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概要編集

電子レンジとは、マイクロ波加熱により、食品などを加熱調理する調理器具である。

原理的には筐体に内蔵されるマグネトロン真空管の一種)から発生するマイクロ波によって、食品中の水分子を振動させることで加熱を行う。内側から加熱されるのが特徴で、を加熱するともれなく爆発する。殻や膜に包まれた中身に大量の水分を含むため。


「マイクロ波による加熱」はSFでも割合におなじみの兵器であり、戦車を溶かしたりするようなヤツは、確実に人は秘孔を突かれたのと同じ効果が得られる。

基本的には人体に照射しても蒸し焼きになるだけで爆発はしない。


開発した国でもあるアメリカ(≒英語圏)の呼び名は「microwave oven」、略して Microwaveであり、それ以外の国でも「Mikrowellenherd」(ドイツ語)「Horno de microondas」(スペイン語圏)「Микроволновая печь」(ロシア語)「微波炉」(中国語)など、マイクロ波という加熱原理を語源とした名称が一般的である。


なお、日本語名とそれに引きずられた韓国語名のみ「電子レンジ(韓国語表記:전자레인지)」となっている。この名を付けたのはこの器具をビュフェ車用に取り入れた日本国鉄関係者と言われている。

間違っても食品に電子そのものを当てたりはしていない(それブラウン管や)。


歴史編集

1945年、兵器メーカーのレイセオン社でのマイクロ波レーダーの研究中、マグネトロンから発せられるマイクロ波の加熱現象を発見したレーダー設置担当の技師パーシー・スペンサーによって発明された。1947年にレイセオン社はこれを製品化、『レーダー・レンジ』という商品名で販売した。のちに同社は電子レンジ事業を含む白物家電部門を売却し撤退している。

なお、スペンサーがマイクロ波の加熱現象を発見したのは、マグネトロンの前に立った際にポケットの中のチョコレートが溶けた事がきっかけという話があるが、これは都市伝説的なものらしい。

ちなみにスペンサーは電子レンジの開発中の実験でゆで卵を作ろうとして卵を爆発させている。


登場当初は高所得国かつ開発国であるアメリカ合衆国でさえでさえ高価な家電であった。日本でも1960年(昭和35年)ごろに国産化した時点では業務用が50~120万円(物価水準は現在の1/10以下)という、家の建て賃の半分ほどもした。


同時期に日本で初めてビュフェ食堂車(オシ16形)に積載されたものは、2個装備された車載ディーゼル発電機の半分の電力(1個で1両分の冷房が賄える出力)を消費してしまうほど効率も悪く能力(電波出力は今の家庭用並の500W)も低かったため、電気コンロを併用せざるをえなかった。


日本で家庭用に売り出されたのは1965年(昭和40年)。各メーカーは煮物ステーキトーストなど何でもこなせる「夢の万能調理器」であるかのように謳っていたが、電子レンジを使ったことのある人ならご存じのようにこれらは誇大広告であった。そのため、当時の主婦に絶大な支持があった雑誌『暮らしの手帖』の商品テストでは「愚劣なる商品」「せいぜいあっため直すのにしか役に立たない」と厳しく批判された。実際、初期の家庭用電子レンジは温めムラがあるなど性能が低かった上、昭和40年代にはまだ冷凍食品が普及していなかったので、電子レンジが真価を発揮するには時代が早すぎたと言える。


単機能なら2~3万円で買えるようになり、あって当たり前の存在になったのは、昭和も末(1988年ごろ)になってからのことである。


特徴編集

開発されて半世紀以上経った今となっては家庭用の電気式調理器具としては比較的消費電力が少ない。IH式シーズ線式ともに焜炉は最大火力が1kW程度はなくては最低限の料理もままならないが、電子レンジならば500Wで済む上使い方次第で時短レシピもあり、消費電力量も削れる。

コツを要するが硬いお餅もつきたてのような柔らかさを取り戻すこともできる。

量販店での価格帯は廉価版では1万円を切るが、多くは周波数が固定のもの(多くは型番に5や6、または50、60を入れることで区分している)。昔それしかなかった時代は引越し先の電器店で電源部や発振器の改造をしてもらってクリアしていた。

2018年末現在ではヘルツフリーの最低価格帯が大手メーカー製でも1万5千円程度、PB品的なものであれば税込み1万円弱のため、周波数の境をまたぐ引っ越しがありうる場合そちらを買った方が安い。

若干ではあるが漏洩電波があるのでアース線が付属しているものは正しく接地することが求められる。

ただし昔は鉛や鉄管でアース代わりにできた水道蛇口はHIVP管に置き換わりアースには出来ない。

ガス管にはぜったいつけてはならない。(集合住宅で自身がガスを使っていなくても)


一般的な市販品とは呼び難いものの、航空機内用(電源周波数が航空機用の400Hzと特殊)などの製品も存在している。機内食を供するのに用いられている。構造的には無重力下で使う宇宙船用も作れるが(宇宙船や宇宙ステーションそのものの電源は直流)、多数の電子機器を船内に積んでおりそれらが生命維持や航行の安全に必要不可欠なため(家庭用電子レンジも多少電波は漏れている)、安全を期して今も電熱線を使ったオーブン(というものの電気毛布電気カーペットでパック入りの宇宙食を挟むような形で、70℃までしか上がらない)しか使っていない。


チンする編集

かつてはタイマーが終了した際に「チーン」というベルのような音で知らせていたため、レンジで食品を温めることを称して「チンする」という俗語が生まれた。さらにレンジでチンする、を略して「レンチン」とも言う。

現在販売されている機種のほとんどは電子音に切り替わっているが、30代以上の人には未だにこの言葉を使う人が多い。


なお、英語にもちゃんとこれに対応するスラングがあり、「nuke」という他動詞である。

核兵器、原子力発電所を意味する名詞であり、「核攻撃を行う」という物騒な動詞でもある。

「Nuke 〇〇」には、「〇〇をレンジでチンしてね」という意味と、「〇〇に核をブチ込んでやれ」という意味の二通りがあるのだ。


ちなみに、普通に「〇〇をレンジで温めて」と言う場合は、

「Heat (up) 〇〇 in the microwave」である。


愛称編集

National:エレック 料理番組で電子レンジを使用する際、エレックするを決めに使ったが普及しなかった。(いまも一部機種に使用)

東芝:アラカルト 日本での商品化初。(アラカルトの愛称は一般に普及が始まったころ愛称がつけられた)

日立製作所:ククレット

三菱電機:ダイヤクック

SHARP:ハイクッカー ちなみに調理終了時のチンを搭載した初めてのレンジである。

サンヨー:コックさん

ブラザー:調宝さん


レトルトパウチ食品の電子レンジ対応編集

レトルトパウチは食材の密閉、光による劣化を防止するため袋材にアルミ箔が使われている。このため電子レンジでは対応できず(危険)。湯煎による加熱(熱湯で3分から5分をキープ)する必要があったが、最近になり一部製品においてアルミ箔を使用しないレトルトパウチが開発され主にカレーで電子レンジによる加温ができるようになり、この商品では湯を介する必要がなく加温の熱ロスが削減された。

特にカレーはレトルトご飯も電子レンジ対応なので相性が良い。


焼き物調理編集

電子レンジはその原理上、基本的に(再)加熱や解凍にしか適さず、オーブンのような焼き料理を作るのは困難であるが、テレビショッピング等で焼き物調理ができるプレートが販売されている


蓋と一緒に使用することで食材にはマイクロウエーブを当てずプレートのほうに集中させることでプレート温度を上げ、焼き調理をするという原理である。当然片面焼きになるので対象物をひっくり返して再加熱が必要(薄い肉調理では不要)だが、オーブン機能のない単機能型電子レンジでも調理レパートリーが増えた。 取り出す際はオーブン用ミトンを使いテーブルにビニルクロスがある場合厚めの木皿の上に置くなど電子レンジの温め直しと異なり調理後の扱いに注意が必要。


関連タグ編集

キッチン 調理器具 電化製品 シュタインズ・ゲート

電子レンジの中のダイナマイト ボルトマン

ORANGERANGE


ガンダムSEED・・・(劇中でも印象的に使われた兵器サイクロプスが、まさに先述した電子レンジと同じ理屈で対象物を破壊、または殺傷する(無数のパラボラアンテナで範囲内の水分を振動加熱することで、範囲内にいる人間は脳が沸騰し死亡、そして肉体は本編の描写と同じく、体内の水分が加熱沸騰することで、内部から破裂する。MSなどの機器類も、発生する電磁波や、周囲が加熱されていくことによる推進剤等への引火で爆散、無力化される)。

隠れた設定として、このサイクロプスは元から軍用兵器として作られたのではなく、最初は月面のレアメタルの混ざった氷を融解させるための機材として開発された経緯がある。)


メーサー殺獣光線車・・・こちらも同じ原理を用いた兵器。…なのだが、いかんせん主な相手溶岩潜航するような論外なので…


E235系・・・その特徴的な前面形状から電子レンジと揶揄される事がある。


レンジろう…アニメ『Go!Go!家電男子』に登場する、電子レンジをモチーフとしたキャラクター。

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