ペッシェ・モンターニュ
ぺっしぇもんたーにゅ
「だからこそ行くんです。ビショップ計画の真実と、自分自身の宿命を確かめるために」
CV:坂本真綾
ジオンのニュータイプ研究機関「フラナガン機関」に所属している16歳の少女。同機関のニュータイプ候補生であり、同じくフラナガン機関所属のララァ・スンとは同僚である。ララァの方がニュータイプ能力及び機体操縦技術に長けていたため、ペッシェはグラナダの技術開発部に出向され、同じくニュータイプの素養があるアシュレイ・ホーン大尉と共にニュータイプ用兵器の開発に携わっていく。
父オーガン・モンターニュはアシュレイの同僚であり、同じく兵器開発に携わっていたが、テスト中の戦闘で戦死しており、その縁あってか、アシュレイ大尉に対しては父の姿をダブらせている。
性格は素直で優しく、父オーガンのようなパイロットになりたいという夢の為に頑張ったが、兵士になると同時に父は他界してしまう。そんな現実にもめげずフラナガン機関でニュータイプの素養があると頑張るが、サイコミュ試験型ザクの操縦もおぼつかない程であった。
戦争の最中強力なニュータイプ能力が覚醒し、後に「他の人間とは違って貴重」「使い捨てには出来ない」等と、非人道的な組織に与しながらも貴重な人材として重宝され続けるなど、非常に有用なパイロットであることが描写されている。
『ビショップ計画』の中核を成す人物として最初から注目されており、彼女を取り巻く数多の陰謀や、ジオンやフラナガン機関という出自に様々な人間から負の視線を向けられるなど、正しく生きようとする彼女は、その人生を一年戦争の負の遺産に振り回されてしまうことになる。
見た目は一年戦争時はふんわりした髪型で素朴な雰囲気だったが、戦後はおしゃれするようになったのか女子らしくピアスをして髪型も前を分けたショートにしている。色んな陣営を駆け巡るため様々なパイロットスーツを着用しており、メリハリの効いた体のラインを披露している。
一年戦争(0079~0080)
グラナダに出向し、研究に協力していたペッシェは、相方であるアシュレイから命を宿すという意味で"宿命"という言葉を授かる。
父オーガンの代わりに自分を守ると決意するアシュレイに懐くようになり、まだ未熟ながらもサイコミュ開発に協力していた。
一年戦争末期になると、劣勢になったジオン軍は公国に戦力を集結させるため、キシリア・ザビのグラナダ艦隊と共にア・バオア・クーに向かい、戦線に参加。ソーラ・レイが生んだ死者の叫びを受け、感受性の高いペッシェは体調を崩し、戦線を離れるようにアシュレイ大尉から遠ざけられるものの、父のようなパイロットを目指していたペッシェはすぐに復帰し、アシュレイを説得し共にNT用試作MAブラレロに搭乗する。
戦いの最中、機体が突然中破しアシュレイ大尉は戦死。その死を嘆く暇も無く生き残るために一人でブラレロを操縦していると、死んだアシュレイと父・オーガンの声を聞き、ニュータイプとして完全に覚醒。戦艦2隻、MS9機撃破という多大な戦果を挙げ、一人の兵士として一年戦争を最後まで戦い抜いた。
戦後、激戦を潜り抜け優れた能力を得たペッシェは、ジオニックを接収したアナハイムエレクトロニクスにその技術を買われ、新型兵器のテストパイロットとしての道を選んだ。
自分の能力が、人を救うための技術に役に立つと信じたペッシェの選んだ道は、様々な陰謀に利用され、幾度の出会いと別れが彼女を苦しめることになる。
デラーズ紛争(0082~0083)
アナハイムのガンダム開発計画に関わっていたペッシェは、ガンダム開発試験0番機エンゲージゼロのテストパイロットを務めていた。エンゲージゼロの性能は並大抵のパイロットでは運用出来ない性能で、アナハイムではペッシェにしか動かせない代物だったが、連邦軍は本機の実戦データを取りたいがために、アナハイムに工作を指示。ジオン残党に兵器を横流しし、エンゲージゼロを連邦の任務に付随させテスト中にかち合うように仕向け、掃討させようと命令した。ジオン残党の中には、ペッシェが最近知り合ったジャンク屋のミチェル・カノの存在もあった。
意図せずに連邦に与したペッシェは"売国奴"と罵られながらも、月面都市に紛争を持ち込もうとするジオン残党のテロリストを掃討、自分の複雑な立ち位置とジオン残党の現実を見て涙を流した。
その後、GP04ガーベラのテストパイロットとしてラビアンローズに赴任してたペッシェは、エギーユ・デラーズ率いるジオン残党、デラーズ・フリートが宣戦布告する映像を見て戦争が始まるのを実感する。
また、エンゲージゼロの開発に関わり、交流を重ねていたオービルがスパイ活動をしGP02サイサリスを横流ししたことが発覚し、アナハイム内のジオン側の人間は不利な立場に追いやられてしまう。自分の想いや思想とは関係なく「ジオンの人間」だとレッテルを貼られて嘆くペッシェのもとに、GP04の性能確認のために戦闘を仕掛けてきたシーマ艦隊と一戦を交える。一連の流れから、アナハイム上層部がデラーズ・フリートと繋がっていると察したペッシェはフォン・ブラウンのオサリバン常務を問い詰める。全てはフラナガン機関の『ビショップ計画』の元、戦後もパイロットとして引き返せない所まで導き、連邦側が禁忌としていたニュータイプ専用の兵器とそのパイロット育成するビショップ計画を連邦側で復活させ、自身をその企画に乗せるためにアナハイムと連邦が行ったことだった。アシュレイ大尉はそもそもニュータイプの素質など持っておらず、ペッシェと親しい仲にした上で敢えて戦死させることで、素質を持つ彼女をニュータイプとして覚醒させるように誘導する"人工ニュータイプ"を作る計画の犠牲者であることを知る。これまでの一連の流れが全て仕組まれたものだと知ったペッシェは激昂し、一度は銃をオサリバンに向けるもののクレナ・ハクセル所長に阻止される。
その後はビショップ計画の目的と自分の"宿命"を確かめるために、敢えて計画通りにオーガスタ研究所に向かい、ニュータイプ専用兵器開発に協力した。
グリプス戦役(0086~0087)
オーガスタ研究所にアナハイムから派遣されたペッシェは、連邦で解禁されたサイコミュの研究と同時に、ひそかに研究が進められていた強化人間とも関わることになる。共にパイロットとして交流していたロザミィからはまるで姉のように親しまれている。
かつてのアシュレイ大尉との思い出を振り返り、今の自分があるのは"お兄ちゃん"のような人間が守ってくれることをロザミィに伝えた。
模擬戦を重ねていくうちに、ロザミィの精神の不安定さを問題視した研究員たちは、ロザミィの再強化を薦めるようになる。心が壊れる危険性を無視できないペッシェは反対したものの、かつてフラナガン機関に所属していたことから"人工的に覚醒されたニュータイプであるペッシェは強化人間みたいなものではないか?""反対する権利が君に無い"と侮蔑の目線を向けられるようになった。
研究者の一人であるナナイ・ミゲルの助言により、ロザミィの再強化よりもオールドタイプでもオールレンジ攻撃が仕掛けられるインコムの開発を優先すべきと説得し、ペッシェはインコム開発のためのテストパイロットを務めるようになる。データを多く取るためにドンドン消耗していったペッシェを心配したロザミィは自身を再強化して同じデータを取りペッシェの負担を軽減するように提案。ペッシェの願い空しくロザミィは再強化され、元の人格は失われペッシェと共にいた記憶も失われてしまう。インコム開発には成功したものの、ロザミィを犠牲にしてしまったペッシェは嘆いた。
ティターンズが劣勢になると、ペッシェはナナイやインコム開発に携わったローレン・ナカモトと共に、アクシズに亡命しないかと提案される。
かつてジオンと袂を別ったペッシェは反対するものの、敗戦に向かいティターンズに協力していた者として碌な扱いされないであろうことや、ロザミィの調整にはアクシズに行くことが一番であること、更にアクシズのニュータイプ研究機関はフラナガン機関を母体としており、追い求めていた『ビショップ計画』の真実に近づけるかもしれないとナナイに説得され、渋々この話に乗る。
バスク・オムのドゴス・ギア轟沈に合わせて戦線を離脱しようとするペッシェだが、ロザミィの搭乗するサイコガンダムMK-IIが暴走。説得するもロザミィは錯乱してしまい、エゥーゴのΖガンダムに狙撃され戦死。
ペッシェは復讐のためにZガンダムを襲うが傷一つ付けることも出来ずエンゲージゼロは中破してしまい、更に魂となったロザミィに止められて、彼女が死んだ意味を見出せないまま離脱、アクシズへと亡命した。
第一次ネオ・ジオン抗争(0088~0089)
ネオ・ジオンへと亡命したが、度重なる悲劇に見舞われたことにより完全に心を閉ざしてしまっていた。この亡命したころから頭の中に出てくるようになった謎の人物について考えが向いている時があった。
当初はラカン・ダカランの部下として配属されており、ズサに搭乗していた。しかし、作戦行動中にも関わらず謎の人物について考えを向けてラカンに注意される場面が見られた。
とはいえラカンもペッシェ側の事情はある程度把握しており気に掛ける場面もあった。
だが、ナナイからラカンへとリークされた極秘資料により、失われた『ビショップ計画』の真実と、自身の出自に関わる重大な情報を知り、その真偽を確かめるべくニュータイプ研究所へ乗り込む。
その後自分によく似た顔立ちの人物「セリーヌ・ロム」が目の前に現れ、ナナイへと詰め寄る。
そこで語られたのはペッシェはクローン人間であり、セリーヌはそのオリジナルであるという衝撃的な事実であった。
セリーヌは度重なる実験と自分のクローン達の惨たらしい死に様を見て精神的に壊れていった。リークされた資料やセリーヌの語るところを考えるとその内容は『ZZ』期のラカンすら吐き気を催すものだったことが推して知ることが出来よう。オーガンの元に預けられたのもセリーヌのように心が壊れるのを避けるためでもあった。
その後はプルシリーズの失敗作扱いされるノン・リン・レイと共にリンク・サイコミュの研究に携わる。
グレミー軍の襲撃の際にはエンゲージゼロ・ヨンファヴィンと量産型キュベレイ3機のリンク・サイコミュを用い、これを退けるもニュータイプ研究所に乗り込みノン・リン・レイを連れ去ろうとするセリーヌと遭遇、拒絶する3人の前に立って庇うもセリーヌに銃撃される。
銃撃による負傷からの回復後、再び襲撃してきたグレミー軍との戦闘ではかつての上司であったラカンと交戦することになる。これを退けた後、マグナ・マーテルを駆るセリーヌとの最後の戦いに臨むことになる。
セリーヌとの戦いでは量産型キュベレイを撃墜されてしまう。それがトリガーになってかペッシェは『ZZ』期のニュータイプ・強化人間に見られるオーラ(色は青系)を見せるなど更なる力を見せる。
その力と共にセリーヌを撃墜するも、力の反動からか髪はセリーヌのように白くなっていた。その様を見た後、周囲の人間をあまりにも失いすぎた今までの自分の人生を振り返り一人涙する。
しかし、ララァの思念と負傷しながらもどうにか生きていたリンの言葉を聞いて落ち着きを取り戻し、そしてアシュレイの思念から言葉を受けて生き続けることを決意したのであった。