ミノフスキー・クラフト
みのふすきーくらふと
宇宙世紀0079年に進宙した、ペガサス級強襲揚陸艦において実用化された、大気圏内(1G環境下)浮遊システム。
当該システムを用いることで、空力学的に飛行の困難な形状や、揚力を得るための大面積翼・高速機動が無くとも、VTOLのような垂直離着陸、及び空中浮遊が可能となる。
システム自体が大型で、且つ稼働には莫大な電力が必要だが、宇宙世紀ではミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉の恩恵により、(艦艇は)容易かつ半永久的に大電力を得ることが可能なため、巨大質量を大気圏内で推進剤の必要なく浮遊させられるミノフスキー・クラフトは、長時間の作戦行動をとる揚陸艦との相性が非常に良く、以降の高級・多機能艦のスタンダード装備となった。
ミノフスキー粒子は静止状態ではほぼゼロ質量だが、導電体(つまり、地表や金属装甲)をほとんど透過しないという性質を有する。
加えて、静電入力を行うと、Iフィールドを代表とする立方格子状の力場が発生するが、この中には物理的斥力の強い力場も存在した。
この二つの特性を利用して、機体下面空間のミノフスキー粒子に極大電力による入力を継続し、立方格子状の斥力場を形成し続ける事で、地表~機体下面までを支える『見えない足場』を作り上げ、そこに『乗る』事で浮遊状態を維持するのである。混同されがちだが、重力自体を打ち消すないし制御しているわけではなく、質量に対する重力は働いているのである。
ミノフスキー・クラフトで得られるのは、あくまでも「浮遊」(落下しない)のために必要な力場だけのため、上昇を含めた推進力を得るためにはスラスターと、その推進剤が必要となるが、この「推進」に必要となる推進剤消費量は、1Gという力に逆らいつつ浮遊し続けるために必要となる消費量に比べてはるかに少量で済むため、艦艇の作戦継続時間を大幅に延長させる事に成功したのである。
更に加えて、前述の垂直離着陸機能もまた、「滑走路を必要としない」という点で基地設備を始めとする運用環境拡大に寄与きており、やはり多機能艦の価値を大きく高めている。
大型サイズ
ミノフスキー・クラフト・システムは、それ自体が巨大な容積を必要とするため、宇宙世紀0100年代に至ってさえ、当時最先端のMS開発技術を持つアナハイム・エレクトロニクスでも30m級モビルスーツに搭載させるのが限界であった。
艦艇に対してもまた、本システムの搭載は他の容量(整備ドック、居住空間、推進剤タンクなど)を圧迫するため、航宙専用艦艇には基本的に搭載されない。
宇宙世紀0111年になるとアナハイム、サナリィ共に大幅なダウンサイジングに成功しており、史上初の第二期モビルスーツ(15m級)であるF90のオプションパーツとして、ロールアウトさせている。ただし、Aタイプでは全備重量が80tを超える重装備であり、20~30m級MSと比較してもかなりの大重量であった(30m級のΞガンダムよりも重い)。Jタイプでは増加装甲の重量増を補うために脚部増加装甲内に小型のものを搭載しているが、元々持っていた高機動性を補うまでに至らず、目立った実験結果を残してはいない。
アナハイムでは第5世代MSを15m級にまで小型化する事に成功したMSA-0120において、オプションではなく標準搭載である内蔵型としてロールアウトさせている。こちらは全備重量は54.1tでそのうち約30tは推進剤を最大積載したものとなっている。
どちらも長距離侵攻時の重量であるため、通常のMSとは単純な比較はできない。
低到達高度
『地表から不可視の足場を組み立てて乗る』という原理上、従来の揚力で飛行する航空機ほどの高度を得ることは困難である。
高度を得て飛行したい場合は推進装置の一部を下方に向けて上昇・維持し続けなければならない。当然、これは推進剤をかなり消費してしまう。
推進力ゼロ
ミノフスキー・クラフトは「落下しない」ためだけのシステムのため、機体を移動させるためには別途推進装置を使用しなければならない。
漫画作品『機動戦士クロスボーン・ガンダムゴースト』において、ハロロが本システムを「ぷかぷか浮いているだけ」と表現したが、これは実に的を射ていると言える。
ビームローター
事実上の完全上位互換システム。宇宙世紀0150年代において、実用化された。
ユニットが小型で済み、消費エネルギーも少なく、更には小さいとは言えミノフスキー・エフェクトによって推進力まで得られる。
騒音等、多少のデメリットも存在するが、メリットと比較すれば些細な問題である。
詳細は個別記事を参照。
ミノフスキー・フライト
ミノフスキー・クラフトの小型化を目的として、やはり宇宙世紀0150年代において実用化されたシステム。
いくつか優れた点はあるが完成度が低く、立方格子力場の維持可能時間が短いため、常に移動し続けなければならない(推進剤消費が大きくなる)。
詳細はリンク先の該当項を参照。
ミノフスキー・ドライブ
上記のミノフスキー・フライトを更に発展させたもの。
ユニット内にミノフスキー粒子を高圧縮し、任意方向に開放する事で、その反発によって推進力を得る事が可能となったためミノフスキー・フライトの「推進能力が無い」欠点を克服しており、更には理論上亜光速まで加速することも可能とされている。
…が、余剰エネルギーがビームとして放射されてしまう欠陥が存在する。
開発当初の実用レベルのものは宇宙世紀0120年代では大型艦艇にしか搭載できないほど大型のものだったが、宇宙世紀0153年にはMSに搭載できるまでに小型化されている。
しかし、時代が進んでも上記含めて多くの欠陥が存在するなど問題点は多く、未だに未完成の域を出ていない。
詳細はリンク先の該当項を参照。