「命ある所、正義の雄叫びあり!百獣戦隊、ガオレンジャー!」
概要
2001年2月から放送されたスーパー戦隊シリーズ第25作目の作品で、文字通り百獣をパートナーとしている。
21世紀初のスーパー戦隊。ロゴモチーフには百獣の王であるライオンが使われている。
前作『未来戦隊タイムレンジャー』とは対照的に子供向けを重視した作風になっていて、ほのぼのした描写やコミカルなシーンが多い。
メンバーは名前ではなくコードネームである変身カラーで呼び合い、最終話のみ本名で呼んだ。
また、名乗りの際には牙吠(がお)などの文字が、攻撃の際には斬などのエフェクトが飛び出すなどどこか『忍者戦隊カクレンジャー』を思わせる演出が取られている。
和洋折衷で百獣と癒し、わびさびの対比が印象的な世界観も特徴で、ナレーションが殆どマスオさん口調なのもこの現れ。まさに五感と第六感が研ぎ澄まされる世界観である(各章のボスも、五感がモチーフ)。
鬼の角(尖ったもの)との対比なのか、ガオレンジャーサイドによく『丸い』モチーフが使われている。それ故かラセツには「5色団子」と呼ばれてしまう。
メインプロデューサーの日笠淳、メイン脚本の武上純希、パイロット監督の諸田敏、アクション監督の竹田道弘など前作や前々作から担当しているメンバーもいれば、キャラクターデザインのさとうけいいちや劇伴の中川幸太郎など戦隊シリーズ初担当のスタッフもいる。
マルチ合体と3DCGを本格導入した戦隊であり、スポンサーが二年目もやりたがったほど大ヒット。人気はかなり高く、特捜戦隊デカレンジャー/仮面ライダー剣放送中の2005年1月2日にはテレビシリーズのQuest 1と劇場版が正月TVSPとして再放送された。
地方局を除いた地上波で旧作が放送されるのはかなり珍しい事である。このTVSP終盤ではオルグが再び現れ、ガオの戦士もまた現れる事が示唆されている。
また、現在俳優として人気の高い金子昇や玉山鉄二や純烈のリーダーである酒井一圭、Hey!Say!JUMPの有岡大貴などの有名人が出演していた事も人気を後押ししているのだろう。この作品のファンを公言している有名人には西川貴教や藤井隆がおり、特に西川兄貴は自身のラジオでコラボ企画を行ったほど。
また、主に東京で活躍する歴代戦隊と比べて登場する場所の範囲が広く、東京は勿論、それ以外の関東圏や、ギャグ回では佐渡島にまで出動した。
このほか、モーニング娘。の曲が使用された(或いは、ロケで使われた場所のBGMで使われていた)エピソードが3回もある(派生ユニットである「タンポポ」も含めると4回になる)。
上述の人気具合から続編企画を打診されたこともあったようだが、新規層を取り込めないと判断したのか、続編は作られずじまいとなっている。仮面ライダーやウルトラマンには第2シーズンがある作品が存在しているのにもかかわらず、戦隊に第2シーズンが存在しないのもこうした理由からである(後に海外で直系の続編が作られた作品も登場するが)。
撮影は従来通りフィルム撮影だが、本作品からAVIDによるビデオ編集を導入。これによりOP・ED・本編におけるテロップ表示がすべてビデオ合成となった。また、初期のエピソードでは従来のフィルム合成を使用するカットがあったが、Quest 7以降合成カットは全てデジタル合成に完全移行。これにより実写とCGの融合がそれまで以上に進んだ。
後述するように、本作より以降のシリーズで定番になった要素が多く、本作は色々な意味でターニングポイントとなった戦隊と言っても過言ではないであろう。そのため、『秘密戦隊ゴレンジャー』~『未来戦隊タイムレンジャー』までを20世紀戦隊、本作以降を21世紀戦隊とする見方もできなくはない。
本作より定番になった要素
- 携帯電話型の変身アイテムで変身することが(2010年代初頭まで)主流になった(携帯電話型の変身アイテムで変身する戦士は『電磁戦隊メガレンジャー』のメガシルバーが初出だが、初期メンバーでは本作が初である)。
- 名乗り口上に自身のキャッチフレーズを付け加えるようになった。ただし、1992年の『恐竜戦隊ジュウレンジャー』以降から、名乗り口上に変身者の名前を加える形が多数存在していた。
- 戦隊ロボの腕パーツの換装等合体バリエーションが豊富になった(いわゆるマルチ合体)。
- 戦隊ロボのDX玩具版の両脚が「ハの字」に開くタイプの物が多くなった。
- 戦隊メンバーが変身前に専用のジャケットを着用することが多くなった。
- 敵味方問わずライオンモチーフのキャラクターやメカが登場することが多くなった。
- 劇中で本格的にCGが多用されるようになった(CG自体は『メガレンジャー』から導入されてはいるが全編通して用いられるようになったのは本作以降である)。
- 追加戦士がOPの紹介映像にカット付きでクレジットされるようになった(ただし、シュリケンジャーやゴセイナイト等のような最後まで正体不明の戦士や人間態を持たない戦士は除く)。
- レギュラーの敵幹部がOPの映像に登場することが多くなった(90年代前半までの戦隊ではEDの映像に登場することが多かった)。
- 福沢博文氏がレッドのスーツアクターを務めることが多くなった(『海賊戦隊ゴーカイジャー』のゴーカイレッドまで。ただし、それまでの間にも一部例外もあり)。
- さいたまスーパーアリーナや味の素スタジアム等新設の競技場がロケ地に使われるようになった。
- 毎年夏に仮面ライダーと同時上映で劇場版を公開するのが恒例になった(ただし、2020年は諸事情により夏に公開されず冬に仮面ライダーと別々に公開され、2021年は仮面ライダーとの共演映画が公開された)。また、劇場版ロボが登場するのがお約束になっている。
- 本編終了後にファイナルライブツアーを行うようになった(ただし、『騎士竜戦隊リュウソウジャー』は諸事情により全公演中止になった)。
- 本作より西暦末尾が1か6の年に5年おきに記念作戦隊が制作されている。
あらすじ
21世紀を迎えた地球。
度重なる環境破壊や人身荒廃により蓄積された邪悪な意志の集合体が地球を蝕む『鬼』オルグとなって実体化し、暴れ始めた。大地の精霊パワーアニマルの導きにより選ばれた五人の若者たちは、ネオ・シャーマンの戦士となり『百獣戦隊ガオレンジャー』を結成。
自らの名と過去を捨て、オルグを滅する戦いへと果敢に身を投じていく。
登場人物
ガオレンジャー
ガオジュラフの宝珠を持つ。
千年前シロガネという名でオルグと戦っていたが、狼鬼の面を被ったことで仲間により千年間封印され続ける。ウラにより封印が解かれ、デュークオルグ「狼鬼」として立ちはだかるも、激闘の末、呪縛から解放された。ガオウルフ、ガオハンマーヘッド、ガオリゲーターの宝珠を持つ。
設定上年齢は1062歳と実質最年長になる。
オルグ
最初に登場したハイネスデューク。体中に目が無数についている赤鬼。名前の由来は酒呑童子。
2番目に登場したハイネスデューク。鼻と耳のような体をしている緑鬼。狼鬼を復活させた。名前の由来は桃太郎の話に出てくる鬼のモデルになった鬼・温羅。
3番目に登場したハイネスデューク。巨大な口を持つ青鬼。頭部と胴部に二つの人格を持っており、頭部の口は女声、胴部の口は男声で喋る。名前の由来は羅刹。
ツエツエが巨大オルグシードに倒された3人のハイネスデュークの亡骸を融合して生まれた、至高にして究極のハイネス・唯一絶対のオルグの王。この作品のラスボス。
女性デュークオルグ。
オルグ魔人を巨大化させる。
ご存知の通りガオホワイトと
よく「オバサン」「小娘」と張り合いながら交戦する。
デュークオルグで、ピエロの様な容姿をしている。劇中では度々ガオイエローと交戦する。
千年前の月麿が狼鬼の面をつけて成り果てた姿。ウラが復活させた。
器物に邪気が宿って具現化する邪悪な鬼達。
オルグの戦闘員を担当する下級鬼。1000年前は赤かったが現代では青い。
ガオレンジャーの支援者
ガオの巫女でパワーアニマルたちの意思を伝える、本作の司令官的存在。
また、ガオの巫女故に自然のエネルギーを操れるのか、テレビのプラグを掴む事でテレビの電源を付けていた。
設定上年齢は1022歳とガオシルバーに次ぐ年長者になる。
ストーリー終盤で登場する謎の少年。正体は荒神様が化身として人間に変身した姿であった。
地球の生命力そのものが、地球上のさまざまな物質や元素を吸収し地上の動物の姿を取って実体化した大自然の精霊。鉄などの金属系の元素を多数取り込んだため金属質な体表となっている。コックピットは存在しない。その生命エネルギー・ガオソウルをビーム状に放つ技「アニマルハート」は全パワーアニマル共通の技だが、これは彼らの体力を著しく消耗させる。
各話リスト
放送回のカウントは「Quest」の語句を使用。サブタイトルは一部を除き二文節で構成されている。
音楽
主題歌
- ガオレンジャー吼えろ!!(OPテーマ)
作詞:桑原永江/作曲・編曲:中川幸太郎/歌:山形ユキオ/コーラス:高尾直樹・佐々木久美・斉藤妙子
- ヒーリン'ユー(EDテーマ)
作詞:桑原永江/作曲・編曲:奥慶一/歌:Salia
- ガオレンジャー吼えろ!!オールキャスト・スペシャル・ヴァージョン(Quest45ED)
作詞:桑原永江/作曲・編曲:中川幸太郎/歌:ガオレンジャー&山形ユキオ
元は劇場版のオープニング。
- 大空への階段(最終回ED)
作詞:洲崎千恵子/作曲・編曲:亀山耕一郎/歌:ガオレンジャー(金子・堀江・柴木・酒井・竹内)/コーラス:佐々木久美・斉藤妙子
挿入歌
- 百獣合体!ガオキング(ガオキングテーマソング)
作詞:桑原永江 / 作曲・編曲:中川幸太郎 / 歌:水木一郎 / コーラス:石原慎一・佐々木久美
劇中ではアレンジBGM「百獣合体!」も使用された。第38話ではガオイカロスの戦闘曲として使用された。
- Dynamic Soul!!(ガオレンジャー戦闘テーマ)
作詞:吉野麻希/作曲・編曲:中川幸太郎/歌:影山ヒロノブ/コーラス:佐々木久美
- white light 〜ガオホワイト 冴のテーマ〜(ガオホワイトテーマソング)
作詞:桑原永江/作曲・編曲:亀山耕一郎/歌:堀江美都子/コーラス:高尾直樹・佐々木久美・斉藤妙子
- サンバ de ガオレン
作詞:八手三郎/作曲・編曲:中川幸太郎/歌:水木一郎 with ガオレンジャーズ(金子、堀江、柴木、酒井、竹内)
- 堕ちて行け…(ツエツエテーマソング)
作詞:吉野麻希 / 作曲・編曲:中川幸太郎 / 歌:ツエツエ(斉藤レイ)
- HOT!HOT!ガオマッスル!!(ガオマッスルテーマソング)
作詞:桑原永江/作曲・編曲:中川幸太郎/歌:山形ユキオ
- a lone wolf〜銀の戦士〜(ガオシルバーテーマソング)
作詞:磯谷佳江 / 作曲・編曲:中川幸太郎 / 歌:串田アキラ
- 響の調べ(テトムテーマソング)
作詞:磯谷佳江/作曲:柘植由秀/編曲:掛橋誠一/歌:テトム(岳美)
- I.D.〜ガオハンターレクイエム〜(ガオハンターテーマソング)
作詞:相澤玲摩/作曲・編曲:中川幸太郎/歌:今井清隆
- その翼で…
作詞:吉野麻希 / 作曲・編曲:中川幸太郎 / 歌:山形ユキオ / コーラス:広谷順子
- 絆 〜Spirit of Gao Ranger〜
作詞:磯谷佳江 / 作曲・編曲:中川幸太郎 / 歌:Salia・山形ユキオ / コーラス:佐々木久美・高尾直樹
- EYES OF JUSTICE(ガオイカロステーマソング)
作詞:加藤清美/作曲・編曲:中川幸太郎/歌:MoJo
- force of heart(Quest11)
作詞:持田香織/作曲:伊藤一朗/編曲:桑島幻矢/歌:Every Little Thing
他媒体展開
劇場版
本作の単独劇場作品。本作以降、仮面ライダーシリーズの劇場版の同時上映として夏頃に公開されるのが定番となった。
ドラマCD/コロちゃんパック
- 『百獣戦隊ガオレンジャー ガオアクセスCD「ガオパンダあらわる‼︎」』
てれびくん2002年2月号付録。
オリジナルパワーアニマルガオパンダの活躍を描く。
- 『コロちゃんパック 百獣戦隊ガオレンジャー うたとおはなし』
2001年12月21日に発売。
Quest.EX「銀狼、堕ちる」を収録。
- 『CDツイン 百獣戦隊ガオレンジャーVS仮面ライダーアギト』
2001年11月21日発売。
ガオレンジャーパートでガオレンジャーの楽曲を紹介し、アギトパートではアギトの登場人物がテトムと共にアギトの楽曲を紹介していくという内容。なので共闘要素やvs要素はない。
走先生が長崎弁(金子氏の出身は長崎県)になったり、冴がやたら「white light 〜ガオホワイト 冴のテーマ〜」を推したりと若干キャラ崩壊気味。
オリジナルビデオ
- 『百獣戦隊ガオレンジャー スーパービデオ 「対決!ガオレンジャーVSガオシルバー 炎のピヨちゃんたんじょう!」』
テレビマガジン・たのしい幼稚園・おともだち三誌合同の応募者全員サービス。
オリジナルキャラクターとして炎のピヨちゃんが登場。
戦隊vsシリーズ
Vシネマ
21世紀初の戦隊vsシリーズ。前年の戦隊シリーズとクロスオーバーするのではなく、複数の戦隊メンバーとクロスオーバーするという内容。
発売時期の関係から、ガオシルバーが登場していない序盤をベースとしている。
忍風戦隊ハリケンジャーとのクロスオーバー。
文字通り「vs」している作品だが、これには理由があり…?
その他
- 『百獣戦隊ガオレンジャーvs秘密戦隊ゴレンジャー』
てれコロコミック(月刊コロコロコミック9月号増刊)に掲載された漫画作品。
犬木栄治先生が手掛けたこともあってか、変身後のヒーロー達はかなり筋肉質に描かれているのが特徴。
- 『機界戦隊ゼンカイジャーVS百獣戦隊ガオレンジャー スペシャルバトルステージ』
2021年に和歌山マリーナシティにて開催されたヒーローショー。
事実上のガオレンジャー20周年記念作品であり、当時現行戦隊であったゼンカイジャーに加えてアカレンジャー、ボウケンレッド、ティラノレンジャー、マジレッドも参戦。
このショーのためにレッドからホワイトまでのオリジナルキャストが集結するだけでなく、プロデューサーは酒井一圭氏、CMナレーションは稲田徹氏が務める気合いの入りよう。
8月15日には初期男性メンバーに加え、総合司会に『特捜戦隊デカレンジャー』で胡堂小梅を演じた菊地美香女史を迎えた「ガオフェス」を開催している。
ゲーム
- 百獣戦隊ガオレンジャー(PS版)
プレイステーション対応ソフト。開発はナツメ。
等身大パートと巨大戦パートで構成されており、登場する精霊王はガオイカロスまで。
オリジナルボスとしてキングオルグが登場。
残念ながら、ガオシルバーが仲間になったと作中で明言されながらも、一切操作はできない。
関連タグ
未来戦隊タイムレンジャー← 本作 →忍風戦隊ハリケンジャー
タイムショック21:秋のスペシャルで「出張タイムショック」に挑戦し、950万円を獲得した。
主なゲスト出演者
内田さゆり(6話)⇒かつて『鳥人戦隊ジェットマン』のブルースワロー/早坂アコを演じた。
山形ユキオ(6話)
寺門仁美(6話)
関根大学(11,51話:大河冴の父・大河虎之介役)
ブッチー武者(19話)⇒『オレたちひょうきん族』内のひょうきん懺悔室の神様役で知られる。