概要
液体が沸点となる温度に到達する事によって発生する、液体内部からの激しい気化の事。
液体によっては引火しやすい危険な状態でもある。
圧力を低くして沸点を下げる事によっても起こることがある。
対して、沸点に達して無くても発生する液体表面からの気化は蒸発と呼ばれる。
より厳密に言えば液体の蒸気圧が大気圧と水圧の合計を上回った際に発生する気化現象を指す。
実際にはこれらの圧力に加えて表面張力の影響があるため、単純な温度上昇のみでは沸点で沸騰することはない。
液温が沸点を越えた状態を過熱と呼び、過熱から沸騰に移行するためには何らかの刺激が必要である。刺激がないまま過熱し続けると液体が広範囲にわたって過熱され、きっかけにより爆発的に沸騰する突沸が発生することもある。
実験の場では突沸を防ぐために沸騰石などが使用されるが、家庭内で突沸を防ぐためには液体を火にかけたまま放置せず、かき混ぜながら温めるのが望ましい。
純水が最も突沸しやすいのは言うまでもないが、場合によっては具だくさんのカレーでも突沸するので油断してはいけない。
特に刺激がほとんど加わらない電子レンジで液体を温める場合には細心の注意を払う必要がある。
詳細
核沸騰
一般に目にすることの多い沸騰。水底から気泡が立ち上るようにして沸騰が起こる。
過熱液体が容器の傷や異物などに付着した微細な気泡に触れると、この気泡が核となってより大きな気泡を生成し、沸騰が始まることになる。
しかしながら核となる気泡が少ない場合は沸騰に至れないまま液体全体が過熱する。この状態で刺激により気泡が生まれると、これが周囲の過熱水を刺激して連鎖的に気泡が発生し、突沸が引き起こされる。
膜沸騰
沸騰があまりに激しいために気泡が合体して気体の膜ができあがる沸騰。これにより液体と熱源の接触が断たれることをライデンフロスト効果と呼ぶ。
気体は液体よりもはるかに熱伝導率が低いため液体の温度がなかなか上がらなくなり、蒸発速度も遅くなる。液温を上げるうえで効率が悪いのは言うまでもなく、冷却不足により熱源の温度が過剰に上昇する恐れもある。