概要
NATOの要求に合うように開発されたVTOL輸送機。・・・すでにこの時点で色々嫌な予感しかしないが何もおかしくはない。
VTOL戦闘機・VJ101を輸送機として再設計した機体である。
…え?
今なんかとんでもないこと書いてあったって?
…そう、この機体の元ネタは戦闘機である。
戦闘機を輸送機に再設計するという驚愕の設計である。
いくらドイツの科学力が世界一とは言えこれはむちゃくちゃ過ぎないか?
しかし…
ちゃんと飛んだ。
な、何を言っているのかわからねーと思うが編集者にも分からない。
なんでこんなゲテモ…ゲフンゲフン、独創的な輸送機を作ったんだ?
ぶっちゃけると東側が攻めてきて滑走路を使えなくされたらどうしよう、ということで作られた。
VTOLならそもそも滑走路なんていらないしね。
仕様
機体は高翼式で荷物積み下ろし用のランプ(坂道)を備えた、一般的な輸送機の形状をしている。
主翼は直線翼、尾翼は十字翼となっている。
エンジンは主機関としてハリアーに使用されていることで知られるブリストル(ロールス・ロイス) ペガサス ターボファンエンジンを両翼に備え、さらに翼端にはリフトエンジンとしてロールス・ロイス RB162を4台固めたエンジンポッドを装着する。
つまり合計するとジェットエンジン1+1+4+4=10台である。なんという男のロマン。
この合計10台のエンジンにより、上昇時には合計30tもの推力を発生させる。
んで、肝心の貨物搭載量は?
え?
貨物搭載量?やだなあ、そんなの聞かないでくださいよ。
…どうしても言わなきゃだめ?どうしても?
じゃあ正直に答えるぞ。
3500kg。
「え!?今なんて言った?」
3500kg。
つまり3.5tである。
エンジン10台つけてコンビニの配送トラックと同じくらいの荷物しか積めないという驚愕の搭載量である。
搭載量が少ないとよく言われるC-1すら8~12t程度積めるのだから、これは文字通りの論外もいいところ。
しかもエンジン積みまくったお陰で燃費は極悪。もう普通にでかいヘリ使うとか、あるいは素直に飛行場を防衛して大型で普通の輸送機の発着場所を確保したほうがはるかに効率的である。
ってかこの数字がヤード・ポンド法じゃないのが数少ない救いか。もし3500「ポンド」だったら、そりゃキログラムに直すと1600kg弱しか積めないってことになるし。
そもそもVTOL機は翼で起こす揚力ではなく、エンジンパワーで文字通り重力に逆らって浮上するから燃費が悪かったり搭載量が少なくなるのは仕方がないのである。それもこの時代の技術で輸送機、それも軍用輸送機に使おうとする時点でトチ狂っている。もっと言ってしまえば回転翼ではなくジェットエンジンという時点で(ry。
21世紀に実用化された飛行機のオスプレイことV-22で「ようやく」まともに使えるVTOL輸送機が実現したと言っても過言ではない。Do31は色々と早すぎた機体なのだ。
驚愕の搭載能力と燃費は、本機の開発を白紙撤回させる理由としては十分すぎたことは間違いない。
それにしても「垂直上昇する輸送機」というぶっとび発想・それが原因で異様に少なくなった搭載量・そして何よりあの独特の外見…こいつを考えたのって実はイギリス系の人間じゃないのかなあ…
さあドルニエよ、正直に答えるんだ。
こいつを発案もしくは設計したのはイングランド系の社員だと。