機体データ
型式番号 | RX-110 |
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所属 | ティターンズ |
開発 | ルナツー基地 |
生産形態 | 試作機 |
頭頂高 | 18.5m |
全長(MA形態) | 26.5m |
機体長(MA形態) | 19.2m |
本体重量 | 32.6t |
全備重量 | 56.2t |
出力 | 1,800kW |
推力 | 125,200kg(MS形態)、277,200kg(MA形態) |
センサー有効半径 | 10,900m |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
固定武装 | 頭部バルカン砲1門、肩部メガ粒子砲2基2門、腕部ビーム・サーベル4振、腰部拡散ビーム砲2基2門、脚部大型クロー・アーム2基 |
携行武装 | フェダーイン・ライフル1挺 |
概要
パプテマス・シロッコが提出した設計案を元に、ルナツー基地にて開発された試作可変型モビルスーツ(TMS)。
型式番号はRX-110。同ナンバーは、ルナツー基地で製造された10番目の機体を示す。
従来、モビルアーマー(MA)形態を運用の基本とした「可変モビルアーマー(TMA)」が主流であったティターンズの可変機の中で、ムーバブルフレームを本格的に導入したTMSの1つである。
TMA同様の機動性、運動性を有し、Zガンダムと並び第3世代MSを代表する機体の1つ。
TMSとしてほぼ同時期に開発されたハンブラビが単純な変形機構であるのに対し、本機は非常に複雑な変形機構を持つ。
単機の基本性能は申し分ない機体だが、その特殊かつ複雑な変形機構によって製造コストの高騰化・整備性の問題が生じた。
その結果制式化には至らず、少数の試作機の製造を以って開発計画は中断された。
尚、生産された機体の内3機はティターンズによって実戦投入されており、ジェリド・メサ中尉とマウアー・ファラオ少尉が搭乗し優秀な戦果を残した。
MA形態は昆虫を彷彿とさせる独特のフォルムを持ち、小説版ではその姿をセミに例えられている。
各部装甲を前方に配置して防御力を向上させると共に、全身に内蔵された22基のスラスターをギャプランと同様に後方一点に集中させ、その尋常ならざる加速性能を最大限利用した一撃離脱戦法を得意とする。
この際、メインの近接武装となる脚部クローアームは、MS形態でもそこのみを変形させた「中間形態」になると使用可能。
機種統合計画により後継機『ガンダムTR-6[アドバンスド・ウーンドウォート]ハイゼンスレイⅡ形態』が開発されており、中間形態や武装を構えた姿にその名残を見て取れる。
また、小説『ガイア・ギア』に登場する第5世代MS/マン・マシーン『ゾーリン・ソール』と型式番号が重複している。ただし、ゾーリン・ソールの型番はガブスレイと異なるロールアウト年の法則である。
武装
頭部バルカン砲
頭部中央に配された口径不明の牽制用機関砲。
肩部メガ粒子砲
出力4.2MW。
固定兵装ながら基部がフレキシブルに可動するため、突撃時の正面突破や格闘戦時の接射など使い勝手が良い装備。
ビーム・サーベル
両腕部に2基づつ装備される近接兵装。出力0.55MW。
「収納されたままでも使用可能」とされるが詳細は不明。
腰部拡散ビーム砲
腰部スカートアーマーに装備されたビーム兵器。射撃兵装としての威力は低く、主に近接戦闘時の目眩ましとして使用される。
脚部クローアーム
MA形態時にメインとなる近接兵装。脚部の装甲が展開して露出したムーバブルフレームそのもので構成されている。
MSの腕部程度であれば潰す程に非常に強力なものであり、敵機を捕縛する際などに用いられる他、MS形態の脚部のみをクローアームに変形させた中間形態になると携行武装との併用も可能。
このクローアームは後にバイアラン・カスタムの腕パーツにも組み込まれている。
フェダーイン・ライフル
旧ジオン系の兵器企業・アルバート社が開発した長銃身のビームライフル。出力6.6MW。
従来のロングレンジタイプのビームライフルに匹敵する射程を持ちつつ、ライフル後端に装備されたビームサーベルやクローによって、近接戦闘にも対応可能。
量産が中断された本機と違ってそこそこの数が量産されたようで、ハンブラビやマラサイで携行が確認されている。
尚、フェダーインとはアラビア語で「戦士」を意味している。
TR計画においては、銃身を取り囲むように炸裂式ハープーンを4本装着した水中用の『バハル・ライフル』の他、本装備をベースに各部を分割しカスタマイズできるよう再設計した発展武装『サッヤード・ライフル』が開発されていた。
ビーム・ライフル
ガンダムTR-1が使用したXBR-M84aと同型のビームライフル。ガブスレイの基本兵装は上記フェダーイン・ライフルであるが、オーストラリアの元ティターンズ系武装組織が根城にしていた収容施設〈デビルズ・ネスト〉に残されていた機体(n_i_t_r_oシステム搭載)が2挺携行している。
バリエーション
ガブスレイ[フギン]
型式番号RX-110C。
雑誌企画『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』に登場。
ティターンズのアーネスト・マクガイア小尉の専用機。
機体名は、後述の[ムニン]と共に北欧神話に登場する番のワタリガラスに由来する。準サイコミュに相当する感応波コントロールシステム『シャーマン・フレーム』を搭載しており、[ムニン]と対での運用が前提とされている。
頭部とMA形態時の機首の形状が一般機と異なり、カラーリングも赤いラインをアクセントに加えたティターンズカラーで染められている。
頭部は指揮官機としての役割を持たせるべく、センサー系と通信機器が強化されており、MA形態時の機首にはミノフスキー粒子の探知機が内蔵されている。
基本性能や武装面はほぼ一般機と変わらない。
ガブスレイ[ムニン]
型式番号RX-110NT-1。
『刻に抗いし者』に登場。
オークランド研究所出身の女性強化兵士「ロスヴァイセ」ことユズ・イシロギの専用機。
準サイコミュに相当する感応波コントロールシステム『シャーマン・フレーム』を搭載しており、[フギン]と対で運用する事を前提としている。
[フギン]とも異なる形状の頭部とMA時の機首を持ち、カラーリングはライン色が黄色のティターンズカラーに塗られている。
[フギン]と違い、こちらは強化人間用に機動性や追従性が高められている。基本的な武装は[フギン]や一般機と同じだが、サイドアームとしてショットガンを装備しており、こちらは用途に応じてイリジウム合金製の散弾やスラッグ弾を使い分けが可能。
ガブスレイβ
型式番号RX-110B。
ゲーム『機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE』に登場。
可変機部隊の指揮官機としてガブスレイを再設計した機体。
主に武装面の改修が加えられており、肩部メガ粒子砲がシールドに換装されると共に、腰部の固定武装としてミサイル・ポッドが、携行武装としてフェダーイン・ライフルMk2と推進器兼用のマルチ・シールドが新たに装備された。
また、頭部のセンサー類も強化されている。
コロニーレーザー攻防戦での実戦投入事例が知られている。
ガブレロ
漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダムDUST』に登場。
宇宙戦国時代になって製作されたミキシング・ビルド機で、ザビ・ジオンに雇われた傭兵の乗機。公国宮警護機としてサイド3のズム・シティにサンドードックと共に配備されている。
ガブスレイをベースに改造した機体だが、MA形態は完全にザクレロそのもの。ただしザクレロのパーツを流用したのではなく、パイロットの個人的趣向に由来する模倣に過ぎない。主武装は両腕のチェーンソーと脚部のヒートナタ。
ガブスレイ・ジュピター
雑誌企画『TYRANT SWORD Of NEOFALIA』に文字設定のみ登場。
シロッコがジュピトリスで独自に編成した「木星師団」向けに開発された機体。ガブスレイの原型機と見られるが、詳細は不明。
余談
ガブスレイのデザイナーの藤田 一巳氏によると
- 腰部の装甲はフレアスカートから着想を得た
- 額のデザインはジェリドのリーゼントを意識している
と述べており、これにより一部のファンからは「女装したジェリド」「メカジェリド」等々と評されている。