「お前ら、ありがとよ…今度生まれるときは…人間の…料理人に…なぁ………」
演:諏訪太郎
概要
Quest34「鉄人鬼、泣く!」に登場。
木炭のような姿(ガオレンジャーには最初石炭と思われ、レッドに「石炭オルグ」と呼ばれた際は「炭火焼オルグだ!」とキレて訂正した)をしたオルグ魔人で、2本の角と七輪の網を模した顔が特徴。発光部分は実際に燃焼しているようで、後述の逃走劇が落ち着いた際は、走り回ったせいか暑がって涼を取ろうと顔を団扇であおいだところ、逆に空気を取り込んで余計熱くなり慌てる姿をさらした。
生まれは回想の描写からして戦時中と推測され、邪気が炭を模して誕生したと思われる。
邪気から生まれた存在だったため、かつては通常のオルグ同様衝動のまま人間を襲っていた。しかし昭和21年の秋、幼い兄妹が自分の攻撃でたまたま焼けた芋を拾い、美味しそうに頬張る姿を見て、「自分の力が誰かの役に立てる」と感じて悪事から足を洗う。
普段は人間に姿を変え(他者の姿を複製するコピーオルグを除き、唯一人間への擬態能力を有しているオルグ魔人でもある)、焼き鳥屋のおやじ・文左衛門(ぶんざえもん)と名乗って屋台で焼き鳥をふるまってお客を喜ばせることを生き甲斐としている。
しかし自分の出した焼き鳥を粗末にする人間を見ると逆上してしまうなど、オルグ本来の凶暴性までは抑えきれておらず、「こんなナリをしててもオルグはオルグ」と自嘲していた。
炎や炭を操る能力を持ち、火炎放射・「うなぎ炎上かば焼き攻撃」や高熱の炭を大量に飛ばす「炭弾ミサイル」、高速回転しながら高熱の炭を無数に放出し、姿を隠す「微塵隠れ」を得意技とする。
劇中での活躍
自身の焼き鳥を粗末にした客をとっちめようと本来の姿に戻って追いかけ回していたところ、ガオレンジャーと遭遇するも人間と対立しようという気まではないので逃走。その際中、ラセツの命令で料理人を探していたヤバツエコンビに追われるも、どうにか撒くことに成功。その後、人間態となって仕事を再開し、気づかれなかったのをいいことに自身の屋台を訪れたガオレンジャーに対しても焼き鳥をふるまい、更に岳が鳥肉の串に手をつけないことに腹を立て同じ轍を踏むところだったが、図らずも草太郎が間をとりなしたことで機嫌を直し、彼を気に入る。
その後再度追い回された際に微塵隠れで姿を晦ますが、放った炭の質から草太郎と岳に正体がバレてしまう。
上述の自分の過去と捨てきれないオルグの性を語り、「いつか今日みたいな日が来ると思ったよ」、「やるんならひと思いにすっぱりやってくれ」と、ふたりにその身を捧げようとした。
その姿を見て「こいつ、いいオルグじゃ…」と言う草太郎に対し、「世の中にいいオルグなんていない」と答える岳であったが、人間に害を成すわけではないということを考慮し「俺はオルグなんて見なかったぜ」と呟き見逃す。
草太郎の「腹減った人の為にこれからもちゃんこ作り続けてくれ」という言葉を受け、「ありがてえ」と漏らした。
しかし腹を空かした風太郎に焼き鳥を振る舞っていたところ、再来したヤバツエコンビに焼き鳥を粗末にされ、怒り狂って怪人体に戻った際にツエツエに怒りの感情をつけ込まれて狂暴化させられてしまう。
人々を襲っていたところに現れたガオレンジャーを圧倒するが、ガオイエロー・ガオブラックの説得で我に返る。一時は自身の行いに絶望するも、二人に慰められて立ち直ろうとしたが、次の瞬間ラセツに処刑され、冒頭の台詞を言い遺し事切れてしまった。
直後オルグシードによって巨大化させられ、自我を消されて暴れてしまい、彼をこれ以上苦しめてはいけないと考えたブラックとイエローの先導の元、ガオイカロスの『イカロスダイナマイト』で邪気を払われ、消滅する。
その際、通常のオルグであれば爆散して消滅するのに対し、光の粒子になって消滅するような演出であったため後述する状態になったのかもしれない。(もしくは風太郎に関係する彼が…)
その後、炭火焼オルグを救えなかったことを悔やむ草太郎と岳だったが、そんな彼らを走たちは「人間に生まれ変わっているかもしれない」と励ます。その頃、走たちの思いが通じたかのように、文左衛門に似たおでん屋のおやじが店を構えていた…(※)。
余談
(※)後に「死んだオルグは鬼霊界に落とされる」という事実が判明したのだが、邪気を払われた事で正気を取り戻した、もしくは風太郎と深く関わるある精霊王の関与があったのかもしれない。
もちろんただのそっくりさんであったという可能性もあり、詳細は不明。
彼の人間の中で生きていこうとする思いが踏みにじられたのをオルグそのものに忌避的感情を抱き、分かりあおうとするのは不可能と断じていた岳ですら、粛清したラセツを絶対に許さないと怒りを露わにした。
また、彼を凶暴化および巨大化させて暴れさせたツエツエもQuest42・43にて因果応報と言える凄惨な形で報いを受けることになるのだった。
なおこの回はQuest23以降毎回登場していた大神月麿/ガオシルバーが唯一登場していない回でもある。かつてデュークオルグ・狼鬼に変異していた上、その際図らずもウラによって利用され、さらにオルグの衝動を探知できる月麿がもしも炭火焼オルグと接触していたら、どのような対応をしていたかは気になるところである。
声及び人間態を演じた諏訪氏は1週間後の『仮面ライダーアギト』でラーメン屋の親父として出演し、2年後の『爆竜戦隊アバレンジャー』ではカレー屋『恐竜や』の常連客である横田さんの役で準レギュラー出演している。
関連タグ
百獣戦隊ガオレンジャー オルグ(百獣戦隊ガオレンジャー) 火属性
ドライヤージゲン:『鳥人戦隊ジェットマン』に登場する、熱に関する自身の能力が偶然人間の役に立ったことから、特技を生かせる職場で暮らすことになった戦隊怪人の先輩。こちらは創造主を見限って組織を抜け生き延びている。
オボログルマ(カクレンジャー):『忍者戦隊カクレンジャー』に登場する、人間社会で商売をしていたところ、マナーの悪い客に怒って暴れた戦隊怪人の先輩。
リンゴの唄:この回で何度かこの歌が流れていた(炭火焼オルグが戦時中に誕生したことに由来したものと思われる)。ちなみに当曲の歌手である並木路子女史は、炭火焼オルグの登場回であるQuest34が放送される約6ヶ月前に79歳でお亡くなりになられている。
バラカッカ:『超力戦隊オーレンジャー』に登場する怪人で、彼の登場回でも前述の『リンゴの唄』が挿入歌として使用されている。