Vertical Take-Off and Landing
「垂直離着陸」のこと。
または「垂直離着陸機」。
概要
言葉上はヘリコプターなどもこの一種と言えるが、「短距離離着陸(S-TOL)機」の一種とされることもあり、基本的には飛行機(いわゆる固定翼機(※外部リンク))かそれに近い、揚力で浮かび飛行する航空機の内、垂直方向にも推進力を持ち、それによって離陸が可能なものを指す。
簡単に言うと、ジェット噴射を垂直、すなわち真下に噴射し、滑走せずとも浮き上がれる飛行機のことである。
多くの場合推進方向を水平から垂直まで変えられる、可動式の推進器を持つ。
従来の飛行機と同様に、滑走して揚力を得たうえで飛び立ったほうが搭載兵器や燃料の量を増やせるため、余裕があるときは垂直離陸ではなく、滑走離陸をする機体も多い。
タグとしては、以下のものに付けられる。形状は通常の飛行機に似ることが多いが、全くの架空機という場合もある。
- ハリアーなど実在の航空機。
- 垂直離着陸できる架空のメカ。
浮上方法
推力偏向式
噴射方向を変えられるノズルなどを使い、推力の方向を変えて垂直離着陸を行う方式。
軽量かつ簡便な機構で実現可能で、ジェットVTOLの実用機は全てこの方式を利用している。
採用例
- ハリアー(メインエンジン1基搭載:リフトファンもリフトジェットも不要な亜音速戦闘機)
エンジン偏向式
ノズルではなくエンジンの向きそのものを変えて浮上する方式。
航空機の中で最大の部品であるエンジンを回転させるため機体外形を水平飛行に最適化することが難しく、速度性能に悪影響がある。巨大な可動部が発生するのでコストも増すし、ジェットエンジンで垂直上昇は効率が悪すぎる、ということで廃れた。
採用例
リフトジェット方式
メインエンジンとは別に浮上用のリフトエンジンを設け、垂直離着陸時にリフトエンジンの推力で上昇などを行う。
エンジンを二倍積むということであるから当然その分重くなるので廃れた。
採用例
リフトファン方式
機体内に上昇用のリフトファンを搭載し、垂直離着陸時に稼働させる方式。
これもやっぱり重くなりはするんだけども、エンジンから動力を提供するようにすればリフトジェットほどではないし、ジェットより効率も良いということで実用機に使用されている。
採用例
- F-35B(推力偏向も利用)
ティルトローター方式
回転翼としても機能する大型のプロペラ(プロップローター)を用い、角度を変えることで浮上・推進を行う方式。
採用例
- V-22(エンジン偏向式でもある)
ティルトウィング方式
主翼と主翼に固定されたエンジンを垂直方向に変えて浮上する方式。
実機は現在の所は試験機のみ。
浮上時は回転翼でヘリコプターのように浮上し、巡航時は別途に設けたプロペラやジェットエンジンなどで推進する。
回転翼が存在するため速度に制約がある。目下研究開発中。
採用例
テイルシッター方式
機体を「縦置き」して強引に垂直方向に発進する、極めて分かりやすいやり方。
大真面目に研究、試作されたが、垂直⇔水平の移行が難しくて廃れた。
採用例
- トリープフリューゲル
- C450コレオプテール
- 球形飛行体(外見ではわかりづらいが構造としては「球形フレーム内にテイルシッター機を収めた」というものである)
もっとも、垂直離着陸ができても
離陸時は滑走することがほとんどではあるが
(燃料も弾薬を使い果たした着陸時ならともかく、離陸時に使うのは燃費に良くない)
関連イラスト
関連タグ
Yak-38 Yak-141 ハリアー AV-8B X-32 F-35