概要
宇宙世紀200年代において、モビルスーツの代わりに運用されている人型兵器。通称MM。
基本的なメカニズムや機体構造はMSと変わらないものだが、コンセプトがMSと一線を画した機体といううたい文句と「人に近い動きをこなすマシン」という意味合いでカテゴリー的には別種のマシンとされている、とのこと。
数年前に開発されたとされるRGMシリーズの末裔であるフリーダムが汎用性の高さに反して凡庸な性能であったため、進化の見込みのないMSに開発チームが見切りをつけたことがMM誕生の発端とされているらしい。
マンマシーンは、一騎当千の性能を求めて開発された万能兵器であり、汎用性の高さを売りとしている。量産型であるドハディとガウッサのコンセプトが似通っているのも汎用性を突き詰めたものである。逆に特化型は少なく、上記のドハディが元は偵察型であったくらいである。
コックピットはこの時期の兵器では珍しく全周囲モニターとリニアシートが採用されている。これはこの時代のMSの仕様からの脱却というキャッチフレーズで採用されたものだった。しかしこの時代ではすでに希少技術と化しており、もはや乱用できるレベルの技術ではなくなっていた。そしてただでさえ激減している物資は底をついてしまい、その後のMSをはじめとする人型兵器のコックピットレイアウトは一年戦争時のレベルにまで退行するほどの打撃を被ることとなってしまうのである。
こういった汎用性を持ちながら多彩な武装を選択可能なマンマシーンは、万能ではあるもの性能を突き詰めすぎた機体とも言えるうえ、同時期に生産されたフリーダムと比較しても高価かつ利便性に欠ける機体となってしまっているため、ある意味兵器としては健全なものでなくなったともいえた。そのためMMの間違った方向性を危惧した「セイバーチーム」によって次世代のスタンダードともいえる機体を開発することとなる。
小説『ガイア・ギア』が『機動戦士ガンダムZZ』の放送終了の数カ月後に連載が開始した作品である為、MMの機体サイズは20~24mと、80年代後半に誕生したモビルスーツと比較してもそこまで大きくはない(この時代のMSは18~20mレベルの大きさに戻りつつあるのでサイズの矛盾は生じていない)。
時系列的にガイア・ギアの後の時代を描いたG-SAVIOURではモビルスーツの名称が復活していることから、上記のことを踏まえてもマンマシーンの名称は一種の流行的なものだったといえるものかもしれない。
マンマシーンの特徴
主に突出した技術のものを説明する。
- ミノフスキー・クラフト(フライト)
この時代からおよそ百年前に存在していた技術で、メタトロン側はゾーリン・ソールの分析により再現・発展させたもの、マハ側は連邦側に残されたデータを基として再現されたものを使用している。
- ミノフスキー・バリア
ミノフスキー粒子を放出するバリアで、ビーム兵器のみを防ぐIフィールドとは違って、実体弾やファンネルなども防御可能である。また、機体全面をバリアで覆うことで大気圏内で人型の状態でマッハを出す事が可能。
ミノフスキー・クラフト同様、百年前に存在していた技術であり、ビームシールドと似たシステムでもあるが、防御範囲が限定されず全体を覆うことが可能でメガビームシールドレベルの防御力を誇る。ただしこの時代ではロストテクノロジーと化している技術であり、なおかつコスト高で高出力ジェネレータを持つ機体でなければ使用できないため、新規に搭載したのはコスト度外視の機体であるガイア・ギアαのみであった。ただし後年になってこの技術を採用する機体もわずかだが登場している。
作品内マン・マシーン一覧
メタトロン機関のマン・マシーン
ニュータイプ専用機として設計されたMM。
香港でアフランシに譲渡されたモビルスーツ。
のちに改修され、マンマシーンとして生まれ変わった。
- ゾーリン・ソール改修型
- ドハディ
メタトロン側は汎用性が高く、なおかつ安価で数の揃えやすい機体を欲したため、それに応えるためにモジュール式のバックパックを採用。多方面にわたるオプション・ユニットを開発・配備することで驚異的な多機能性を実現している。
これをより戦闘向けに仕様変更したのがドハディDh-3bである。装甲と出力を強化された機体だが、その分機動性が低下している。
- ガイヤス
戦闘用に特化された機体で単独での飛行能力を持つ。
マハ(マンハンティング部局)のマン・マシーン
- ガウッサ
RGM系のフリーダムの性能に見切りをつけた開発チームが最初に開発したとされる、地球連邦軍の量産型MM。かつてのジムやハイザックに近い扱いで、マハも使用している。
汎用性の高い全領域型を目指し開発された機体で、外付け(ミノフスキークラフト等)のオプションを用いることで各種機能に対応させ、本体のコストダウンを図った。しかしフリーダムと比べて本体に使用するパーツが高額化しており、結果としてコストダウンは思ったよりはかどらなかったものの、性能については良好であり、高級量産機として普及している。
汎用性と拡張性は折り紙付きで、いくつものバリエーションが存在している。
- ブロン・テクスター
マハの開発した新型MMの試作機を実戦投入したもの。
開発途上のプロダクション0シリーズだが、高機動と強靭な装甲を誇る。
後述の正式タイプと異なり、かなりスリムなプロポーションをしている。
- ブロン・テクスター量産型
装甲を増加した為外見が大きく異なった物となった。ある意味ガンダムクロス。
ウェイブライダーへの可変機構があるとされるが、設定がまちまちで、完全な可変機であるとされる場合と、RGZ-91やF90P型の様にオプションパーツを装着する必要があるとされる場合があるが、両方あったと考えるべきという意見もある。
- ブロン・テクスター改良型
Ψ-サイクル機関を搭載しているためジェネレータ出力が増強されており、メガ粒子砲およびブースターの増設等の改良を施された。
- ギッズ・ギース
地球の香港に隠匿されていた高度な生産設備で製造されたマハ香港支部の新鋭MM。
ヤン教授が虚軸鏡像理論を使って作り上げた新型ジェネレータ・Ψ-サイクル機関の搭載により重装甲ながら高い機動力を誇る。
軽装タイプと重装タイプがあるらしい。
余談
- 宇宙世紀200年代は宇宙戦国時代の終焉ということもあり、技術衰退やコンセプトの錯乱が起きていた時代である。マンマシーンの誕生もこの舞台背景によるもので、地域限定のローカルな名称として考えるならそこまでの矛盾は生じないといえる。
- マンマシーンという革新をうたっている名前ではあるものの、実際に革新的技術を導入した機体は数えるほどしか存在せず、多くの機体がMS時代からある既存技術を応用したものを導入して開発されている。機体が比較的大型なのもそれが理由であった。のちの宇宙世紀223年でも技術衰退の尾は引いており、イルミナーティをはじめとする組織のMSも既存技術の使いまわしが多く、中には前世代のMSを改修して使用しているケースも見られた。
- この時代の地球連邦は衰退(腐敗)の境地に達していたが、最新鋭のマンマシーンを所持していることから地球圏の連邦軍は小規模ながらも軍事力を維持している。しかし、軍から独立した組織などがMMやMSを用いた戦力拡大を盾に主導権を主張していたため、連邦内部の分裂化を急速に推し進める結果を招くこととなる。そしてそれが10数年後の連邦崩壊の決め手となったのである。マハの反乱により連邦はようやく事の重要さを理解したが時すでに遅し、宇宙の連邦軍が地球連邦の弱体化を理由に独自に動き始め、各コロニーへの強行弾圧を開始してしまったのである。
- 宇宙世紀よりもはるか後の時代とされるリギルド・センチュリーでもマンマシーンの名が出てくることから、何らかの経緯を経て名称と技術は残されたようだ。