機体データ
型式番号 | RX-160S |
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所属 | 地球連邦軍 |
開発 | 地球連邦軍トリントン基地 |
生産形態 | 試作機 |
全高 | 20.6m |
本体重量 | 38.9t |
全備重量 | 60.3t |
出力 | 1,840kW |
推力 | 98,300kg |
センサー有効半径 | 11,200m |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
固定武装 | ビーム・サーベル/メガ粒子砲×2、クロー・アーム×2 |
※スペックは1号機のもの。
概要
オーストラリアの地球連邦軍トリントン基地に保管され、廃棄される予定であったティターンズの試作型モビルスーツ(MS)「バイアラン」の残存機を技術評価試験用に改修した機体。型式番号RX-160S。
トリントン基地の整備スタッフディエス・ロビン軍曹が中心となって立ち上げた、既存技術による滞空性能を向上させる計画の下に改修され、熱核ジェットエンジンの性能向上やプロペラントタンク・スラスターの増設などによって推力が強化されている。
ただし、前述の通り「既存技術による滞空性能の向上」が目的である為、宇宙世紀0096年当時における最新技術は投入されていない。
また、改修に際して頭部センサーがモノアイからバイザータイプ複合ツインアイ式に変更されているが、このセンサーの仕様変更は連邦軍本部が本機の改修を承認する際に提示した必須条件であるとされている(現にアッシマーの後継機であるアンクシャも同様の仕様変更が行われており、ジオン・ティターンズを想起させるモノアイフェイスに連邦軍が難色を示している為に行われた措置である事が窺える)。
全2機が改修されたが、1号機と2号機ではバイアランをベースにしている事を除けば別物と言える。
1号機
増設パーツと改修部分の検証機とされ、機体の各部に様々なMSの流用が見られる。バイアラン・カスタムと言えばだいたいこちらを指す。
武装は、腕部マニピュレータがビーム・サーベルとして使用可能なメガ粒子砲に換装された他、ガブスレイの脚部クローを流用したクロー・アームを装備する。また、足先もクロー・アームとして使用でき、踵部分はバウンド・ドックのものと同形となっている。その姿は、ティターンズのMSのキメラと形容される。
パイロットはディエス・ロビン。
2号機
バックパックをビーム・キャノン内蔵型のムーバブル・バインダーに換装し、更に腕部に関しても腕部構成も5指タイプのマニピュレーターを採用。また姿勢変化による高速巡航時の空気抵抗軽減を目的としたエアロ・アーマーを新たに備えており、オプションの大型ブースターを装備し、腕部を簡易変形させる事で高速巡航形態へと移行する。
これらの改修には高々度での運用を可能としていたギャプランの技術が大いに取り入れられており、2号機も同様の稼動領域を獲得、当初の目的であった「大空を掌握する機体」として完成した。
パイロットはビア・キャトリエム(2号機)。
漫画版ではリディ・マーセナスがバンシィに中破させられたデルタプラスの代替機として2号機に搭乗している。リディが搭乗した仕様ではグレーを基調としたカラーリングであり、改修前のバイアランを彷彿とさせる。
劇中での活躍
宇宙世紀0096年にトリントン湾岸基地を襲撃してきたジオン残党軍に対して出撃。
2号機は1号機出撃援護の為に格納庫内で侵入してきたザク・マリナーを無人のバーザムを囮にして撃墜するが、起動エラーを起こして行動不能となった。
しかし、1号機はその直後に起動に成功し、予期せぬ形ではあるが実戦に投入された。
水陸両用型や砂漠戦仕様のモビルスーツに対して、単独飛行可能なモビルスーツとしてのポテンシャルを遺憾なく発揮し、数で勝るジオン残党軍を圧倒。当時の最新鋭機であるゼー・ズールに対しても優位に立ち回った。
最終的にザクⅠ・スナイパータイプによって背部スラスターを狙撃され、墜落しながらもマラサイを撃墜した(マラサイも相討ちになる形で左肩に損傷を与えているが、このために左肩に書かれていた『E.F.F』の文字が消えるという元ティターンズ機同士の対決らしい演出がある)。
その後、機体は修復され、正式にロールアウトした2号機と共に連邦コードの救援要請に応じて出撃。
出撃先でジオン残党軍の潜伏する基地を襲撃する海賊組織の戦闘に遭遇するが、一方的に嬲られるだけであるジオン残党の惨状を見て、1号機パイロットであるディエスの判断で「状況を静観しながら攻撃してくる海賊組織に対して自衛する」という名目でかつて敵対したジオン残党軍と共闘する事になった。
完全なる偶然ではあるが、宇宙世紀0096年という同時期に、本機とは逆に宇宙戦用として大幅にカスタマイズされたバイアラン・イゾルデも、サイコフレームに関わる事件に確認されている。
ゲーム作品
Gジェネレーション
『OVERWORLD』から登場。バイアランから開発する。
『GENESIS』では2号機も開発可能に。
スーパーロボット大戦
『第3次スーパーロボット大戦Z』で初登場。
時獄篇では条件を満たす事で、フォウ・ムラサメの乗機がリ・ガズィに変わってこちらになる。
単独飛行が可能なので、機動力の必要な局面で重宝する。強化パーツスロットが3つあるため
プレイスタイルに応じた運用が可能。
続く天獄篇ではフォウの初期搭乗機に。強化パーツスロットが2つになったものの性能は前回と変わらないため、分岐ルートにおいても重宝する。
『スーパーロボット大戦V』でも登場。
こちらではこの機体の元になった4機の内3機のパイロットになったあのジェリド・メサの乗機として登場。
特殊部隊Gハウンドの一員として自軍の前に何度か立ちはだかる。
立体化
2012年にHGUCで1号機が一般販売された。
その後、2号機も2014年にプレミアムバンダイ限定で販売。このときは漫画『機動戦士ガンダムUC 『袖付き』の機付長は詩詠う』で登場した青と白を基調としたものと、『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』で登場したティターンズカラーのものが同時発売された。
余談
実は、バイアラン・カスタムが開発されたのは、ぶっちゃけトリントン基地の暇つぶしだったりする。
というのも、当時のトリントンは元ティターンズや軍内の厄介者などの左遷先であり、MSもネモやジムⅡ等の旧式ばかりで仕事も特にない(以前は核兵器の保管場所だったのだが…)。そのため、バイアラン・カスタムの開発計画には基地所属の軍人の多くが嬉々として参加したとか。
そしてその計画の立案者にしてメインスタッフであるディエスの正体は元ティターンズ隊員ドナ・スター中尉であった。かつてのグリプス戦役の末期に彼はバイアランを駆って反連邦テロに襲われた連邦軍高官を助けたが、それはティターンズでは明らかな命令違反だった為、当時からの上官で彼の行動によりティターンズの闇に気づいたゼフテラ・ベルク中佐の計らいで戦死扱いとなっており、それ以降はディエス・ロビンと言う偽名で整備士をしていた 。ジオン襲撃の際に彼はバイアラン・カスタムを駆り、ティターンズ本来の使命であるジオン残党狩りをやってのけたのであった。
また、メタ的な意味では、原作小説をそのまま映像化するとジオン残党にただただ連邦軍が一方的にやられていくだけなため、連邦軍の見せ場を作るという意味があった。
結果、バイアラン・カスタムの活躍シーンは「バイアラン無双」と呼ばれ、機体と共に人気を博した。
関連動画
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