解説
型式番号MA-04X。ジオン公国軍の宇宙戦用試作型モビルアーマー。パイロットはデミトリー。
大口を開けた蛇かピエロの顔のような外見が特徴。
当時のMAとしては小型。開発資金は名家ヨッフム家から提供されていた。
2本のヒートナタ、口のような部位に仕込まれた拡散ビーム砲、両脇あたりに4連装ミサイルランチャーを装備。
高い推力を活かした一撃離脱戦を主眼に置いて開発されていたが、機動性が悪かったため開発途中で廃棄が決定された。先に登場したビグロ以前に開発された機体と言われ、これのコンセプト自体はそのビグロに受け継がれていると思われる。
黄色のペイントと複眼型カメラのせいで奇抜な印象を受けるが、本体・推進装置・マニピュレーターとそれぞれが独立した非常にシンプルな構造をしており、実際の兵器としてのリアリティは他のMSやMAより見方にもよるが高いと言える。
このモンスターじみたデザインは後年のガンダム作品に参加したデザイナーによるリファインが施される際にも解釈が分かれており、出渕裕氏デザインのものは目をペイントと解釈し上部にモノアイレールが設けられ、射尾卓弥氏デザインのものはライン状のセンサーが2本連なることでひとつの目を形成するようにデザインされている。
ビグロに乗ってガンダムに敗れたトクワンの部下で本機のテストパイロットのデミトリーがトクワンの仇討ちのために独断でこれに乗って出撃。迎え撃ったガンタンクおよびMA形態のガンダムをその優れたスピードで翻弄して何度かダメージを与えるが、すぐにアムロに動きを読まれ、すれ違いざまにビームサーベルをボディに突き立てられてデミトリーもろとも爆散した。
なお劇場版では登場しない。
関連動画
バリエーション
ブラレロ
形式番号MAN-00X-2。
メカニックデザイン企画『MSV-R』で新たに設定されたザクレロ後期試作型をベースに改造されたニュータイプ用試作機。後期試作型の特徴として拡散メガ粒子砲の砲口にはシャッターが設けられている。
機体後部にブラウ・ブロのそれを小型化改良する形で開発された有線式ビーム砲を装備している他、ヒートナタも有線式で射出後にサイコミュにより遠隔操縦できるようになっている。
戦争末期にア・バオア・クーにて実戦投入されたとされているが詳細な記録は無い。
「機動戦士ガンダムUCエンゲージ」にもプレイアブル機体として登場する。
ガザレロ
ゲーム『SDガンダム GGENERATION』シリーズに登場したザクレロの流れを汲むアクシズのニュータイプ専用試作MA。
開発はアクシズに逃れたフラナガン機関のスタッフが行った。メガ粒子砲やビット、それを運ぶトランスポーター・ビットが搭載しており遠距離攻撃性能に優れている。アクシズが少人数ゆえに精鋭のニュータイプ部隊による一騎当千を模索していた過渡期における機体であり、結局採用されなかったがこの技術は後に開発されるゲーマルクへ繋がったと言う。
ウムガルナ
型式番号MA-04X-3。
小説『機動戦士ガンダム ブレイジングシャドウ』に登場した発展機。
高速巡航モードから各種武器や装甲が展開しザクレロの顔が露わになった戦闘モードへの変形機構を有している(顔は射尾版に近い)。更にミサイルポッドを内蔵した尾部コンテナを装備可能であり、その姿は大蛇を彷彿とさせる。
バチザード
形式番号MSN-00X
美術展『GUNDAM―来たるべき未来のために―』にて設定されたMA。
ニュータイプを軍事利用できないかと思ったフラナガン機関が提案したザクレロをベースとした新人類戦闘力試験用MA。ニュータイプの戦闘能力を確認するための機体。だが対象者がまだ若く、軍人としての訓練を受けていないため機体の操縦を本職のパイロットに任せ、攻撃のみを担当させる複座式としている。本来ならば専用機を一から開発するべきだが、戦況と研究予算の両面で余裕がないため、ザクレロの試作機をベースに改造することになった。
ザクレロとの違いはメインカメラをモノアイ式に変更し、口部メガ粒子砲とヒートナタをオミットしその代わりに遠隔攻撃用ビットと格闘戦機能付攻撃ビットをそれぞれ2基づつ装備、バーニアユニットを改良して運動性を向上、そしてIフィールド発生器を搭載している。
ただしこの機体が本当に作られたかは不明である。
レロ・ズール
「機動戦士ガンダムUC ep4」公開前の公式Twitterのエイプリルフールネタ。下半身がギラ・ズール。
他媒体での活躍
THE ORIGIN
「THE ORIGIN」では量産MAとして正式採用されており、ソロモン宙域に多数配備されている。
デザインも少々変更されているが、ディテールが増やされ拡散メガ粒子砲の砲口にシャッターが追加された程度。
また、本作で登場したジオン軍の爆撃機は機首がザクレロの顔と酷似したデザインとなっている。
GUNDAM THE RIDE
「GUNDAM_THE_RIDE」では移民者を乗せたスルガを襲撃、通信から見てMS小隊を全滅させたようで、その後移民たちが脱出した後のスルガを沈め、ランチも手にかけようとするがジャックとアダムの乗ったジムに撃破された。
Gの影忍
「Gの影忍」では、戦いの虚しさに気付き世捨て人となった元兵士が搭乗し、両腕の鎌を換装したノミを用いて小惑星に仏像を彫っていた。
ガンプラビルダーズ
ガンプラビルダーズでは、選手権に出場したガンプラとして登場。口内にザクⅡを収納して上部にIフィールドとメガ粒子砲を備えており、まさにジオン版デンドロビウムといった姿であった。
機動戦士ガンダムサンダーボルト
「サンダーボルト」の漫画版ではア・バオア・クー最終決戦で多数が投入された描写が存在する(ただしアニメ版には登場しない)。
伝説の大将軍編
うっかりざくれろとして初のBB戦士化。詳細は該当記事を参照の事。
その他
その特徴的な外見により、SDガンダムでの登場頻度は高い。度々モチーフにも使われ『七人の超将軍編』に登場する千力頑駄無やその前身である千成大将軍、SDガンダムフォースに登場するガンダムサイの船首等にも意匠が取り入れられている。
また最近では滑稽な外見とは裏腹に至極真面目な人物(?)として描かれることも。
欠陥兵器?
公式で「欠陥兵器」とされる本機だが、肝心の欠陥理由が年々で変更され定まっていない。
初期では前述の通り「機動性の悪さ」とされるが、現在では「武装の拡散ビーム砲の威力不足」とする書籍も存在する。
恐らく、劇中でガンダムを追い詰める機動力を見せた事で、その設定では無理があると判断された為だろうか?
ガンプラ
初代ガンダム放送終了後に発売された所謂旧キットでラインナップされている。
モビルアーマーとしては小柄な部類に入る為かMAの標準スケールである1/550の他に1/250スケールがセットになっており、劇中再現以外にも他のMA系キットとスケールを合わせて遊ぶこともできる1/550ガンダムMAモードもおまけとして入っているなどプレイバリューの高いキットとなっている。
元のザクレロ自体が可動箇所の少ないMAのため、可動範囲は旧キットながらザクレロとして不足の無い程度には良好。1/550は肩の横方向へのスイング機構と二の腕のロール軸が無くなっている。