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クロノクル・アシャー

くろのくるあしゃー

TVアニメ『機動戦士Vガンダム』の登場人物。ザンスカール帝国側のメイン視点となるため、物語の進行と共に、大きく立場を変えていく。
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CV檀臣幸(スーパーロボット大戦30ではGジェネレーションなど生前の檀氏のボイスを再構築。)


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概要

ザンスカール帝国ベスパの軍人であり、物語において帝国側の視点の役割を果たす人物の一人。20歳。

初期の階級は中尉。宇宙に上がった後に大尉へと昇進し、更に直後には(表向きは)カイラスギリー攻防戦での軍功が認められ、大佐の階級と同時にモトラッド艦隊司令官としての立場を与えられている。


ザンスカール帝国女王のマリア・ピァ・アーモニア(本名マリア・カリン)の実弟であり、本作ヒロインシャクティ・カリンからは叔父にあたる。


宇宙世紀0153年4月5日。

中央ヨーロッパにおいて、次期主力候補機シャッコーの重力下テスト中にウッソ・エヴィンと奇妙な邂逅を果たし、元より己の才覚を越えた場所に置かれていた彼の運命は、更に混迷を深めていく事となった。


人物・経歴

出生はサイド1のアルバニアン(首都)だが、両親は彼の幼年時代に既に出奔しており、当時ミドルティーンであった姉の不安定な収入(固定客を持つ娼婦)で細々と暮らしていた。

当然ながらこの頃の環境は良いとは言えず、10代を前にして早くもギャングのような仲間たちに混ざって行動していた事が小説版で語られている。


しかし、姉のマリアが妊娠すると同時に彼女がサイキッカーとして目覚め、相談所兼診療所を開業した事によって生活は安定。更にこの相談所が宗教団体『マリア光の教団』へと大きくなっていくにつれ、それなりの暮らしの中で、宗教活動の手伝いや姪(シャクティ)の世話をしつつ、彼の生涯では貴重となる「平穏」な数年間を過ごしていた。


だが宇宙世紀0146年、木星帰りフォンセ・カガチが姉の前に現れた事で、彼の人生は激変を迎える。


カガチはサイド2掌握のためのシンボル(加えて、エンジェル・ハイロゥのコアユニット)としてマリア・カリンを、既に少なくない信者を擁していた教団ごと迎えるために接触。結果として、マリアはカガチの理想(真実の一面)を受け入れ、サイド2首都であるアメリア――後のザンスカール帝国へ『女王』として移るのだった。

クロノクル自身も姉に伴って帝国の士官学校へ入学し(アルベオ・ピピニーデンはこの頃の先輩となる)、“それなりの成績”で卒業。尉官としてベスパに編入される(この期間に、カガチの計略によってシャクティの誘拐が起きているが、クロノクルは本件に全く関与できず、事後のアクションもなんら起こせていない)。


しかし当然ながら彼には『女王の実弟』という肩書きが付いて回る事となり、卒業間もないながらも地球降下が許されるのみならず、試作機のテスト部隊を任されるなど、明らかに特別な待遇を処される。

事実、彼を引き受けた当時のラゲーン基地のファラ・グリフォン司令は、陰では「厄介ごとを」と口にしており、シャッコーウッソに奪われるという失態を犯しても咎めるようなことはせず、「運用データは取れたのだから、気にせず本国に帰ればいい」と勧めている(怪我であればまだしも、戦死されてはファラ自身の立場が危うくなるため)。


この“肩書き”に対しては、当初はクロノクル本人も青年らしいプライドに従って、自分の力で抜け出そうと足掻いてはいたが、同年5月上旬のモトラッド艦隊司令就任の頃(本作はわずか79日間の物語のため、話数に対して、劇中の時間経過が非常に遅い)には完全に諦めていたように見受けられる。


パイロットとしては、操作性が煩雑な高性能機コンティオを扱いこなし、実戦でいくつかの大きな戦果を上げた技量は本物であり、ニュータイプ的な素養も少なからず見られる。しかし、上述の『女王の実弟』の肩書きからそれ以上の戦績を周囲のエースパイロットに要求されては落胆され、さらには13歳ながら人間離れした挙動を見せるイレギュラーであるウッソや、短期間で自身を凌ぐパイロットに急成長したカテジナの存在に食われてしまっているため、総合では劇中の人物・視聴者両方から「相対的に見て微妙」という評価がされていることは否定できない。

性格面においても少年期において身に染み付いた処世術(自己保身)があらゆる行動に影響してしまっており、カガチ派とタシロ派のどちらにもパイプを築きつつ、自派閥を構築する事も考慮に入れた行動をとりながら、いずれも中途半端に終わるなど、悪い意味で善人すぎ、悪辣にふるまうことが出来ず、狭い視野でしか動けなかった。

その在り様は、姉マリアからさえ「小さな人間」と評されている。

ただし、最終話にてウッソが駆るV2ガンダムとの一騎打ちでは互角に戦っており、途中でオデロの助太刀がなければV2ガンダムを撃破していた可能性が高いため、実際は作中トップクラスと言っていい程の実力はあるのかもしれない(カテジナが一度だけ援護射撃をしているので条件は同じかもしれないが)。


結局は最初から最後まで『モトラッド艦隊司令官』という立場が用意された、カガチ派閥の一員として行動している(すなわち、本質的にはカガチが女王マリアのイニシアチブを握るための“道具”から抜け出すことができなかった)。


「小者」であるが故に彼個人としての人格は好青年と評せられるものであり、カミオン隊基地に潜入していた時には咄嗟に身を挺してスージィ・リレーンを落盤から庇い、捕らえたリガ・ミリティアの戦地司令であるオイ・ニュング伯爵に対する拷問やギロチン刑に対しては上官であるファラ中佐に強く抗議している。また、宇宙引越公社のマネージャーであるマンデラ・スーン(ハンゲルグ・エヴィンのかつての同僚)からも、人柄を評価されていた。


しかし「小者」でしかないために、いずれの場面においても上官(組織)の方針を変えさせるには至らなかった結果が、彼の限界を如実にあらわしている。

また、ウッソに対してだけは明らかに「戦争相手」の範疇を越えた異常な敵対心を向けており、彼を見つけ次第倒すためなら手段を選ばなくなる一面がある。元々劇中ではマリアの後ろ盾がなければいつ自分がギロチンにかけられてもおかしくない失態を繰り返しており、その大半の原因こそがウッソである。

元々の保守的な性格を見ると、自分の平穏を脅かす存在=ウッソと考えているなら、その優しさは自分が傷つくことを避けたいがための裏返しなのかもしれない。


ザンスカール帝国の王子|

カテジナ・ルースとはパートナーとしての関係を結んで、彼なりの力量と誠意で向き合い、カテジナもまた本心からの想いで彼に応えていた。しかし、クロノクルもカテジナ同様「自分が傷つかない平穏な立ち位置を維持する以外は何も考えていなかった」人間だったため、そこから先は進展するはずもなかった。


最終決戦では、元々異常だったウッソへの執念が自身の勝手な思い込み(「エンジェル・ハイロゥを利用して裏切るシャクティを思わずカテジナと一緒に暗殺しようとする」など)を拗らせて勝手に憎しみを増幅させているという益々危険極まりないものとなっており、リグ・コンティオでウッソのV2ガンダムに挑むも「荒んだ心に武器は危険なんです!」と完全な闇堕ちを見抜いた言葉で一蹴され、V2の長く伸ばしたビームサーベルを受けて倒される。

そのまま姿勢制御装置を失って転がり落ちる最中にコックピットブロックから投げ出され、エンジェル・ハイロゥに頭を強打し死亡。その直前に口をついたのは「助けてよ、マリア姉さん」の言葉であった。


搭乗機体

一作品中で搭乗した機体は以下に挙げる7機種であり、『機動戦士Zガンダム』のジェリド・メサと並ぶ数である(劇場版Zでは、ジェリドはガルバルディβに搭乗してないため、6機種になる)。

ちなみに序盤の敵だったゾロがガンプラ化出来なかったのは、このクロノクルの乗り換えペースの異常な早さが原因だったことが関係者の間で明かされている。


乗艦

アドラステアモトラッド艦隊旗艦)(28~50話)


小話

マスク

ガンダムシリーズには“お馴染み”の仮面キャラ…ではなく、単に地球の砂塵を嫌ってマスクを着用しているだけのため、初回から惜しげなく素顔を晒している。

「砂塵」と言っても、クロノクルの赴任地(序盤の舞台)であるウーイッグ周辺は環境保護区であり、MSや戦艦の内部、建物内ではエアコンによる空気清浄が機能していたが、それでもなおクロノクルは「埃っぽい」と言い、マスクを着用した(舞台が宇宙へ移ると、常に外している)。

しかし、彼が過敏症というわけでもなく、宇宙世紀0150年代のスペースノイドが人工環境で世代を重ね過ぎたために、地球環境を忌避する傾向が一般化していたのである。

(太陽発電衛星「ハイランド」出身のエリシャマルチナの姉妹も、地球に降りた際に草の匂いを異臭と感じ、「オイルの匂いの方が安らぐ」と発言している。小説版ではマーベット・フィンガーハットもまた、『ミミズが気持ち悪いので、地球では絶対に暮らせない』と語っている。)

顔を覆う部分が「シャアと反転」というのも、苗字と相まって(シャア→アシャー)「ライバルたるシャアの役割に全くなり切れなかった男」として、後年制作された『UC』の「シャアの役割だけを模して造られた男」であるフル・フロンタルや『NT』の「赤い彗星の失敗作」と呼ばれるゾルタン・アッカネンと対照的である。


一方同じ富野作品である「ガイア・ギア」の、宇宙生活者の王子として作られたメモリークローン「アフランシ・シャア」とも周囲の期待に応えられないといった部分で似通った部分もある。もっとも、アフランシは指導者としては問題だが個人としての義務は果たし生還しているので、自分の周囲に限ればクロノクルよりいささかましである。


地球の環境保護区に対して「こんな所でよくも暮らせる」と吐き捨てたシーンは、一面ではスペースノイドの辿り着く現実を最も明確に表現していると言える。


影が薄くなってしまった原因

富野監督曰く本来クロノクルはウッソと肩を並べる正統派の悪役として描くつもりだったが、主人公のウッソを丁寧に描くことに専念しすぎて他の男性キャラの描写を描くことに興味が失せてしまった結果こうなってしまったとのこと。逆に女性キャラを描く意欲は有り余っていたがためにカテジナがクロノクルの存在を完全に食ってしまっていた。

この点は監督本人も反省点として挙げてるほどで、6話で強烈なインパクトを残したワタリー・ギラのキャラクターこそクロノクルに集中させなければならなかったと自戒している。


漫画版

様々な伝説を有する漫画(ボンボン)版では、カテジナが登場しないため、クロノクルがラスボス的存在となり、インパクトのある行動やライバルらしい活躍も多かった。

センシティブな作品|

重モビルスーツ・ビヒモス(コンティオの漫画版)を駆ってシュラク隊を壊滅させ、姉の死に対して血の涙を流したり、エンジェル・ハイロゥを解体したり、ウッソの父の命を奪ったり、V2アサルトガンダムを道連れにしようとしたりとカテジナにも負けじと劣らない凶悪な成果を見せつけた。最期はオデロ・ヘンリークガンブラスターのビームサーベルでウッソに切り裂かれた。

なお、原作で険悪な仲だったゲトル・デプレとの関係は良好で、デプレが「戦士の意地」を見せて殉職した際には「いい勉強になりました」と悲しげな顔をしながら敬意を払った。


小説版

シャクティを本名の「アリシア」と呼び、中盤でリーンホースから彼女を静かにマリアの元へ連れ去った。

最終決戦ではシャクティの裏切りに気付かないままコンティオでウッソのセカンドVに挑み、オデロを殺害しつつカテジナとの連携でウッソを圧倒するが、ウッソに止めを刺そうとしたところを分解が始まったエンジェル・ハイロゥのリングに挟まれて戦死する。


オーディション

演じた檀臣幸氏は、最初はオデロでオーディションにエントリーしていた。


関連タグ

機動戦士Vガンダム

ザンスカール帝国 カテジナ・ルース マリア・ピァ・アーモニア

リガ・ミリティア ウッソ・エヴィン シャクティ・カリン

残念なイケメン 哀しき悪役 理想の上司


イオク・クジャン:己の人間性に不相応な高い身分が原因で最終的に破滅した者同士。こちらは己の身分に不満を持っておらず、周囲から甘やかされてばかりいるなどクロノクルと比べると立場を笠に着た部分が強調されており、視聴者からの印象がまるで違う。


グレミー・トト:良識的な性格の持ち主である筈が後半から完全に闇堕ちしてしまう悪役繋がり。こちらはタシロ・ヴァゴのように反乱を引き起こして第三勢力を率いる等、クロノクルと比べると中々の有能と行動力が強調されており、視聴者からのイメージがまるで違う。


アスラン・ザラ:シャアの役割に全くなり切れなかったライバル繋がり。敵軍側のメイン視点として描かれる点と技量の優れさと苦痛による無能が共通するが、後半から心が歪んだ状態と友への想いをきっかけに主人公と和解して共に戦う事を選んだ為、ある意味光落ちしたクロノクルとも取れる。


ジェリド・メサザッパーザク:当初は主人公のライバルだった筈がどんどん扱いが悪くなる不遇なガンダムキャラ繋がり。前者は乗り換えた機体の多さや終盤であっけなく戦死してしまう点が共通している。


シュバルツ・ブルーダー:こちらは味方だが、マスクを着用して行動する共通点を持つ。クロノクルに比べて前半では一切素顔を晒していない。ガンダムVSガンダムNEXTではウッソに戦闘開始時でクロノクルだと人違いされていた。

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