ガイア・ギア
がいあぎあ
ガイア・ギアは富野由悠季が1987~1991年にかけて月刊ニュータイプ上で連載していた小説。連載開始から5話では『機動戦士ガイア・ギア』、6話から最終話までは『ニュータイプサーガ・ガイア・ギア』の名称で連載された。単行本は、『ガイア・ギア』表記であった。
宇宙世紀200年代を舞台としており、劇中ではモビルスーツ(企画当初はガイア・ギアをモビルスーツと同義とする記述もある。)が運用されている。
連載途中からはモビルスーツではなく、マンマシーンという機体群が活躍する設定へと変更された。
映像化された作品であり、サンライズ公式設定の宇宙世紀タイトルG-SAVIOURも同様に200年代の話ではあるが、こちらは2000年に放送された作品ということもあり、地球連邦政府の崩壊や政府の再編によるセツルメント国家議会の誕生といった要素は後付けとなる。当然本作執筆時にそういった設定はなく、ガイア・ギア内において地球連邦政府も連邦軍も腐敗しつつも健在である。
後にこの作品を元にしたラジオドラマが文化放送で放送された。展開も小説とは異なっており、脚本を担当した遠藤明範は「ラジオドラマ版ガイア・ギアはガンダムの歴史的流れと交わらないパラレルに展開する作品」だと、ガイアギアのサウンドトラック(1)のライナーノーツで解説している。そのため、サンライズ公式設定の小説版とは違い、ラジオドラマ版はサンライズ準公式作品でパラレル設定という扱いである。
人々が宇宙に進出してから2世紀が経過した頃、地球連邦は秘密警察機構マハによって反連邦組織の摘発を行っていた。
地球の特別区の南太平洋の島に住む青年アフランシ・シャアは、育ての親であるガバ・スーの遺言に従い、宇宙へ向かうことになる。そしてアフランシは反地球連邦組織メタトロンのリーダーとなり、地球支配を目論むマハ・ゲイジスと壮絶な戦いを繰り広げる。
主人公
ヒロイン
メタトロン
マハ
ビジャン・ダーゴル大佐
マハの首魁。地球逆移民計画を企み、地球にガイア・エンペラーなる帝国を築こうと目論む。
ワーグナーのファンで、地球降下後はノイシュヴァンシュタイン城を本拠地とする懐古趣味のおじさんでもある。
モビルスーツ
ギャプラン
南の島に流れ着いた残骸。兵器としての活躍は一切なし。文庫版では、モビルスーツという記述は途中で止まっている。
ズィー・ジオン・オーガニゼーション
ズィ・ジオンを志した反地球連邦組織。名称で誤解されがちだが、かつてのネオ・ジオンとの関連性をもたせるネーミングとは言いかねる。
伝説の英雄シャア・アズナブルを復活させる「シャア・コンティニュー・オペレーション」の為に存在していると言え、その計画に則りアフランシ・シャアを生み出した。
二巻の後半でジオンの名を嫌うアフランシにより大天使の意味を持つ『メタトロン』に改名させられる。
メタトロン機関
地球連邦の腐敗に反発する組織であり、地球の保全を目的としている。
かつてのシャアの絶対理想に共感する人々が中枢を為す。
上層部は保守的となり、構成員の多くも給料をもらうために働くと言う腐敗した有様となったがアフランシ・シャアの登場で一部構成員も変革し始める。しかし上層部は第二のシャアのように動かなかったアフランシを見限り暗殺者ブノア・ロジャックを送り込むというタブーを犯すことに。更には水面下でマハを敵視し始めた地球連邦軍と結託するなど終盤では暗躍し始める。アフランシがビジャン・マハを壊滅させ行方不明となった後も、マザー・メタトロンを始め組織としては存続したままであり、一部では連邦軍へ吸収されたと言う記述もある。
地球連邦政府
地球圏を統一している政府。巨大化した官僚機構の受け皿にしかすぎなくなったと劇中でも否定的な書き方をされている。
地球連邦軍
地球連邦の軍隊。本来ビジャンマハを制圧する立場にいるはずだが、結局動かない彼らの代わりにマザー・メタトロン、つまりメタトロンがなすべきことを補完するように働いているとの説明が劇中でされている。このことを見ても0150年代よりも連邦内の腐敗が進んでいると言えよう。マハを危険視した為に水面下でメタトロンと結託、排除する決定を下す。
MHA(マハ)
地球連邦政府内に存在する特殊警察組織。
正式名称は「地球連邦政府警察機構特捜第十三課」と言う。司令官ビジャン・ダーゴル大佐指揮のもと地球逆移民計画を推進。しかしその実態は、違法な地球居住者、犯罪者の摘発を名目に人々を弾圧している無法者であった。
母体であるマンハンターは、逆襲のシャアや閃光のハサウェイといったガイア・ギアの後に書かれた作品に登場している警察組織である。
ダーゴル大佐擁するビジャン・マハの他にも、ホンコンマハが登場している事から多方面に存在するとされる。
隊員達は血統などに関係無く「常に努力し続けられるエリート」が選ばれている。
だがダーゴルの強引すぎるやり方は後に連邦軍から多大な反発を買い、これがメタトロンと連邦が水面下で結託すると言う事態に繋がっていった。
- 富野由悠季の書いたサンライズ公式作品ということもあり、『機動戦士ガンダムNT』プロデューサー小形尚弘が2018年に行われたインタビューで「宇宙世紀の今後100年を描くプロジェクト「UC NexT 0100」が『ガイア・ギア』の時代である200年代までやるのか。それは僕も含め誰にもわかっていません。」とUC NexT 0100においての映像化の可能性を匂わせている。
- アムロやシャアの活躍した時代から100年以上後が舞台設定となっているが、アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』のほぼ直後に連載された事もあり、クローン技術やファンネルなど設定の多くが関連性を見られ、1988年公開の逆襲のシャアで行われた『アクシズショック』についても終盤で触れられている。
- MS『ゾーリン・ソール』などのモビルスーツ(マン・マシーン)がミノフスキー・クラフトを装備して、ミノフスキー粒子による揚力発生現象ミノフスキー・フライトを行い、単独飛行が可能になっているという設定は、『閃光のハサウェイ』のΞガンダム、『機動戦士Vガンダム』のVガンダム、『機動戦士ガンダムF90FF』のMSA-0120などに逆輸入される形となった。
コメント
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