概要
アフランシ・シャアを初めとした反地球連邦組織「メタトロン」のメンバーが運用したマン・マシーン。
小説『ガイア・ギア』が初出。形式番号はRX-110。
香港でアフランシに譲渡された同名のモビルスーツをベースに、マン・マシーンへと改修されている。
バアム・ゼーゲンの言葉によると「シャアの再来(アフランシ)のために用意された遺産」らしい。
開発系統はネオ・ジオン系MSを基にした機体であり、その影響なのかコクピットの操縦部はアームレイカーのままとなっている。
白と赤のカラーリングへの変更に加え、ツインアイに赤い額とVアンテナ、マスク部分には赤い顎でガンダムタイプに近い外見。側面から見るとシャア・アズナブル最後の搭乗機”サザビー”に、正面から見るとシャアと最も因縁深い”ガンダム”に見える、という秀逸なデザインをしている。
両肩の大きな円型パーツ計4基はミノフスキークラフトのパーツ。これによりミノフスキーフライトが可能で、背中にはバーニアもあり併用して単機での空中戦が可能となる。
モビルスーツからマン・マシーンへと改修された本機は、状況に応じてパイロットが変わっていたため、固定のパイロットを持たない機体となった。なお、アフランシはガイアギアαに乗り換えているため搭乗する機会すら無かった。
開発時期は詳しくは不明だが、U.C.0093の数年後あたりに開発された第5世代モビルスーツの発展形として、アナハイム・エレクトロニクス社の主導によって開発された模様。(形式番号から少なくともU.C.110にロールアウトしている。)上記のバアムの発言から、メタトロンの前身組織である「ズィー・ジオン・オーガニゼーション(通称ズィー・機関)」による”伝説の英雄シャア・アズナブル”の再生計画「シャア・コンティニュー・オペレーション」の一環としてアナハイム社が発注を受けたのではないか、とも言われている。
作中においては開発から90年以上が経った機体であり、反応速度こそ最新鋭高性能機のマン・マシーンに及ばないものの互角の戦闘を行っており、第5世代モビルスーツの基盤の優秀さを物語っている。
が、この旧時代+アナハイム社製の機体という事実が最大の欠点でもあり、メタトロンが開発した機体ではないためにパーツの補充が効かず、一度損傷すると修理ができなくなってしまう。作中でも万全の状態に整備されたことは一度も無く、左腕を破壊された後しばらくの間は死蔵するしかなかった。本機のマン・マシーンへの改修についても、各部機関・サイコミュの再調整と、現行サイコミュ技術の搭載、機体管制用電子機器の一部と外部装甲を最新の素材にアップデートする、といった程度に留まっている。
最終的には損傷した状態での出撃の末に撃墜されたが、不利な状況でありながらマハが開発した新型マン・マシーンのギッズ・ギースを後一歩のところまで追い詰め、一矢を報いている。
サウンドシアター版では設定が異なり、量産型のマン・マシーンとなっている。こちらではアフランシも搭乗しており、その際にはマン・マシーンで構成された敵部隊を全滅させている。
機体データ
型式番号 | RX-110 |
---|---|
全高 | 20.8m |
本体重量 | 26.8t |
全備重量 | 60.2t |
出力 | 5,200kw |
推力 | 68,000kg |
パイロット(MS) | アフランシ・シャア |
パイロット(MM) | アフランシ・シャア (サウンドシアター版)、メッサー・メット (小説版)、ジョー・スレン (小説版)、ケラン・ミード (サウンドシアター版) |
武装
武装は当時連載されていた雑誌ニュータイプで設定画と一緒に書かれている。
単行本にはMSの頃の設定画、設定は一切掲載されなかった。
ビームサーベルなどの格闘武装の装備は不明だが、標準装備されていると考えるべきである。勿論標準携行武器のビームライフルも使用している。
- 60mmバルカン砲×2
ガンダムタイプ伝統の頭部の固定武装。
vアンテナ付近左右にある。
- ゾーリン・ファンネル×2
シールド裏に配備されているνガンダムと同様のフィン・ファンネル。
νガンダムのものよりも更に小型化されており、Hi-νガンダムと同じく再充電が可能。このため本機のシールドは損傷した時の廃棄も不便であり、防御というよりもファンネルラックと充電用補助ジェネレーターという意味合いが強い。
Iフィールド・バリアも使用可能だが、下記のミノフスキー・バリアーの存在があるため殆ど使用されていない。
- ロング・フィン・ファンネル×5
左右の肩部に1基、背部に1基、腰部に2基の計5基搭載されているファンネル。
体から離れると変形して攻撃形態となる。
通常のものよりも航続距離の延長が図られている。
- ファンネル・ミサイル×12
腰についている大気圏内外対応のサイコミュ誘導ミサイル。
腰周りに3基ずつブレード状のものが計12基。
- ホーミングミサイル
装備している場所、数は不明。
ホンコン・マハのヘリに対して使用した。
- Pak-43A エレクトロ・ケミカルガン
本機用に新配備された携行武器。(専用装備ではない。)
貫徹力の高い多段成形炸薬弾を、液体炸薬に大電流を流すことで発生するプラズマの膨張圧と炸薬本来の爆発力により超高初速で撃ち出す、という電熱化学砲の一種。電磁誘導による加速も行うハイブリッド方式。
本体の上下に砲身の強制冷却と余剰電力の放電のための開放機構がある。
- ミノフスキー・バリアー
ガイア・ギアαにも搭載されている防御兵装。
Iフィールドによって励起されたミノフスキー粒子で機体を包み、縮退させることで発生したメガ粒子の質量をエネルギーに変換、ビーム・実体弾を問わず滅殺することが出来る。
作中ではビーム・バリアーとも呼ばれ、ホンコン・マハのヘリから身を守るために使用した。
マハ側もこの装備があることを知らず驚いていた。
バリエーション
マンマシーンへと新生する前のモビルスーツ。漫画『機動戦士ガンダムF90FF』にてそれらしい機体が言及されている。(作中では形式番号は偽造コードで、予算取り用のダミーデータではないかとされていた。)
ゾーリン・ソール・ドライヴ・ユニット装備仕様
地上戦を前提として更なる改修を行ったゾーリン・ソール。
「兵器の性能はそこそこに抑え、任務に応じてユニット式に性能を強化する」という設計思想を基に、機体自体はそのまま、背部に長距離用の専用ドライヴ・ユニットを追加した形で開発された。
ドライヴ・ユニットによって瞬間的な運動性と巡航性能の向上に成功しているが、使用後のユニットの外部投棄が困難という欠点を抱えている。
余談
ゾーリン・ソールという名称については、ゾーリンが草履、ソールが靴底を意味している。なぜこの名前なのかの詳細は不明だが、一説には「復活したシャアの為に温めておいた草履ようなMSだから」とも言われている。
関連項目
同じRX-110の形式番号を持つMS。
番号が重複しているのは、ガブスレイの採番方式がグリプス戦役下の独自仕様(開発拠点の番号+その拠点の何番目の機体か、というもので、ガブスレイの場合はルナツー(拠点番号11)が10番目(下一桁が0)に開発した機体なので110)だったのに対し、ゾーリン・ソールは第1次ネオ・ジオン抗争以降の採番方式(ロールアウトした宇宙世紀0110から取られたもの。)に則った物であるため。
なので本機との技術的な関連性は無いと思われる。
ゾーリン・ソールの技術素体となった第5世代MS。
ゾーリン・ソールの開発データを加えて更に発展させた次世代MS。
公式的には宇宙世紀に組み込まれていない『ガイア・ギア』だが、この機体のおかげで少なくともMSのゾーリン・ソールはMS開発史において無視できない存在となっている。