概要
形式番号はRX-78 MS00Z。オーガスタ研究所移管後はORX-00Z。
アナハイム・エレクトロニクスがガンダム開発計画において試作した、ガンダム試作0号機単体での達成が困難な連邦の高すぎる要求をフォローする為のオプションの一環であるモビルスーツ。
本機は対MS戦用の強襲突撃を主眼に開発されている。
ムーバブルフレームの前進的な技術を採用した他、マグネットコーティングによる反応速度の向上などが行われており、高い機動性と拡張性を誇る。
リアスカートにはスラスターが内蔵されており、展開することで腰部に搭載されたスラスターと合わせて非常に高い加速能力を有する。
また、外見的な特徴として細身で曲面の多い女性的なフォルムとなっている他、頭部もガンダムタイプを模しながらそれ以前とはまた違った意匠を持つ特徴的なものとなっている。
デラーズ紛争後にガンダム開発計画に内包される本機も存在の抹消がされるがフレームと稼働データは極秘裏にオーガスタ研究所に移管され、サイコミュ可動試験機として改修されている。
武装
- 頭部バルカン砲
左右のアンテナの基部に内蔵された機関砲。
- ビームサーベル
左右に搭載された格闘兵装。本機はのは非常に珍しくバックパックではなく胴体に搭載されている。そのためバックパックを変更しても使用することができる。
- ビームライフル
専用のビームライフル。
本機独自のものであり形状としてはガンダムのビームライフルと類似している。
- シールド
専用のシールド。
ジムコマンドの曲面シールドとゼフィランサスのシールドの中間のような形状をしている。
- ブルパップ・マシンガン
ジム系が持っているものと共通の90mmマシンガン。主にゲームにて装備している。
装備バリエーション
追加ブースター装備型
バックパックに大型のブースターポッドを装着した形態。高機動だがパイロットに強力なGが掛かり、並のパイロットでは失神する危険な作りであり、専属のパイロットを有しても3分までしか使う事が出来ない。
作中では、高機動型ケンプファーに対抗するためルセット・オデビーが装備することを提案し、ニック・オービルが本装備を手配した。
サイコミュ試験型
連邦軍ニュータイプ研究所でサイコミュ実験機として改修された形態。
両腕がジオングのような有線式ハンドに換装されており、前腕部甲にジオングの5連装メガ粒子砲を発展させた6連装メガ粒子砲を装着されている。これによってオールレンジ攻撃が可能となっている。メガ粒子砲の砲身はマニピュレータのようにある程度可動させることが可能だが、一番外側の砲身は可動しない。
それ以外に腰部が大型のものに換装されており、バーニアスラスターが搭載されている。
その他、リニアシートや全天周囲モニター、ムーバブルフレームなどの最新技術も多数導入されており、外見ではほとんど差異はないが、かなり大幅に改修されている。
機体色は濃紺のティターンズカラーに変更され、股間の連邦のV字レリーフが削り落とされている。
インコム搭載型
上記のサイコミュ試験型のバックパックにインコムユニットを搭載した形態。この装備でデータ取りを行いインコム開発に多大に貢献した。まだ試作なので装備自体が小型で低出力である。
作中では、オーガスタ研究所でデータ収集のために運用され、ギャプランとの模擬戦などを行った。またオーガスタ防衛戦にも参加。6連装メガ粒子砲の代わりにアッシマーの大型ビームライフルやハイザックのビームライフルやシールドを装備していた。
オーガスタ基地から撤退後は宇宙へと上がりドゴス・ギア配備され、グリプス戦役を戦い抜いた。
その後ネオ・ジオンに亡命しその際に、カラーリングは元の白基調のカラーリングに戻されている。
ビショップ計画
実は本機、ガンダム開発計画をフォローする為に作られたというのは建前で、戦争に負けて凍結されていたフラナガン機関の『ビショップ計画』を再始動させるために作られた。
戦後ジオニックを接収したアナハイムは、ジオニックに残されたデータ等から本計画を知り、これを連邦側で復活させるためその実績作りに本機をガンダム開発計画に寄生させ開発させた。
融通が利くように開発からパイロットに至るまでジオン側の人間で揃えていたのはこのためであり、外観もガンダムでありながらジオン系の丸みを帯びた意匠が多く見られるのはこのため。
なおデータこそジオニックから吸い上げられたものだが、機体構造としてはギャン等のツィマット系の血が濃い模様。
ムーバブルフレームの前身的技術を採用してる事により高い拡張性を持つが、これはサイコミュ装備の運用を前提に開発されている為であり、『ビショップ計画』の一つ、「人工ニュータイプ」の成功作だったフラナガン機関のペッシェ・モンターニュが搭乗する前提の作りになっている。
戦後連邦では"ニュータイプの研究とサイコミュの開発を禁忌"としていた為、ジオンの技術から齎されるサイコミュに注目したオーガスタ研究所は、デラーズ紛争に乗じてパイロット毎自分たちの物にするために工作していた。
結果、本機からデータを得たオーガスタは様々なニュータイプ専用MSや武装の開発に成功している。
その為、ガンダム開発計画凍結に伴う連邦によるデータ抹消の際には型番を変更し偽装も兼ねた改修を重ねた上でオーガスタでの運用が見逃されている。改修により連邦の最新技術とジオンのサイコミュ技術をMSサイズに納めた『ビショップ計画』の次世代機とも呼べる優秀な機体となった。
エンゲージゼロ・ヨンファヴィン
アクシズに渡ったエンゲージゼロを分解・解析し、アクシズの最新技術を用い再開発、更にアクシズの次世代ファンネルや最速の大推力スラスターを搭載した機体。『ビショップ計画』と発端とするジオン系サイコミュ技術と『ガンダム開発計画』の連邦MS技術を擦り合わせ融合(エンゲージ)を果たしたエンゲージゼロの完成形と言われる。股間にはバウのシールドの物と同様のネオ・ジオンの略式エンブレムが新たに刻まれた。
腰にはキュベレイの物を発展させた出力の高いファンネル「レモラ・ファンネル」を装備し、コバンザメ(レモラの意)のような形状をしている。今までの装備とは比ではない火力を得ており、背中にはジャムル・フィンにも使われている大推力スラスターを二基装備、エンゲージゼロが持っていた高機動性を最大限に発揮できるようになっている。
バックパックには「リンク・サイコミュシステム」と呼ばれる装置を付けており、NT専用MSのフラッグシップ機として周囲のサイコミュ搭載機との連携に使われた。
立体化
プレミアムバンダイ限定で1/144スケールのガンプラが販売。追加ブースターが付属し、バックパックを換装することができるようになっている。
余談
- デザインは『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のOVA化に際しキャラクターデザインの監修を務めたことぶきつかさ氏。
本機は「連邦ともジオンとも言えないアンバランスさを拭いきれないキメラ(ガンダムに偽装しきれていないギャン)」というコンセプトの他、女性型をイメージしてデザインされており、対の男性型をイメージしたデザインとしてペーパープランの「エンゲージガンダム」も設定されている。こちらはエンゲージゼロの評価がガンダム開発計画にも採用され、計画その物が結びついた場合のif機体であり正史には存在しない。