概要
化石燃料の一つ。地中に埋もれた植物が長い年月をかけて変質したものである。大陸では古生代のシダ植物や中生代の裸子植物が石炭化したものが多いが、日本産の石炭は新生代のものである(地殻変動が盛んな日本は地熱や地圧により石炭化の進行が早いという説がある)。また石炭化の途上にある褐炭や亜炭、泥炭も燃料として用いられることがあるが、熱量が低く水分を多く含み扱いにくいので土壌改良剤などにされることがほとんど。
長く燃料として使われてきたが、重量・容積あたりのカロリーが低く、そのまま燃やすと大量のススと硫黄酸化物などの大気汚染物質を発生し環境を汚染する欠点がある。そのため、日本では高度経済成長期から石油にその座を奪われ、日常においてその姿を見かけることが少ない。
日本国内の炭鉱も次々と閉山し、現在は北海道空知地方のいくつかの露天掘り炭鉱のほかは、釧路市の釧路炭田(釧路コールマイン)において採掘が行われているのみとなっている。ただし割合こそ減ったものの現在でも使われている燃料で、火力発電やセメント焼成炉の燃料として北海道産の石炭やオーストラリアなどからの輸入炭が使われている。特に日本の火力発電所では高度経済成長期の深刻な公害で排気ガスの浄化装置の整備が進み、加えて近年では燃料の石炭を微粒子レベルに破砕して燃焼効率を上げ、燃料使用量と温室効果ガス排出量の抑制を進めている。
輸送、採掘、環境負荷というコストこそかかるものの、埋蔵量は石油に比べ非常に豊富で日本でも理論上は現時点で自給可能な数少ない燃料。また、アンモニアと一緒に燃やす混焼と呼ばれる技術で二酸化炭素排出量を削減できる模様。
石炭を蒸し焼きにして含まれている硫黄や樹脂分を除去したものをコークスという。これは製鉄といった産業には欠かせないものである。
また、石炭の生成過程を人工的に再現したものがバイオコークスである。
植物(何でも良い)をシリンダー形の生成炉に押し込め20MPa(約200気圧)を掛け加熱したもので、上述の通り植物なら何でも良いため刈った雑草だろうが雑木だろうが素材になる。
ドイツのクリスマス行事では、サンタクロース(聖ニコラウス)が良い子に甘いお菓子をプレゼントするのに対し、従者のブラックサンタ(クネヒト・ループレヒト)は悪い子に石炭をプレゼントする。
関連タグ
タンドン/トロッゴン/セキタンザン:石炭がモチーフのポケモン。
シギラリア(花騎士):上述の植物の名前を持つ花騎士。