性質も非常に獰猛で、戦闘においては右腕から放つ赤い光の刃で敵に容赦ない攻撃を加える。作中では使用されなかったが、スチール写真では長い柄の鎌も武器として所持している。
また、餓狼鬼の細胞は他の生物に埋め込まれることで、その身体を乗っ取って自らと同じ姿へ変貌させるという性質も有している。ザイドスはこの性質を利用して魔拳士ジンを餓狼鬼に変貌させ、当初の目論見通り自分の意のままに動く手先に仕立て上げようと画策した。
デザインは篠原保が担当。かつて自身が手掛けたカセキボーマ(『高速戦隊ターボレンジャー』)と同様に、「骨があって中に内臓的なものがある」考え方でデザインが起こされている。デザイン段階ではサーベルタイガーのような鋭い前歯が一対生えている(メイン画像も参照)ものの、これは造形の段階でオミットされている。
作中での動向
大筒軍曹の攻撃に傷つき倒れた陣の身柄を確保しながら、彼の脱獄を許す格好となったザイドスであったがしかし、その時点で既に陣を我がものとすべく、彼の身体に餓狼鬼の細胞を埋め込んだ後でもあった。
そうとも知らぬまま、ザイドスの元から逃れた陣はひょんなことから亮の元で看病を受ける身となっていたが、それと時同じくして謎の怪物が夜な夜な人を襲う事件が続発するようになる。その怪物こそ、陣の身体を乗っ取った餓狼鬼そのものであり、程なくして陣も変質しつつあった自身の右腕を通してその事実を知ることとなる。
自分の身体が自分のものでなくなりつつあることへの恐怖を抱いた陣は、共同生活を通し「拳士として」奇妙なシンパシーを感じつつあった亮に対し、
「もし俺が拳士でなく、心をなくした怪物となった時、その時は!
・・・お前の手で、俺を殺してくれ!」
と、急所である自らの胸を指し示しつつ頼み置く。しかし陣が自意識を保っていられたのもここまでで、俄かに苦しみだした陣は心配する亮を突き飛ばしてその場から駆け去っていってしまった。
直後、再び人々を襲おうと現れた餓狼鬼の前に、亮以外の4人が駆けつけ交戦状態に突入。その際テンマレンジャーが繰り出した大輪剣の一撃が右腕に決まり、負傷した餓狼鬼はその場から逃走を余儀なくされた。
一方、陣を探していた亮はその付近で蹲っていた彼を見つけるも、直後に駆けつけてきた4人に右腕の傷を見咎められ、さらにその場で再び餓狼鬼の姿へと変貌したことで、陣=餓狼鬼であるという事実が亮にも露見してしまう。
頃合いを見計らったかのように現れたザイドスの命令により、亮たちを倒すべく襲いかかる餓狼鬼に対し、リュウレンジャーは前述の約束を果たすべく餓狼鬼の胸にスターソードを突き立てる。とはいえ心の迷いもあってその刃は深くは突き刺さらず、餓狼鬼を倒すには至らなかったのだが・・・ここで陣の意識が蘇ったのか、飢狼鬼が自らの手でスターソードを胸深くに押し込むという事態が発生する。
「俺は・・・拳士! 貴様の思い通りにはさせんぞ・・・ザイドス!」
急所を貫かれる格好となり苦しむ飢狼鬼を前に、このままでは自滅すると見たザイドスは妖力を放ち、これにより陣と飢狼鬼も分離。怒りに燃える陣がザイドスと相まみえる中、飢狼鬼はダイレンジャーと一戦交えるも、宿主から分離した飢狼鬼など彼等の敵ではなく、ダイレンロッドによって突き飛ばされた末にスーパー気力バズーカを胸の傷に喰らい、呆気なく消滅したのであった。
関連タグ
狼鬼:『百獣戦隊ガオレンジャー』の登場人物の一人。こちらも主要人物が変貌した、狼モチーフの怪人という共通項を有しており、名前も頭の「餓」以外は全く同じ字面である