火力発電所
かりょくはつでんしょ
もしかして:人間火力発電所
一般的な火力発電所は汽力発電所と言われ、燃料(化学エネルギー)を燃焼させ、その時に出た熱(熱エネルギー)で水を沸騰させて水蒸気を生み出し、その水蒸気で蒸気タービンを回転させることで発電を行っている、つまりは蒸気機関の一種である。
軽油やガス燃料を燃やしてディーゼルエンジンやガスタービンエンジンを回す発電所は内燃力発電所といい、これも広義の火力発電所に含まれる。ガスタービンの排熱はかなりのエネルギーがあるので、これでさらに汽力発電を行うこともでき、これをコンバインドサイクル発電所という。
使用される主な燃料は天然ガスや石炭、石油などがある。また、可燃ゴミを燃料にすることもできる(廃棄物発電)。
日本の火力発電所は石油や天然ガスを海路で輸送するので海沿いに建設することが多いが、石炭を燃料にする発電所は輸送効率の悪さもあって炭鉱の近くに建設されることもあった(山元発電)。
単に汽力発電と言った場合は、火力発電だけではなく、熱源に地熱を使う地熱発電、核反応時の熱を使う原子力発電、太陽光熱を使う太陽熱発電も含む。「何かの熱を使って水を沸騰させてタービンを回して発電する」ためには、水を沸騰させられるだけの熱があればいいのである。
先ほど石油火力発電所は新設できなくなっていると書いたが、実は第二次石油危機の発生を受けて、1979年5月に行われた第3回国際エネルギー機関(IEA)閣僚理事会において、「石炭利用拡大に関するIEA宣言」の採択が行われたのだが、この宣言には石油火力発電所の新設禁止が盛りこまれていたのである。
これによってそれ以降日本でも原則として石油(原油)火力発電所を新設することが出来なくなっている。
火力発電は世界のエネルギー供給を支えている電力源であるが
- 二酸化炭素排出による地球温暖化の促進
- 大気汚染
を引き起こすというデメリットも存在する。また、日本は火力発電に必要な化石燃料をほとんど輸入に頼っており、年間10-30兆円の輸入額がかかって貿易赤字を増大させている(資源エネルギー庁)という実態もある。
国際エネルギー機関(IEA)は、2050年のカーボンニュートラル実現のために2040年までに火力発電を全廃する必要があるとしている。一方で、日本は短期的にはアンモニアの混焼や二酸化炭素回収・貯留(CCS)などの技術を用いた火力発電を利用するとしているが、カーボンニュートラルとは程遠いとしばしば批判の的となっている(Yahoo!ニュース エキスパート、The Conversation)。
大気汚染については、例を挙げると、日本で排出されるPM2.5の12%が石炭火力発電由来であるとされている(ジャパンタイムズ)。
火力発電所への衝突、化石燃料の燃焼による酸性雨と水銀汚染、化石燃料の採掘に伴う森林伐採、そして地球温暖化(鳥にとって最大の脅威)を引き起こすことから、風力発電をはじめとする再生可能エネルギーよりも、火力発電のほうが多くの鳥を殺しているというデータもある(MIT Climate、Climate Feedback)。